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お笑いロワイアル2006 vol.3

1 :名無し草:2006/09/30(土) 18:04:29
お笑い芸人を題材としたバトルロワイヤルパロディスレッド
ローカルルールや過去ログ・関連スレッドは>>2以降
sage進行

まとめwiki
http://www16.atwiki.jp/br_laugh/

2 :名無し草:2006/09/30(土) 18:05:00
共通用ローカルルール
・死亡した芸人の復活は不可
・あくまでネタスレです。まったりどうぞ

書き手用ローカルルール
・投下する前に過去ログ、まとめwiki(特に必読項目)に目を通す
・投下時に明記すること
  どのレスの続きか(>>前回のレス番号)
  文中で芸人が死亡、同盟を組む、他、重要な出来事があった場合
  所持品、行動方針、現在位置、日付、時間帯、投下番号
・トリップ強制 付け方は名前欄に『#好きな言葉』
・書き手は一つの話に一人だが、以下の場合は引き継ぎ可
  書き手自身が執筆中止を告げた場合
  最終投下から3ヶ月以上経過した場合
・書いた話に不都合があった場合、番外編としても投下可
・2002年ver.の話を投下する場合は文章の最初でその旨明記する
・他、詳しくはまとめwiki参照

読み手用ローカルルール
・書き手に過度な期待、無理な注文をしないようにする
・コメント、感想、要望などはアンカーがついているといいかもしれません
・本スレで言いにくいことはしたらばのチラシで

3 :名無し草:2006/09/30(土) 18:05:39
過去ログ
vol.11 http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1155627128/
vol.1 http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1157112615/
vol.2 http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1157808776/

2002年Ver.まとめサイト・ミラー集(更新停止中)
http://www.geocities.jp/geinin_battle/
http://makimo.to/cgi-bin/search/search.cgi?q=%82%A8%8F%CE%82%A2%83o%83g%83%

8B&andor=OR&sf=0&H=&D=geinin&shw=2000

9〜10スレ目・関連スレ
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1095916149
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1114308019
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1114426574
↓こちらを使って見てください
2ch DAT落ちスレ ミラー変換機 ver.4
http://usamimi.info/~mirrorhenkan

4 :名無し草:2006/09/30(土) 18:29:25
>>1
乙!

5 :名無し草:2006/09/30(土) 19:10:30
>>1
乙ー!

6 :名無し草:2006/09/30(土) 19:31:34
>>1


7 :名無し草:2006/09/30(土) 19:33:01
間違えてageしまったorz
スマソ

8 :名無し草:2006/09/30(土) 19:37:27
>>1
乙。これでマターリ出来れば良いな

9 :名無し草:2006/09/30(土) 20:34:48
>>1
乙ー!
中田編が気になる

10 :名無し草:2006/09/30(土) 21:10:23
352:名無しさん :2006/09/03(日) 22:42:47 [sage]
投下したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ

11 :名無し草:2006/09/30(土) 21:38:33
乙です−!
まとめwiki管理人様もご苦労さまです&
書き手の皆様、ロムばかりですみません!
楽しみにしてます!



12 :名無し草:2006/09/30(土) 21:46:27
謝るなら、お前も書けよ

13 :名無し草:2006/09/30(土) 22:12:14
感想書かずにすみません!って事です>ロム

14 :名無し草:2006/09/30(土) 22:20:30
^^;

15 :名無し草:2006/09/30(土) 22:21:22
>>13
じゃあ感想書けよ

16 :名無し草:2006/10/01(日) 00:00:09
こんな匿名の場ですみません!とか言ってもな
誰が書いてて誰が書いてないかなんてわかんねーのに

17 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/01(日) 00:41:01
前スレ625の続き。
ラーメンズ片桐とエレキコミックです。

1990年代。たまごっちが爆発的に流行り、皆がこぞってもののけ姫なんて見に行っていた頃だ。
世の中は不景気不景気と暗くなり、今立や谷井も例に漏れず貧乏暮らしをしていた。
もっとも、駆け出しのお笑い芸人は世間の景気がどんなに良くても貧しいだろうが。
「今立ー!」
楽器屋の前で黒光りするエレキギターを見つめている今立の元に谷井が飛んでくる。
手には最近新しく出た三国志の本の束が抱えられている。どこからその金を捻出したのだろう。
「食費削ったかいがあったよ、ずっと待ってたんだよなー、この本!」
小さな目を細め、ガチャ歯を見せて笑う谷井はまさしく少年だった。
喜ぶ谷井の横で、今立はふと思う。
(食費削ってもエレキギターは買えないよなぁ…)
諦め―――今立はいつもそうだった。心の中で、常に冷静になってしまう自分がいる。
どうしても皆が騒いでいる時に乗り切れない。
芸人として生きていくには、彼はあまりにも普通すぎた。
「俺マジ三国志大好き!」
だが、谷井は違う。彼はその容姿だけで他人にインパクトを与えることが出来る。
いつも天真爛漫で、バカな事ばかりする。そのくせ何も考えていないかというとそんなことはない。
(この人といると俺ももう少しバカになれるんじゃないか?)
今立はなんとなくそんな事を考えていた。
いつまでもバカでいられたら良い。と、子供のように笑う谷井を前に彼は密かに祈ったのだった。

18 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/01(日) 00:41:52
突きつけられた銃口の暗い穴に瞳が吸い取られるような気持ちになる。
谷井は笑っていない。無表情に今立を見下ろし、その命を奪おうとしている。
金色の光が生き生きと育つ草原を祝福するかのように走る。
今立は言葉を失っていた。何が起こっているのか、頭が処理しきれない。
どうしたんだろう、なんなんだろう、こいつは学生時代からの親友で、相棒で…
疑問が洪水のように今立の頭に押し寄せ、流れていく。かろうじて絞り出した声は
「どうして…」
と言う陳腐な、かすれきったものだった。
ふわふわの髪が日の光を受けて輝く。早朝ロケ、飲みすぎた朝帰りなどで見慣れたものが、今は何故か遠い。
「俺さ」
谷井が淡々と語りだす。
「『や』だろ?かなり最後の方。だからさ、色々見ちゃったんだよね」
お前らは早い方だから見なくてすんだものがいっぱいあるだろうけど、と言って彼は微かに笑う。
「教室の銃声もすぐそばで聞いた。血は俺の席まで流れてきたよ。外に出るともう何人も死んでた。
 放送あったから知ってると思うけど、小沢も死んでた。俺は全部見たんだよ…」
教室を出てから、谷井はとにかく逃げた。こんなに沢山の人が殺されている。自分も殺されるだろうと言う恐怖。
長年の友人はもうとっくにどこかに行ってしまった。彼を待っていたのは小沢の死体だけだった。
断末魔の叫びを聞いた。水が欲しいとうめく、腸を剥き出しにした人間もいた。太陽はただ暑かった。
建物の陰に隠れた。中に誰かいるかもしれないが、背中に壁があると少しだけ安心する。
動揺のあまり、中身を開ける事もなかったデイパック。音を立てないようにあさる。
指先に感じた冷たさは、ずしりと重い鉄の塊だった。
「俺は考えたよ。これで人を殺すか、それとも自分を殺すか―――小沢のように」
一歩。谷井が今立に近づく。今立はまだ動こうとしない。たまに、指が何かを探るように草の上を這うのみだ。
「で、人を殺すことにした。これが理由だよ。歌を歌っていれば案外大丈夫だった」
あっけなく言い放つ谷井。以前ライブで「横浜の女だ!殺せー!!」と言っていた笑顔が今立の中によみがえる。
洒落にならないコントになってしまった。本当に人殺しになってしまうなんて。
「なんで人を殺す方にいくんだよ…」
うつむき、力なく今立はたずねる。

19 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/01(日) 00:42:25
「何で人を傷つけること考えるんだよ!?俺はお前を探して」
「甘えたこと言ってんじゃねえよ!!」
谷井の怒号が響いた。傷に響くのか、片桐が微かにうめく。
「こんな狂ったゲーム、止められる訳ねえんだ!なら生き残ってやるしかないだろ!?
 …俺は死なない!帰ってまた舞台に立って、昔どおりに生きるんだ!!」
だから死ね!
谷井は両手で銃を構えなおす。銃口は今立の眉間をまっすぐに示している。
今立は正面からその銃口を見つめる。そして、それが微かに震えていることに気づいた。
これならいけるかもしれない…今立は勝負に出ることにした。
「昔どおり…?」
ポケットの中にそっと手をいれ、中のものを握り締める。今はこれを使うしかない。
失敗したら、確実に死ぬ。
「お前ひとりでエレキコミックだとか思ってんじゃねえ!!!」
そう叫ぶと今立は谷井の懐めがけて飛び上がる。
動く標準相手に、谷井がそんなに早く狙いを合わせられはしないという確信が今立にはあった。
いくら身体能力の高い谷井でも、ピストルは使い慣れていないはずだ。
ひるんだ一瞬の隙を狙い、今立は隠し持っていたスタンガンを谷井に押し当てる。
「がっ…!?」
谷井の体が一回痙攣し、その場に力なくくず折れる。ピストルが落ちるくぐもった音を今立は聞いた。
そのピストルを回収し、二三回つついて谷井が気絶していることをちゃんと確かめると、今立は片桐の下へ駆け寄る。
「おい、仁!しっかりしろ!!」
「んー…痛い…けど…大丈夫…かもしれない」
「どっちなのかわかんないけど、とにかく逃げるぞ!!」
すぐに手当てしてやるから、と今立は片桐を背負い、朝の太陽に背中を向けて歩き出した。
草原に倒れたままの谷井を一度も振り返らずに。

20 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/01(日) 00:42:56
【ラーメンズ 片桐仁
所持品:マーライオン
第一行動方針:賢太郎を探す
基本行動方針:賢太郎の言う事を聞く
最終行動方針:海で死ぬ
現在位置:広場】

【エレキコミック 今立進
所持品:スタンガン
第一行動方針:この場からの逃避&片桐の治療
基本行動方針:仲間を集めて協力する
最終行動方針:ゲームの終了
現在位置:広場】

【エレキコミック 谷井一郎
所持品:ピストル
第一行動方針:片桐、今立の殺害
基本行動方針:殺しやすい人間を殺す
最終行動方針:生き残って舞台に立つ
現在位置:広場】

【8/16 04:15頃】

21 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/01(日) 00:44:30
書き忘れ

投下番号【108】

22 :名無し草:2006/10/01(日) 00:47:04
乙!

エレキコミックよく知らないので、過去話がちょっと付いていることで
スムーズに読めた。

23 :名無し草:2006/10/01(日) 00:48:37
乙です。
エレキコミックは決定的に分かれちゃいましたね…

24 :名無し草:2006/10/01(日) 01:22:05
乙です。
今回コンビ行動が多いからその配慮かな。

25 :名無し草:2006/10/01(日) 02:07:59
乙!待ってたよー
横浜の女〜の台詞思い出してちょっとぞっとした…

26 :名無し草:2006/10/01(日) 05:44:25
乙です!
ところでやついのピストルは今立が回収したのでは?

27 :名無し草:2006/10/01(日) 08:58:03
乙です!!

28 :名無し草:2006/10/01(日) 13:17:29
今し方、母の入院が決まりました。
そういったこともあって、私自身精神状態が思わしくありません。
なのでキングオブコメディ高橋さんの予約権を廃棄致します。
おそらくこのスレにも顔を出すこともできないかと。
今までありがとうございました。

29 :名無し草:2006/10/01(日) 14:23:48
↑誰ですか?

30 :名無し草:2006/10/01(日) 16:20:48
>>29
予約スレのコピペ

31 :名無し草:2006/10/01(日) 20:55:53


32 :名無し草:2006/10/02(月) 00:16:23
良スレあげ

33 :名無し草:2006/10/02(月) 12:14:37
上げんな馬鹿

34 :名無し草:2006/10/02(月) 14:09:46
新参ですが投下していいですか?

35 :名無し草:2006/10/02(月) 14:18:38
>34
2読んだ?
本編投下はちゃんとwikiに目を通して
したらばで書き手登録してから。

36 :名無し草:2006/10/02(月) 15:04:13
2って何ですか?

37 :名無し草:2006/10/02(月) 15:05:37
>>36
2 :名無し草 :2006/09/30(土) 18:05:00
共通用ローカルルール
・死亡した芸人の復活は不可
・あくまでネタスレです。まったりどうぞ

書き手用ローカルルール
・投下する前に過去ログ、まとめwiki(特に必読項目)に目を通す
・投下時に明記すること
  どのレスの続きか(>>前回のレス番号)
  文中で芸人が死亡、同盟を組む、他、重要な出来事があった場合
  所持品、行動方針、現在位置、日付、時間帯、投下番号
・トリップ強制 付け方は名前欄に『#好きな言葉』
・書き手は一つの話に一人だが、以下の場合は引き継ぎ可
  書き手自身が執筆中止を告げた場合
  最終投下から3ヶ月以上経過した場合
・書いた話に不都合があった場合、番外編としても投下可
・2002年ver.の話を投下する場合は文章の最初でその旨明記する
・他、詳しくはまとめwiki参照

読み手用ローカルルール
・書き手に過度な期待、無理な注文をしないようにする
・コメント、感想、要望などはアンカーがついているといいかもしれません
・本スレで言いにくいことはしたらばのチラシで

38 :名無し草:2006/10/02(月) 16:39:36
読みました

39 :名無し草:2006/10/02(月) 16:54:49
>>38
読んで理解し、手続きを済ませたのならGO!

新しい投下物wktk

40 :名無し草:2006/10/02(月) 17:21:16
手続きって何ですか?

41 :名無し草:2006/10/02(月) 17:28:48
>>40
sage進行ですのでメール欄にsageと入力してsageて下さい。
>>2を読むだけではなく内容を理解しルールを把握して下さい。
まとめwiki(http://www16.atwiki.jp/br_laugh/)の方も目を通して下さい。

42 :名無し草:2006/10/02(月) 17:30:49
>>40
まとめ読んだか?書き手登録手続きと使用芸人の予約だよ

43 :名無し草:2006/10/02(月) 18:15:58
読んだんですが意味が解りません

44 :名無し草:2006/10/02(月) 18:23:13
荒らし確定だなこりゃ

45 :名無し草:2006/10/02(月) 18:27:48
>>43
ルールを理解していない方の投下はご遠慮下さい。
申し訳御座いませんが意味がわかってからまた挑戦して下さい。お待ちしております。

46 :名無し草:2006/10/02(月) 18:46:55
荒らし扱いしないで下さい。心外です

47 :名無し草:2006/10/02(月) 18:49:09
迷惑です

48 :名無し草:2006/10/02(月) 19:28:49
あまり煽るな馬鹿
また荒らしが増えるだろ

49 :名無し草:2006/10/02(月) 20:18:56
>>46
貴方のように「新参ですが投稿してもいいですか?」という奴に
ロクな奴を見た事無いんだ、このスレでは。
そこらへんの過去のいざこざは割愛するけど、納得してくれたら
このスレやまとめサイトを熟読して欲しい。

50 :名無し草:2006/10/02(月) 20:25:14
スルー技術を取得しろ

51 :名無し草:2006/10/02(月) 20:35:28
お前もな

52 :名無し草:2006/10/02(月) 21:58:01
少しはエアーリーディングすれば(笑)

53 :名無し草:2006/10/02(月) 22:00:13
(笑)

54 :名無し草:2006/10/02(月) 22:31:26
ジャンクション(笑)

55 :名無し草:2006/10/02(月) 22:37:30
352:名無しさん :2006/09/03(日) 22:42:47 [sage]
投下したければすればいいよ
その代わり下手だったらボッコボコに叩かれた上になかったことにされるから
そのつもりでどうぞ

56 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 09:49:32
前スレ884の続き。ラバーガール大水です。

小沢の遺体を見てから、大水は少しの間、自分が彼と同じように、自殺するかどうか考えた。

やっぱり自殺じゃダメだよな…。
僕が決めたのは、『先生から見て、完全に無気力・無感情に見える行動を取る』事なんだから。
自殺するのは、むしろ逆効果だ。よっぽど思い詰めてるみたいに見られるだろう。
こっちにそんなつもりが無くたって、眺めている側からすれば、そんなもんだ。
緊張感があり過ぎる。普通は、すごく覚悟の必要な事でもあるだろうし。

小沢さんだってきっと………いや、今更彼の事を考えるのは止めよう。
辛くなるだけなのは分かっている。目撃した時だって、充分後悔したじゃないか。
どうして、自分で自分を追い詰めるような事をしてるんだ?
自らを追い込むのは、適度なら強くなるための材料になるのかもしれないけれど、すでに大分厳しい状況の中にいる今は、ただ神経を磨り減らしてしまうだけの行為だ。

大水は気持ちを切り替えて、歩き続けた。しかし、完全に忘れる事ができたわけでは無い。
むしろ、時間が経てば経つほど、その重みは彼の中でジワジワと増していった。
少し気を抜くと、ふとした瞬間に、またあの映像が蘇る。しかも、やたらと鮮明に。

……何で思い出してしまうんだろう。
しばらくすれば、記憶は薄れていくと思ってたけど、そんな単純なものじゃ無いんだな。
まるで精神的にボディーブローでも食らったような気分だ。
もしかしたら、時間が経った事によって、『あれは現実だ』という事を、より明確に認識してしまうのかもしれない。
最近、自分の記憶力は劣化してきたはずなんだけど、こういう都合の悪い事に関しては、忘れられないのが腹立たしい。
想像以上に、僕の頭は不便に出来てるんだな。

とにかく、先生にとっては自殺なんて、当然予測内の行動だ。
今までの『プログラム』でも、その道を選んだ人は大勢いるから。
あの先生は、多分それすら楽しんでいる。先生から見て、一番つまらない行動って何だろう。
おそらく、僕が今やっている行動は、それに近いと思う。
ディパックすら開けずに、何の感情も見せずに、ただ歩き回っているだけなんだから。


57 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 09:53:01
でも、いつまでもこうしているわけにはいかない。
最終的に、先生の思惑に逆らえそうなパターンは、いくつか用意してあるんだけど、どれもイマイチ決め手に欠けるな。
もっと良い案を思い付けばいいんだけど………
積極的な行動はできないから、必然的に仲間集めや、脱出などは省かれるし。
さて、最終的にはどの選択肢を選ぶかな。


2時間以上前から、大水はずっとこんな事を考えていた。
時に何度かは、同じ様な思いがループする事もあった。特に、悪い事に関しては。
その時、彼の耳に銃声と、微かな悲鳴が入ってきた。
距離が離れているので、その声はほとんど聞こえなかった。
しかし、ぎりぎりその言葉の内容は理解できた。
いや、理解してしまった…という表現の方が正しいだろう。

誰かが争ってるのか…なるべく関わらないようにしなくちゃな。
さっきみたいに、また誰かの遺体を見てしまう可能性がある。
それが、もっと親しい人のものだったら…今度こそ表情に出てしまうかもしれない。
これ以上、精神的な負担は増やしたくないな。

大水は、これまですでに何回か、他の芸人の遺体らしき物に気付いてきた。
しかし、あれから大分注意しているせいか、小沢以外の遺体は、まともに目撃していない。
偶然、かなり離れた位置ばかりだった事もあり、誰なのか分からないまま、やりすごす事ができた。
しかし、いくら気を付けても、音と声は防ぎようが無い。
目線なら、何気なく逸らす事ができる。だが、聴覚だけはどうしようも無かった。
もしこれが他の芸人なら、耳を塞ぐ事により、少しはその聴覚から逃れる事ができるのだろう。
しかし、動作どころか、表情すら無感情を演じている大水に、それは不可能だった。

さっきの声、「誰か、助けて」と言ってた様な気がする…
まあ僕には全く関係無いんだけど……やっぱり何か気になっちゃうな。
あの人は、誰に対して助けを求めていたんだろう。
近くに仲間でもいたんだろうか。それとも敵に対する命乞い?

58 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 09:54:36
いや、『誰か』って事は、別に特定の相手に言ったわけじゃ無いんだろうな。
声に気付いた誰かが、偶然助けてくれるのを期待してたのかな。
確かに、それで助かる可能性はゼロじゃ無い。かなり少ないだろうけど。
最後の賭けだとしたら、無意味な行動とは言えないな。

途中で声が途切れたのは、元々遠い位置だからだろうか…もしくは……

いや、そんなのどっちでもいい。大丈夫だ、無関係だし。今は、けっこう落ち着いてる。
少しくらいは、人の死にも慣れてきたのかもしれないな。
一生掛かっても、こんな事に慣れる日が来るなんて、思ってなかったけど。
いや、そもそも慣れるとか慣れないとか、考える機会が、今まで無かっただけか。

決して、正しい事だと思ってるわけじゃない。
でも、この『プログラム』では、慣れた方が有利なのは確かだ。

それにしても歩き疲れたな。特に目的地があって歩いてるわけじゃないから、余計そう感じる。
どうせなら、この足元に人力発電機でもあれば、ちょっとは意味があるのにな。
よく自転車とかであるやつの、ルームランナー版とか。
それで、たくさん電気を溜めたら、先生の頭上に落としてやりたい。
こんな現実逃避もたまには必要だ。ずっと気を張り詰めてたら、心も体も疲れてしまう。

そんな事より、僕にとっては、このディパックはかなり邪魔だ。元々腰痛もあるし。
でも、今更捨てるのも不自然だしなあ…
どうせ開けないんだから、最初から受け取らなきゃ良かった。
拒否すると、いかにも『絶対に参加しない!』という決意がバレバレだから貰っておいたけど、今考えれば、無気力な態度のまま受け取らない事も可能だったよな。
例えば、返事した後、ディパックに気付かないフリをして教室を出るとか。
多分、呼び止められるだろうけど、「あっ、すみませーん、忘れてました」とか言っとけば、普通に受け取るよりは、よっぽど緊張感を破壊する効果はある。

そのくらいの事、どうしてあの時思いつかなかったのかな。
冷静なつもりでいたけど、意外と緊張してたんだろうか?
どうにもさっきから、自分の感情のはずなのに、よく理解できない事が多すぎる。


59 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 09:57:22
とりあえず、そこら辺で休憩しよう。
そもそも、別にここまでずーっと歩き続ける必要も無かったよな。何でこんな事してたんだっけ………
そこの木の下で座りながら、ちょっとだけ考えてみるか。

……ああ、そうか。何となく分かった。
体を動かしていれば、少しは気を紛らわす事ができるからだ。
辛い現実から目を背けるための、自己防衛。

こんな方法に頼っている自分が、何だか弱い人間に思えてきた。
…気付かなきゃ良かったな。こんな事なら考えるんじゃ無かった。
何だか今日はずっと、やることなすこと裏目に出てる。
このままじゃいけない。後何時間、もしくは何日続くか分からない中で、僕はずっと平気なふりをし続けなきゃならないんだから。
もう『平静を装う事だけ』じゃダメだ。
そろそろ、本心から平気だと思えるようにならなきゃいけない。


……何だ、この音?音楽みたいな…、ああ、そうか。これは第一回の放送の合図だ。
この曲は、前にニュースでも聞いたことがある。
…まだ『プログラム』開始からは、6時間なのか。辛い時間って過ぎるのが遅いな。

『芸人の諸君、頑張って殺しあってるかな?』

やっぱり先生は、皆が頑張ることを期待してるんだな。
だったら、悪いけどその期待を、徹底的に壊してやろう。
ホントは、僕1人でそんな事したって、何の意味も無いのは分かってるんだけど、せめて自分自身が、『本当にやりたい事』をしてみたいから。
何だか自己満足みたいで、かっこ悪いけど。

『さて、これが最初の放送だ。これから今までに死んだ奴を発表していく。
最後に禁止エリアの発表もあるからな、ちゃんと聞いとけよ。』


60 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 09:58:08
そういえば、自ら禁止エリアに入るっていうのは、自殺扱いにされるんだろうか?
やっぱり自殺をしたら、ある意味では頑張ってると思われるよな。
いくら自分が地図を見ていないとはいえ…傍から見れば、自殺に見える可能性はある。
ここで慌てて地図を開いて、場所を確認するよりは、はるかにマシだけど。

せめて、地図をデイパックに入れて渡さず、直接配ってくれれば、スタート前にできるだけ頭に叩き込んでおいたのに。
もちろん、周りの人からは、ただぼんやりと眺めているように見えるような表情をしながら。
そんな、手間の掛かる上に無意味な事、してくれるわけ無いのは分かってるけどね。
もういいや。入っちゃったら、それは運が悪かったって事で。

『…51番小沢一敬……』

ああ、やっぱり呼ばれたな。自分の目で見たから、もう知ってるんだけど。
高橋さんとか、きっと傷付いてるな。仲良かったみたいだから。

心なしか、楽しげな声で、次々と読み上げられていく芸人達の名前。
でも、気にしない。僕はもう、何があっても平気な顔をし続けるって決めたから。
これからは、内面も含めて。
例え今呼ばれた名前が、もっと仲の良い人達だったとしても同じだ。
少なくとも、今はそう思ってる。

でもそれが現実になった時、完全にこのままでいられるのか、本当は、ちょっとだけ自信が無い。
僕がスタートしてからは、まだ6時間以下。
なのに、その間に僕は、感情のコントロールの難しさを、大分思い知らされた。
脳内のシミュレーションなんて、現実の前ではたいして役に立たない。
どんなに強く思ってる事だって、何がきっかけで変わるか分からない。


61 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 09:59:55
だったら、そうなる前に誰か僕を殺してくれないかなぁ。
…ふと、そんな思いが頭に浮かんだ。
先生の思惑に逆らう行為として、ずっと考えていた事の中の一つなんだけど。
やっぱり、これが一番なのかな。
良く言えば堅実な、悪く言えばあまりにも消極的すぎる方法。
どうしてもマイナス面が強く思えるのが嫌だな。もうちょっと前向きに行きたいんだけど。
でも、他に良い案は浮かびそうに無い。

緊張感の無い行動を取ろうとするなら、自殺はできない。でも、このまま生きていたくもない。
だったら、誰かに殺してもらえばいい。
どんな事でも、『何かを意図的にやろうとしている』姿は見せられないから、自分からそういう人を探して近寄る事は、中々できないだろうけど。
偶然、座ってたり、歩いたりしてたら目の前に現れた…っていうのが一番理想だな。
正確な人数を知っているわけじゃないんだけど、今まで調べた限りでは、この『プログラム』でのマーダーの数は、毎年それなりにいる。そんなに難しい事じゃないだろう。

ようやく決まったな。自分の最終目標が。そう思ったら、何だか少し気が楽になった。

…無気力な態度を取り続けたあげく、最後に望んだのは自分の死。
しかも、それすら自らの手で行う気は無い。
行動だけ見たら、どこがブロークンキャラだと言われそうだが、僕の中で矛盾は無い。
……正確には、『矛盾から目を逸らしてる』って感じがするけど、これ以上考えても、多分意味なんて無い。
だったら、もうこれで良いじゃないか。ただの開き直りだけど、そこは妥協ってことで。
これも、見方によっては、一種のポジティブシンキング。


62 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 10:00:46
心の中で、まだ見ぬ殺人者に呼びかけてみようか。
普段、僕が心の中で話すのは、大体独り言だから珍しい事だ。
たまには、普段やらない事へのチャレンジを………
まあ、それはとっくにしてるんだけど、色々と。

『ねえ、そろそろ僕の事、殺しにきてくれない?もう、いい頃でしょ。
絶対に抵抗しないし、どんな武器だろうと、避けようなんて思わないからさ。
でも、銃で打ち抜かれても、刃物で切られても、あんまり反応はしてあげられない。
だから、快楽殺人者にとっては、ちょっとつまらない相手かもしれないけどね』

大水は、それだけ実行すると、再びディパックを手に取り、歩き出した。
自分が『殺されたがっている』事が、表に出ない内に殺してくれる、積極的なマーダーに出会うために…


63 : ◆PyB831QpqM :2006/10/03(火) 10:02:40
【ラバーガール 大水洋介】
所持品:未確認
第一行動方針:本当に無感情な人になろうとする
基本行動方針:先生から見て、完全に無気力・無感情に見える行動を取る。
       自分を殺してくれる人に、偶然出会うのを待つ。
最終行動方針:誰かに殺してもらう

【現在位置:F4の森】
【8/15 18:10】
【投下番号109】

64 :名無し草:2006/10/03(火) 11:26:13
ラバーガールって誰すか?

65 :名無し草:2006/10/03(火) 12:10:23
シラネ

66 :名無し草:2006/10/03(火) 14:15:20
乙!
大水が誰に会うのか、そして殺されそうになった時、
何を思うのか今後の展開が楽しみになってくるよ。

67 :名無し草:2006/10/03(火) 14:45:16
大水編乙です!
独白にグイグイ引き込まれました。

68 :名無し草:2006/10/03(火) 15:01:31
前スレ見れないんですが

69 :名無し草:2006/10/03(火) 16:21:49
>>68
メール欄にsageと書き込んで下さい。
にくちゃんねるで「お笑いバトルロワイアル」と検索すれば見れます。

70 :名無し草:2006/10/03(火) 16:28:22
sage進行

71 :名無し草:2006/10/03(火) 16:47:50
にくちゃんねるって何ですか?

72 :名無し草:2006/10/03(火) 17:21:59
('A`)

73 :名無し草:2006/10/03(火) 17:24:22
下げろ馬鹿者

74 :名無し草:2006/10/03(火) 18:10:49
>>71
Googleで「にくちゃんねる」と検索してみて下さい。

75 :名無し草:2006/10/03(火) 18:26:10
はい。検索しました

76 :名無し草:2006/10/03(火) 19:58:38
また荒らしですか

77 :名無し草:2006/10/03(火) 20:34:10
何でもかんでも荒らし、荒らしって、いい加減ウザイ。
それしか言えないの?

78 :名無し草:2006/10/03(火) 20:35:44
荒らしじゃないにしてもここまで初心者なのはちょっと……

79 :名無し草:2006/10/03(火) 21:11:34
>>77
荒れ易いスレッドは、仮想敵を作ることによって
住人の結束を固め揉め事を回避しようとする傾向にある

80 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/04(水) 01:07:21
>>17-20の続き。
ラーメンズ小林です。

「あなたはもうかなり悪魔じみてきているが
 何が没趣味だといって、絶望している悪魔ほど
 没趣味なものはまずありますまいからねえ。」(ゲーテ『ファウスト』より)

片桐と今立が、谷井に会う数時間前のこと。
満天の星空を仰ぎ、小林は疲れた目を休めていた。
時計の文字盤が見えないほどあたりは暗いので、今が何時なのかはわからない。
だが、
「そろそろ日付が変わるかな」
小林はほとんどページの尽きたメモを閉じ、大きく伸びをする。
「もう下ネタしかでてこねえ…」
深夜12時を超えると下ネタしかでないのが小林である。
大きなあくびをし、重いまぶたをゆっくりと閉じる。暗いところにいる時間が長ければ長いほど人は眠くなるものだ。
しかし、眠ってしまうことは隙を作ることだ。小林は無理矢理目を開け、また星空を眺める。
街頭の全くないこの島の空は美しい。都会では見られない小さな星が、つつましくも確かな光で輝いていた。
「ああ…」
南の空がうっすらと輝いている。ミルクを流したかのような光の帯がどこまでもどこまでも続いていた。
普段あまりにも見る機会が少なかったので、それがなんなのか小林は一瞬判断することが出来なかった。
「天の川だ…」
そうつぶやいた小林の脳裏に1人の女性が浮かぶ。
海外へ旅立っていった彼女。大学生の頃からずっと大好きだった人。
彼女が帰ってきた次の七夕に、小林は彼女と結婚した。離れ離れになった織姫と彦星の伝説になぞらえるかのように。
マスコミの好奇の目に晒されないよう、結婚後も必死に彼女を隠してきた。それ位大事な人である。
妻のことを思うとき、小林の顔は自然ほころぶ。
まるで自分の隣に妻がいるかのように、彼は幸福な気持ちになった。

81 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/04(水) 01:08:02
しかし、彼女は今どのような気持ちなのだろう。
夫が死の地に出かけたことを、あの優しい女性は受け入れられるのだろうか。
早く帰って、抱きしめて安心させてあげなくては。
「ここで寝たら銀河鉄道とかに乗れないかな」
そうしたら本当の幸せを手に入れることが出来るのに。
そんな儚い現実逃避をしながら空を見上げていた小林の視界は突如さえぎられた。
昼間のような明るさが、ささやかに輝く星たちを覆い隠してしまった。
「え…何?」
小林は振り返り、何かが燃えているであろうところを見る。
高い山に隠れて何が燃えているのかはわからないが、かなりの規模の火事が起こっていることだけはわかった。
「……」
あまりのことに呆然としている小林の耳に、雑巾を引きちぎるかのような悲鳴がこだまする。
「いやああああああああああ!!!!!!」
甲高いが女と言うには不自然な声。小林はとっさに声の方を振り返る。
東の方角から、何か大きなものを振り回しながら突進してくる人間がいる。
「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないいいいいいいいいいい!!!」
小林はテレビが嫌いだ。だから、正直テレビに出ている芸人には詳しくない。
だから安田大サーカスのクロちゃんの叫び声が聞こえても、まさか屈強な男の声だとは気づくことが出来なかったのだ。
彼は今棍棒を振り回し、炎にかき乱された精神を撒き散らして小林の元に迫ってくる。
相手の異様な姿に、小林は思わず唯一の武器である長い剣を手にしてしまった。
まさかそれがクロちゃんの錯乱の炎に油を注ぐとは、小林は思っても見なかったのである。
「うわ、うわあ、うわああああああああああ!!!」
ギラリとひらめく剣を見たクロちゃんは、盲目滅法に棍棒を振り下ろす。
川原の石が砕ける硬い音が響く。小林の目には、壊された白い石が自分の骨のように見えた。
無差別に破壊の限りを尽くすように見えるが、棍棒の標的は紛れもなく自分である。
「…っ」
目の前に振り上げられた棍棒をすんでのところでかわす。
しかし、小林はその横にあった大き目の石に気づくことが出来ていなかった。
「うおっ!?」
そのままバランスを崩して川原に倒れる。クロちゃんは恐怖に震えながら、ぎらつく目を自分に向けている。

82 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/04(水) 01:08:58
「いやああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
棍棒の振り下ろされる先は、小林の頭だ。
(この一撃を食らったら確実に自分は死ぬ)
小林がそう思ったとき、頭の中にあの言葉がよみがえった。
((もし襲われたとしたらね、襲われた相手を殺してもなんらやましいところはないのさ))
スローモーションのように、黒く太い鉄の棒が小林に迫る。涙や鼻水で汚れた顔は醜悪であった。
自分はここで死ぬのか。こんな醜いやつに殺されて。こんなことでコントを諦めなければならないのか。
こいつの命とコント、天秤はどちらに傾くか。
「俺は」
コントの中で使った剣。空気を切る音だけはうまく出せるようになった長い銀の剣。
すがるように小林はそれを握り締める。心臓が肋骨に当たるかのようにでたらめに暴れる。
「俺は舞台に帰るんだ!」
風にあおられた炎があげる不気味な音が響いた。まるで悪魔の哄笑のように。

ただ、静かだった。
いや、実際物音はいくらでも聞こえたはずだ。川のせせらぎも小動物のたてる無邪気な音も。
しかし、血に染まった剣を握り締める小林には、自分の心臓の鼓動しか聞こえていなった。
草原に投げ出された棍棒は沈黙を守っている。
虚ろな瞳を絶望に見開き、クロちゃんは倒れていた。貫かれた胸から流れる黒い血で、草を不気味に染め上げて。
小林は腰が抜けたようにそこから動くことが出来ない。
自分は何をしてしまったのか。流された血が地面にしみこむように、小林の心を少しずつ恐怖が蝕んでいく。
混乱の冷や汗をぬぐい、彼は気を落ち着かせるために夜空を見上げて見る。また妻を思うため。
しかし、空は未だに赤い炎に照らされてしまっている。妻の幻影は彼を訪れてはくれない。
(人を殺した手で妻を抱くなどと考えたか)
どこからか聞こえた言葉を振り切るように、小林は大きく深呼吸をした。そして目をつぶる。愛する舞台を心に描くために。
だが、まぶたの裏に広がるのは無限の暗闇だけだった。
人を殺してでも帰りたかった場所を、小林はどうしても思い出すことが出来ない。
(人殺しが人を笑わせることが出来るのか)
(血に染まった手で人の心を温めることができるのか)
あざけるような声が小林のうちから響く。それは、今も痛いくらいに動き続ける心臓の嘲笑に聞こえた。

83 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/04(水) 01:09:55
舞台に立つためには生きなければならない。
しかし人を殺して生き残った人間を舞台が許すかどうか、小林は考えたこともなかったのだ。
小刻みに震える冷たい指先で、彼はメモ帳を探す。書かなければ。書いて平静を取り戻さねば。
暗い中メモ帳はなかなか見つからない。もみ合っている時にどこかに行ってしまったのか。
四つんばいになって、服が汚れるのもいとわずに探した。スラックスのひざに染み込む物があっても気にしないようにした。
「…あった」
彼の手が四角い小さなものに触れる。これだけは無くすわけにはいかないと、取り上げた小林はその不自然な重さに気づく。
嫌な予感が、彼の心を満たした。
恐る恐る小さなメモを開いて見る。手汗が出るのか、手がべたついてうまくめくることが出来ない。
不思議なことに、一枚一枚めくることが出来ないのだ。
そして、運よくめくれたとしてもその紙は何故かやたらやわらかく、しかも書いてある文字は真っ黒で何も見えない。
小林はようやく気づく。メモ帳が血を吸い込んで真っ赤に染め上げられたことに。
自分の手がべたつくのも手汗などではなく、他人の血が手のひらにこびりついているからだと言うことに。
小林の体から一気に力が抜ける。さっきまで精魂こめて書いていたネタ帳が地に落ち、折れ曲がる。
もう妻を抱きしめることは出来ない。
もう舞台に立つことはできない。
もう人を笑わせることは出来ない。
段々と硬くなっていく死体を前に、小林は抜け殻のように座り込んでいる。
頬にはぽつぽつと無精ひげが生えだし、洗っていない髪は油を含んでじっとりと重たい。
小林は全てを失った。愛するもの、生涯かけて貫きたいと思っていたもの。
立った一瞬の切っ先が、小林の全てを崩壊させたのだ。
「全て…」
だが、それを声に出そうとした時、小林は違和感を感じた。
本当に全てがなくなってしまったのか。何か大切なものを忘れていないか。
『最後にはラーメンズに帰ってくるのが大事だって、俺知ってるから』
ともに舞台を踏んで、ともに一番バカな時期を過ごした親友の顔が浮かぶ。
「まだ片桐は…ラーメンズは…なくしてない…!」
小林は剣を手にした。こびりついた血をぬぐい、ディパックを肩から提げてその場を去る

84 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/04(水) 01:10:46
自分はもう罪人だ。そしてそれゆえに沢山の幸せを失った。
だから、最後に残された小さな自分の城―――ラーメンズだけはなくしたくない。
ゆっくりと、小林は歩いていく。足取りは重く、何かに引きずられているようでもある。絶望はまだ彼にまとわりついている。
もし、彼が最後の居場所まで失ってしまっていたら、その時は……
また建物が燃え上がる。火の柱が天を焦がす。
小林は立ち止まり、笑うように燃え上がる炎をしばし見つめていた。

【ラーメンズ 小林賢太郎
所持品:フェンシングの剣
第一行動方針:片桐を探す
基本行動方針:ラーメンズに帰る
最終行動方針:ラーメンズを守る
現在位置:川辺】

【安田大サーカス 黒川 明人(クロちゃん) 死亡】

【8/16 00:30頃】

【投下番号110】

85 :名無し草:2006/10/04(水) 01:12:42
乙です乙です!
待ってて良かったー

86 :名無し草:2006/10/04(水) 01:16:17
リアルタイムktkr!!!!1
超乙。引き込まれるように読んでしまった。wktkwktk

87 :名無し草:2006/10/04(水) 01:24:58
乙。投下ペース速いな。
小林思ったより頑張るなw

88 :名無し草:2006/10/04(水) 01:37:25
乙!小林が人殺したらマーダー化する感じがしてたけど良かったー

89 :名無し草:2006/10/04(水) 05:09:18
クロちゃんって波多と戦闘中じゃなかったっけ?

90 :名無し草:2006/10/04(水) 05:11:06
あと武器は金棒・・・

91 :名無し草:2006/10/04(水) 06:21:48
('A`)

92 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/04(水) 07:29:33
前スレ>>730-734 の続き



目の前の光景をすぐに信じることは出来なかった。


トータルテンボス藤田は、出発前に相方の大村に告げられた場所を目指していた。
出発時刻が3時間近く離れていたため、合流できる保障はないが、合流できたらこれほど心強いことはない。
時折聞こえる銃声と悲鳴に怯えながら、なんとか森を抜けると、目の前に茜色の空と海が広がっていた。
東京では見られない視界一面に広がる景色に一瞬今の状況を忘れて見惚れるが、日が沈むと合流しづらくなると思い直し、どちらに行けば大村が言っていた場所に着くだろうかと考え始めたそのときだった。

近くで声がした。藤田は一瞬だけ身をすくめたが、恐る恐る太陽のほうに向かって足を進めた。
岩場の前で、二人の男が対峙していた。
その二人が笑い飯だと気付いた瞬間、西田のほうが動いた。
走りながら振るった右手に持った光るものは、哲夫の首を狙っていた。
哲夫はそれを後ろに下がって避け、右手のナイフを突き出す。しかし、それはうまく西田の胴を捕らえられず、脇腹を掠めた。
「いった! 痛いんじゃボケ!」
「切れたんやから当たり前やろ! 俺かて足痛いわ!」
「ほんなら動けん位痛うしたるわ!」
「おお、やってみいや!」
互いに武器を向けながら怒鳴りあう様子は、相方の言葉を借りれば「穏やかじゃない」、いやそれどころの話ではない。
状況が理解できず混乱する頭で、藤田は思わず叫んでいた。
「何やってんすか!」


93 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/04(水) 07:31:14

二人はそこではじめて藤田に気付いたようだった。
「おお、藤田やん」
「ほんまや、藤田や」
その口調が普段どおりで、藤田は拍子抜けした。
「なんやお前一人かい」
「はい、大村と合流するつもりですけど……ってそれどころじゃないっすよ! 二人とも何やってたんですか」
その調子に流されそうになるが、先程の光景を思い出して再度質問をする。
「見てわからんの?」
哲夫が訊き返してくる。藤田は答えられなかった。
わからないわけではない。二人が何をしていたか、見てすぐわかった。だけど、それをそのまま言うのにためらっていた。
そんな藤田を見て、西田と「わからんみたいやで」「阿呆やなあ」などと会話をした後、哲夫が答えた。

「殺し合いやけど」

淡々と吐かれた言葉に、藤田は脳から全身が冷えていくような感覚に襲われた。
「なんで……?」
思わず漏れた呟きに、今度は西田が答える。
「なんで、て、そういう主旨やん」
「そんなこと訊いてんじゃねえよ」
冷えた頭が今度は急激に熱くなっていく。
「なに乗ってんだよ、こんな糞ゲームに! 殺し合いなんて、やれって言われて、はいわかりましたってやることじゃねえだろ!」
笑い飯とは何度も共演しているし、よく遊びにも行っていた。一緒に馬鹿馬鹿しいことをたくさんやった。だからこんなくだらないゲームも、この二人なら無茶苦茶にしてしまうんじゃないかと藤田は思っていた。
「なに相方殺そうとしてんだよ! コンビだろ! ずっとやってきたんだろうが!」
叫びながら涙が出そうになった。
哲夫も西田もそんな簡単に死んでしまっていい人間ではないのに、お互いにとっても大事な人間のはずなのに、相手の命を奪おうとしている。藤田には理解できない。大村を殺そうなんて、この状況に放り込まれてもなお考えもしなかった。



94 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/04(水) 07:33:57

二人は冷めた視線をしばらく藤田に送っていたが、藤田の言葉が途切れたところで、哲夫が口を開いた。
「コンビとか関係なしに、生き残れるのは一人だけやで」
教え諭すような口調だった。なおも怒鳴ろうとした頭が再び冷えていく。
このどうしようもない事実を二人とも理解してしまったから、だから殺し合うことを選んだというのか。

黙ってしまった藤田を一瞥し、西田が「続けよか」と言った。
哲夫はうなずき、すかさず間合いを詰めてペーパーナイフを振り下ろした。
西田は後ろに避けたが、哲夫はナイフを今度は横に払い、西田の頬を掠め、髪の毛を数本持っていく。
「髪切んなや。風邪引くやんけ」
「その前に殺したるから大丈夫や」
「嫌じゃ、お前殺して風邪引いたる」
西田が千枚通しを振り上げ、哲夫に迫る。
哲夫は避けるが、スーツの袖に千枚通しの先が引っかかり、そのまま大きく裂かれた。袖の裂け目から血が滲む。
「うっわ何これ、かっこわる」
「だっさいのう」
「やったんお前やろ!」
呑気に言葉を交わしながらも相手を傷付けることに迷いが感じられないことが藤田にはショックだった。
哲夫はどうすれば西田を殺せるか冷静に考えて動いているように見えるし、西田のお世辞にも軽やかとは言えない動きにも殺気がみなぎっていた。
もうこれ以上は見たくない。この二人を止められないなら早く大村のところに行かないと。

――大村は乗り気じゃないよな?
もし大村が突然襲い掛かってきたら。合流しようと言ったのも誘い出して殺すためだったら。
アフロを揺らし、藤田はその考えを振り払う。大村はそんな奴じゃない。確かによく騙されるけど、いくらあいつでもこんなときに悪戯を仕掛けたりはしないだろう。
そう思ってみるものの、一度生まれた疑念は消えてくれない。
笑い飯の二人がこうなってしまったみたいに、大村も自分の知ってる奴じゃなくなっていたら、




95 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/04(水) 07:34:59
「まだおんの? 最後まで見てくつもりなん?」
西田の声で、藤田は現実に引き戻された。一瞬後に言われた言葉を理解し、慌てて首を振る。
「そんなら何? 参加希望か? 死にたいんか?」

相変わらずの口調とあまり変化のない表情だったが、哲夫に見られた途端、藤田は全身が凍りついたような錯覚を覚えた。一瞬後に向けられた西田の視線も同じだった。
「殺すんはこいつの後になるけどええか?」
「阿呆か。俺がお前殺した後じゃ」
二人分の殺気を向けられて声も出せなかった。
ここにいたら殺される。

もう二人の戦いも目に入ってこなかった。浅い呼吸を繰り返しながら、藤田は逃げろと自分に向かって念じ続けた。
強張った体を無理やり動かす。少しずつ後ずさりし、動けると思ったところで、走り出した。
岩場が見えなくなったところで足を止める。そのまま膝から崩れ落ちた。
「……っ、おえっ」
緊張から解き放たれて、吐き気がこみ上げる。

無様だな。
殺し合いを止められもしない、相方も信じることができない。最悪じゃねえか。
目を硬く閉じると、滲んだ涙が流れ落ちた。
哲夫も西田も尊敬しているし、大好きだったのに。
どちらかにはたぶんもう会えない。どちらかには会えたとしても、そのときはきっと襲われる。
アフロ頭を振った。もうこんなこと考えるのはよそう。それより大村が待っている。
一度大村への疑念が生まれたが、それでも藤田はそれを振り払おうとしていた。
今はもうあいつしか頼れない。相方なんだ、疑っちゃいけない。
「マジ頼むぞ、大村」
お前は変わってないよな?

ふらつきながらもなんとか立ち上がる。
太陽はもう半分まで沈んでいた。


96 :名無し草:2006/10/04(水) 07:35:28


97 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/04(水) 07:35:32
【トータルテンボス 藤田憲右
 所持品:不明
 基本行動方針:プログラムには乗らない
 第一行動方針:大村を探す
 最終行動方針:不明】
【現在位置:G-2・山のふもと】

【笑い飯 哲夫
 所持品:ペーパーナイフ 煙草 ライター
 基本行動方針:生存優先
 第一行動方針:西田を倒す
 最終行動方針:生き残りたい】
【笑い飯 西田幸治
 所持品:千枚通し 煙草 ライター
 基本行動方針:生存優先
 第一行動方針:哲夫を倒す
 最終行動方針:生き残りたい】
【現在位置:G-1・岩場近くの開けたところ】

【08/15 18:23】
【投下番号111】

藤田の投下権は放棄します。

98 :名無し草:2006/10/04(水) 09:47:18
乙。
笑い飯の会話だけ抜粋したら何かネタやってるみたいで微笑ましいのに
両方とも妙に冷静なところがかえって怖いな。


99 :名無し草:2006/10/04(水) 10:06:04


100 :名無し草:2006/10/04(水) 11:26:13
乙です!!!!
続きが楽しみです

101 :名無し草:2006/10/04(水) 15:05:23
上げんなって

102 :名無し草:2006/10/04(水) 16:30:52
乙です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

103 :名無し草:2006/10/04(水) 17:22:53
下げろ馬鹿

104 :名無し草:2006/10/04(水) 20:05:04
スルー汁

105 :名無し草:2006/10/04(水) 20:11:19
バトロワスレの皆様、初めまして。餅 ◆vEliumPvEc の兄です。
妹が先日亡くなりました。
小さい頃から心臓に病気を抱えており、薬で騙し騙し生活を送っていましたが、
それも限界に近くなり、手術をする事になりました。
本人は絶対に帰ってくるつもりだったのでしょうが、手術は失敗してしまいました。
芸人さん、とくに麒麟が大好きで、漫才を見て笑っている妹はとても生き生きとしていました。
その姿ももう見られないと思うと本当に残念でなりません。
妹がここに来ていたのは知っていましたが、話を書いていたのは知りませんでした。
先ほど妹が書き溜めていた話をほんの少しですが見つけたので、
私がこれから暇を見つけて投下していきたいと思います。
妹の話を好きだと言ってくれた皆さん、本当に有難う御座いました。
どうか妹の冥福を祈ってやって下さい。

106 :名無し草:2006/10/04(水) 20:30:08
>>105
不謹慎なコピペ荒らし乙。

訊かれる前に説明するぞ。
これはしたらばの書き手相談スレに書き込まれていた文章。
ネタかもしれんが、マジの可能性もある。

107 :名無し草:2006/10/04(水) 20:38:31
釣られんなよ馬鹿

108 :名無し草:2006/10/04(水) 20:56:47
ご冥福をお祈りします

109 :名無し草:2006/10/04(水) 21:02:43
おい、マジだったらしいぞ。
コピペ荒らしした奴お前最低だわ。

110 :名無し草:2006/10/04(水) 21:44:36
釣りとかじゃなくてマジで聞きたいんだけど、コピペ荒らしって、どういう意味なの?
コピペ荒らしなんて言葉、初めて見た

111 :名無し草:2006/10/04(水) 21:47:17
荒らしじゃないならsageてください

112 :名無し草:2006/10/04(水) 21:49:45
下げました

113 :名無し草:2006/10/04(水) 21:55:22
違う板に書いてあった文をわざわざコピペしてしかもageちゃう人の事じゃ?

114 :名無し草:2006/10/04(水) 22:00:46
つーか上げられたら何かマズい事でもあるの?
いちいち反応するから駄目なんじゃないの?

115 :名無し草:2006/10/04(水) 22:09:22
禿同

116 :名無し草:2006/10/04(水) 22:43:40
今北
つかネタじゃないの?


117 :名無し草:2006/10/04(水) 22:47:49
まあ、2ちゃんではネタと取られてもしゃあない内容だな。
実際のとこどうなのかは知らんけど。

118 :名無し草:2006/10/04(水) 22:49:55
つりだろ。信じてる人がいるのに驚いた

119 :名無し草:2006/10/04(水) 22:52:12
したらばの変な馴れ合いがキモイ
釣られ杉だろ
もう何て言うか終わったな、このスレ

120 :名無し草:2006/10/04(水) 22:53:40
したらばのチラ裏何だあれ。気持ちわりい…

121 :名無し草:2006/10/04(水) 22:55:17
実際終わった方がいいかもね
この状態で続けられるとは思えない

122 :名無し草:2006/10/04(水) 22:56:49
同ケースの自作自演を過去に三件見た。
(重い病気で入院して、とか身内に不幸があって、とかも含めればもっとある)
ので、どうしても素直には信じられん。
まあ俺が信じられないだけなので信じてる人の事をどうこう言うつもりはないが。

123 :名無し草:2006/10/04(水) 23:00:01
とりあえずネタであることを願う

124 :名無し草:2006/10/04(水) 23:00:51
>>121
まあねー。
殺し合い小説書ける空気じゃねーよな。

125 :名無し草:2006/10/04(水) 23:01:38
信じることもできないが、信じないこともできない。
どっちにせよ確定したソースがないので(まあ2ちゃんでソースもクソもないと思うが)。
書き手はきちんと完結して欲しい。この件で書くのやめるというのはやめてほしい
もし本当に亡くなられたのなら、きちんと話を完結させてそれを兄と名乗る彼に印刷でもなんでもしてもらって
彼女に見せてあげるのが礼儀ってもんだ

126 :名無し草:2006/10/04(水) 23:02:45
麒麟の書き手って言われても思い出せないなー
なんか一時期変に絡まれてた人だっけ?

127 :名無し草:2006/10/04(水) 23:03:01
>>124
元々「現実に存在する芸人を殺す」という不謹慎極まりない趣旨のスレなんだから
今更という感じはあるが

128 :名無し草:2006/10/04(水) 23:03:52
題材が題材だからな
この後に投下するには随分な覚悟が必要だろう
嫌な言い方になるけど、叩かれる要素が増えたわけだしね

129 :名無し草:2006/10/04(水) 23:04:40
お前らどの口で「ご冥福を〜」とか言ってんの?みたいなね。

130 :名無し草:2006/10/04(水) 23:06:25
まあ何でもいいんだけどさ、自称お兄さんは今後は
管理人にメールで直接連絡取って貰いたい
あそこに書き込まれるとますます荒れる元になると思う

131 :名無し草:2006/10/04(水) 23:09:04
釣りというソースは?

132 :名無し草:2006/10/04(水) 23:10:30
>>131
誰も釣りと断定なんてしてないだろ。
「釣り臭い」って言われてるだけで。

133 :名無し草:2006/10/04(水) 23:12:33
>>131
釣りってソースはないし、マジってソースもない。
ただ、IP情報が一致していたわけだし、マジって考える人がいるのはおかしくない。
ネタである方がたとえ不謹慎でもよっぽどいいけど、どちらとも確認しようがない。

134 :名無し草:2006/10/04(水) 23:12:37
とりあえず一連の流れをしたらばから削除して欲しい

135 :名無し草:2006/10/04(水) 23:15:35
引き続き彼からレスがあったようだ。
彼のためにも住人のためにも、これからはしたらばに書き込まずに管理人と個人的に連絡をとってほしい
その方が妙な混乱を招かずにすむし、何か進展や決定事項(たとえば>>125が言ってたような印刷とか)
があれば管理人からこちらに連絡してくれればすむことなんだし

136 :名無し草:2006/10/04(水) 23:19:14
印刷…はどうだろう。
気持ちは分からんでもないが、あまり形に残さないほうが良い
代物のような気がするんだが…

137 :名無し草:2006/10/04(水) 23:19:46
>>135
同感。そういう形にしてもらえるとありがたい。

138 :名無し草:2006/10/04(水) 23:22:58
作品投下のことを「アップロードのことはよく分からない」とか言ってる割に
トリップはちゃんと付けてんだよな
不思議

139 :名無し草:2006/10/04(水) 23:31:14
>>138
多分彼もネラーなのでは?
常駐してる板が違うだけで、投下のことはよくわからないがトリップのつけ方は知ってるとか。

140 :名無し草:2006/10/05(木) 00:15:00
ねらーなら投下をアップロードなんて言わないだろう普通

…と思ったが、初心者の人がよく分からん言い回しを使う事は珍しくないか

141 :名無し草:2006/10/05(木) 00:20:57
あまり投下系を使わない板もある。
例えば人生相談板なんか行ってみるとそういった単語は殆どお目にかからないぞ。

142 :名無し草:2006/10/05(木) 00:27:34
「アップローダーのことはよく分からない」
ってかいてあるが

143 :名無し草:2006/10/05(木) 00:41:17
そもそも、「実在の人物をネタにして二次創作をする」という行為自体に
いまいちピンとこない人の方が圧倒的に多いと思う

144 :名無し草:2006/10/05(木) 00:45:16
そんな事言っちゃったらこのスレの存在意義自体が

145 :名無し草:2006/10/05(木) 00:52:02
>>143
まあ、確かにこの手のスレは基本的に内輪の企画だからな…
外から見ると不思議な世界だろうw

146 :名無し草:2006/10/05(木) 01:13:53
なんで今時バトロワ、と思われそうな気もするw

147 :名無し草:2006/10/05(木) 01:22:24
家族が亡くなったばかりの状況で、理不尽な殺しあいをする小説なんか書く気になる?
自分なら書くどころか読みたくもない。
兄が出てきてまで続けてもらわなくていいよ、と思う。
正直戸惑いの方が大きいし、感想書くのにも気を使う。
勝手だけど。

148 :名無し草:2006/10/05(木) 01:35:45
>>147
兄が書くんじゃなくて、妹が書き遺したものを代わりに投下するんだろ?
まあ、それでも微妙に対応に困るってのは同感だが。小説の内容も内容だし。

149 :名無し草:2006/10/05(木) 01:37:59
>>147
家族が遺したものなら、殺し合いの物語でも引き継ぐよ。俺だったらね。
お兄さんは書くんじゃなくて、餅さんが書き貯めた話を投下するだけみたいだし。
感想は書けないって気持ちは分かるけど。

150 :名無し草:2006/10/05(木) 01:41:33
元々「ネタスレ」という前提があったからこういう不謹慎なパロネタも楽しめたけど
供養になるとか故人の遺志を尊重してとかいう話になってくると何かやりにくいなぁとは思う

151 :名無し草:2006/10/05(木) 07:43:02
投下したいが投下する空気ではないので、やめておく。
上でも誰かが言ってるけど、このスレ、もう駄目かもわからんね。

152 :名無し草:2006/10/05(木) 09:47:01
IPが同じなら書き手の自演の可能性もあるわな。
というか、そう思いたい。

153 :名無し草:2006/10/05(木) 12:10:39
管理人しっかりしろ

154 :名無し草:2006/10/05(木) 12:37:01
正直、管理人にはもうちょっと慎重な対応をして欲しかったところだ。
IP同じだった=本当だったんですね!とあそこに書くよりも
いったん件の書き込みを削除して、メールで連絡を請うなりした方が
良かったんじゃないだろうか。

155 :名無し草:2006/10/05(木) 12:41:17
揉め事があると、絶対「投下しようと思ってたけどやめとく」
って言う奴出てくるなww

156 :名無し草:2006/10/05(木) 13:11:56
せっかく良いペースで進んでたのに流れ悪くなったな。

157 :名無し草:2006/10/05(木) 14:25:20
あーあ

158 :名無し草:2006/10/05(木) 15:03:30
兄=餅でFA

159 :名無し草:2006/10/05(木) 15:43:12
はいはい

160 :名無し草:2006/10/05(木) 16:16:48


161 :名無し草:2006/10/05(木) 17:22:34
投下しまーす

162 :名無し草:2006/10/05(木) 18:00:01
兄、廃棄スレに出現

163 :名無し草:2006/10/05(木) 21:46:12
・・・・・・

164 :名無し草:2006/10/05(木) 21:46:57
もう駄目ぽ

165 :名無し草:2006/10/05(木) 22:23:19
廃棄スレに投下されたものが全部ということは
麒麟は事実上の放棄って事になるよな
まあ誰か拾う奴がいるのかどうかはわからないが

166 :名無し草:2006/10/05(木) 22:30:07
兄の文体になんとなく女臭さを感じる

167 :名無し草:2006/10/05(木) 22:39:40
>>166
「なんとなく」なら幾らでも疑えるさ

168 :名無し草:2006/10/05(木) 22:55:25
今後書き込まないっつってんだからいいだろもう

で、麒麟はどうすんだ。廃棄スレに投下されたものの続きから
誰か別の書き手が拾って書くのか?

169 :名無し草:2006/10/05(木) 23:06:06
麒麟は拾う人がいればそれでいいし、いなければそれも仕方ないんでないの。
他にも放棄された後に拾われてない芸人なんていっぱいいるんだしさ。

170 :名無し草:2006/10/05(木) 23:07:35
続きを書くのには相当の覚悟と勇気がいるぞ

171 :名無し草:2006/10/05(木) 23:12:20
東は、使いたい人がいればフリーにして回してもいいような気がする…

172 :名無し草:2006/10/05(木) 23:12:30
>>170
だからさ、その勇気と覚悟のある奴が出てくるまではそのままそっとしとけばいいんじゃないか。

173 :名無し草:2006/10/05(木) 23:38:54
廃棄スレの小説見たけど、続き書きにくそうだよな・・・
今いる書き手さんの誰かが引き継いでくれればいいんだけど、
多分いないよなぁ。

174 :名無し草:2006/10/05(木) 23:47:06
>>173
自分は東MAXだけなら>>171が言うみたいにフリーにしてもらえれば書きたいけど、
麒麟は関西弁だから無理だな。あまり知らないし。
でもいつか麒麟を書く人も出てくるかもだし、もうこれはこのまま置いといて、
各自書き手は書いてる話を落として、前みたいに進めればいいと思うんだけど。

175 :名無し草:2006/10/05(木) 23:51:09
確かに東があれで使用不可になってしまうのは勿体無い

176 :名無し草:2006/10/06(金) 00:19:37
>>171の言う通り、東はフリーでいいんじゃない?
麒麟は他の人が引き継いでくれればいいと思うけど、新参の書き手さんが
名乗り出るのって凄い勇気いる事だよな・・・
出来れば今書いてる人の誰かに書いて貰いたいけど・・・

177 :名無し草:2006/10/06(金) 01:07:05
廃棄スレの作品を読んだ限りでは、>>159はもう話として完成してる。
でも>>160はまだ途中だし、これに続けて書くってのはそうとう厳しい。
東をフリーにするって意見も出てることだし、>>159までを完成作として考えて
その続きの投下を希望する人がいれば、でどうだろうか。

178 :名無し草:2006/10/06(金) 01:09:39
>>176
むしろ新参の方がしがらみなくて書きやすい気もするが

179 :名無し草:2006/10/06(金) 01:31:30
仕切って悪いがこれ以上スレを消費するのもアレなんで、
>>159までを完成作として考える。
東はフリー。
で決定でいいと思う。
>>159の話はどなたか他の書き手か管理人、
ログインできる人が登録して下さい。

というか一連の流れをしたらばから消すべきだとオモ…


180 :名無し草:2006/10/06(金) 01:57:21
>>179
個人的には最後の一行以外、同意です。
ログインと書き込みは管理人さんにやっていただけるならそれが一番いいのでは。

181 :名無し草:2006/10/06(金) 09:02:20
しかし餅さんは麒麟の使用権結構前に投棄してたのに、
ちゃんと続き書いてたんだな。

自分も>>179に同意。

182 :名無し草:2006/10/06(金) 11:17:18
某書き手だけど、自分は投下したい時にPCのメモ帳に一気にダーッって書くだけだから、
全然書き溜めてない・・・他の書き手さんも何篇か続きまとめてんのかな。

183 :名無し草:2006/10/06(金) 12:07:31
したらばの書き手スレで聞けば?

184 :名無し草:2006/10/06(金) 14:51:54












(´ρ`)













185 :名無し草:2006/10/06(金) 14:52:12
書き手スレとか聞けるふいんきじゃねえww

186 :名無し草:2006/10/06(金) 18:34:45
>>182
自分はネタとか思いついたときにメモして、
話としてまとめて、ある程度溜まったりしたら投下してる。

187 :名無し草:2006/10/06(金) 18:36:07
>>182
自分はかなり長い話を書いてるから、終了までのプロットを先に立てた。
でも、書きあがるのは話を思い付いた順で、投下するのはプロット順。

188 :名無し草:2006/10/06(金) 18:41:39
>>182
私は頭の中で大体の粗筋を考えて、
暇があって気分が乗った時に一話ずつ書いている。
プロットたてるのが苦手。
ってかプロットだけで満足しちゃうから本編に繋らない。
行き当たりばったりだけど気にしない。

189 :名無し草:2006/10/06(金) 19:45:06
>>186-188
>>182じゃないけど、皆はそうしてるんだ。
なるほど

190 :名無し草:2006/10/06(金) 19:55:13
本当にお疲れ様です

191 :182:2006/10/06(金) 20:49:09
>>186-188
何となく聞いてみただけなんだけど、意見が聞けて良かった。
どうもありがとう。

192 :名無し草:2006/10/06(金) 21:02:21
プロットって何?

193 :名無し草:2006/10/06(金) 21:57:16
辞書引け

194 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/06(金) 23:59:00
さまぁ〜ず編の挿入で劇団ひとり編いきます。




傾きつつある太陽が、暴力的な熱で男を苛む。蝉の声に耳を嬲られながら歩を進めた。
ああ、緑だ。恐ろしいほどに緑。生命力の塊のような植物たちに圧倒されつつ、ただ歩いた。
劇団ひとりこと川島省吾。彼は前へ進む。靴の下で踏みにじられた雑草が、青臭い匂いを放っていた。
ハンカチの巻かれた左足のふくらはぎはじくじくと痛む。しかしここで止まるわけにはいかないのだ。

彼は例の森の端で、からくも命を失わずに済んだ後、大竹から一緒に来るか、と問われた。
あの伊達眼鏡の男は相方の三村との合流を目指しており、このゲームには乗るつもりがないのだそうだ。
大竹が自分を救ったことからみてもそれは嘘ではないだろう。確かに魅力的な誘いだった。
しかし、その提案をのむには、大竹一樹という人間は川島にとって遠すぎたのだ。
ありがたい話ではあったが、ごく慎重な性質の彼はその申し出を断って、一人歩き出した。

自分の命を救ってくれた男と別れてむかったのは、出発地点だった学校の近く。
同じ事務所の先輩である、土田晃之がそこで彼を待っていてくれるはずだったからだ。

土田と教室でかわした約束。それは川島の歩みを支える小さな希望だった。
芸人が溢れる教室の中。起こってしまった恐ろしい事態に身を震わせて小さくなって川島は座っていた。
その丸くなった背中をそっと叩いて、落ち着いた声で話しかけてきたのが土田だ。
あの先輩はとても冷静で、恐れおののいていた自分の気持ちを解きほぐしてくれた後、こう言っていた。


195 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/06(金) 23:59:44

『川島、教室出たら学校の周りの塀のそばにいろ』
『塀ですか?』
『見ろよ、あそこだけ欠けてる』
『…ほんとだ』

土田が指差したブロック塀は確かにひび割れており、中の鉄骨が見えていた。
目印というには粗末だったが、何もわからずに外に出るよりはマシだ。

『何かあってもいいように、今日の夜まではあそこでお互いに待とう』
『そうですね、俺と土田さんも結構離れてるし…』

言いながら川島はまわりを見回す。それなりにつきあいのある芸人が何人か座っていた。
彼らも決して自分と順番は近くないし、待っている時間が長ければその間に何か起こる可能性は否めない。
そう考えると、夜までは必ずあそこに誰かいる、というのはかなりありがたい話のように思えた。
この先輩を信じてみよう、そうあのとき川島は決めて、自分の順番が来ると土田に軽く会釈して立ったのだ。

土田の言葉を信じた川島は教室を出てすぐにあのブロック塀の近くへと歩いた。
割れた塀が見える位置の木陰に身を潜めて仲間を待っている最中、近くの木の後ろにいた大島と目があってしまう。
彼女はすでに錯乱しており、手に大きな戦斧を持ってそれを振り回し、自分を襲ってきた。
川島は動転し、斬りつけられた脚をかばいながら走りに走って森の中を逃げ、大竹に助けられて今に至る。
おかげで彼は、大竹と別れるときにデイパックの中から地図を出すまで、自分の荷物の中身も確認していなかった。


196 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/07(土) 00:01:04

もし大島に会う前にこれを持っていることに気づいていたら、こんなに遠くまで走ることはなかったかもしれない。

Tシャツの上に着ていた半袖のシャツが、彼の右手とその握られたものを巻くように包んでいる。
その螺旋状に引き攣れる白地に青いチェックの布は、あるものを隠していた。
黒い軍用の短機関銃、MP7 A1。こんなものが自分のバッグの中にあるとはつゆ知らず、彼は大島の斧から逃げていたのだ。
これをはっきり見える状態で持ち歩くのに不安を感じた川島は、脱いだシャツで武器を隠した。
多少なりとも頭の回る彼なりの努力だったのだが、異様な姿であることには変わりない。
この黒光りする物騒な一品が彼の気を少し大きくしたおかげで、川島は大竹と別れてこうやって一人歩くことができたのだ。

彼の右肩を重力に逆らわず下へと引っぱる、重く強力な武器へと目をやり、彼は考える。

これは、間違いなく人を殺せる類のものだ。とんでもないものを自分は手にしている。
殺されることも怖いが、殺すことも怖かった。いや、むしろ殺す方が恐ろしい気すらした。
この状況で誰かの命を奪うということの恐ろしさを思えるだけ、彼は心優しい人間だったのかもしれない。
それでも、彼は知っていた。目の前に自分を殺そうとする者が現れれば、きっと自分は戸惑うことなく相手を殺す。
これを持っていることに気づいた上で大島に会っていたら、自分は多分、撃っていた。多分、殺していた。
そういう、勝手で卑怯で、哀しい人間である川島省吾を、痛いほど理解している。


197 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/07(土) 00:02:07

理解してなお、川島は殺すことを恐れた。殺すことも、殺されることも恐れた。
積極的にゲームに乗ることも、逆にこのゲームを破壊しようと目論むこともできない彼は、臆病な人間かもしれない。
だが彼は少なくとも、自分が臆病であることを知って、ありのままに受け止めるだけの強さを持っていた。
その強さは彼に精神錯乱や完全な絶望への逃げを許さず、歩みを止めることも許さない。
こんな望みのない世界で、川島はまだ、一人の人間でいることを捨てていなかった。

日が沈んでいくのを肌で感じる。森の木漏れ日は色づき、木の葉も土も染まっていった。
それはまるで血の色を思わせる赤で、不穏な空気を孕んで西の空に染み渡っている。
彼はその赤に目を奪われて、溜息をついた。そしてまた一歩、一歩と足を進めていく。

いつしか、自分が逃げ出したあの塀の近くの木陰まで彼は戻ってきていた。
人影はないかと辺りをうかがい、ブロック塀の近くの茂みの中に大柄な先輩の茶色い頭を見つけて、ほっと息をつく。

「土田さん」

声をかけた相手はゆっくりとこちらをふり返って、立ち上がる。
その右手には大きな中華鍋が握られていて、そのどこか長閑な組み合わせに川島は少し、笑った。



198 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/07(土) 00:03:02
【劇団ひとり(川島省吾)】
所持品:H&K MP7 A1、ハンカチ(私物)
第一行動方針:土田との合流(達成済)
基本行動方針:殺したくないし死にたくない
最終行動方針:できれば生きていたい
現在位置:学校の欠けたブロック塀の周辺
【土田晃之】
所持品:中華鍋
第一行動方針:不明
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
現在位置:学校の欠けたブロック塀の周辺
【8/15 18:30】
【投下番号:112】


199 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/07(土) 00:04:09
投下番号をどうするか悩んだのですが、とりあえず112にしておきます。

200 :名無し草:2006/10/07(土) 00:52:46
>>194-199


中華鍋持ってたたずむ土田ワロスw

201 :名無し草:2006/10/07(土) 01:20:39
>>194-199
乙。このコンビは何かやらかしてくれそうな気がする
続きwktk

202 :名無し草:2006/10/07(土) 01:24:14
>>194-199

なんかいい。
うまいなあ。

203 :名無し草:2006/10/07(土) 08:33:25
よく投下出来るな

204 :名無し草:2006/10/07(土) 15:18:28
>>194-199
乙!
土田、中華鍋持ってどうするつもりだw

205 :名無し草:2006/10/07(土) 15:38:18
つまらない

206 :名無し草:2006/10/07(土) 17:51:32
ほんと、よく投下出来るな

207 :名無し草:2006/10/07(土) 17:57:17
>>194-199

川島らしい。特徴をよくつかんでるし描写も上手いなあ
土田中華鍋ワロタw

208 :名無し草:2006/10/07(土) 18:30:00
投下GJ

209 :名無し草:2006/10/07(土) 19:18:46
>>194-199
空気嫁

210 :名無し草:2006/10/07(土) 21:36:18
ここで話を投下する事が空気読めてない事か?
人の死を扱う不謹慎なネタスレであるのは最初からわかっていた事だろ?

211 :名無し草:2006/10/07(土) 22:32:09
書き手だがまだ投下しない方がいいのか?
管理人にIP見られるんも微妙なんでこっちで聞く
削除の話出てたけど対応してないしなー

212 :名無し草:2006/10/07(土) 22:39:31
したらばで聞けよ

213 :名無し草:2006/10/07(土) 22:49:56
投下していいんじゃね?

誰かがリアルでどうなろうが、ここの住人に何ができるんよ?
で、ご冥福をryって書けば馴れ合いキモスで、投下したら空気嫁?
ただのパロディなんだから、んな目くじら立てる必要ねぇだろ。
ってか荒らしだよなww

って訳で書き手さん、楽しみにしてます。

214 :名無し草:2006/10/07(土) 22:50:28
まぁ、どうせしたらばに書いてもこっちにコピペ転載する奴いるし。

215 :名無し草:2006/10/07(土) 22:50:52
>管理人にIP見られるんも微妙

ってことでしょ
私も悩んでる
否定的なのは全部アンチでおkでいいの?

216 :名無し草:2006/10/07(土) 23:36:12
管理人にIP見られるって言ったって、全部の書き手のIPチェックしてるわけじゃないだろ。
今回みたいな事がない限りは。

217 :名無し草:2006/10/07(土) 23:36:43
>否定的なのは全部アンチでおkでいいの?

簡単に決め付けるのは良くないと思う
つか否定的=アンチって('A`)何だ、その考えは

218 :名無しさん:2006/10/07(土) 23:40:42
>>211
管理人に一連の流れを削除してもらうなら、要望スレに書いた方がいいんじゃないか?
自分は別に削除する必要はない気がする。もうこのまま続けて流していく方がいい。
それと、管理人は別に悪意を持ってIP見るってわけじゃなかろうし、したらばで
削除なり何なりについて話し合ってもいいのではなかろうか、という気はする。
>>215
否定的なのが全部アンチかは知らない。でもこんなもん、何日たったらほとぼりが
冷めるってもんでもないんだし、自己判断で投下していくしかないと思う。
個人的には投下がこのまま続けば、自然に先に進んでいくと思う。

219 :名無し草:2006/10/07(土) 23:47:15
とりあえず>>215みたいな馬鹿は消えろ

220 :名無し草:2006/10/07(土) 23:55:30
>>217
言い方悪かった?
>>219とか>>209>>206はアンチ扱いで
スルーでいいのか聞きたかったんだけど
否定的って言うか喧嘩腰なの、ね

221 :名無し草:2006/10/08(日) 00:00:52
あー他スレで使ってたから「アンチ」って出ちゃった
「荒らし」って意味で

222 :名無し草:2006/10/08(日) 00:02:15
>>220
もういいよ、しつこい

223 :名無し草:2006/10/08(日) 00:03:08
意味ワカンネ

224 :名無し草:2006/10/08(日) 00:05:58
喧嘩腰だと荒らしって何だそれ

225 :名無し草:2006/10/08(日) 00:11:54
状況が読めない
>>220が厨臭いのは分かったが
みんな荒らしはスルーしてんだよね
上げてるのは荒らしとして、投下すんなってのも荒らしでしょ?
それとも今いる人みんな荒らし?
なんだよ、もう

226 :名無し草:2006/10/08(日) 00:23:36
>>225
とりあえず落ち着け
このスレの主旨は投下することにあるんだから、
このまま流して進めていけばいいんじゃないの

227 :名無し草:2006/10/08(日) 00:25:44
禿同

228 :名無し草:2006/10/08(日) 01:02:09
「反応すると場が荒れそうだな」と思う書き込みは流す
それだけでいい
どれが荒らしで荒らしじゃないとかどーでもいい

229 :名無し草:2006/10/08(日) 01:05:45
>>226
禿げ同


230 :名無し草:2006/10/08(日) 01:08:53
>>228が1番どーでもいい

231 :名無し草:2006/10/08(日) 01:19:30
したらばでやれば?

232 :名無し草:2006/10/08(日) 02:03:42
禿同。

233 :名無し草:2006/10/08(日) 03:07:02
ここは投下専用にしてしたらばで感想やら話し合いやらすりゃいいじゃん
なにこの不毛な消費のしかた

234 :名無し草:2006/10/08(日) 13:03:21
投下も、したらばですれば?

235 :名無し草:2006/10/08(日) 17:24:55
意味ないじゃん

236 :名無し草:2006/10/08(日) 17:26:02
荒らしの思うツボですねお前ら 情けない

237 :名無し草:2006/10/08(日) 17:43:41
お前もな

238 :名無し草:2006/10/08(日) 19:22:30
ちょっと盛り上がり始めるとすぐに荒れるネタが出てくるのはある意味凄い

239 :名無し草:2006/10/08(日) 19:25:34
1、一連の流れについて出ていた意見
・一連の流れ削除希望
・別に削除しなくていいからそのまま進めろ
2、餅サンの小説に関して出ていた案
・廃棄スレ159までを本筋の話とし、160はスルー、東はフリー、ログインは管理人or他書き手
(他に具体的な案は見られなかったように思われた)
3、書き手は投下していいのか
・投下否定は荒しと考えて投下続行でいいの?(この否定=荒し説に反対多数あり)
・こんなもんいつになったらほとぼりがさめるって物でもないので各自投下を続けるべき
・投下していいんじゃね?(現実とパロは違う)
(他、「よく投下できるな」などの否定的な書き込み複数、全てが荒しではないだろうが、
ageでの書き込みもあったため、一部に便乗した荒らしがいる可能性は否定できず)
こんなことろ?一応出てた話をまとめてみたんだけど。

240 :名無し草:2006/10/08(日) 19:27:12
>>239
1:削除しなくていいと思う
ただ、今のままだと書き手相談スレッドが使いにくいから
何らかの形でしきりなおすべきかと
2:159まで、という意見に同意
3:参加するのは個人の自由

241 :名無し草:2006/10/08(日) 20:25:12
>>239-240はしたらば絡みスレがコピぺされたもの
安価まで丁寧に変えてある

242 :名無し草:2006/10/08(日) 20:28:51
だから何?

243 :名無し草:2006/10/08(日) 22:12:16
一々報告しなくていいよ
余計ややこしくなる

244 :名無し草:2006/10/08(日) 22:28:19
もうあれだ、ここで>>239の内容について>>240みたいな形で意見をつのって、
多数決で決めてその通りに後は進めちまえばいいんじゃないのか。
したらばの絡みスレでも出てたけど、結局こっちにコピペされるなら同じだろ。

245 :名無し草:2006/10/08(日) 22:32:58
自治厨うざ

246 :名無し草:2006/10/08(日) 22:35:01
したらばで話し合おうにも、全部逐次本スレにコピペされるからね。
だったらそのまま本スレでやりあった方が、いちいちコピペしてくださる
奇特な方の手間を掛けさずに済むんじゃないの?

247 :名無し草:2006/10/08(日) 22:41:30
よしみんなエンタバト逝こうぜ!

248 :名無し草:2006/10/08(日) 23:42:07
何すか、それ

249 :名無し草:2006/10/09(月) 00:15:13
ぐぐったら?

250 :名無し草:2006/10/09(月) 10:06:55
はい

251 :名無し草:2006/10/09(月) 15:14:40
廃れたな…

252 :名無し草:2006/10/09(月) 16:28:16
全て餅のせい

253 :名無し草:2006/10/09(月) 16:53:49
こら

254 :名無し草:2006/10/09(月) 21:40:20
しょせん夏が過ぎれば終わる祭だったんだよ

255 :名無し草:2006/10/09(月) 21:55:38
どういう意味すか?

256 :名無し草:2006/10/09(月) 23:16:17
個人サイト作ってやったほうがよかったなあ

257 :名無し草:2006/10/09(月) 23:28:44
何を今更

258 :名無し草:2006/10/09(月) 23:56:20
別に普通じゃん
不思議スレだって投下遅いんだし

259 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/10(火) 00:22:26
日は沈み、日中のうだるような暑さから解放され。
それでも一向に解放される事なく続くバトルロワイアルという現実と、一面に広がる闇、
そしてその中で誰が己の命を狙っているかわからない…その恐怖から。
元町の中央から外れた通りの、空になったゴミ捨て場の中で
一人の男が、江戸むらさきの野村 浩二が己の身体を抱きしめるかのように小さく身を丸めていた。

「……………。」
仕事上では今時の若者らしい強気な言動を見せる事もあるけども、基本的には臆病な、彼。
目を閉じるのが怖いから…その程度の理由で見開かれるその両眼は、充血で赤く染まっている。
その原因は、つい1時間ほど前に流された、全島放送。
その中で告げられた死者の中に親しくしていた芸人の…具体的に挙げるなら小沢 一敬の名前があったから。
ホリプロとM2カンパニーとの合併を機に、ちょうどその頃互いに上り調子だった縁もあって、
一緒に仕事をしたりしていく内に会話も増え、仲良くなった相手。
やたら恐がりで、涙腺も脆い…そんな共通点も、彼らの中を親密にする切っ掛けになっていた筈で。

「……………。」
その彼が、死んだ。

学校から追い出され、校庭で見かけた死体に現実を再確認させられて。
それから恐怖と不安でひとしきりびーびー泣いてしまったお陰で、今の野村の目から涙は流れない。
それが良い事なのか悪い事なのかわからないけれど。
細身の身体を折り曲げ、本来野良猫やカラスから生ゴミを守るべく造られた小屋の中に
彼は身を隠し、じっと留まっていた。

もし彼が誰かに殺されたのだとしても、仇を討ちたいと思う気持ちは野村の中に湧いてこない。
……次はオレが殺されるんだ。
代わりに、そんな思考だけが彼の中をエンドレスでリピートする。

260 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/10(火) 00:23:25
傍らに放り投げられたデイパックの中身を、野村は一応調べはした。
けれど、中に入っていたのは浦安の夢の国……米帝の堕落文化の象徴とも思われるこの施設ではあるが、
総統閣下の強い要望にて特別に、そして奇跡的に招致に成功したのだ……で土産物として売られている
ネズミのマスコットの耳の付いたカチューシャと、同じくネズミのマスコットがはめている白いぷっくりとした手袋。
それに灰被り姫の城をかたどった小さなキーホルダーに、未開封の丸い缶に収められたクッキーの詰め合わせ。
辛うじて良い所探しをすればクッキーの分だけ食料が人よりも多いともいえようが、
どう考えてもそれらは野村の手折れた心を補強し、現実に立ち向かわせようとするような物ではなかったのだ。

「……………。」
震えるようなため息が野村の唇から漏れる。
先ほどの放送では名前が呼ばれなかったけれど、相棒は…磯山は無事だろうか。
メシ作ってるかマンガ読んでるか、あるいはゲームしてるかブログ更新してるかエロDVD見ているか…
そんなインドア生活続きで、仕事で移動となると速攻で眠っている印象がどうしても野村にはあって。
いくら基礎体力こそあれ、途中で変にバテてなどいないだろうか。
腹減ったと道ばたで倒れてなどいないだろうか。
動けなくなった所を他の誰かに襲われてなどいないだろうか。

誰かの事を心配している余裕などないはずなのに。
それとも、自分は駄目だとどこかで諦めてしまっているからか、そんな不安も野村に募ってくる。



そんな時。
不意にバタバタと人が路上を駆ける音が微かに野村の耳に届き、野村はびくりと身体を震わせた。
…こんな暗がりン中でも人を襲おうって馬鹿がいるのかよ。
声にならない呟きを心の中で漏らし、気づかれないように野村は息を殺すけれど。
足音からしてどんどん野村の方へ近づいてくるその走者は、今まで彼が耳にしてきた銃声や悲鳴、
そして怒声のような物をまったくそれらを伴っていないようで。

261 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/10(火) 00:24:02
…追われているのでは、ないのか?
もしかしたら何か訳があって、何か意味があって走っているのか?
何ならそいつに関わる事で、オレのこの状況を脱する切っ掛けになり得るのか?

とにかくこの状況から逃げ出したい。
そんな野村の想いが思考を飛躍させ、更に近づいてくる…そして間もなく彼の目の前を通り過ぎていくだろう
走者を一目見ようと、野村は慎重に外を覗こうと身を乗り出した。


その野村の期待に応えるかのように、電気が断たれているため街灯の明かりも期待できない漆黒の中、
一人の漆黒のスーツ姿の長身が風になって野村の目の前を走り抜けていく。
デイパックの代わりに水色の小さなリュックを肩から提げているのがちょっと目に付き、気になるけれど。
その茶色の髪、こけた頬、変に生真面目な横顔。
見覚えのあるその姿に、野村は思わずそれまで隠れていたゴミ捨て場から路上へと這い出した。
「島秀…っ?」
時間にして数秒もなかっただろう。ましてやこの環境だ。
それでも野村は今自分が見た人物が誰だったか断言できる、気がした。
今駆けていったのは、もう後ろ姿が闇に溶けてしまったあいつは、号泣の島田 秀平。
同い年で同期、10年間一緒にいろいろやってきたリアルホラーマンの事を今更見間違える筈がない。

「何なんだ…一体………」
「野村ー…っ?」
島田を追いかけようにも見失ったため、呆然とその場に立ちつくしていた野村に。
今度は背後から名が呼びかけられて、思わず彼は胸の心臓のある辺りを手で抑えて振り返る。
「バカ、大声で人を呼ぶな!」
声を聞きつけて誰かやる気の奴が来たらどーすんだ! 思わずそう言い返し、野村は気づく。
自分が一目散にその場から逃げだそうとせず、言い返すという行動がとれた事に。
いや、声を掛けてきた相手がそういう行動をとってもいい奴だと無意識のうちに判断できた事に。

「島秀の次はお前かよ。どーしたんだ?」
胸を押さえる手をゆっくりと下ろしつつ野村は問うた。
「…赤岡。」

262 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/10(火) 00:24:42
そう。野村の方へと小走りに近づいてきていたのは、先ほど駆け抜けていった島田の相方、赤岡 典明。
こちらも漆黒のスーツ姿ではあったが、島田とは違って左の肩からデイパックを提げているようで。
ただ、右手に短く畳んだマイクスタンド…多分それが彼の武器なのだろう…を携えているのが
これから路上漫才やりますと言わんばかりで何とも滑稽に見え、自分の武器の駄目っぽさもしばし忘れて
野村はふっと口元に笑みを浮かべた。
これが武器なら、こいつに殺される事はない…こいつは安全だ。そんな思考も働いたのだろう。


「…島田を、見なかったか?」
一方、遠目に知っている人物が見えたため、赤岡も思わずその名を口にしてしまったが。
そういえばこの男は自分の左腕の傷を付けた奴の相方。
ふと思い出した瞬間、手当てされ包帯の巻かれた傷口がずきんと痛むのを赤岡は感じるけれど。
見たところ野村は武器のような物は持っていなかったし、向こうに襲う気さえなければ
敢えてこちらから攻撃を仕掛ける必然性もない。
故に、すぐ間近まで駆け寄ると立ち止まり、ぼそりと赤岡は野村に問いかけた。

「見た。つい今さっき目の前を駆けてったぜ。」
「……ありがとう。」
向こうの方だったかな、と指先で島田が消えた方向をつーいと指さしながら野村が赤岡に応えると、
赤岡は珍しくも素直に頭を下げて野村が示した方向へとまた走りだし始めた。
「な、何だよ…何かあったのかよ、お前ら。」
その慌ただしさに、また一人ぼっちになってしまう事への不安感と単純な好奇心が野村の中で沸き起こると
今度は足元のデイパックを拾い上げ、野村は先を走る赤岡を追いかけだす。
長い間じっとしていた事で体力もそう落ちていない事も幸いしてか、すぐさま野村は赤岡に追いつき
そこからは併走するように北の方向へと走っていくだろうか。

263 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/10(火) 00:25:27
「…ちょっと、ややこしい事が、あってな。」
呼吸の合間合間に野村に返答し、赤岡はそのままお前付いてくるのかよと言わんばかりの視線をくれる。
「へぇ、お前ららしくない。」
随分と冷たいそれではあったけれど、また一人きりになる事を思えば野村もたやすく我慢できる。
「あいつが馬鹿な事する前に…誤解を解かなきゃ、いけない。」
「…わかった。それ、オレも付き合うよ。」
軽々と視線を受け流す野村にこいつを振り切るのは無理と判断したか、何があったのかはわからないけれど
真摯…むしろ悲痛げな表情で口にする赤岡を横目で見やり、野村はそう告げた。


行動の目標が出来た事で、野村の不安は一旦胸の奥へと消える。
こうやって号泣の2人と鉢合えたのだから、この調子でいつか相棒…磯山とも会えるかも知れない。
江戸むらさきのムードメーカーを自称する彼らしい、ポジティブな思考も浮かんでくる。

でも彼は、野村はまだ知らない。
その磯山が他の芸人を殺して回る道を選んでいた事を。
そしてその報いか、彼の命の炎がもうすぐ後輩の手によってかき消えようとしていた事を。

264 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/10(火) 00:28:02
【江戸むらさき 野村 浩二
所持品:浦安の夢の国の土産物詰め合わせ
状態:万全
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:赤岡と一緒に島田を探す
第二行動方針:磯山と合流したい
最終行動方針:不明】

【号泣 赤岡 典明
所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド 缶詰2個 薬箱
状態:左腕に裂傷・右頬に軽い火傷
基本行動方針:生存優先・ひたすら身を潜める・襲われたなら反撃もやむなし
第一行動方針:島田を探し、誤解を解く
最終行動方針:悔いのないように行く】

【号泣 島田 秀平
所持品:犬笛  (以下、水色のリュック内) 缶詰3個 シャツ
状態:精神的に不安定
基本行動方針:生存優先・理由はどうあれ暴力イクナイ
第一行動方針:不明
最終行動方針:不明】

【19:20ごろ】
【元町の外れの路上】
【投下番号:113】

作中時間が流れているので、幾つかの怪我は回復したと見て状態から消しました。

265 :名無し草:2006/10/10(火) 00:46:13
>>264
乙。野村は磯山がどうなったか知ったら落ち込みそうだなー。
続きが気になる。

266 :名無し草:2006/10/10(火) 04:16:26


その調子です。

267 :名無し草:2006/10/10(火) 07:18:03
乙です!続きwktk

268 :名無し草:2006/10/10(火) 10:02:24
上げんな馬鹿

269 :名無し草:2006/10/10(火) 13:19:27
>>259-264
乙!続きめっちゃ気になる

270 :名無し草:2006/10/10(火) 17:10:59
乙!

271 :名無し草:2006/10/10(火) 19:54:31


272 :名無し草:2006/10/10(火) 20:41:43
乙です!
島田と赤岡に何があったのか気になります。

273 :名無し草:2006/10/10(火) 20:51:52
乙でつ

274 :名無し草:2006/10/10(火) 22:39:37
イクナイワロスwww

275 :名無し草:2006/10/11(水) 04:22:24
乙!
何も知らない野村が切ないな

276 :名無し草:2006/10/11(水) 07:15:29
乙です。

277 :名無し草:2006/10/11(水) 18:18:22
乙!!!!!!!続き楽しみにしてる

278 :名無し草:2006/10/11(水) 18:33:32
>>259-264
乙!野村の所持品笑ってしまった。可愛そうだけど

279 :名無し草:2006/10/11(水) 20:24:13


280 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/11(水) 23:09:11
ダブルブッキング編 
前スレ>>861の続き


よく見慣れた小太りの男が、自分のすぐ近くに、血を流して倒れている。
背中に煙立つ赤黒い穴を開けて。

その後ろには、更によく見慣れて、もう嫌と言うほどに馴染んだ男の顔。
いつも笑ってばかりだった表情を、見たこともないくらい強張らせて、
そして激しく震えながら、直立不動で少しも動く気配がない。

川元の頭の中で、目の前の事態が大方収拾される。
倒れている男―磯山と、自分との距離、その横に転がった血染めのアイスピック。
相方―黒田の細い手に握られた拳銃。

川元にとって、2つの信じがたい事実がそこにあった。
後輩達に何かと気を遣ってくれ、慕われる存在だった、
川元も親しくこそしていないが世話になってきた先輩が、
いとも簡単にゲームに乗り、しかも躊躇う事なく自分を殺そうとしていたこと。
そして、生きている内にもう一度会えるとはよもや思わなかった相方。
その彼が何故か、今自分の目の前にいる。
しかもどうやら、自分の生命の危機を救ってくれたようであるということ。

281 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/11(水) 23:10:06

「黒、田… ?」
川元は戸惑った複雑な表情で、呆然と佇んだままの黒田に向かって歩を進めた。
しかし俯いた黒田は、震えたまま動かない。
目線は虚ろに、その足元の地面を彷徨っている。
自分の姿さえ、その瞳に映っているか、川元には分からなかった。

無理もない。然程精神が強く出来ていない黒田が、
人を殺したこと、しかも気心の知れた人物の命を奪ってしまったことで
この上ないショックを受けてしまっていることが、川元にも伝わる。
どうしていいのか分からないまま、所在無さげに、
再び声を掛け、何とか黒田の正気を取り戻そうとした時。


282 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/11(水) 23:11:50
遠くから、微かながら人の声が聞こえた。川元は動きを止め、そちらを横目で見やる。
黒田の声と銃声に誰かが気付いたのだろう。
音が近付いてきている。確実に、ここに誰かがやってくる。
それが誰であれ、武器を使用してしまった事実と
そして磯山の死体が転がっている限り、何にしろ面倒なことになる。

もうぼうっとしてもいられない。川元は動き出す。
凍結させていた思考が回転を始める。
藪の中に自分が置き去りにしていたデイパックと、
黒田が横に取り落としているデイパック、更に磯山が手に持っていたそれも、
拾い上げて素早く自分の腕に通し、担いだ。

283 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/11(水) 23:12:57
そして、未だ固まったままでいる黒田の腕を掴んだ。強引に引っ張った。
川元は腕力が強い。黒田の細身の身体はなされるがままに動く。
そのまま、川元は走った。全速力で疾走した。
誰かがここにやって来る前にこの場を離れなければならない。
一刻も早く遠くに逃げなければ。
それまで蓄積してきた疲労も忘れて、出来うる限り速く、
既に闇に飲まれた森の中を駆け抜けた。
ずっと念頭にあった、すぐにでもゲームから離脱したいという気持ち、
楽に死にたいと思う気持ち。それらはもうどこかへ飛んで行っていた。
黒田は足をもつれさせながら、それでも何とか引かれるままに後を付いてきていた。


【ダブルブッキング 黒田・川元 合流】

【ダブルブッキング 黒田俊幸】
所持品:ワルサーPPK(6/7)・控え銃弾(21発)
第一行動方針:川元を探す(達成済)
基本行動方針:とにかく生き残る
最終行動方針:未定。川元次第

【ダブルブッキング 川元文太】
所持品:眼鏡(武器未確認)
第一行動方針:逃げる
基本行動方針:未定
最終行動方針:未定

【8/15 19:50】
【現在位置:E4/森】
【投下番号:114】

>>264
乙です。野村……

284 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/11(水) 23:16:54
ソラシド本坊編です。
--------------------------------------------------------

ぐ〜、きゅるるる・・・

空腹に耐えかねたのか、さっきから本坊の腹は鳴り止まない。

(もうちょい朝ご飯しっかり食べてくるんやった。
  水口何かお菓子持ってたから、分けてもらうんやったなぁ。)


   ズシッ


(向に聞いたら良かった。「食べ物ある?」って。あ、でもあいつ太ってる割に
  あんまりお菓子とか食べへん言うとったし持ってないか。)


   ズシッ



285 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/11(水) 23:17:57

(向は僕の説明わからへんかったみたいやから、誰かわかってくれる人に会わんとな。
  まず、水口やろ〜、川島に田村、あと石田と功太・・・)


   ズシッ


(ん〜・・・背中重たいせいか、足疲れて来て痛いなぁ。)
そう思った瞬間、本坊は地面に突き出た石に躓いた。


  「うわぁあっ!?」

   ドサッ!!


本坊の背中にあったものが、勢いよく落下した。

「あ〜・・・ごめん、痛かった?・・・・・隅ちゃん。」

本坊が背負っていたのは、NSC同期の芸人アジアン隅田の遺体だった。



286 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/11(水) 23:19:34

何故、本坊が隅田の遺体を背負って歩き回っているのか?
2人の邂逅は1時間前に遡る。

18時の全島放送が静寂な森に響き渡っていた。
ビートたけしが死亡者の名前を軽いノリで読み上げていた。
そして、「126番」とたけしが読み上げた直後、本坊の口が動いた。

  「「  隅田 美保。  」」

たけしと本坊は同じタイミングで同じ人物の名前を言った。
同じ人物とは言っても、たけしにとってはその他大勢の芸人の1人。
本坊にとっては、NSCの頃からの同期生。そして・・・・
今、本坊の目の前にある遺体の名前。

「死んだん?隅ちゃん・・・・?」

本坊は隅田の死が実感出来なかった。
今、スピーカー越しに「死んだ」と言われた。嘘かもしれない。
今、話しかけたのに返事がない。寝てるのかもしれない。
言葉だけでは信じられないから、触ってみる。冷たい。動かない。かたい。


287 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/11(水) 23:20:22

「・・・そっか、死んでしもたんか。」

本坊の心は乱れなかった。
悲しくなかった訳でも、現実を認めたくなかった訳でもない。
隅田が死んでしまった事は悲しい。
彼女が死ぬ前にさっき向に説明した旨を伝えたかった。
そうしたら、こんな所で寂しく死ぬ事は無かったのに。
寂しいのは嫌い。この森も寂しいから嫌い。
こんな所に彼女を1人で置いておきたくない。

「やったら、一緒にいこか?」

本坊は隅田の遺体を背負った。
死んでから2時間が経過した為、首は曲がったまま動かなかった。
でも、そんな事どうでもよかった。
だって、みんな一緒に死ぬんだから。
みんなと一緒の所に行くから、死んでてもきっと寂しくない。



288 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/11(水) 23:21:10


そうして隅田を背負って歩いたまま、1時間近くが過ぎた。
本坊は元々体力がある方ではない。その彼が長時間遺体を背負うというのは、
文字通り荷が重すぎた。先程から足元がふらついては隅田を落としている。

「さっきからごめんな。あ〜、顔泥付いてしもたな・・・
  あ、ええこと考えた!」

本坊はデイパックを探った。出て来たのは彼の支給品、コンビニコスメセット。

「これでお化粧しよっか。」

隅田を寝かせたまま、本坊はぎこちない手付きで化粧を始めた。
ふくだけコットンで泥を拭いて、化粧水と乳液を適当にベタベタひっつけた。
ファンデーションで顔をポンポンはたいて、半分開いた口にグロスを塗った。
アイシャドウは目を閉じていたから塗りやすかった。

「綺麗になったんかな?見よう見まねやったしなぁ、まいっか。」


289 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/11(水) 23:22:09

コスメセットをデイパックにしまうと、本坊は再び隅田を背負った。
「どこいこっか隅ちゃん?どっか賑やかな所がええね。」

硬直した隅田の首は、前方に見える観覧車に向いていた。

「そっか、遊園地かぁ。」

本坊はまた隅田を背負って歩き出した。

「あ、2人っきりやったらもしかしたらデート?いややな〜」


   ズシッ


「そういや、田村が沖縄に行った時、隅ちゃんと遊んでたらデートやー言われて・・・
  田村めっちゃ嫌がってたやんなぁ。」


   ズシッ


「・・・着いたよ、隅ちゃん。遊園地。」



   ズシッ。




290 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/11(水) 23:24:58

【ソラシド 本坊 元児
所持品:コンビニコスメセット
基本行動方針:一緒に死んでくれる人を探す。
第一行動方針:相方捜索
第二行動方針:死に場所の捜索
最終行動方針:みんなで一緒に死ぬ】

【現在位置:E-3】
【8/15 19:03】
【投下番号:115】

>>280-283
連投すいません。ダブルブ合流にwktk

291 :名無し草:2006/10/12(木) 00:02:02
本坊こえぇwww鳥肌たったwwww

292 :名無し草:2006/10/12(木) 03:41:48
>>280

緊迫緊迫wwww

>>284

前回より更に怖さ倍増wwww


293 :名無し草:2006/10/12(木) 07:16:24
乙です!

294 :名無し草:2006/10/12(木) 12:21:38
恐いよー

295 :名無し草:2006/10/12(木) 16:29:11
イイヨイイヨー
続きwktk

296 :名無し草:2006/10/12(木) 20:55:55
乙です
本坊イッちゃってますね〜

297 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:05:52
>>56の続き。ラバーガール大水です。

そろそろ、辺りも暗くなってきたな、森の中だし。
でもこの辺は、けっこう木がまばらな方だから、まだ見渡しが利く。
本格的に暗くなる前に探さなきゃ、どんどん見つけにくくなるな。
ついでに、ちょっとお腹も減ってきたし。何にせよ急いだ方が良さそうだ。

…さっきの放送で呼ばれた人達は、どんな思いで死んでいったんだろうか。
中には、それを望んだ人もいる。でも、そうでない人の方が、きっと多いだろう。
生きたくても生きられなかった人達がいる。そして、これからもその人数は増えていく。
なのに、死を望んでいる僕が、まだ生きてるのは皮肉な事だ。
できる事なら代わってあげたいんだけど、そう都合良くは行かないか。

大水がそう思った、ちょうどその時、彼の方に向が走ってきた。
別に大水に気付いているわけでは無い。ただ、本坊から逃げてきたら、そこに着いただけだ。

誰か来た!マーダーかな?それなら助かるんだけど。刀みたいなの持ってるし、多分そうかな。
だったらそのまま来て欲しい。でも、僕の事気付いてるのかな。
…なんか、『それどころじゃない』って感じだ。大分息切れしてるけど、どうしたんだろ?
他のマーダーに追われてるんだとしたら、それでも良い。その人に僕も殺してもらうから。
どっちにせよ、こっちに来てもらった方が良いな。

大水はそう判断すると、手が滑ったふりをして、自分のディパックを地面に落とした。
たいした音は出なかったが、警戒心に溢れている向を気付かせるには充分だった。

何や!!そこに誰かいるんか!?…今度は、正常な奴やろな、多分。
連続してあんな人に会うわけ無いし。正常な奴なら殺せる、今度こそ殺せる!


298 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:06:55
向のいう『あんな人』とは、彼が先ほど会った本坊の事だ。
彼は、殺せそうな相手なら遠慮なく殺すと決めていた。たとえ、同事務所の先輩でも。
そして、武器的にも状況的にも、本来ならそれが実行できるはずだった。
できなかったのは、本坊が向にとって、あまりにも異常だったからだ。
殺すかどうかという次元では無く、近くにいる事すら恐怖の対象になるほどに。

………見つけた!何か長身で細くて、弱そうやな。しかも武器持ってへんし。大丈夫や、絶対に。
よし!ついでに脅しかけてやる。今までの腹いせや!

「どうしたんですか?武器も持たずに」

向は、そう言いながら大水の正面に立って、胸元にサーベルを突きつけた。
本当は顔面にしてやりたかったが、身長差があるので、その方が自然だったからだ。
疲れていたので、腕をあまり必要以上に上げたくなかったのもある。
大水は、一応今気付いたふりをしながら、無言で向の方を見つめていた。

何してんだろ、この人。脅し?そんな面倒な事してないで、さっさと殺っちゃえばいいのに。
ああ、多分快楽殺人者だな。そして、人が怯えてるのを見るのも好きなんだろう。
悪いけど、僕はそんな期待には応えてあげられないんだよね。先生が喜ぶから。
…って言うか、それ抜きにしても、応えてやる気は全く無いけど。

………何でこいつ、ほとんど反応が無いんや?
少なくとも本坊さんみたく、嬉しそうに飛びつく…なんて様子は無いけど。
多分、唖然としてるだけやな。きっと…正常……や、こいつは。きっとそうや!

向は必死で自分に言い聞かせた。大水が動かないのは、ただ何もできないからなんだ、と。
そうでないとしても、決して本坊の様な、特殊な思考の持ち主では無い、と。
大水は、内心少し呆れたまま、その様子を眺めていた。

脅しにしても…ちょっと長すぎるなぁ。早くしてくれないかな。
僕が何か反応するまで待ってるつもり?こっちは『殺されたがってます』なんて、素直に言えないんだけど。何かいいセリフ無いかなぁ…無気力っぽいやつ。えーと…


299 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:07:56
「あなたは、殺す事ができる人なんですか?」

とりあえず普通に質問。これなら別に、殺されたがってるとは限らないセリフだ。
それに、ちょうど聞きたかった。さっきから見てると、どうも何かに怯えてるみたいだし。
もしかしたら、人をケガさせたりする事はできても、殺せない人なのかもしれない。
だとしたら厄介だな。中途半端にケガだけさせられるのは面倒だ。

何気ない質問…のはずだった。大水にとっては。
しかし、向にとってそれは、恐ろしい言葉だった。
何故ならそれは、本坊の「よかったぁ。向は殺す事出来るんやね」 というセリフを連想させる質問だったからだ。
あの本坊の姿を思い出し、一気に向の頭は混乱した。

違う!!こいつは本坊さんとは違う!違う種類の人間や!そうや、正常な奴!そのはずや!
その証拠に、口調は落ち着いてるし!無表情やし!涙なんか見せる様子すらあらへんし!!
いや、ちょっと待て!さっきの本坊さんと比べてどうする!種類が違えば正常なんか!?
サーベルを突きつけられて、平然としとる人間でも!!?分からん、正常って一体何や!!!

それは、答えの出ない疑問だった。
この『プログラム』の中では、何が正常で何が異常かの明確な判断基準は無い。
この『プログラム』自体が異常な状況なのだから、その中では、狂うのが正しいのか、冷静なのが正しいのか。
2人とも相手が、そして自分が正常なのかは分からなかった。
あえて言うなら、その人が正常だと思えば、その人の脳内では、確かにそれが正常になるんだろう。

「……………せる。殺せる。正常なら……正常なら!殺せるんやぁ!!!」

壊れた精神状態のまま、向はサーベルを大水へと振りかざした。
正確には混乱して振り回した、と言うのが正しいかもしれない。
そのため、サーベルは、大水の腹部辺りに食い込んだものの、即死するような傷では無かった。


300 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:09:34
!…ようやく、殺る気になったか。急だったから、ちょっと驚いたな。
想像以上の激痛…思わず声が上がりそうだったけど、なんとか堪えられた。
喉の奥から、空気が漏れた様な軽い音は出たけど、……大丈夫、声と呼べるほどのものじゃ無い。

下から上に切り上げられたせいか、衝撃で大水の視線が上の方を向いた。
その瞬間、監視カメラと目が合った。大水はそれを認識し、不自然にならない程度に視線を移した。
とりあえず、目の前にいる向に。

あれは…監視カメラ?暗いし一瞬だったから、確証までは行かなかったけど。
僕がずっと恐れていた物、あまり見たく無いな。でも、場所が分かったのは収穫。
敵の位置が分からないのは不利だから。僕にとっての敵は、あの監視カメラだ。

そんな大水の考えなど知るはずない向は、まだ混乱していた。
もしかしたらサーベルを振る前より混乱していたかもしれない。
大水は、まだ致命傷とは言えない自分の状態に苛立ちながら、向がどう動くのかを、ただ見ていた。

ほら見ろ!刺せたやないか!!しっかり手応えはあるし、ちゃんと突き刺さっとるし、相手の腹からは、確実に血が流れ出しとるし!
……なのに、何で僕はこんなに焦ってるんや!!焦るのは、どう考えてもこいつの方やないか!
何で平気なんや!おかしい!いくら素手でも、ちょっとは抵抗するとか、逃げるとか無いんか!それどころか、ほとんど痛がる素振りも無いって何なんや!!異常や!こいつも、死ぬのを全く恐れてへん!!
…まさか……まさか、こいつは!!

向の頭に浮かんだ発想は『大水は本坊の賛同者』という疑惑だった。
冷静に考えれば、もしそうなら一緒に行動している可能性が高い。
一応、『別の場所で他の賛同者を探していた』と言い切れなくは無かったが、そう結論づける証拠は何も無い。
しかし、向にはもう、そうとしか考えられなくなっていた。

向はそのまま、全力で逃げ出した。
極度の緊張で心臓がひどく苦しかったが、そんな事はかまっていられなかった。
そして、自分をごまかすために、『僕はあいつを殺せた』と考える事にした。
確かに即死にはほど遠いが、時間が経てば致命傷になりうる傷だった。
解釈の仕方によっては、確かに『殺せた』のかもしれない。


301 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:10:58
………結局何だったんだ?あの人。
人を脅そうとして、しばらくしたら急に攻撃してきて、そうかと思えば急に逃げ出して。
終始何かに怯えてたみたいだけど、それが何かは謎のままだ。
……そんな事より、どうしよう。この中途半端なケガ。嫌な予感が見事に的中してしまった。
傷口の深い痛みと、足を伝う血の感触が、やけに鬱陶しい。

大水は、さっきのカメラの位置を思い出し、死角になりそうな木の陰を探した。
特別では無いが、かなり太い木がある。隠れるには充分だった。
そこに向かい、ふらつきながら歩き出す。
一歩踏み出すごとに傷口が開き、血液が噴出したが、今の大水には関係無かった。
『とにかく、カメラから見えない場所に行く。なるべく偶然を装って』
頭の中はそれに支配されていて、痛みを自覚する隙間はほぼ無かった。
あまりにも必死になっていると、人間は怪我をしていても気付かない事さえある。
プラセボ効果と似たようなものだ。『病は気から』ということわざも、案外科学的なのかもしれない。

とりあえず、不自然じゃ無かったかな?
多分、意味無くその辺にあった木を選んだ様に見えた…と思いたい。
そもそもこれだけ人数がいるのに、僕1人の動きなんて、そこまで細かくチェックしてないよね。
……けっこう考えが投げやりになってきてるな、と自分でも思った。
ケガのせいなのか、疲れのせいなのか、空腹のせいなのか…多分全部だな。

ふと、目元から、血では無い何かが伝うのを感じた。涙…なのか?
多分生理的なものだろう。もし、安心感によるものだとしたら…ちょっと恥ずかしいな。
……そういえば、何で僕の右腕は、傷口を押さえ込んでるんだ?完全に無意識だった。
早く死のうとしてるくせに、何で止血なんかしてるんだよ。どっちにせよ、痛い事には変わりないだろ。
軽く自分を罵倒して、傷口から腕を引き剥がし、地面に投げだした。

でも、中途半端とは言え、このくらいのケガなら、しばらくすれば死ねそうだ。
それが、数分後か、数十分後か、数時間後かは知らないけど。
それまでは…適当な事でも考えてるか、何も考えないかのどっちかにしとこう。

302 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:12:33
……やっぱり、もっと深い傷の方が良かった。何時まで耐えればいいんだろう。
もうカメラを気にしなくて良いなら、土を傷口に入れれば、少しは早く死ねるだろうか?
でも、もうそれを試すほどの気力は、無くなって来たな。


それから数十分後、大水の所に来て、その姿を目撃してしまった人物がいた。
今野浩喜、本名は住吉浩喜、大水にとって、とても仲の良い先輩だ。
彼は、懐中電灯を持っていた。そして、地面を照らしながら歩いていた。
そこで見つけたのは、放り出されたディパックと、そこから続く血の跡。
それを辿ってきたら、大水を発見してしまったのだ。

「お前……大水か!?何やってんだよ!!」

いきなりの光と声に少し驚いた。重いまぶたを開けると、今野さんだと分かった。
懐中電灯?彼の試供品なのか、それとも、元は他の誰かが持っていた物なんだろうか?
光は自分の腹部、つまり傷口に向けられていた。
まあ、そうで無くても、これだけ血塗れなら分かっちゃうよな。
それより、何て答えれば良いんだろう。突然な事もあって、頭が上手く回らない。

「……こんな所で…会うなんて……奇跡的…ですね」

少し、言葉が途切れがちだったが、まだちゃんと話せた。息は苦しいけど。
そういえば普段、待ち合わせをして会った時も、よく冗談でこんな会話してたな。
もっとも、今は冗談でも何でも無いけど。
この『プログラム』も、僕の状態も、後は、会ったのが奇跡的だって事も。
今まで、まともに会った生きている人間は、これで2人目だ。
なのに、まさか瀕死の時に人に、しかも特に仲の良い先輩に出会うなんて思わなかった。

こういうの、何て言うんだろう。『神様のいたずら』…とか?
まあ、僕はそんなもの信じちゃいないけど、あえて表現するならそんな感じか。
神様…か。もし信じることができれば、気晴らしくらいにはなるのかな?

303 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:13:21
……何にせよ考えすぎだ。珍しい事だろうけど、ただの偶然。
確率が低い、という意味では、何かすごい事みたいな気はするけど。

「ちゃんと質問に答えろ!何でそんな大怪我してんだ!誰がやったんだよ!!」

さすがに、今は冗談で返してはくれないか。今野さん、けっこう繊細だからなぁ…
映画とかでも、あんまり人が死ぬやつは好きじゃないみたいだし。
いや、それ以前に、今が冗談でも何でも無いんなら、『冗談で返してはくれない』って表現自体、変だよな。『冗談を言ってはくれない』の方が正確だな。
…そんな事より答えなきゃ。でも、やっぱり良い返事が思いつかない。
本当の事を言えば、実行犯はともかく、計画犯は自分。…これ言ったら絶対怒られるな。
しかも、『殺されたがってた』って事が、先生にもバレちゃうし。

「僕にも…よく……分から…ないです……」

とりあえず、そう答えた。暗くて見えなかったって意味に取ってくれるかな?
別にさっきの人をかばう気は無いけど、あんまり今野さんに負担はかけたくない。
もし、敵討ちとか考えてくれたら、嬉しいことは嬉しいけどね。
後は、正直考える事に疲れてきたから、割と無難な返事にしておきたかった。
自分勝手な理由が混ざってて、ちょっと罪悪感はあったけど、まあ実際、嘘は言ってない。
誰が僕を殺したのかは、はっきりと言い切れないから。
実行犯か、計画犯か、その両方なのか、それは捉え方次第だ。
もっと拡大解釈すれば、この『プログラム』だとか、それを行ってる国だとか…
キリが無いな、このへんで止めとくか。


304 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:14:23
……今野さん、硬直してるな。考えてみれば当たり前か。
僕だって、小沢さんの遺体を見た時、大分傷付いてた。
それなのに、今野さんが目撃したのは、同事務所の中でも親しい人なんだから。
まあ、今のところ生きてるんだけど。
自分が目撃される側だと、案外落ち着いてられるのは、意識がぼやけてるせいかもしれない。
でも、まだちょっと余裕がある。今、何かできる事って無いかな。

大水は少し考えて、人差し指を自分の口に当てた。
そして、次はペンを握るような仕草をして、紙に見立てた左手の前で動かした。
カメラから隠れた今は、ジェスチャーならできる。
今野はしばらく何の事か分からず唖然としていたが、彼の意図に気付き、戸惑いながら、自分のディパックから、鉛筆と地図を出した。
大水はそれを受け取ると、地図の裏に文字を書き始めた。

『くびわは、とうちょうき、あり、ちしきがあればはずせる』

伝わるかどうかは分からないな。大量の出血で、さっきから酷く寒い。
そのせいなのか、体が痙攣し始めたせいなのかは知らないけど、手が震えて、鉛筆が上手く持てない。
ただでさえ字が下手なのに、そんな状態で書いたから、ちゃんと読めるのか謎だった。
それに本当は、彼がそんな情報を望んでいるかすら分からない。
僕は今野さんが、この『プログラム』でどうしたいのかを知らないから。
でも、何をするにせよ、知って損になる情報では無いだろうから、伝えておいた。
地図に血、付いちゃったな。かえって悪い事しちゃったかも。
手をなんとか動かし、今野さんに地図と鉛筆を返した。目が霞んで、彼の顔はほぼ見えなかった。
その直後、酷い眩暈がして、自分の体が崩れ落ちるのを何となく自覚した。


305 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:15:07
ふと浮かんできたのは、あの教室の光景。走馬灯が『プログラム』に関する事って何か嫌だな。
そういえば、あの時から僕は、『誰かと合流するなんて考えない方がいい』と思っていた。
もしかしたら、あの時既に、『最後に自分は他殺を望む』と薄々感じていたのかもしれない。
だから合流を拒んでたんだ。仲の良い人にこんな姿は見られたく無いから。
気付かれたら、絶対に止められたり、妨害されたりする…という理由もあるんだけど。

でも、今は誰かが僕の死を看取ってくれるのが、嬉しかった。
見せ付けられた方はすごく辛いんだろうけど……あ、偶然なら見せ付けたとは言わないか。
なんだか、今まで孤独主義を貫いてきたのが、妙におかしい事のような気がした。
変な意地張ってないで、少しは人との行動を考えても良かったかもしれない。
どっちにせよ、死に目を見られてしまうんなら…
まあスタートの時点では、そんな事分かるわけ無いんだけど。

「お前…何……、勝手に死んでんだよ!ふざけんな!!」

何だか、こんな時まで、今野さんらしい怒り方だ。
勝手って言っても、おそらく、僕がわざと殺された事は知らないんだろうな。
口調はぶっきらぼうだけど、本心はだいたい想像がつく。いっつもこんな調子だから……。

その時、大水の脳裏に浮かんだのは、『日常』の光景。
今置かれている現状は、明らかに非日常の世界だったが、一瞬だけ、確かに彼は『日常』を感じる事ができた。

結局それが、大水がこの世で聞いた最後の言葉だった。
何か返事をしようとしたのだろうが、もう全てが動かなくなっていた。
目も、口も、手も……そして、意識も。

この後、今野が、……そしてこの『プログラム』がどんな方向に動くのか。
もう、彼に知る術は無い。


306 : ◆PyB831QpqM :2006/10/12(木) 21:20:09
【天津 向清太朗】
所持品:サーベル
第一行動方針:不明
基本行動方針:殺せそうな人中心に殺す
最終行動方針:不明

【キングオブコメディ 今野浩喜】
所持品:懐中電灯、その他不明
第一行動方針:不明
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明

【ラバーガール 大水洋介 死亡】

【現在位置:F5の森】
【8/15 19:20】
【投下番号116】

以上ラバーガール大水編でした。向と今野の使用権は解除します。

>>284
本坊、静かな狂気って感じがすごく良いです!
今後の作品も期待してます。

307 :名無し草:2006/10/12(木) 21:29:44
本坊編、最高
他は糞

308 :名無し草:2006/10/12(木) 23:11:37
>>297-306
大水・・・!!!
誰かに殺してもらうっていう目的の話だからwktkしてたけど想像以上だった!
本坊編の直後って凄いタイミングだ。

309 :名無し草:2006/10/12(木) 23:47:26
>>297
乙!
最後までらしいキャラに脱帽。面白かった。

310 :名無し草:2006/10/13(金) 12:09:18
本坊の書き手はネ申

311 :名無し草:2006/10/13(金) 21:57:40
◆BIEhgLz7MIさんいますか?

312 :名無し草:2006/10/13(金) 23:45:00
>>297-306
乙!
大水の淡々とした語り口が逆に切なさを感じさせてイイ!
この後今野がどういう心情になるのか、どんな行動をとるのか。
すごく気になる。

313 :名無し草:2006/10/14(土) 09:38:58
本坊編好きだ

314 :名無し草:2006/10/15(日) 06:00:31
この過疎っぷり…
確かに死ネタ扱ってるスレで作者死んだとかキツいよなぁ
管理人が同じパソコン認定しちゃったから
マジかジエンのどちらかでFAだしね
キリン好きが伝わってくる話だっただけに残念だ

315 :名無し草:2006/10/15(日) 08:27:06
で?

316 :名無し草:2006/10/15(日) 09:28:39
その話はもう終わっただろ
過疎ってるのは執筆中or飽きた奴がいるだけ

317 :名無し草:2006/10/15(日) 11:17:38
餅と糞管理人のせいで過疎った

318 :名無し草:2006/10/15(日) 11:24:29
執筆中だけどもう書きたくなくなった
でも黙ってばっくれるのも気が引ける
死んだふりでもしとくか…そうすれば麒麟の権利放棄もできるしな

319 :名無し草:2006/10/15(日) 11:40:30
なるほど

320 :名無し草:2006/10/15(日) 12:48:21
(´・ω・`)

321 :名無し草:2006/10/15(日) 14:56:25
>>318
このスレのルール、したらばでの餅の書き込みを見る限り、
死んだふりをして権利放棄する必要は全くないけどな。

322 :名無し草:2006/10/15(日) 15:40:03
はいはい

323 :名無し草:2006/10/15(日) 17:25:24
必死に餅氏を存在させようとしてる人たち、優しいね

324 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/15(日) 17:45:42
空の茜色がだんだん薄くなっていく。

最初は掛け合いのように言い合いながら戦っていた二人も、傷と疲労が蓄積していくにしたがって口数が減っていった。
互いの体に小さな傷はいくつかつけたが、何しろ千枚通しとペーパーナイフだ。致命傷どころか動きを鈍らせる傷も負わせていない。
このままじゃ決着つかんかもしれんな。
西田の千枚通しの先をかわし、体勢を立て直しながら哲夫は思った。
正直言って疲れた。だが、それは向こうも同じだろう。集中力が途切れる前に何とかしたい。
西田の胴体を狙ってナイフを薙ぐ。体を引いて避けられる。
腰を落とし、ぶつかるようにして千枚通しを突いてきた西田をぎりぎりで避ける。
が、避けられたと思った瞬間西田に思い切り突き飛ばされた。
地面に倒れこんだ哲夫の目の前に千枚通しの先が迫る。とっさに体を右に回転させた。
千枚通しは左肩に突き刺さった。
激痛が走っても、哲夫は右手のナイフを堅く握り締めて意識を繋ぎ止めた。
千枚通しを引き抜こうとした西田の腕を左手で掴む。一瞬西田の動きが止まった。その一瞬で背中めがけてナイフを振り下ろした。
刃が沈んでいく感覚がする。
西田は呻き声ともつかない息をひとつ吐いて、哲夫の上に崩れ落ちた。
ナイフを抜くとその体を押しのけて、哲夫が西田の傍らに座り込む。左肩にはまだ千枚通しが刺さっていた。
二人分の荒い呼吸が響く。


325 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/15(日) 17:46:22

「なんやねん、この刺し方。へったくそ」
西田が地面に倒れたまま哲夫をぼんやりした目で見上げて言った。
「お前に言われたないわ」
今更痛みが襲ってきて、哲夫は疲れた声しか出せなかった。
「決着、ついたな」
「せやな。俺の勝ちや」
「なんでやねん」
「お前起きてみい言われても無理やろ。俺もう起きてるもん」
西田が両手を地面につけ、体を持ち上げようとした。腕に力が入っていない。
「ほんまや、無理や」
「せやから俺の勝ち」
哲夫が少し口角を持ち上げて見せると、西田はわずかに眉を寄せた。
「ええー、俺肩に千枚通し刺さった奴に負けたん?」
西田は体を仰向けにし、視線を空に向けた。
「嫌やわー、めっちゃ悔しいわそれ」
その口調は棒読みというのが一番ふさわしいように思えた。

哲夫は自分の左肩を見た。なかなかシュールな光景やなと呑気に思うが、もの凄く痛いしいつまでもこのままにはしておけない。
ネクタイを外すと、肩に刺さったままの千枚通しを引き抜いた。そしてネクタイを傷口に巻きつけ、固く縛った。左手が使えず、十分な処置ではないが今は仕方がない。
哲夫の左肩から流れる血が指先まで伝わり地面に染みを作るのを、西田はぼんやりと見ていた。その体の下にはそれの何倍も大きな染みが出来ている。


326 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/15(日) 17:47:15

「なあ」
西田の声はさっきよりもずっと弱々しく掠れていた。
「止め刺したりせえへんの?」
それでも相変わらず声と表情に何の感情もこもっていなかった。だが、哲夫は西田がそれを望んでいるとわかった。
「刺すよ」
千枚通しを手に、哲夫は西田のすぐ横に膝をついた。

刺すべき一点を睨み、千枚通しを右手で握り、左手を添えて静かに挙げた。
「一発で決めよ。心臓ここやぞ。大丈夫か」
タイミングを図ろうとしたところに口を出された。呑気な口調に苛ついて、神妙な気持ちも忘れて怒鳴った。
「うっさい。黙って殺されとけ!」
「あ、あともういっこ」
「なんやねん!」

「生き残りや」

哲夫をまっすぐ見、力ない声に強い意思を込めて西田が告げた。
全身でうなずくように、哲夫は両手を振り下ろした。


全身が硬直し、すぐに力が抜け、西田は物体となった。



327 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/15(日) 17:47:56

相方のために経をあげることになるなんて考えたこともなかった。
本当は人目に付かないところまで運んでやりたかったが、出血と力が入らない左腕のせいで無理だった。その場で目を閉じさせ、両手を組ませている間哲夫はずっと経を唱え続けていた。無論供養のためだが、自分の気持ちが落ち着いていくのも感じていた。

自分の知りうる限りのプログラムの知識、他の芸人の様子、自分の意思、相方はどうするか、すべてを考慮し、自分なりに考え付いた方法だった。
西田が乗り、多少の邪魔は入ったものの殺し合いをし、自分が勝つと言う結果を得た。
自分はこのゲームに乗れる、生き残るためには相方だって殺せる。この答えを得た。
充足感は得られなかった。
自分の手で西田がこの世からいなくなったことが、ただひたすら虚しかった。
もうすっかり闇に包まれ、月明かりが辺りの輪郭を浮かび上がらせている中、何度目かももうわからない般若心経を唱える。
この教えからしたら、このプログラムも、自分のこの行いもすべて無意味なことになるのだろう。それでも、生きることへの執着は捨てられない。
後悔も湧いてこないことが、少しだけ心を軽くした。

西田の分の食料を自分のディパックに詰め替えると、哲夫は立ち上がった。まだ少しふらつくが、なんとか歩くことは出来そうだ。
もう一度、西田を見る。最期の言葉がまた聞こえた。
――生き残りや
「当たり前じゃ」
そのためには、この武器ではちょっと心もとない。もっと大きい刃物か、長い棒とかが欲しい。
千枚通しを握り締め、哲夫は振り返らずにその場を去った。



328 : ◆qUGJ5zg7gg :2006/10/15(日) 17:50:37

【笑い飯 西田幸治  死亡】
【笑い飯 哲夫
 所持品:ペーパーナイフ 千枚通し 煙草 ライター
 基本行動方針:生存優先  殺せる相手は殺す
 第一行動方針:もっといい武器を探す
 最終行動方針:生き残りたい】

【現在位置G-1・岩場近くの開けたところ】
【08/15 19:05】
【投下番号117】

>>92-97 の続きでした。


329 :名無し草:2006/10/15(日) 18:02:35
>324ー328
乙です!
西田……(ノДT)

330 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:40:01
いったんヘタ作者が投下です。
あべさくの作者の後を継がせていただきます。
文章は遥にヘタになります。
では投下です。


窓から出てくる陽射し。
それで佐久間は目を覚ました。
目覚めてすぐに思った。

よく眠れたな。

あべもベッドで横になり眠っていた。
佐久間もあべも暢気だった。

「あべ・・・・さん?生きてますよね」

あべの返事はない。
だが眠っているだけだ。
佐久間もすぐ寝息でわかった。
安心した佐久間は手拭いを巻こうとした。

「ん・・・・あぁー・・・・」

その時あべは起きあがり軽く伸びた。

「あ。おはようございます」
「あぁさっくんおはよう」

331 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:41:30
どちらも寝起きで声は低かった。
声が普段どおりになるまで時間が掛かった。
支給された食糧を朝食として食べいろいろと会話を交わす。

「さっくん。これからどうする?」
「どうしましょう」
「どうしようか」
「どうしましょうね」

会話と言ってもこんなスローペース。
話は進まない。
兎と亀ではなく亀と亀の競争のように。
亀を1匹兎に変えたのはあべだった。

「さっくんは生きたい?」

また質問だが先ほどの質問よりは話が展開する。
佐久間も亀を兎に変えた。

「いえ。生きなくてもいいです」

兎と兎の競争のように話は展開し続ける。

332 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:42:05
「あべさんはどうですか」
「うーん・・・やっぱり生きたいよ」
「奥さんもお子さんも居ますしね」
「うん。まだ一緒にいたいし」
「じゃあ殺すんですか?」
「それも迷うところなんだよね。人を殺せないと生きていけない
でも人を殺した手で娘を抱けるかな。妻はわかってくれるかな」

あべは人を殺したくないから殺されたいとはっきりした意見がある佐久間に比べ
まだはっきりとした意見のないあべ。

「大丈夫ですよあべさん。あべさんの奥さんもお子さんもわかってくれます」
「そうかな?」
「そうですよ!もしわかってもらえないなら俺がわかってあげます」
「ありがとう。さっくん。でももっと後に決めるよ」

あべはディバックから探知機を取り出した。
そして佐久間と見つめる。

「今ホテルにいる人は俺とさっくんと・・・カンニング竹山さん」
「あ!吉田もいる」

333 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:42:40
吉田とはPOISON GIRL BANDのツッコミの吉田であった。
佐久間とは結構仲がよく佐久間のブログに吉田ウィークと出たこともある。
生憎この探知機はホテルにいるということしかわからず何号室にいるとかはわからない。
佐久間は吉田と仲がいいため1つの提案が思いついた。

「吉田も一緒に行動しません」
「いいけど何処にいるかわからないよ」
「探しに行きましょう!」
「そうしようか」


バンッ・・・・


吉田を探しに行こうと2人が立ち上がった瞬間だった。

「さっくん。今の」
「銃声ですよね」

2人は外へ出ようとした足を止めた。
会話を交わすこともなく沈黙していた。
まだ寝起きの時にした亀と亀の会話の方がいい。

334 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:43:13
トントントンッ・・・


2人がいる部屋にドアのノック音が響いた。


「すいません!誰か居ますか!!!」


佐久間もあべもこの声で誰なのかわかった。

吉田だ。

自分達が探している人が自分達の元に現れた。
すごい偶然だったため2人とも驚いた。

「誰か居ますか!!入れてください!!今銃声がなって!!」

あべは入れた方がいいのか入れない方がいいのか迷った。
しかし佐久間は迷ってなかった。

「あべさん。入れましょう」
「えっ・・・・」
「吉田は絶対人を殺しません」
「わかった。入れよう」

佐久間はついさっきまで首に巻こうとしてた手拭いを持つ手でドアの鍵を開けた。
佐久間は気付いてなかった。

この選択が間違いと。

335 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:44:02
「吉田!!!開けたよ!!!」

佐久間はドア越しに叫ぶ。

「ありがとうございます!!!」

吉田はドアを右手で開けた。
左手にはデザートイーグルという拳銃。

「佐久間さん本当にありがとうございます」

とても黒い笑みでお礼を言う吉田。
吉田の左手は佐久間ではなくあべに向いていた。

「だ、ダメだぁーーーーーーー!!!!!!」

佐久間はすぐさま吉田にタックルする。
吉田は佐久間の手拭いが床に落ちると共にバランスを崩し倒れる。

「あべさん逃げて!!!」
「で、でも・・・」
「早く!!!行けあべこうじ!!!!!」

336 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:44:47
「離せ!!!!!」

吉田は抵抗する。
佐久間はその抵抗に抵抗する。
あべは逃げることに抵抗を感じる。

一瞬で3つの抵抗が重なった。

「あべさん!!!絶対後で行きます!!!」
「わ、わかった!!!手拭い持っていくから!!!取りに来てよ!!!」
「はい!!!」

あべは手拭いを持ち走り出した。
佐久間は安心して抵抗を弱める。
吉田はその瞬間を見逃さず佐久間を突き飛ばした。
そして逃げるあべに銃口を向ける。

「やめろ!!!!!」

佐久間は吉田の腕を引っ張りさっきまで佐久間とあべが居た部屋に突き飛ばした。
そして自分も中に入りドアの鍵を閉める。

337 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:45:40
「佐久間さんひどいですよ。せっかく2人も殺せるチャンスだったのに」
「残念だけどそんなことさせないよ。殺せるのは1人だけだよ」
「1人?佐久間さんですか」

吉田は足下にある佐久間の描いた絵に気付いた。
赤で描かれたザリガニの絵。

「吉田。わかったでしょ。俺の武器は8色の色鉛筆」
「かなり不運ですね」
「もう死んでくれって言われてるようなものだよ」
「はい。死んでください」

吉田はまた黒い笑みを浮かべる。


バンッ・・・・


「ぐわっ!!!!」

佐久間は叫び声を上げた。

「すいません。急所外れちゃいました。でも弾勿体無いですしいずれ死にますから」
「ぁ・・・・」

338 :名無し草:2006/10/15(日) 18:45:55
うん、下手ですね

339 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:46:51
「今までありがとうございました」

吉田はそう言い残しドアの鍵を開け出ていった。

「ぐっ・・・ぁ・・・・」

佐久間はもう言葉をしゃべられなかった。
思考も止まりかけていた。
止まりかけの思考だが1つの事を考えられた。

あべさん。
生きてください。
家族の元へ行ってください。
人を殺しても俺が認めます。
周りが認めなくても相方だった俺が認めます。
だから何をしてもいいので生きてください。


生きろあべこうじ


と佐久間は最後の力を振り絞り血で書いた。
それは赤いザリガニの絵の上だったがはっきりとわかった。

340 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:49:16
【佐久間一行 死亡】
【あべこうじ】
所持品:探知機、佐久間の手拭い
第一行動方針:POISON GIRL BAND吉田から逃げる
基本行動方針:とにかく逃げる
最終行動方針:妻と子に会いたい
【POISON GIRL BAND 吉田】
所持品:デザートイーグル
第一行動方針:部屋から出る
基本行動方針:手当たり次第に殺す
最終行動方針:不明

341 : ◆zrgK2Yfuuo :2006/10/15(日) 18:59:12
あ。忘れてた

【現在位置F-7・ホテルの中】
【08/16 9:05】
【投下番号118】

342 :名無し草:2006/10/15(日) 21:08:35
結局、餅=兄でFA?

343 :名無し草:2006/10/15(日) 21:14:54
だからもういいってその話
本当かどうかはわからないんだから自分のいいように思っておけばいい

344 :名無し草:2006/10/15(日) 21:42:59
>>342でFA

345 :名無し草:2006/10/15(日) 21:54:32
ぁぅーむ

346 :名無し草:2006/10/15(日) 22:55:29
餅って何ですか?

347 :名無し草:2006/10/15(日) 22:55:33
乙です!
さっくん死んじゃいましたね…
あべにはぜひこの気持ちに報いてほしい。

348 :名無し草:2006/10/15(日) 23:03:54
>>324-328
西田の最期の台詞にぐっときた。
哲夫の今後が非常に気になる。

>>330-341
吉田マーダー化って意外。
続き気になります、次作も楽しみです。

349 :名無し草:2006/10/16(月) 01:18:30
>>324->>328
乙です(´;ω;`)
涙しました。


>>330->>341
POIZONって流れに身を任せる感じかと思ってたからなんか新鮮。
あべちゃんの今後にwktk。
乙でした。

350 :名無し草:2006/10/16(月) 02:17:53
>>324-328
哲夫が勝ったのか……。
最後まで呑気な声を出しながらも哲夫に言葉をかける西田に感動した。
すごく続きが気になる。

351 :名無し草:2006/10/16(月) 11:07:50
(´・ω・`)

352 :名無し草:2006/10/16(月) 17:23:05
おまいら

353 :名無し草:2006/10/16(月) 22:11:14
>>330の変な前置きイラネ
腹立つ

354 :名無し草:2006/10/16(月) 23:01:19
>>330の後半2行は確かにアレだが、流石にそれは心が狭いぞ

355 :名無し草:2006/10/16(月) 23:15:32
下手ですが〜、とか書けば、そんな事ないですよ!上手ですよ!
とか言って貰えると思ってんじゃないの?

356 :名無し草:2006/10/16(月) 23:31:52
粗品とかつまらない物ですがのノリと一緒
謙遜しすぎでも寛容な心で対応

357 :名無し草:2006/10/17(火) 00:04:17
>>330に対しては、下手って自称してるけど本当に下手なんだな
下手だとわかってるなら書くなよ程度にしか思わなかった。

358 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:37:21
さまぁ〜ず編いきます。





地面に落ちる木の葉の影は次第に、夕暮れの熟れたような赤い陽の光をうつしはじめている。
設楽と三村は森の中をひたすら歩いていた。土と植物の匂いが暑い空気に混じって立ちのぼる。
夕立でも降ってくれれば少しは涼しくなるだろうに、いっこうにその気配はない。

「あぢい…」
「言わないで下さいよ、なおさら暑くなるじゃないすか」
「あーくそ、コレまだ木陰だからいいけどよ、平地キツいぞ」
「待ち合わせ場所、スピーカーんとこでしたっけ?」
「おう」
「多分平地ですよね」
「平地だよ」
「…大竹さんひからびてないすかね」
「どうだろうな、あいつ寒がりだかんな…暑さには強ぇかも」

まったくもって暢気な会話を交わして、三村は目的地で待つはずの大竹のことを思う。
三村も設楽も大竹が無事だと信じてはいるが、この目で確認していない以上、それは希望でしかない。
設楽は口にしないが、日村に関してもそれは同様だ。設楽の相方が無事である保証などどこにもなかった。
特に設楽と日村の場合、三村と大竹のように待ち合わせた場所があったわけでもない。
最低限のとり決めだけで彼らがもう一度出会うには、相当な運が必要だった。

359 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:37:55

それでも、道連れがいるだけ互いに気が楽なのか、二人ともあまり深刻にならずにすんでいる。
三村にとって設楽は特別に仲のいい後輩というわけではなかったし、設楽から見ての三村も同じく多少の距離があった。
だが、そのことが逆に一定の緊張感を生み、彼ら二人の精神状態を上手い具合に保っている。
これが仲のいい相手なら逆に、もっと沈んだ空気で道中を行かねばならなかったかもしれない。

それほど強力な武器も持っておらず喧嘩慣れもしていない二人は、襲われればそこでゲームオーバーの可能性が高い。
だが幸い、彼ら二人にはある種の運が備わっていたらしく、その道を阻む人間に会うことはなかった。
ありがたいことに無傷のまま目的地付近まで歩いてくることのできた彼らは、ほっと息をつきつつ周りを見回す。
森の木々の切れ目が見える。そこからのびる下草の群。それを越えた先にそそり立つスピーカーがある。
しかしそのスピーカーの下には誰の姿も見えない。次第に不安を募らせる三村をよそに、設楽が言った。

「これやっぱり平地で待つのキツいし、木の近くにいるんじゃないすかね?」
「あ、そうか」

言われてみればその通りだ、こんな暑くて西日がきついのに、大竹が平地で待つはずはない。
設楽の言うように、どこか木陰で様子をうかがっていると考える方が自然ではあった。


360 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:39:07

ただ、問題はここで大きな声で大竹の名前を呼んでもいいのかということだ。
誰かに聞きつけられたらまずいと思った三村と設楽はとにかく目をこらし、草をかき分ける。
三村がお約束のように転がっていた大きな石の下を確認したところで、のそりと渦中の人物が立ち上がった。

「いやお前、そこダンゴムシとかしかいねぇから」
「…おまっ、気づいてたんならすぐ出てこいよ!」
「まー、ダンゴムシみてーな面しちまって」
「ダンゴムシ?!俺の顔丸まっちゃうのかよ!」

相変わらずの大竹の様子に安心したのか、三村も調子に乗って返事を返す。
そんな先輩コンビのコントの一部のような会話を一歩さがって聞きつつ、設楽はひとり心和んでいた。
時計はもうすぐ午後6時を指そうとしている。沈みかけの太陽が血のように赤く滲んでいた。






それから十数分後。森の端の木陰で三人は、人目を忍ぶように小さくなって座っている。
彼らが無事に合流してすぐ、間近にあったスピーカーから轟音で放送が開始され、そこで犠牲者の名前が読み上げられた。
その中には三人がよく知る人物の名前もいくつかある。特に同じ事務所の小沢の死はかなりの痛みを彼らにもたらした。
しばらく無言で時が流れる。それから少ししてウド鈴木の名前が呼ばれた後、大竹が小さく「え」と驚きの声をもらした。
それに答えるように、三村はウドの遺体が学校を出てすぐのところにあったことを、ぼそりと告げる。
ひどく沈んだ空気の中、放送は終った。設楽の相方、日村の名前が呼ばれなかったことはせめてもの救いだ。


361 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:40:01

三人は黙したまま、誰かが何か話しはじめるのを待っていた。
じれったい沈黙と、互いへの無言の重圧。結局痺れを切らしたのは大竹だった。
彼が語ったのは大島に襲われた劇団ひとりとの出会いと別れ、上田との合流の失敗。
その話が無理矢理の明るさを交えつつ終ると、次に口を開いたのは設楽だ。

彼はゆっくりと話し始める。話の始まりは教室の中、日村との約束。そして一人、外に出てからのこと。
森の蝉の鳴く、その悲鳴のような声が、まるで雨のように耳に降ってくる。
その単調なメロディに歌詞を乗せるかのように、設楽の言葉もまた沈みがちで単調だった。

「…教室で日村さんに声をかけて、学校出たすぐんとこで合流する約束をしたんです」

そして彼は日村との約束通り、学校のすぐ近くの草むらにしばらく身を潜める。
だが、隠れたまま15分かそこらたったところで、事態は急変した。
学校の出口付近から、どうみても戦闘していると思われる激しい銃撃音が聞こえてきたのだ。
本能的にその場にとどまることを恐れた設楽は、全力疾走で西へと逃げた。

闇雲に30分ほど走ったところではたと正気をとりもどし、その場で一旦座り込んでデイパックを確認する。
その中から出てきた車の鍵の使えなさに打ちのめされつつ、名簿から日村の出てくる時間を推測して戻ろうとした。
ところがその瞬間、木の陰に隠れていた彼の横を通った者がある。


362 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:40:46

…それは、拳銃を握ったまま血走った眼で森の中をふらふらと歩いている有吉弘行だった。

設楽はその異様な風体にぞっと胆の冷える思いで、隠れていた木の幹にしがみついた。
もし彼がもう少し先まで走っていたら、錯乱した有吉と鉢合わせで撃ち殺される、という可能性もあったのだ。
全ては紙一重の差。設楽はこの有吉の姿を見て学校の方向へと戻るのを躊躇したのだった。
なぜなら有吉がむかっていったのは、あきらかに学校のある方角だったからだ。
このまま戻れば有吉と鉢合わせたり、そうでなくとも有吉があの校門付近で銃撃戦をしていた奴と揉めるかもしれない。
その不安が設楽を学校へと戻らせず、日村との学校付近での合流を諦めさせることに繋がった。
仕方なく設楽は、さらに西へとむかって歩く。日村には学校を出て自分がいなければ西に、と言ってあった。
それ以外の情報がない以上、日村もひたすら西に進むに違いないと設楽は思ったのだ。

「…それでたどり着いたのがあの小屋で、家探ししてるときに三村さんが入ってきたんです」

そうして設楽は三村と合流し、スピーカーへとむかい、大竹を見つけた。
これが彼の身に起こったここまでの出来事のすべてだ。

三村も大竹も、設楽が聞いて逃げ出した銃声で、おそらくウドが犠牲になったのだろうことに気づいていた。
いや、設楽自身も気づいていた。三村がウドの遺体を校門の前で見た、と鬱々とした声で言ったときに。

あの時逃げ出さずに、何か手を貸すことができていたら。設楽の胸をそんな思いがよぎる。
ウドは設楽にとってそれほど近い先輩とは言えなかったが、目の前の二人にとってはよく知る相手だ。
逃げたことを責められても仕方ないと設楽は覚悟する。だが、二人が彼を非難することはなかった。


363 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:41:50

「…有吉なら俺も見たわ」

大竹はぽつりと言う。そこに何かをとがめるような調子はなく、それが設楽を安堵させた。

「アレは怖ぇよ、俺も声かけらんねぇと思った」

そう続けた顔は何か、困ったような笑みを浮かべていた。
それに設楽が同じような少し困った笑顔で返すと、今度は三村が口を開く。

「じゃあさ、とりあえず日村捜すか?」

軽やかな口調で発されたのは、設楽が予想もしていなかった言葉だった。
確かに彼はできることなら日村を捜したいと願っている。だがそれはとても難しいことだ。
そんな無謀な捜索に手を貸してくれとは言いづらかったし、言ったところで乗ってくれるとは思えなかった。
にもかかわらず三村は、まるで何でもないことのようにそれを口にしたのだ。設楽の驚きは相当なものだった。

「…いいんすか?」

まさに青天の霹靂とでも言うべき三村の言葉に、設楽は半信半疑で問い返す。
うん、と一つうなずいたこの気のいい男は、隣に座る大竹に同意を求めた。


364 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:44:25

「いいんじゃねーの? なぁ大竹」
「…ん、いいんじゃねぇの」

その提案に大竹もとくに反対はせず、そのまま三人の行動の指針は日村捜索に決まる。
正直な話、大竹も三村も何をすればこのゲームを変えることができるか、まだ具体的に思いついていなかったのだ。
とりあえず仲間を集める必要があるだろうとは思っていたが、その先はこれから考えるところだった。
大体、問題なく仲間になってくれそうな芸人など、自分たちの交友範囲の広さからしてもそう多くはない。
それを考えれば、日村は間違いなく仲間に引き入れられそうな相手なのだ。何といっても設楽がいるのだから。

当座の目標が定まった三人は、とりあえずこれからどう動くか話し合った。
とにかく、もう日が沈んでしまったこの状況では下手に動くのも危険だろう、という結論に達する。
森の中は木々の葉に閉ざされており、戻るには暗かった。多少夜目が利くくらいではとても正しい方向に進めそうにない。
そこで、森の端からスピーカーのある山の尾根まで移動し、岩の陰にでも落ち着ける場所を探そうということになった。

やっと彼らは重たい腰を上げ、下草をかき分けて歩き出す。
せめて今晩の寝床だけでも確保せねば、と幾分暢気だが切実な思いで前へと進んでいくのだった。




365 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 00:45:42
【さまぁ〜ず 三村マサカズ】
所持品:スリングショット(190/190)、鍵とキーホルダー・煙草(開封済)・ライター(私物)
第一行動方針:とりあえず寝床探し
第二行動方針:日村を捜す
基本行動方針:生存
最終行動方針:できるだけ大勢が生き残る方法を探す・大竹と一蓮托生
現在位置:森のはずれ、防災スピーカー付近
【さまぁ〜ず 大竹一樹】
所持品:特選花火セット大(&輪ゴム)、ライターと伊達眼鏡(私物)
第一行動方針:とりあえず寝床探し
第二行動方針:日村を捜す
基本行動方針:できるだけ生存
最終行動方針:プログラムの変更、離脱
現在位置:森のはずれ、防災スピーカー付近
【バナナマン 設楽統】
所持品:車の鍵(スズキ)、ガムテープ、スズランテープ、小麦粉
第一行動方針:とりあえず寝床探し
基本行動方針:日村と合流したい・プログラムには乗らない
最終行動方針:日村と合流できたら考えるつもり
現在位置:森のはずれ、防災スピーカー付近
【8/15 18:45】
【投下番号:120】


366 :名無し草:2006/10/17(火) 00:48:58
リアルタイムでキタ―――(・∀・)――――――!!
乙です!
さまぁ〜ずいい人だなぁ
日村が無事に見付かりますように

367 :名無し草:2006/10/17(火) 01:25:19
乙!日村と合流出来るといいなあ

368 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:18:23
前スレ>>479-492 続き

 パステルブルーのミュールについた、青いコサージュが揺れていた。決して力強くな
い足どりは、秋空に飛ぶアゲハ蝶に近い。だいたひかるは、草に切られて傷ついた足を
引きずるように歩いていた。
 少し高めのヒールが柔らかい土に食い込む。パンツルックだけど、もう少しカジュア
ルな服装にしてくればよかった。そうやって後悔したのはもう数時間も前である。逸脱
した環境の中、満足な食事も休息もましてや用も足せずに歩き続けたせいか、既に意識
が飛び去ってしまっていたのだ。
 残っているのは無気力な感覚と動きにくくなった体だけだった。辛うじて目には光が
あるが、もうすぐで消えてしまうだろう。だいたの頭にちらつき続ける顔と共に。
 つい最近結婚した夫がいる。お互いに忙しく毎日一緒にいられるわけではなかったが、
それでも同じ部屋に暮らしているだけで満たされた。柄ではない、自覚はしていたが根
が素直なのか、幸せな結婚生活を楽しんでいた。なのに奪われ、殺し合いに巻き込まれ
ている。
 ため息が落ちた。月明かりで照らしきれない鬱蒼とした森の中で、酷く大きな音を作
り出した。誘発されたように吹いた風が木々を揺らして、だいたの存在を辺りに広めて
いく。ゆっくり周囲を見渡して誰もいない現実を数秒かけて受け止める。
 体が崩れた。地上に出た木の根にヒールが引っかかったからだった。咄嗟に、持って
いた長い支給品で体を支える。朴刀という、長い柄の先に刃物が付いた中国武術専用の
武器である。無機質にぎらつく刃が殺生能力を誇示していた。

369 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:18:57
 もう一度ため息を落とす。
「どうでもいいのに」
 今度は同時に言葉が零れた。だらりとした手に握られた朴刀の先端は、ずるずる引き
ずられているせいで土がこびり付いていた。汚れを落として首を切ろうにも気力はなく
覚悟もない。全てを捨ててリタイアするには肩に乗せられた荷物が多すぎる。さっきか
ら浮かぶ顔が第一の理由だ。
 夫の笑みを浮かべてふと考える。芸人が殺し合いをしている、話題性は十分だろうか
ら、地上波で放送されているかもしれない。だとすれば、夫がテレビに齧り付いている
のだろうか。もともと作家であるせいかテレビ番組は気にしている風だったけれど。
 だいたの名前を聞かないために、音量を上げてテレビの前から一歩も動かずに、二人
で生活してきた部屋で、一人座り込んで。丸まった背中は簡単に想像できた。とても辛
いことに思えた。
 数秒間だけ目を閉じる。開けば頭はからっぽになっている。暗闇に導かれるようにし
て歩き続ければ、いつの間にか目線が下に降りていった。足もとまで落ち込む前に動き
を止める。
 目の前に小さな、黒い生き物がいた。暗いはずが鮮明に映し出されたのは、その生き
物が宙に浮かんでいたからだろう。八本の足を忙しなく動かす蜘蛛だった。よく見てみ
れば細い糸で吊るされている。
 糸に沿って顔を上げていった。せめてこのとき、首を上げきって星空を眺めていれば
よかったかもしれない。だけど、だいたは森の向こう側にある光の気配を感じとってし
まった。同時に、頭の奥に押し込まれていた欲が膨らみ始める。

370 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:19:56
 人恋しさではないようだった。無意識のうちにリタイアを望んでいるわけでもなさそう
だ。虚しい気分を埋めてくれる存在を探していたのかもしれないが、本人がわからない
以上答えはない。
 腰よりも長く伸びた草、太い木に絡まる蔦、道を阻む木々を越えていく。掻き分ける
せいで手にも切り傷ができてしまったが気がつかなかった。足跡代わりに草で分かれた
道を作り続けていたら、視線の少し先で森の流れが切れていた。更に先にはたき火の周
りに座り込む二人組が見える。
 サーカスが始まる前を思いだした。人を楽しませる演者達が、技を繰り広げる準備を
している姿に重なった。炎に照らされた二人組は違う方に体を向けて、どちらも自分の
手もとに集中していた。炎の音が聞こえるくらいだから、目を細めれば何をしているか
わかる。
 一人はトップリードの新妻だった。足りない光を恨んでいるようなそぶりで、熱心に
何かを書いていた。ぎりぎりまで紙に顔を近づけて、たまにさらさらの髪をかきむしる。
生き残るための手段でもまとめているのか、それとも遺書でも書いているのか。想像し
ただいたは、夫になにもメッセージを残していないことに気づいた。デイパックに入っ
た筆記用具が頭に浮かぶ。
 もう一人はオリエンタルラジオの中田である。四角い何かを熱心に回している。遠い
昔にはやったルービックキューブだった。何か違うことに集中して恐怖を紛らわしてい
るのだろうか。迷いなく揃っていくルービックキューブはだいたに聞こえるくらいの音
で鳴いていた。プラスチックなのに軽くはない高級そうな音だった。

371 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:20:30
 二人で終わりだ。けれど炎に照らされているのは人だけではなかった。後ろにはほと
んどが木で作られたアンティーク調の建物がある。人が生活するには遊びすぎたデザイ
ンで、ごたごたした玄関横には派手な服を着せられた人形が吊るしてあった。バレリー
ナのように伸びた手が小さく揺れている。多分、糸人形なのだろう。
 だいたには悪趣味にしか思えない。とある深夜番組でフリルが付いたピンク色の服を
着せられたときがあったが、それ以上の違和感を覚える風景だった。ついで、気まぐれ
で周囲を見渡せば、月明かりに照らされたシルエットに観覧車らしきものが混ざっている。
 どうやら遊園地らしかった。それ以上の思考は面倒になってやめた。だいたにとって
状況の把握は無駄なものでしかない。生きる気も死ぬ気もなく流されているからだ。
 しばらく眺めているうちに、二人組の周りを満たす静寂に引きずられかけていた。そ
れこそ感情を持たない糸人形になりかけていただいたにとって、何も話さなくて良さそ
うな存在は貴重だった。深い穴に落ち続けるような、からっぽの頭が揺れる。髪が跳ねる。
 一歩を踏み出した。どうやら二人との会話を求めているようだった。銃声、叫声が混
ざり合う世界で、時間を止めて世界を作る存在に縋った。無言でいるだけの二人組なの
に、これほどまでに欲してしまったのは、だいたが既に壊れている理由になりえるのだ
ろうか。

372 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:21:01
 二歩目を踏み出して動きを止めた。中田の口もと流れる透明な液体が見えた。正体は
涎で、拭うこともなくルービックキューブを回し続けていた。どうやら壊れてしまって
いるらしい。だとすれば、一緒にいる新妻もそうだろう。
「光が足りない」
 不機嫌な声が届いてきた。無い物ねだりより残酷な中田の表情は神聖なものにも思え
た。だいたは、鳥肌立った細い腕を小さく撫でて、食い入るように二人を見つめた。数
秒してから新妻が答える。
「夜だからね」
「作ればいい」
 中田が立ち上がる。ルービックキューブだけは左手で持って、ポケットから何かを取
り出した。玄関横で吊るされた糸人形の前に立ち、手を伸ばしている。
「何してるの?」
 新妻の質問に答えはなかった。黙ったままの中田は人形に手を翳し続けた。数分経っ
て、なぜか中田の体がはっきり見えるようになる。手を下ろした中田がその場から動い
てやっと、糸人形が燃えているのがわかった。
 広がったスカートに炎のフリルが縫いつけられている。布で作られているおかげでよ
く燃えた。強くなる火は人形の足もとや腰をゆっくり包み込んでいく。
 中田は人形の側に座った。ライターか何かをポケットに入れ直してから、もう一度ル
ービックキューブを回して世界に入り込んだ。燃え盛る人形よりもたき火のほうが光が
強いはずなのに、だ。実際に新妻は中田を見やっただけで移動せず、書き続ける手もと
の動きを速めるだけだった。

373 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:21:37
 光景をぼんやり眺めていただいたは小さく笑う。二人はコントよりもメルヘンチック
でおかしかった。それと一緒に喪失感を持つ。二人が二人だけの世界で完結しているこ
とを悟ったからだった。二人の相方がいないことだけが不思議だけれど、何か特別な理
由があるのだろう。
 場違いに思えて、後ろ髪を引かれながらも背を向けた。後ろ側から聞こえてくる炎の
音は揺らめいて不安定だった。嫌に背筋を伸ばしただいたは踏み出す、一歩、二歩、三
歩進んだときに何かが崩れた音がした。
 気になって振り返る。見えたのは、糸を失って崩れ落ちた、燃え続ける人形と。
 心臓が跳ねた。目を見開き、無気力を放って逃げ出した。いつの間にか静寂を崩して
しまっていたのだろうか、理由はよくわからないが、中田は間違いなくこちらを向いて
いた。虚無も高揚もすべて持ち合わせた無表情だった。
 つまりは第六感がこう告げたのだ。逃げろ。
 体が崩れた。間違いなくデジャヴがあった。引っかかったミュールのヒール、体全体
が一瞬だけ浮く。朴刀でバランスは取れなくて大げさに倒れ込んだ。とっさに顔を上げ
て立ち上がりかけるが、衝撃で作られた目眩に数秒耐えた後、倒れ込んで仰向けになっ
てしまう。
 視界はあやふやなままだった。高く伸びた木のシルエットが襲いかかってきても不思
議ではない気がしていた。意味も無く目を閉じてから、数秒間だけ時間を止める。重く
開けたまぶたの向こう側にあるのは空に輝く星ではなく、ウォーハンマーを肩にだいた
を見下ろす中田の姿。

374 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:22:08
 手だけは朴刀を探していた。見つけて握りしめたが持ち上げられない。顔だけを手の
方に向ければ、中田の足が朴刀の柄を踏みつけていた。壊れてしまっても頭の回転は早
いままのようだ。
 だいたの意識が朴刀から離れた。横で白く浮かぶキノコと同じ目線から、後輩を見上
げているだいた自身の姿は酷く滑稽だった。小さく笑い、抵抗も忘れ、朴刀を握る手の
力を少しずつ弱めていく。
 黙って隠れていれば終わっていたかもしれないのに、隠していた本能に従って逃げた
だけで、状況が一変してしまった。リタイアするときですら同じように突然訪れるなら、
今、抵抗せずに終わらせたほうがいいかもしれない。
 生きたい気持ちは既に消え去っていた。全てがどうでもよくなって、ただ笑みを浮か
べた。目尻に小さな皺を作って、頭に浮かぶものを一つずつ消していく。
 最後に残ったイメージはよく見知った顔だった。誰だか思いだせなくて、いずれ顔の
イメージすらなくなった。知っている部屋で一人、座り込んでいる背中だけが鮮明に映
し出される。さよならを言う相手だった気がした。
 覚悟には程遠い感情を持つ。目を瞑らなくても何も見えなくなるはずだ。けれど、目
をかすめて待っていても終わりは訪れない。誰かの手がだいたに向かって伸びた。視界
をはっきりさせて確認すれば、楽しそうに中田が笑っている。少なくとも敵意はない。
 だいたは何を思うわけでもなく手を伸ばした。頭に巣くう虚無に後押しされた。体を
起こされている途中で救いを感じたのは間違いではない。
 ふらつきながらも立ち上がった。返された朴刀で体を支える。手招きをした中田の背
中に付いていった。殺さなかった理由は望んでいた静寂が手に入れられそうだったから。

375 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:22:40
 不可思議な空間に飲み込まれていた。顔を上げれば、火が移り始めた建物が目に飛び
込んだ。黒こげになった人形がだいたを責める。無機物なのに近い存在に思える。もう
一人の姿は見えない。
 高く上がる炎を背にした中田は、紳士のように手を上げ顎を引いた。ステッキ代わり
のウォーハンマーを体の前に置いてから、首を傾げて小さく笑う。糸から解放されたば
かりの人形よりも不自然でぎこちない動きだった。うつろな目には光がない。
「あなたは俺に逆らうか?」
 尋ねられたが黙っていた。代わりに小さく首を振って答えた。意志を忘れただいたは
会話をしている意味すらわからないのだ。
 満足そうに笑った中田が腕を広げる。世の中の全てを見透かしたかのような行動だっ
た。だいたは遠くで燃える建物の熱をちりちりと受け止めながら、踊るように夜空を仰
ぐ中田を眺めていた。変拍子のバラードがよく似合う光景。
 少なくとも。この時点ではまだ罪を侵していなかった。むしろ気に入られていたのか
もしれない。奇妙な質問で全てを決定してしまった中田、このような状況に巻き込んだ
政府、自分自身、何を憎めばいいかわからないが、とにかく次の瞬間にだいたは間違い
をおかした。
 先を決定させた質問はこうだ。
「あなたにとっての神は?」
 それに対する、悪い見本になり得るだいたの答え。
「ふざけたやつ」

376 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:23:12
 考えるより早く飛び出した本音だった。神がいたとしてもいなかったとしても、この
ような状況に巻き込まれている時点で、憎らしい対象であることは火を見るより明らか
だった。そしてだいたは中田の頭の良さも知っていて、意見に同意してくれると決めつ
けていた。
 おだやかに笑っていた中田は急に表情を変え、殺人鬼を連想させる雰囲気を作り出す。
ステッキとして利用していたウォーハンマーを武器として持ち直した。異様な空気に押
されただいたは小さく驚いて後ずさりをする。
「裁く必要がある」
 中田が小さく呟いた。会話でない独り言だった。殺されかけているらしい、小さく悟っ
ただいたは一瞬だけ空を仰ぐ。外から見れば特に変わりない反応は、頭で始まる葛藤の
合図。
 ここ数分の感情の変化は異常だった。逃げたり殺されたがったりで随分上下している。
今は実際に殺されかけているのに緊張すらしない。無気力にも攻撃的にもなりきれずに
ふわふわと浮かんで、意志が地に足をつけるまで待っていた。殺されたいから逃げない、
殺されたくないから朴刀を握りしめている。本当に中間だった。
 何かを呟き続けていた中田が顔を上げる。だいたはただふやけた目で見つめ続ける。
願うのは一つだけだった、答えを導き出す流れを。
「お前は必要ない」
 二人称が変化した勝手な結論に刺激された。小さな閃きよりも微弱な電流だったけれ
ど、虚無に捕らわれかけていただいたには十分なものだった。例え間違いだったとして
も、正気を取り戻しかけた頭に真っ先に浮かんだ顔がある。

377 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:23:43
「必要ではない」
 中田は何度も繰り返す。比例してだいたの思考がまとまっていく。最終的には人間ら
しい感情を取り戻した。失礼な奴だ、怒りに含まれる苛立ちだ。感情を取り戻すきっか
けでもあったおかげか、なぜか感謝も混ざっていた。
「私は必要とされてる」
 あやふやではないはっきりした口調だった。
「私を待ってる人がいる」
 浮かんでいた顔が誰だか思いだした。照れたように笑う夫だった。こうやって殺し合
いに巻き込まれたせいで忘れかけていたけれど思いだした。忘れてはいけない存在だった。
 今、この状況は放送されているのだろうか。だとすれば、夫はテレビに齧り付いてい
るかもしれない。早く帰って肩を叩いてあげないと。下手な料理で安心させてもいいか
もしれない。
「神はお前を必要としていない」
 更に失礼なことを言われても、だいたの意志は揺るがない。この世に神がいるならば、
夫を一人にはしないはずだ。もしいたとしても決して信仰はしない。
 数秒の沈黙が流れた。静寂ではない、燃え盛る建物が音を立てて崩れていたからだ。
最初に犠牲になった人形はすでに形をなくしていた。数秒眺め、あることに気づいて息
を飲む。
 炎に包まれた建物の中にたくさんの目が紛れていた。崩れた壁から覗くのは大量の人
形、全てがだいたを見つめているように思えた。無気力に作られた目は目の前に経つ中
田とよく似ていて、全員がだいたを責めた。それこそ、神に見放された存在をさげすん
でいた。

378 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:24:14
 中田が人形と炎を引きつれて笑う。
「俺がお前を必要としていないからだ」
 全てが繋がった。中田は自分を神だと信じていて、だからこそ侮辱されたときに怒り
を浮かべたわけだ。
 だいたは思う。どれだけ高飛車な思い込みでも勝手にしてくれればいい、けどこれ以
上関わるならこちらにも覚悟がある。中田がだいたが殺そうとしている以上、話し合い
はもう終わりで。逃げても追いつかれてしまうなら、いっそここで関係を終わらせてし
まうべきだ。
 だいたが一歩を踏み出せば、ヒールとコンクリートが軽い音を立てた。生き残るため
には邪魔だ、投げ出すようにミュールを脱げば、衝撃で青いコサージュが外れる。
 ちらつき続ける悲しい背中と、握りしめた朴刀に誓った。
「私は神にさからう」
 朴刀を構えて裸足で駆ける。急な行動に反応できなかったらしい、ウォーハンマーは
動かない。相手まで数メートル、ためらいを捨てて覚悟を決めた。無表情でいた。
 中田は笑った。手品のように取り出した銃をこちらに向けて笑った。避けなければな
らない、直進だけを決め込んだ体は言う事を聞かない。頭に夫の笑顔が浮かぶ、相手が
引き金に力を込める前に殺さなければならない、相手が引き金を引
 痛い。衝撃で体が大きく揺らいだ。心臓がない側の胸が内側から破裂を繰り返してい
る。それと熱かった。外から来る炎ではない、熱せられた杭が胸に刺さっているようだっ
た。息が出来ない、体が崩れる、コンクリート上に倒れ込む。

379 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:24:45
 不規則なリズムで脈打った。ぬるぬるした温いものが流れ出していた。荒い息の先に
はヒールが折れたミュール、今度は寒くなってきた、咳き込んで震える。
 上から何かが聞こえてくる。だいたの耳には届いていなかった。目は夫の背中ばかり
を追っている。手を伸ばそうにも届きそうにない。
 衝撃が走る。背中を踏みつけられた。手放しかけていた意識が戻ってきてしまう、継
続的に加わる痛みが意識を繋ぎ止める。潰れた音を出しただいたは嫌に澄んだ耳で中田
の言葉を拾った。
「サディズムの先にあるのは?」
 体が跳ねる。死なない体が疎ましくなる。言葉は継続的に続く。
「越えた向こう側にあるのは……」
 ずるずる嫌な音がした。だいたの体はどこかへ引きずられていた。熱を奪われている
はずの体が熱くなっていく。何かが崩れる音と、燃え盛る音がする。
 体を起こされて座らされた。酷く熱い背もたれだった。人形の家か、バレリーナに似
た糸人形のように炎に包まれていく体が、皮膚がじりじり焦げついていく。冷静に捉え
られるのはそこまでだった、想像を絶する痛みの中、発狂したかのように呼吸を繰り返
した。体が動かないのに意識だけが動く。

380 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:25:24
 少し離れた先に誰かがいた。睨み付ける力はなく、霞む目線で眺めた。穏やかに笑っ
ているのがわかって、神様に似ていると思った。ひょっとしたら本当に神様だったのか
もしれない。その瞬間、暖かい炎に包み込まれて、目の前に光が広がった。だいたの目
の前だけだとしても、そこには確かに光があったのだ。
 夫と二人で暮らした部屋がある。そこでは夫が一人、テレビに齧り付いていた。後ろ
から肩を叩くために立ち上がろうとしても、どうも眠たくて動けない。手を伸ばしたら
光も消えた。やはり先では誰かが笑っていた。
 だいたは思う。
 ああ、これは神様の同情だ。重くなった体はもう動かないが、暖かい炎の毛布に包ま
れて灰になるのだろう。体がなくなればどこにでも行けるようになる、こんなくだらな
い世界を捨てて飛びだとう。今までに背負った罪もこれだけ苦しめば償えただろう、自
分はその機会を与えられた。
 今から、今から愛する人の元へ行く。空をこえて、悲しい背中を撫でに行く。待って
くれているだろう、さあ、体から離れて。
 最期の挨拶をしにいくよ。





381 : ◆xCi5vGY7XY :2006/10/17(火) 02:26:30
【だいたひかる(北本ひかる) 死亡(出血、一酸化炭素中毒)】
【オリエンタルラジオ 中田敦彦】
所持品:ウォーハンマー、ラドムVIS-wz1935(10/11)(自動拳銃)、ルービックキューブ、朴刀
状態:良好
第一行動方針:サディズムについて結論付ける
第二行動方針:新妻に無知の知を教える(ラーメンズ小林との接触)
基本行動方針:相手により変化、必要ならば裁く
最終行動方針:世界を手に入れる
【現在位置:F3・遊園地内のマリオネット博物館前】
【8/15 23:56】
【投下番号:121】

以上です、前回感想くださった方、ありがとうございました

382 :名無し草:2006/10/17(火) 04:32:44
すばらしい

383 :名無し草:2006/10/17(火) 06:23:23
そうか?

384 :名無し草:2006/10/17(火) 07:12:48
>>368-381
乙です
新妻がどこ行ったか気になるw

385 :名無し草:2006/10/17(火) 07:35:48
そうか?

386 :名無し草:2006/10/17(火) 10:04:56
うん

387 :名無し草:2006/10/17(火) 10:59:45
>>368-381
相変わらず文章が上手い!
だいたに感情移入して読めました。
続きが楽しみです。

388 :名無し草:2006/10/17(火) 12:12:04
そうか?

389 :名無し草:2006/10/17(火) 14:24:45
乙です!
まじで泣きそうになった。

390 :名無し草:2006/10/17(火) 14:25:45
泣きそうになったってwwwwそれは、さすがに無いだろ

391 :名無し草:2006/10/17(火) 16:04:22
乙!死因が焼死じゃないところが救われた感じだ…

392 :名無し草:2006/10/17(火) 17:06:54
>>390
いや、ほんと。
だいたに感情移入し過ぎて、
だいたの旦那と自分の旦那が重なってしまった。
したら、なんかちょっとね。
ま、それだけ魅せてもらったって訳ですわ。


今日は家帰ったら旦那に優しくしようww

393 :名無し草:2006/10/17(火) 17:24:24
ウホッ

394 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 18:50:38
ソラシド水口・NONSTYLE石田編です。長いです。
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『それじゃあお前等、頑張れよ。』
この言葉を最後に、1回目の全島放送は終わった。

石田は水口の悲壮な表情が直視出来ず、かける言葉も浮かばなかった。
自分がもっと明るい性格なら、と石田は対人恐怖症の自分を責めた。
だが、この状況では石田の様に黙り込むのが普通の反応であり、
他人の事を気遣う余裕がある分、まだ石田は冷静な方だったといえる。

「隅田さん・・・和田さん・・・・岡さんに木村さんも・・・」

死亡者の中にはbase芸人4人の名前が上がっていた。
それ以外に、いまはうめだ花月に在籍している元base芸人、
ビッキーズ木部、フットボールアワー岩尾の名前も。

右手を震わせながら、石田は赤いマーカーで死亡したとされる芸人に線を引いた。
普通ならものの1分で終わるような作業が、時計をみると10分以上も経過していた。
名簿から視線を前にいた水口に移すと、水口はスコップとデイパックを下げて立ち上がっていた。


「・・・はよ行かな。」
本人は無意識に出した言葉だが、石田にはそれがハッキリと聞き取れた。


(・・・行くって、どこへ?)




395 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 18:52:03

1つの疑問を浮かべた石田に水口は言った。

「石田、ここでお別れや。俺にはする事がある。」
「えぇっ!?」

驚く石田に目もくれず、水口は歩き出す。
まだ会って30分程しか経っていないのに、言葉ひとつで別れるなど当然石田は納得がいかない。
しかも、バトルロワイアルという特殊な状況下で。

「ちょ、ちょっと待って下さいって!
 まだ会うたばっかりやないですか、なのに何で!?
 僕が足手まといやから放っとくいうんですか!!?」
石田が水口の左腕を掴んで喰ってかかった。
俺がこの弱肉強食のプログラム、勝てるなんて考えてへん。
人一倍弱いこの体が精神的にも肉体的にも無理やって事は充分わかってる。
でも、さっきまで普通に接してくれてたのに、放送で現実を突き付けられたら見捨てるなんて酷い!
水口さんも結局これにのったんか!?

涙目の石田に、水口は落ち着いた口調で言う。
「・・・お前はその凄い武器でなんとかなるやろ?
 俺がしてる事は俺1人がしたらええ事やねん。殺す気のやつに狙われる可能性は、普通に
 してるよりよっぽど高い。それでも一緒に行こうなんて、俺には言えへん。」


396 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 18:52:40

石田は水口の言葉を頭の中で繰り返した。
もし、水口が石田が考えている通りプログラムに従う人間であるなら、自分が優勝する為に
利用出来る物は利用するだろう。そう考えると、さっきまでの水口の行動はそうとは思えない。
今自分が持っている武器-----オフェンスキープは、中々に当たりの武器だ。
優勝するのが目的であれば、いつでも奪うチャンスはあった筈。
しかし、水口はそれをしなかった。

「・・・その"しようとしてる事"は人を殺す事と違うんですか?」
「・・・・ちがうよ。」
「やったら・・・俺も一緒に行動さして下さい。」

水口の言う事を完全に信用するには、あまりにも時間が短かった。
しかし、石田は水口の言葉を信じる事にした。
親しい先輩を疑いたくなかったから。いや、それよりも----------


「それに僕、こんな重たい荷物1人で持つのしんどいし、
 あと暗所恐怖症やから、夜1人やとこわいし・・・」
「理由それかい!!」

結局、2人は行動を共にする事にした。




397 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 18:53:31

「あーもう重い〜〜〜!!」
それなりに大きい声で言ったつもりだったが、幸い水口の声はガラガラだった。
「み、水口さん早いですって・・・」
霞んで消えていく様な声で石田は言う。
「お前荷物1つだけやから楽やろ!!」

石田が持っている荷物は自分の支給武器、オフェンスキープのみ。
対して水口は右肩にスコップと自分のデイパック。そして左肩に石田のデイパックを担いでいた。

「何で俺がお前の分も持ったらなあかんねん!!」
「だって〜・・・」

最初はちゃんと自分のデイパックと武器を其々持っていたのだが、
3kg近い武器を背負った石田が数分置きに転倒し、5回目の転倒で頭を怪我したので
見てられなくなった水口が今の状況を作り出したという訳である。

「それより着きましたね、遊園地。」
「ああ、電気ついてへんから何か薄気味悪いけどな。」

目的地を決めたのは石田だった。
水口が、自分がする事は決まっているが、どこに行くかは決めてない、と言うと、
石田は、森は夜になるとめっちゃ恐いから、と目的地を遊園地にした。
プログラム優勝の為に知恵を絞っている人間からすれば、いきあたりばったりな馬鹿らしい行いであろう。
だが、如何なる謀略、類まれなる運動神経、強力な武器をもっていても、
死ぬ時は死に、結局は運でどうとでもなるのがこのプログラムである。

「そういやもう8時半過ぎかぁ、すっかり夜やな。」
「・・・そろそろ教えてくれませんか?水口さんのやろうとしてる事。」
水口は一瞬驚きの表情を見せると、視線を下に降ろした。


398 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 18:55:23

「僕はてっきりどっか行くとこ決まってて、誰かと合流すんのか思てました。
 でも、そんな気配一切ない。実際ここに行くのも僕が決めましたし。
 もしかしたら、さっき言った事は僕を油断さす為のお芝居やって、
 いずれこれ(オフェンスキープ)取るんか思てたけど、それもない。」
石田の呼吸はやや乱れていたが、口調は落ち着いていた。
「・・・一体何なんすか?何したいんかさっぱりわかりません。」

石田は水口が自分を騙す事や、自分を見捨てる事などあって欲しくなかったが、
それにしてもわからない事が多すぎた。

「それは・・・」
そう言いながら石田から目を逸らし、水口は横に顔を向けた。
その時である。水口の表情は驚愕と悲壮が入り混じった、先程の放送の時と同じになった。
石田もその水口の視線を追う。

展望タワーの真下に人が倒れている。
だが、遠目にもその人間の異常さが確認できた。


もう、生きている人間ではないことが。



399 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 18:58:53

その人間のもとへ水口は走った。
「水口さん!」
石田も追いかける。
数時間前まで人間であったそれが、凄まじい速さで大きくなっていった。

その人間、いや遺体は凄惨な状態であった。
不自然な方向に曲がった体、頭から弾けて何か飛び散ったりグロテスクな中身を曝け出していた。
そして遺体の乾燥した体液の臭いと腐敗臭が風に乗って襲いかかってきた。
寒気と恐怖と嫌悪がすべて濁流になって、石田の体を這い上がってきた。

「うぉえぇえええぇえっ!!!」
オフェンスキープを杖代わりにして、石田は片膝をついた。
凄惨な死体を目前にした事で、石田の考えた「こんな風に絶命する」イメージは急速に現実に近くなった。
精神に連動するように、呼吸が乱れ出した。深呼吸だ、上を向いて、大きく息を吸って-------


顎を上げて、息を吸おうとした石田が眼前に捉えたのはその遺体を引きずる水口だった。

「はぁ!?」

あまりに予想外の水口の行動に、石田は思わず声を出した。
慌てて水口の所に駆け寄る。

「なっに・・・して、はる・・・んですかぁあ・・・っ!?」

呼吸が乱れて上手く言葉が出なかった。
てっきり無惨な遺体を目にした事でパニックを起こした上の行動だと思っていたが、
それにしては水口の表情は冷静すぎる。

400 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 18:59:49

「・・・これや、石田。俺のやろうとしてる事。」
「・・・え?」

「俺は支給されたスコップで、亡くなった人を埋めて墓建ててる。」
「・・・・・・・・・」
言葉が出なかった。呼吸の乱れのせいではない。

「なんで、そんな、こと・・・・・・?」
「自分に出来る事が、これだけしか思いつかへんかったから。」
「・・・・・・・・・・」
再び石田は黙る。水口は続けた。
「これに参加するハメになったけど、俺は優勝しようとも思わんかったし、自殺も怖くて出来んかった。
 でも、俺が何かしてもせんでも誰かが殺されていく。でも、殺された人はそのままやろ?
 ほっとくよりかは、誰かが埋めたった方がちょっとでも死んだ人喜んでくれるんちゃうかな?
 自己満足かもしれへんけど、俺はそうした方がええって思てん。
 ・・・・アホみたいか?でも、ほんまにこれ以外する事が思いつかへんねん。」


401 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 19:00:22

しばしの沈黙。
「・・・水口さん。」
「何?」
「・・・・イキりすぎです。」
「え」
「つまり、カッコをつけてる、調子に乗ってる、キザ、イライラする、なおかつキショイ、
 もう生理的にムリをあわせ持つ言葉 です。」
「おっ、お前、それ・・・・!?」
石田が漫才のネタ中に、井上がかっこつけた瞬間に言う罵倒である。
「かっこええけど、水口さんがイキってんの生理的に無理っすわ!」
「お前、人がええ事言うてんのに何て事言うねん!!」
「イキってる奴止めんのは僕の仕事ですから、一緒にいさしてもらいます。」
そう言うと、石田は遺体の両足を持った。

「石田・・・?」
「やる事がわかった以上は、水口さんにあやしい所ありません。
 僕、1人でいるの嫌っすから。」
「え、ええの・・・?」
「1人より2人の方がはよ終わるでしょ。さ、行きましょ。」
口調は吹っ切れているように聞こえるが、遺体を見ない様にしているのがわかる。
無理をしているのだろう。
「石田・・・ありがとう。」

402 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 19:01:01

オフェンスキープをスコップ代わりにして、石田も掘るのを手伝った。
疲れたら座って、見張り役になった。石田の言う通り、1人でやるより大分早く終わった。
木の枝で十字にして立てると、2人は手を合わせ、墓を背に歩き出した。

2人は遊園地内を歩き回ったが、マーダーにも、知り合いにも、遺体にも出会わなかった。
「もうそろそろメシ食うかぁ」
水口は空腹の限界だった。
「メシっすかぁ?よう食えますね・・・」
「お前はガリガリやからやろ!普通は腹減るもんなんや!!」
石田の体型に関係なく、あの遺体を目にした後で食欲が失せるのは無理ない事だったのだが、
水口はそう言い放った。

その場に座ってデイパックの中身を広げた。
支給された食料の袋を開ける。美味そうとは言えないが、別に今は問題ではない。
「いただきま〜・・・」
「ちょっと待って下さい!」
口をあけてかぶりつこうとした時、石田は制止した。

「なんやねん!食うの見んのも嫌やったら後ろ向いて食べるわ!!」
「そうやないっすよ・・・・あれって・・・・」


水口は黙る。遠くで声がする。聞き慣れた声が。


先程と逆に、今度は石田の視線を水口が追う。
錆びた観覧車の下にいるのは---------水口の相方、本坊 元児。


403 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 19:01:47

本坊は自分達の方へ走ってきていた。
「本坊!?」「本坊さぁーん!!」
「やっぱり水口!あれ、石田も一緒やんかぁ!!」
手を振りながら本坊は走りよって、水口に抱きついた。
「良かったぁ!向には会うてんけど逃げられて・・・・すっごい寂しかってん!!
 いっぺんに2人も会える思わんかった!!」
泣きながら本当に嬉しそうに、本坊は言う。
懐かしい、いつもの本坊だ。泣き虫でさびしがりやの、
いつもの相方、本坊だ。


たったひとつ、その体にさっきの遺体と同じ-------
死の臭いをまとっている事を除いて。




404 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/17(火) 19:03:17
【ソラシド水口 NONSTYLE石田・ソラシド本坊 合流】

【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:相方捜索
最終行動方針:未定

【NONSTYLE 石田 明
所持品:オフェンスキープ
基本行動方針:とりあえず病気にならない
第一行動方針:骨とか折らない
最終行動方針:健康でいたい

【ソラシド 本坊 元児
所持品:コンビニコスメセット
基本行動方針:一緒に死んでくれる人を探す。
第一行動方針:相方捜索
第二行動方針:死に場所の捜索
最終行動方針:みんなで一緒に死ぬ】



【現在位置:D-2】
【8/15 21:23】
【投下番号:122】


405 :名無し草:2006/10/17(火) 19:05:20
ツマンネ

406 :名無し草:2006/10/17(火) 19:21:30
>>394-404
乙です!
本坊のこれからの言動にwktk

407 :名無し草:2006/10/17(火) 19:24:47
乙!本坊きたなー!
今更だが石田の行動方針ワロタ

408 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:08:06
さまぁ〜ず編の挿入で劇団ひとりと土田いきます。
2つ話を続けて落とすので、相当長くなるかと思います。




太陽はもはや沈み、西の空に刷毛で掃いたように滲む橙を残すのみだ。
ぼんやりとした薄明かりがまだ辺りを照らしている。川島の汗にまみれた黒い髪が鈍く光った。
自分の名前を呼ぶ声に草むらから立ち上がった土田は、後輩の姿を認めるといつも通りの笑顔をつくる。

「おう、川島無事だったか」
「まあ、何とか…ちょっと足をやられましたけど」

物騒な報告に、土田の目は川島の足に巻かれたハンカチへと動く。
滲んだ血と汗に汚れた布は皺がより、見るも無惨な姿で彼のふくらはぎに引っかかっていた。
それを見た土田は顔をしかめる。そのまま少しうつむいた視線が今度は彼の腕に動き、そこでピタリと止まった。

「…川島、お前その右手の何?」

その声の響きが何か、普段と違ったような気がしたのは考えすぎだろうか。
少しばかり冷たい響きを残した土田の問いに、彼は答える。

「なんか、マシンガンみたいなのなんですけど」
「マシンガン…!お前とんでもないの引いたな」
「実はちょっとビビってます」
「だろうな」



409 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:09:03
ふ、といつものちょっと皮肉な笑みを口元に浮かべて土田は言った。
その右手に持った中華鍋を胸の上あたりまで持ち上げて、こぶしに握った左手の甲でコン、と叩く。

「俺なんかコレだぞ、武器」

その何とも言いようのない土田の表情に、川島はプッと吹き出した。
大柄な先輩とその鍋は妙に似合っていて、休日の昼のマイホームパパを思わせる。
ちょっと手のこんだ炒飯でも作り出しそうな雰囲気の土田に、川島の心は少しばかり和んだ。

そのまま二人は、合流した場所から少し移動する。もうちょっと離れた場所に、と土田が言ったからだ。
のび放題の下草に邪魔されながら、林の中の幾分太めの木の陰に隠れて腰をおろす。
その位置からはブロック塀も確認できて都合がいいので、しばらくここに腰を落ち着けることに決まった。

「そういえばお前、さっきの放送聞いた?」

土田がふと思い出したように言う。その問いに川島はちょっと眉をひそめた。
嫌な記憶がよみがえったからだ。あの放送の中にあった犠牲者の名前は、彼をひどく悲しい気持ちにさせる。

「小沢くんが…」

川島にとって仲のいい友人のひとりだったスピードワゴンの小沢は、すでに帰らぬ人となっていた。
名前を口にするだけであの放送を聞いた瞬間の、目の前の暗くなるような気持ちがよみがえる。
あのとき、まだ森の中を一人で歩んでいた彼にとって、小沢の死は相当に辛い出来事だった。
一瞬、その場で足が止まり、嘘だろ、と独り言を呟いてしまったほどだ。
その言葉に誰も答えるものはなく、そのことが余計に小沢の死という現実を彼の胸につきさした。
だが、自分の耳をすり抜けていった名前の中に“土田晃之”はなく、それがどうにか川島を前に進ませて、今に至る。


410 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:10:25

「…藤井も死んだ」

ぼそりと言った土田に、川島はハッと顔を上げる。飛石連休の藤井。確かにその名前はあった。
最初の方で呼ばれた小沢の名前を耳にしたショックで聞き逃していたのだ。
藤井も川島にとっては親交のある人物だった。上島を囲んだあの飲み屋で顔を合わせたこともある。
ああ、また一人自分の知人がこの世から失われたのだ。彼は唇を噛んでうつむく。

「あいつにも声、かけてたんだ」
「…」
「残念だな」

土田がそう言って、指先で衣装のジーンズを引っ掻くように、立てていた膝においた手を動かす。
川島はその指先の意味のない動きと、甲に走る青い血管とを虚しく見つめていた。

「…ゆうぞうにも声をかけただろ、待とう」

その言葉にこくりとうなずいて、川島は膝を抱えた。その膝に埋められた顔に浮かぶ表情は誰にもわからない。
握ったままのMP7が地面に接して、ガチッ、と音を立てた。そんな小さな音すらも川島の心を波立たせる。
あの教室で自分のすぐ近くにいた佐藤に、土田が声をかけるのは見ていた。佐藤の丸い顔を思い浮かべる。
仲間が少しは増えるかもしれないという希望は、浮かんだり消えたりしながら残酷なまでに川島の心を揺らすのだった。



411 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:11:28




それから彼らは、8月15日が終わるまでまんじりともせずに待った。
6時間はあまりにも長い。時折互いに口を開いては、続かない会話をくり返す。
何度めかはわからない。内容空疎な会話をまた始めようと土田が口火を切りかけたとき、2度目の放送が流れた。
その放送で“佐藤祐造”の名前が告げられると、二人は目を見合わせて溜息をつく。

「ゆうぞうも、か…」

そう吐き捨てるように言った土田に、川島はやりきれない思いでいっぱいになった。
結局、残ったのは自分とこの先輩の二人だけだ。一体それで何ができるというのだろう。
いや、あとの二人が生きていたとして、それでもきっと、できることなど何もないのではないか。
その虚しい思いが彼の胸を襲い、深い溜息が漏れる。こんなひどいことはもう、たくさんだ。
それでもなお全てを諦めることもできず、かといって強気に明るく振る舞うこともできず、川島はうなだれた。

「仕方ねぇ、二人だけだな」
「…はい」

返事をすればまた、深い痛みが胸を刺す。自分たちは一体どうなってしまうのだろう。
危うく眼に涙まで滲ませそうになる川島に、土田が声をかけた。


412 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:12:27

「…とりあえず、もう少しまともな場所に落ち着こう」

その言葉に川島は小さくうなずく。言われるままに彼は立ちあがり、地図にある集落の方へとむかった。
それは本来、夜中にとるべき行動としては正しいものではなかったのだが、彼は気づかない。
川島は、痛む足を軽く引きずりながら歩き出す。その後ろに間隔を置かず、土田がついてきていた。


これから起こる惨劇を彼はまだ知らない。
すでに起こっていた惨劇を知る由もない。


とぼとぼと歩く川島の頭上に、黒光りする中華鍋が勢いをつけてふり下ろされようとしている。
その弧を描く黒い底。土田はつい6時間前、役立たずだと言いたげに鍋をかかげて軽く叩いてみせていた。
あのとき川島がよくよくそれを見ていれば、何かがおかしいことに気づいたはずだ。
わずかに歪んだその鈍重な調理器具には、拭いてもとれなかった赤黒い血がこびりついたままだったのだから。

中華鍋は土田の体重と腕力、重力をともなって川島の後頭部にむかう黒い軌道を描く。
もうすぐ低く鈍い音が響き、また命がひとつ、消える、かもしれない。

川島が土田の茶色い頭を見つけたあの草むら。
そこでは彼のよく知る二人の芸人が、もう二度と醒めることのない眠りについている。




413 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:13:37

【劇団ひとり(川島省吾)】
所持品:H&K MP7 A1(40/40)、ハンカチ(私物)
第一行動方針:土田との合流(達成済)
基本行動方針:殺したくないし死にたくない
最終行動方針:できれば生きていたい
現在位置:学校の欠けたブロック塀の周辺
【土田晃之】
所持品:中華鍋
第一行動方針:川島殺害(実行中)
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
現在位置:学校の欠けたブロック塀の周辺
【8/16 00:05】
【投下番号:123】



414 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:15:35
もう一つ続けて。時間が学校出発前に戻ります。土田の話です。




額から汗が落ちる。夏の強烈な日差しが窓から彼に降り注いでいた。
じりじりと肌を焼く熱に閉口しつつ、土田晃之は羽織った半袖のシャツの肩で汗を拭く。
教室の中、彼はただ、待っていた。自らの闘いの火ぶたが切って落とされるのを。
このゲームは1人の芸人のあっけない死によって始まり、誰か1人をのぞく全員の死によって終る。
それを正しく理解していたこの男に、混乱や恐怖心はない。ただ、ある種の諦めがあったのは確かだ。
たとえ自分が運良く最後の1人になったとして、「元通りの」生活などあろうはずもない。
がむしゃらに生き残ることをここで選択したとしても、結局は数えきれないほどのものを失うことになる。

その事実をきちんと呑み込んだ上で生き残ることを望んだ人間が一体、この中にどれだけいるだろうか。
「自分の命さえ最後まで守り切れば元に戻れる」という幻想を信じて生き残ろうとする者は結構多いに違いなかった。
人の命を犠牲にしても生き残りさえすればそれで。先のことなんて知らない、とにかく生き残らなければ。
そんなおめでたい人間はおそらくそう少なくない。恐怖のあまり分別をなくした人間も多くいるだろうが。

土田は凪いだ心でこのゲームの非情さを受け止めていた。ほんの些細な空気の動きすら、彼の心の水面は映さない。
ただ密やかに彼が思い浮かべていたのは、自分の守るべき家族の姿であった。
ここからたとえ生きて戻ったとしても、妻や子供たちともう一度幸せに暮らすことはもはや不可能だ。
生き残れなかった者たちの家族や友人、恋人。そうした人々の無念を背にしたまま、幸福な生活など営めるはずもない。
下手をすれば恨みに思われて、自分の周りの人間まで危険にさらされる可能性もあるのだ。
そんな状況ではむしろ、自分が近くにいればいるほど家族が不幸になる。
この教室の中の大勢の芸人たちとともに、このゲームの登場人物に選ばれた時点で、もう離別は決まっていた。


415 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:16:25

それでも、生き残れるなら、どこか遠くから愛しい者たちを見守ることはできるかもしれない。
この手で彼らを抱きしめることはできなくても、傍にいることはできなくても、見守るだけならば。

それは、微かな希望だった。だが、その希望は土田の行動の指針となり、彼のすべてを治める。
この小さな小さな光を守るために、彼は他の何もかもに対して冷酷になることを決意した。
その決意は彼の胸の内に眠る凍てついたものを掘り起こす。たっぷりと危ういものを孕んだ、彼の性癖。
やわらかく温かい家族たちへの思いとは相反するそれが、ゆっくりと表に姿を現しつつある。

彼は決めた。たとえ数えきれないほどのものを失っても、人を殺しても、何をしても、自分は生き残る、と。

彼は同じ教室内で起こったあの突然の殺人の後、放置されたままの山田の死体を見やる。
死体は死体だ。それはもうすでに人間ではなく、ただの物に過ぎない。
そこにはただ、暑い夏の日に焼かれてきっとすばらしい早さで腐敗するだろう肉があるのみ。
そしてこれから自分は、数えきれないほどの腐りやすい肉を地べたに転がすのだろう。

土田はまず、自分が何をすべきか考えた。自分が生き残るための条件を、整えなければならない。
そう考えた彼にとって都合のいいことに、近くには気心の知れた後輩芸人が数人座っていた。
ありがたい話だ、と彼はその顔を見回す。みな一様に状況におののいた血の気のない顔で、呆然と座っていた。
知った顔のそうした表情を目にして、土田は小さく笑みを浮かべる。
そうだ、そうやって絶望して、俺にとり縋ればいい。胸の内で呟き、彼は次の行動に移る。


416 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:17:04

まず彼は、恐怖で真っ青になり、震える若手たちにそっとやさしい声をかけた。
あくまで真摯な態度で、相手に不安を抱かせないように言葉を選んで。
1人で動くよりはある程度人となりのわかる相手と組む方が安心だ、と合流を呼びかける。
そういう土田の態度を見て、相手はみな渡りに船と縋ってきた。
助かるかもしれない、少なくとも当面は生きていられるかもしれない。
教室の中での土田は、そんな希望をふりまく頼りがいのある先輩だった。
そう信じるのは相手の勝手、とばかりに土田はほくそ笑む。彼の本心など周りの人間は知る由もない。

「…151番、土田晃之」

デイパックをかかえて教室を出る。土田のそれは、いささか重いように感じられた。
木の廊下を踏みしめながら、ふ、と小さく彼は笑みをこぼす。

武器が「アタリ」か「ハズレ」か。このゲームの明暗を分ける最大の要素はこれだ。
引きが強いか弱いか、運の良し悪し、それが全てを左右する。

…ならば、アタリでもハズレでも生き残れる方法を探すのが一番賢い。



417 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:18:57
つまるところ、このゲームを乗り切るにはハズレを引いたときの保険が必要なのだ。
土田にとって、声をかけた後輩たちはまさにこの「保険」だった。
もし使えない武器を引いたなら、後輩たちと力を合わせるフリをすればいい。
誰かひとりでもアタリを引いていれば、それを口先で騙してとりあげることもできる。
武器をとりあげたあとは、恐怖政治でも公開処刑でも都合のいい方を選ぶだけ。
できるだけ多くの命を消して、できるだけ多くの武器をかき集める。
それがこのゲームの唯一の攻略法であると土田は信じて疑わなかった。

それではもし、アタリを引いたなら? …だとすれば、進む道など決まっている。

一歩進むたびにギシギシと鳴る廊下で、土田は笑みを深くする。
いつしかそれは、見たものの背筋を寒くするような恐ろしいものへと変化していた。

愚かしいことに、彼に縋ろうとしたものたちは気づいていない。
冷静であることは必ずしも、正常であることと同意義ではないのだ。

土田晃之は家族思いの、優しい父親だった。その優しさのために、他の全てに対して残酷になれるほど。
自分は殺す側になる、むざむざと殺される側には決してならない。被食者ではなく、捕食者になるのだ。
そう誓った土田は真夏の狂熱の中、冷たいままの脳みそで自らを律し、学校の外へと踏み出す。
これからこの子沢山の父の手で多くの命が奪われることを、まだ今は誰も知らない。



418 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:19:55

【土田晃之】
所持品:未確認
第一行動方針:集合場所にむかう
基本行動方針:できるだけ殺して、できるだけ武器をかき集める
最終行動方針:優勝を狙う
現在位置:校内の廊下
【8/15 14:31】
【投下番号:124】



419 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/17(火) 23:24:05
投下番号123の話での犠牲者に関しては別に話を用意していますので、
一応今のところはっきり名前は書かないでおきます。

420 :名無し草:2006/10/17(火) 23:36:16
乙!
土田コワス((((゚д゚;))))ひとり逃げてー超逃げてー!

421 :名無し草:2006/10/17(火) 23:47:46
乙です!
123の犠牲者が誰なのか気になるー!
早く続きが読みたい。

422 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/18(水) 01:04:59
>>259-263 の続き

――おかしいと、思うべきだったのだ。
一軒の民家のどこにも包丁はもちろんの事、ハサミやカミソリの一つすらも見あたらないという状況を。

けれどあの時は、そんなものかと思っていた。
単にあいつの探し方が悪くて、後で自分が探せば一つぐらいは見つかるものと、たかを括っていた。
それよりも腕は痛いし身体はだるいしで、まずはゆっくり休みたかったから。そちらを優先させていた。

まさか、その間にあいつが刃物や何やら、武器になりそうなものを片っ端から全部隠してただなんて。
あいつが、そんな事をしでかすまでに現実が見えなくなっていただなんて。
そんな事考えすらしなかった。想像できる筈もなかった。

俺はあいつを信じていたし、あいつは俺を信じてくれている…そう思っていたから。
それこそそう信じていたから。




街中では舗装されていた道も、やがて車の車輪が下草を踏みつけて作った二筋のラインになり。
そのラインに従うように闇の森の中を走っていた赤岡と野村だったけれど。
いくら明かりがない状態に目が慣れたとはいえ黒一色に染まっていつもよりもずっと狭まる視界と、
そして普段からスポーツをしている訳でもない20代後半の身体では、さすがに長い時間全速力を
維持する事は出来ず。自然と二人の進みは緩やかな物になっていた。

423 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/18(水) 01:06:11
早足とジョギングの中間ぐらいのペースで、ぜぇぜぇやりながらどのぐらい走っただろうか。
木々の向こうの夜空は東京で見るそれとは桁違いの星々で彩られているけれど、
さすがに彼らはそれを見て自分達がどれだけ進んだかを知る術を持たないし、
そもそもそれを見上げる余裕もない。
目の前を覆う闇の向こうにあるだろう華奢なスーツ姿の背中を一秒でも早く見つけるために、
彼らの視線はずっと地面と水平に保たれていたのだから。
ともあれ、今にも立ち止まりたくなる身体を心で叱咤しながら先へ先へと進めていた、その最中。

「………っ!」

野村が不意に地面に足を取られ、転倒した。
何かにけつまずいたと言うよりも、足首を何かに掴まれてバランスを崩した…そんな奇妙な感覚に戸惑いながらも、
足を踏ん張って転ばないようにする事が無理らしいと悟れば、野村は肩から提げたデイパックの重みに
邪魔されながらも何とか受け身を取り、無様に顔を地面に打ち付けるなどという事態を防ぐ。
「…どう…した?」
併走していた野村の気配が消えた事、そして背後で鈍い音が上がった事から赤岡はその場に立ち止まり、
背後を振り返ると荒い呼吸ながらも声を掛けた。
「あぁ…何でもねぇ。言いたかねぇけどトシかなぁ……いや…?」
『まったく、野村君はオッチョコチョイだなぁ。』
そんな磯山の声が今にも聞こえてくるような錯覚を覚えながら、手を地面について身体を起こしながら
野村も苦しげな呼吸に乗せて赤岡に返事を返す。
一瞬だけ確かに感じた足首をぐっと掴まれる感覚はもうなく、いったい何だったんだろうと口に出さず呟きつつ
野村はゆっくりと立ち上がろうとして、気づいた。
「あ…赤岡! 気をつけろ…罠、何か罠あるぞ…ここ!」

転んだ事で視界が地面の方に向いたため、すぐ目の前の雑草の隙間から金属製の物体が
僅かに姿を覗かせているのが目に入り、野村は思わず声を張り上げる。

424 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/18(水) 01:07:22
「……何だって?」
「何だろ、これ…踏んだら足挟まれる奴……って、迂闊に動くな! 他にもまだあるかも知れねぇだろ!」
立ち上がろうとする姿勢から一旦両膝を地面につく形に変え、野村は金属製の物体…俗に虎ばさみと呼ばれる
古来から狩猟に用いられる罠である…を慎重に観察しようと試みるけれど。
同時に赤岡がどこか不用意な足取りで歩み寄ってくるのが見えて、鋭い声で赤岡を一喝した。

「あ、悪い。」
野村のツッコミで赤岡は罠が複数ある可能性に気づいたか、そこからはマイクスタンドで地面を
逐次調べながらゆっくりと野村の元まで歩み寄る。
そして野村の肩越しに覗き込めば、確かに雑草で偽装するかのようにして地面に大きな金属製の罠が
仕掛けられているのが確認できた。
現在、内径の最大長が12cm以上の虎ばさみ、あるいはのこぎり歯のある虎ばさみは危険である事から
使用が禁止されているのだが、今彼らの目の前にあるそれは、どう見ても内径は12cmを超えていたし
獲物を捕らえるべき部品には立派なのこぎり歯が存在している。
この罠ならば、この島に存在するかはわからないけれど、イノシシ辺りの野生生物はもちろんの事
人間もたやすく捕らえる事が出来てしまうだろう。
「コケてなかったら…オレ、こいつを踏んでたかも知れねぇな。」
ぼそりと漏らしながら野村はゆっくりと立ち上がる。

「赤岡、これどう思う? 誰かの武器か…それとも。」
「…いや、政府の連中がわざわざ仕込みやがったんだろ。こんなでかいの、デイパックには入れられない。」
走り続けていた事で乱れた呼吸は少しづつ落ち着いてきていた。
その代わり、無差別に誰かを狙ったと言っても良いだろう罠の存在に八月の熱帯夜の暑苦しさが
薄れるような悪寒を覚えながら。
赤岡は野村の問いかけに答え、言い切ると苛立たしげにマイクスタンドの土台部分で虎ばさみの端の方をガツンと叩く。
本当なら罠を作動させる箇所を叩いて罠を使えなくさせるのが一番なのかも知れないが、
そうすると自動的にマイクスタンドが壊れてしまう。
今はこれしか頼れる道具がない…野村に与えられた道具はどれも身を守るために使えないが為に
ずっとデイパックに詰め込まれたままである…ために、マイクスタンドの大事を取る事にしたようだ。

425 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/18(水) 01:07:58
「島秀は心配だけど…こっからはちょっとペースを落として…慎重に行こう。」
野村もつま先でゴツッと虎ばさみを蹴りつけて、それから赤岡に告げる。
「焦るあまりにオレらがこーいうので動けなくなるのが一番馬鹿らしいからな。」
「…あぁ、わかった。」
ペースを落とすと口にした野村に対し、赤岡はハッとした表情を浮かべて反論するべく口を開き掛けるけれど。
確かに野村が口にした通り、自分達が動けなくなるのは馬鹿馬鹿しい。
それに、こうしている間にも島田はどこかに向かっている筈で。闇夜と視界の悪い森の中という条件が重なれば
もう長期戦を覚悟してゆっくり攻めていくしかないだろう。
そう判断すれば、赤岡は口惜しげに同意の言葉を口にする。

「大丈夫だ。島秀はアレで運が良いし…何よりお前が信じてやんなくてどーすんだよ。」
その一瞬の逡巡の様子に、野村はふっと表情を和らげて手のひらで赤岡の肩を叩き、告げた。
「……そうだな。」
バシッと肩を叩かれ、驚いたように目を見開いて。赤岡もようやく表情を崩す。
「すまない、ありがとう…慎重に、あのバカを探しに行こう。」



野村が発見した物以外にも幾つかの虎ばさみが周囲には仕掛けられていたようで。
マイクスタンドと目視による慎重なチェックによりそれらを無事に回避した二人は、そのまま道なりに歩いてゆく。
一体どれぐらい歩いたのだろうか。道はやがて余所から延びてきた道と合流し、再び舗装されて。
小高い丘の方へと延びていた。








426 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/18(水) 01:08:32
その頃、赤岡達と丘を挟んだちょうど反対側で。
こちらも長らく続く人探しに疲れた二人組が道ばたに腰掛けて軽い食事を取りながら休んでいた。

「ったくよぉ、こんだけ探しても駄目なんて…あいつはどこ行きやがったんだよ。」
錆びて古びたスコップを杖のように地面に突き立てながら長身の方の男がはぁ…とため息混じりにこぼせば、
彼の頭のヘルメットに付随しているライトが微かに揺れる。
「やっぱり夜は変に動き回らないでじっとしていた方が良いんじゃないかなぁ。」
「でもよ、他の奴らが休みに入っている今だから動いた方が良いんだって。」
傍らから成人男性にしては高い音域の声で不安げな言葉が紡がれれば、坑道などでの作業時に用いられるような
ライト付きのヘルメットを被った男…18KINの大滝 裕一は隣の今泉 稔を見やって言い切った。

間近から光を浴びせられて視界が真っ白に染まり、思わずうわっと声を上げる今泉に構わず、大滝は再び…いや、
これが何度目になるかもわからないため息をもらす。

……頼むから俺らが見つけるまで、無事でいてくれよ。菊地。
俺の杞憂ならそれで良いんだ。だが、ずっと厭な予感がしてならないんだ。





427 : ◆8eDEaGnM6s :2006/10/18(水) 01:09:55
【号泣 赤岡 典明
所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド 缶詰2個 薬箱
状態:左腕に裂傷・右頬に軽い火傷・ややバテ気味
基本行動方針:生存優先・襲われたなら反撃もやむなし
第一行動方針:島田を探し、誤解を解く
最終行動方針:悔いのないように行く】
【江戸むらさき 野村 浩二
所持品:浦安の夢の国の土産物詰め合わせ
状態:ややバテ気味
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:赤岡と一緒に島田を探す
第二行動方針:磯山と合流したい
最終行動方針:不明】

【D6・森の中】

【18KIN 今泉 稔
所持品:ライター 煙草 三味線の糸
状態:万全
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:菊地を探して必要ならば保護する
最終行動方針:不明】
【18KIN 大滝 裕一
所持品:ライト付き工事用ヘルメット スコップ
状態:万全
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:菊地を探して必要ならば保護する
最終行動方針:不明】

【C9・道沿い】
【15日20:45ごろ】
【投下番号:125】

428 :名無し草:2006/10/18(水) 03:03:02
乙!土田切ない('A`)

429 :名無し草:2006/10/18(水) 07:42:59
うーん、何て言うか…

430 :名無し草:2006/10/18(水) 14:18:52
何すか

431 :名無し草:2006/10/18(水) 19:36:31
中田の小説書いてる奴は中田だろ!

432 :名無し草:2006/10/18(水) 21:50:01
なんかワロスw

433 :名無し草:2006/10/18(水) 21:53:49
そうか?

434 :名無し草:2006/10/18(水) 22:47:20
>>432
何が面白いの?kwsk

435 :名無し草:2006/10/18(水) 22:48:11
ここ最近の投下rushでいつも以上にスレを確認してしまう俺ガイル。
書き手さん禿しく乙!頑張ってくれぃ!

436 :名無し草:2006/10/19(木) 07:30:30
キモイ

437 :名無し草:2006/10/19(木) 09:55:29
>>434
ごめん誤爆

438 :名無し草:2006/10/19(木) 16:44:40
\(^O^)/

439 :名無し草:2006/10/20(金) 20:45:08
オワタ

440 :名無し草:2006/10/21(土) 14:18:40
保守

441 :名無し草:2006/10/21(土) 16:45:44
/^o^\

442 :(仮):2006/10/21(土) 17:23:25
突然失礼します。
未熟な文章書きですが執筆予約させていただきます。

一部オンバト組(タイムマシーン3号・磁石・流れ星)

まとめwikiさんで執筆されていないか確認はしましたが、
書きたい方いらっしゃいましたらつっこみ入れてください。
未熟ですが精一杯力入れて書こうと思ってます!

443 :名無し草:2006/10/21(土) 17:33:28
>>442
書き手はトリップをつけるのが必須条件ですよ。
したらばに書き手登録・芸人予約スレッドがありますのでそちらへどうぞ。
オンバト芸人好きなので楽しみにしております。

444 :名無し草:2006/10/21(土) 17:34:04
>>442
まとめWikiからしたらばへ行って来なさい。
そこに予約スレあるから。

445 :名無し草:2006/10/21(土) 18:41:35
私もオリラジとアームとハリセンボン予約したいです☆

446 :名無し草:2006/10/21(土) 19:01:45


447 :名無し草:2006/10/21(土) 19:26:40
>>445
残念ながら、その三組には専属の書き手さんがいます。
まとめサイトの芸人使用表・したらばの芸人予約スレをチェックしてください。

448 :名無し草:2006/10/21(土) 21:08:25
ちょwwwwwww釣りか?wwwwwwwww

449 :445:2006/10/21(土) 21:20:55
>>447
そうなんですか…。残念です。教えて下さってありがとうございます☆
じゃあ、麒麟は大丈夫ですか?

450 :(仮):2006/10/21(土) 21:28:45
>>443
>>444
お返事ありがとうございます。したらば行って来ました。
見てきた限り磁石が予約済みたいでしたので、
一応予約だけはして、磁石なしの方向でも物語が進むか
ストーリーなど少し思案してみてから決めようと思います。
失礼しました。

451 :(仮):2006/10/21(土) 21:32:07
>>443
>>444
お返事ありがとうございます。したらば行って来ました。
見てきた限り磁石が予約済みたいでしたので、
一応予約だけはして、磁石なしの方向でも物語が進むか
ストーリーなど少し思案してみてから決めようと思います。
失礼しました。

452 :名無し草:2006/10/21(土) 21:53:23
>>449
大丈夫じゃないかもしれないのでシタラバ行ってください

453 :名無し草:2006/10/21(土) 21:57:23
すみませんが、シタラバとは何ですか?

454 :名無し草:2006/10/21(土) 21:59:05
一人は釣り、もう一人は本気…?

455 :名無し草:2006/10/21(土) 22:34:20
>>453
それが分からないなら書くな

456 :名無し草:2006/10/21(土) 22:42:02
何故ですか?

457 :名無し草:2006/10/21(土) 22:43:53
スルースルー

458 :名無し草:2006/10/21(土) 23:01:07
ちょっとヒドくありませんか?

459 :名無し草:2006/10/22(日) 01:39:43
>>1-2 をちゃんと読んでから出直しておいで

460 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:46:54
ソラシド・NONSTYLE石田編です。
-------------------------------------------------------------

本坊から死の臭いがしている事を、水口は認めたくはなかった。

「なんや石田、泥だらけやんか。」
「本坊さんこそズボン裂けたあるやないですか!」

石田は・・・気づいていない。
気づいていてこんな風に振る舞える程、石田は器用ではない。


----------まさか、誰か殺したんか?-----------


一つの疑問が浮かび上がる。決して深く考えてはいけない疑問。
水口は、本坊が殺人を行った等認めたくなかった。
だから、一生懸命「本坊は人を殺していない」と推測出来る事を探した。

461 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:47:37

先ほどの「死の臭い」は、具体的に言えば死体から出る腐敗臭である。
その腐敗臭を、既に4人もの遺体を埋葬した水口の体は覚えてしまっていた。
ただ、この「死の臭い」には3種の臭いが混じっている。

1つめは遺体の腸内細菌の繁殖等から出たであろう腐敗臭。
2つめは遺体の乾いた汗等から出る体臭。
3つめは血の臭い。

だが不思議な事に、本坊からは1つめの腐敗臭しか感じなかった。
どの遺体からもした強烈な血の臭いはしていない。
本坊の体を見ても、返り血は一滴も付いていない。


気のせいや。
本坊がそんなんするわけない。
さっきの臭いだって、案外俺のやったりしてな。
どう考えても俺の方が臭いしみついてるもん。


「? 水口・・・?」
「あっ、何?」
「何難しい顔してるん?今は再会を喜び合おうや〜!」
「そうですよ水口さん!あ、もしかしたら何かキザったらしい台詞とか考えてはった?」
「違うわボケ!!」


気のせい、気のせい、気のせい。
考えすぎやって。


462 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:48:21

そういえば、と石田は前置きして質問した。
「本坊さん、ずっと1人なんですか?」
「ん〜・・・、実は1人おんねんよ。」
本坊は秘密を言いたくてウズウズしている様な素振りで答えた。
「マジっすかぁ!?え、baseメンバー?あ、まさか川島さん!!?」
「その人、怪我とかしてへんのか?」
仲間がまだいると嬉しがる石田に対し、水口は落ち着いた口調で話す。
「ふふ、ひみつ〜!!さっきまで観覧車で2人っきりやってん。」
「えー、一緒にこっち来はったら良かったのに。」
「あ、そうやわ。うっかりしてたわ〜。」
「まだ観覧車乗ってはんのか?」
2人は楽しそうに話しているが、水口は何故か入り込めなかった。
「うん、3人一緒にあっこまで来てくれへん?その方が喜ぶ思うし。」
「じゃあ行きましょ〜!」
本坊の後に水口、石田が続く。
水口はその時、本坊の背中に異常を見つけた。


右肩に肌色の汚れがある。
あれは、ファンデーション・・・?


463 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:49:07

「なぁ、石------」
石田に確認を求めようとしたが、水口の声は届いていないようだった。
石田は案内の本坊を通り越してその先の観覧車を見ていた。それしか見えていなかった。
その心境は理解できる。石田に会うまで自分の感じていた孤独。
それが今は、1人が2人に、今3人に増えた。そして、また1人増える。
石田のリアクションが正常なのだ。何故、相方に会えたというのに
自分はこんなに疑心暗鬼に駆られているのだろう。相方に会えていない石田が
こんなにも目の前の希望に目を輝かせているというのに、自分は-------。
そんな事を考えているうちに、観覧車の真下に着いた。

「ここん中入っとったら安全かなぁ・・・なんて。」
「あぁ〜、ええ考えですね!昼間やったら目立ちますけど。」
「今その人、中にいはんの?」
自分達がそばに来ても、ゴンドラから人が出てくる気配はない。
「ひょっとして、寝てはる?」
水口が尋ねる傍を横切り、扉に手をかけながら本坊が答える。

「ん〜・・・寝てるいうか」

ガチャ、と扉が開かれた。



「もう死んでる。」


464 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:50:31

言葉が、出なかった。
出す事を忘れた。

   
   ゴトッ


水口がハッと振り返ると、石田はオフェンスキープを取り落とし、膝をついていた。
口が小刻みに動いているが、何も聞こえない。
首を左右に振った後、涙が蛇口をひねったように溢れ出した。
「あゥぁあァうあぅぁああぁァ・・・」
言葉にならない嗚咽が、石田の口から漏れる。


その石田の姿を見て水口は、言葉を発する事が出来た。
「隅・・・ちゃん・・・・」
元々掠れた自分の声が、より掠れて聞こえた。


「ごめんごめん、びっくりするやんなぁ。隅ちゃんていうん忘れてた。」
本坊は10分遅刻してきた時と同じようなノリで言う。
水口が危惧した『本坊が殺人者』である事は否定された。だが-------------
このケースは、あまりにも予想外だ。


465 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:51:34

後ろで嗚咽を漏らし、再び呼吸困難に陥るかもしれない石田を気にしながら、
水口は本坊に諭すように言った。
「本坊・・・隅ちゃん、もう死んでるんやで?」
水口の口が重かった。
「いや、だからさっき死んでるって言うたやん。」
本坊はあっけらかんと言い放った。
水口ちゃんと僕の話聞いといてよ、と鼻で笑った。

「死んだってわかってるんやったら、何でこんなん・・・」
水口は本坊が隅田が死んだという事を認識したくないから起こした行動だと思ったのだが、
本坊はそれを笑いながらあっさり否定した。
困惑する水口に本坊は続ける。
「だって、死んだらそこで終わりなんやろ?」

「水口、前baseにあった週刊誌の記事覚えてる?
 あれに載ってたやろ、死んだ子らを烏が食い荒らしてたやつ。
 僕、隅ちゃんあんなんなる思たら嫌やってん。だから一緒に連れてきたんよ。」

同じやん、俺と。最後以外。なんでこうも違うんやろう?

「落として顔に泥付いたけど、お化粧したし大丈夫やで。」
さっきの肩のファンデーションはこれか。
「水口は僕の言う事わかってくれるやんな?」

466 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:52:15

言いたい事はわかる、でも。
「わかるよ。でも・・・お前のしてる事は間違うてる。
 どいて。隅ちゃんは俺が、弔う。」
本坊の顔が無表情になって、そして静止した。ビデオの一時停止の状態の様で、まばたきすらしなかった。
しばらくして、口だけが動いた。

「なんで?」
低いのか高いのか判別し辛い、聞いた事のない本坊の声だった。
目が静止状態から段々と開いていく。だが、水口は怯まなかった。
「亡くなった人を連れ回すなんて、ええ事とは思えへん。
 ちゃんと墓立てて、埋めた方がええと思うんや・・・」
「なんでっ!!!!!!」


   ド    ン  っ  !!


本坊は水口の両肩を掴んで、ゴンドラの壁に叩きつけた。
「いったぁ・・・」
痛がる水口の肩を揺さぶって、本坊は水口の視線を自分に向ける。
「何でわかってくれへんねんな!?
 埋めたりなんかしたら、結局土になって終わりやん!
 だから僕はみんな連れて行こうとしてんのに!!
 埋めて満足したらそれで終わりなんか!!?」
本坊は激しく攻め立てた。表情はひどく頼りないものだが、その瞳は水口のみを捕えている。
(埋めて、満足したら、それで終わり・・・?)
今の本坊の言葉を反芻する。そうかもしれない、と水口は考える。
(結局、俺の自己満足なんか・・・?)


467 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:52:53


  「  ちがいます !!」


響いたのは、胸を抑えながら叫ぶ石田の声だった。
「石田・・・」
「どういう事なん、石田?」
本坊は石田に睨む様な鋭い視線をぶつけた。
呼吸を乱しながら、石田は言う。
「水口さんは・・・自己満足やって、言うてはったけど・・・多分ちがいますよ。
 僕、自分の事ばっかり考えてて・・・でも水口さんみたいな人見て、考え変わったんです。
 なんか、独りでいた時の怖いのとか消えていくみたいな・・・そんな気ぃしたんです・・・
 だから、上手く言えへんけど、もしかしたら死んだ人らも、埋めてもろたら僕みたいに
 こわい気持ちが消えていくん、ちゃう、かなっ・・・て・・・」
「石田、もうええ!」
呼吸がか細くなっていく石田を水口が止めた。

「でも、僕は・・・隅ちゃんを・・・」
そう言って本坊の視線は石田から隅田に移る。だが--------
右肩を下にして寝かせていた隅田の右腕は、おぞましい紫の斑点に侵食されていた。
少しめくれあがった右足のズボンの隙間からも紫が見える。
化粧した筈の顔も、隈が隠せないほど浮き出ていた。
今度は本坊が言葉を失った。

「本坊・・・これ以上はもう、隅ちゃんがかわいそうや・・・」
「うっ・・・くっ・・・っ・・・」
水口は本坊の肩に手を置き、再び諭すように言う。
本坊は子供の様に泣き崩れた。


468 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:53:42

初めて埋める、親しい人の体を、3人は泣きながら別れを告げた。
情けな、男がそろいもそろってビービー泣いて、と将来笑い話に出来ればいいと石田は思った。


別れが終わった後、水口は自分を責めた時の本坊の一言が少し気にかかっていた。
"だから僕はみんな連れて行こうとしてんのに!!"確かに、そう言った。

そして、本坊の心境にも変化が訪れていた。
(このプログラムで優勝できるのは、1人だけ。
 その1人は、水口や。
 みんな一緒に死んでも、水口がみんな埋めて弔ってくれる。
 そしたらみんな幸せになれる。)


469 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/22(日) 01:54:42

【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:より多くの遺体を埋葬
最終行動方針:未定

【NONSTYLE 石田 明
所持品:オフェンスキープ
基本行動方針:とりあえず病気にならない
第一行動方針:骨とか折らない
最終行動方針:健康でいたい

【ソラシド 本坊 元児
所持品:コンビニコスメセット
基本行動方針:水口を守る
第一行動方針:水口の手伝い
最終行動方針:水口以外の参加者(自分含め)全員を1度に死亡させ、水口を優勝させる】



【現在位置:D-2】
【8/15 22:12】
【投下番号:126】

470 :名無し草:2006/10/22(日) 02:01:57
つまらん

471 :名無し草:2006/10/22(日) 07:06:17
乙ですー!
すげー切なくなったよー!

472 :名無し草:2006/10/22(日) 09:14:21
乙!
本坊がどっちか殺すかと思ってたから以外。
でも最終行動方針すげえw

473 :名無し草:2006/10/22(日) 09:50:08
乙!
本坊、極端すぎるww

474 : ◆Qjkjp/DQVw :2006/10/22(日) 10:15:35
前スレ955の続き。
フットボールアワー後藤編です。


レギュラーの松本はデイパックを抱え走っていた。
途中で何度も足をとられ倒れたりもした為、
衣装である白いワイシャツは土で汚れてしまっている。
潔癖症と自負してはいるが今はそんな事より重要な問題に直面している。
自分はまだ死にたくない。
死ぬわけにはいかない。
結婚したばかりの妻が自分を待っていてくれている。
今朝もいつものように愛してるって囁いて、いつもの様に帰ってくると言って
家を出たのにいつものことではない事が起こってしまった。
たった一人の生き残りを決める為のプログラム。
まさか自分が巻き込まれるとは思ってもいなかった。
だがここで殺されるわけにはいかない
彼女とまたいつも通りの生活を取り戻す為にもどんな手を使っても生き延びる。
だがそんな自分の武器は瓶に入った謎の液体。
瓶にはあらかじめ貼られていた内容物の説明が書かれているのであろう
外国語で書かれたラベルと、とってつけたように危険と書かれたシールが貼られていた。
毒物である事は間違いないのだが何であるかはわからない。
「HCLとか書いてあっても…外国語とか当然僕わからんし…
第一危険だけ漢字で書いてあるのに色々矛盾しているわ」
中身を確認しようにもうっかり蓋を開けた瞬間、または舐めた瞬間自分が死んでしまう可能性もある訳で
結局未開封のままディパックの中に仕舞いこんだ。
だが、生き残る為にはこの毒を使い誰かの命を奪うしかない。
「何が何でも僕は生き残るんや、絶対に生き残る」
必死にその方法を考えるが結局の所相手を殺し
強い武器を手に入れていくしかないと結論づけそう行動すべく誓った矢先だった。


475 : ◆Qjkjp/DQVw :2006/10/22(日) 10:17:43
「誰かそこにおるん?誰や?」
突然茂みの向こうから聞こえた自分以外の声、気配がした事に驚き足を止め
声のした方に視線を巡らせる。
茂みの向こうから姿を見せたのはフットボールアワー後藤だった。
「ま、松本です。レギュラーの」
聞かれた事に素直に返事を返した瞬間しまったと松本は思った。
周りの人間が敵というこの状況で名乗り出て姿を現すのは危険な行為だと。
しかし、今の後藤の状況は通常とは少し違っていた。
服の右袖がべっとりと血で染まっている。
その表情は松本が普段目にする姿と比べて相当憔悴していた。
よっぽどの事があったのだろうと推測したが一方でチャンスと松本は思った。
手負いの人間ほど狙いやすい獲物はいないと。
芽生えた殺意をひた隠し後藤の方へ近づいていく。
「腕…どうされたんですか?」
「誰かに後ろから襲われて…情けない話やわ」
「誰に襲われたんですか?」
「わからへん、逃げるのに必死やったから相手の顔とかは見てへんわ」
「そうなんですか、でも無事でなによりです。」
「お前も無事やったんやな」
「あ、はい!今のところ僕は無傷です」
できるだけ自然に、笑顔を浮かべながらも松本の脳内では
毒物を後藤に飲ませるシュミレーションが何度も行われていた。

「あれ?後藤さん自分のデイパックは?」
一人ずつ配布されたであろうデイパック
それを後藤は持っておらず、ざっと周りを見渡したがそれがどこかにある気配すらない。
「それがな夢中で逃げてきたからディパック落としてもーてんよ…
悪いけど水くれへん?走って喉カラカラやねん」
「いいですよ、どうぞ飲んでください」
大阪の先輩という事もあるが確実に後藤を殺すため油断を誘おうと
素直に自分のデイパックから支給された水を取り出す。

476 : ◆Qjkjp/DQVw :2006/10/22(日) 10:19:10
「とりあえず後藤さん腕見せて下さい。いつまでもこのままだったら傷ひどくなりますよ」
いい後輩を演じながらデイパックを一旦置き、怪我を治療するふりを行おうと
後藤の腕をじっくり見た松本がある違和感に気づく。
確かに服の袖は血で汚れているが布自体は裂けていない。
斬りつけられて負傷したなら服は無傷で腕のみ傷を負うのは不自然だ。
いくら季節柄とはいえ半袖を肩まで捲り上げて森の中を歩き回るなんてことをするだろうか?

「お前、なかなかおもろいもん当たったなぁ…」
後藤の声に思考を中断させるといつの間にか松本のディパックの中から例の瓶を手にしていた。
奥の手でもある毒が見つかった事に松本は内心しまったとつぶやく。
「まぁ、これも武器っちゃぁ武器やな…」
「なんなんですかねそれ、ラベルがいかにも怪しいんで毒物の予感がするんですけど…
武器になるんですかこれ?」
何も知らないふりをしてデイパックを取り戻そうと様子を見る。
「試してみるか?」
後藤がそう言うと怪我をしているはずの腕を動かしその瓶の蓋を開けた。
「後藤さん…腕…」
なんともないんですかと聞こうとした声は次の瞬間急激な衝撃にかき消された。


477 : ◆Qjkjp/DQVw :2006/10/22(日) 10:20:53
「あっああああああああっ!!!」
激痛と熱が松本の右足を襲い地面の上をのたうち回る
何が起こったのかわからず見ると服の一部が溶けそこからみえる自分の足が火傷のように爛れている。
「HCL…塩化水素水溶液、ま、わかりやすく言うなら塩酸…
当然やけど至近距離での威力は絶大と」
後藤の持つ瓶の中の液体が自分を負傷させた原因だとようやく松本は気づいた。
「どういうつもりですか後藤さん!いきなりこんな事…」
「アホやなぁお前…今の状況わかっとんのか?殺るか殺られるか、命の奪い合いやで?」
「だ、騙したんですか…わざわざ腕血まみれにして!」
「あぁ…腕?そんなん、無傷に決まっとるよ…
血なんてそこらへんに倒れてる奴らのをちょっとなすりつけただけやで」
いつの間にか立場が逆転していた。
自分が命を狙うはずだったのに狙われる側にまわっている。
松本は必死にその場から逃げようとするが先ほど傷つけられた足に力が入らず立ち上がる事もできない。
「嘘でしょ後藤さん?悪い冗談ですよね?」
「そうやなぁ…なんもかも冗談やったらよかったのになぁ」
その言葉に松本は自分に対しての殺意を後藤はもっている事を確信した。
後藤はさらに松本の体に塩酸をかけていく。
「お前太っとるからなぁ…全身にかけたりしたら塩酸の方が足りんくなるよな」
「うあぁぁぁっ、嫌やぁぁぁぁっ!やめて下さい後藤さん!」
液体をかけられた場所に激痛が走っていく。
「お願いします!殺さんとってください!何でもいう事聞きます!
お金だっていくらでも後藤さんの欲しい額上げます!だからっ、だから命だけは!」
松本は必死に後藤の足にしがみ付き叫ぶ。
「僕なんか殺しても、後藤さんには何の得にもなりません!だからっ、その塩酸だって差し上げます!
僕が後藤さんの代わりに人殺していきます!どんな命令だった聞きます!だから、だから…殺さないでぇっ!!」
自分の武器が後藤の手中にある以上無様な姿を晒してでも相手の温情をもらう事しかできなかった。


478 : ◆Qjkjp/DQVw :2006/10/22(日) 10:23:21
「どんな命令でも聞くんやったら…死んでくれや今、この場所で」
しかしその願いは届かず後藤の無情な死の宣告が松本に下された。
「お願いします!…お願いします…助けて」
「きったないもんを俺の服につけんなや!うっとぉしい!」
恐怖のあまり顔を汗と涙と鼻水でまみれさせながらも
必死に命乞いをする松本を一瞥しその腹を2、3度蹴り上げる。
倒れこんでいる松本の頭を掴み、その眼前で塩酸入りの瓶を後藤が振る
「外が無理なら、内側から…って手段もあるな。」
「嫌やっ許して!殺さんとってぇっ!」
「えぇやん、滅多にできへん事やで。それができるんやから芸人としておいしい思っとき」
後藤は力ずくで松本の口を開かせそこに瓶の口を近づける。

死にたくない
死にたくない
死にたくない
死にたくない
死にたくない!!!
「嫌やあああ!!!助けてっ!死にたくない!帰るっ!
帰らせてお願いや、会わせて彼女にっ!こんなん嘘やぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「じゃぁな、まっちゃん」

冷酷な別れの挨拶が鼓膜に響くと同時に瓶からの液体が松本の体を侵食していく。
恐ろしい熱さが体内を駆け巡り全身が拒否反応をおこしていった。
そんな時、脳裏に浮かんだのはスポットライトを浴び
大勢の人の前でプロポーズをした時の彼女の姿。
涙を流し喜んでくれ自分の言葉にうなずいてくれた。
毎日が幸せだった…それなのに
やがてその思考も激痛に支配されてく。
この世の最期にあげた声はまるで獣の様な断末魔の叫びだった。


479 : ◆Qjkjp/DQVw :2006/10/22(日) 10:24:03
松本の死を確認した後藤は少し離れていた場所に隠していたディパックを取りにいく。
その中から血に染まり眼球が包まれている布をとりだした。
「ほんまに、全部冗談やったらよかったのに…」
急激に嗚咽感がこみ上げ口元を抑え後藤はその場にうずくまる。
耳の中で必死に生を望んだ松本の叫び声が残っている
その望みと命を絶った手はまぎれもなく自分自身の手である。

「それでも…許さへん…絶対に許されへん事なんや…絶対に」


480 : ◆Qjkjp/DQVw :2006/10/22(日) 10:26:40
【レギュラー 松本康太 死亡(毒殺)】

【フットボールアワー 後藤輝基】
所持品:コンバットナイフ、煙草、ライター 、眼球 、塩酸(瓶入り、残り3分の1)
第一行動方針:岩尾を撃った奴を探す
基本行動方針:相手を油断させて殺し武器を奪う
最終行動方針:不明
【現在位置:D8の森】
【8/15 17:30】
【投下番号127】


481 :名無し草:2006/10/22(日) 11:14:07
後藤怖eeeeeee!!!!!!!

482 :名無し草:2006/10/22(日) 14:11:16
何これ

483 :名無し草:2006/10/22(日) 16:18:11
乙!
後藤も松本も怖い…
でも何か切ない……

484 :名無し草:2006/10/22(日) 17:00:14
乙。
でも何か読んでて具合悪くなって吐いた

485 :名無し草:2006/10/22(日) 18:09:20
乙。
怖いけど惹かれる。

486 :名無し草:2006/10/22(日) 18:51:35
乙です。
松本そんなに好きじゃないんだが、奥さんがいることを考えると悲しくなった。
書き手さん違うけど、だいたの死も切なかったな。

487 :名無し草:2006/10/22(日) 19:04:15
乙。
はっきり言って気持ち悪い

488 :名無し草:2006/10/22(日) 19:08:12
だいたと松本、境遇似てるのに差が激しいw

489 :名無し草:2006/10/22(日) 19:08:53
>>487
原作に比べればあまりグロくないと思うが
気持ち悪いと思ったらその話を読まなきゃ良いんだし

490 :名無し草:2006/10/22(日) 19:49:28
読まなきゃいいったって('A`)そんなの無理だろ。
投下してあるんだから読んでしまうよ。

491 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/22(日) 19:55:32
さまぁ〜ず編の挿入で劇団ひとりと土田、いきます。



空には美しい満月が浮かんでいる。その青白い光が、こうこうと辺りを照らしていた。
夜が更けてもなお、時折聞こえてくる蝉の声が何か物悲しい。
月の光を受けて土田の中華鍋が黒く浮かび上がった。重い鉄塊がふり下ろされる、鈍い風の音が耳につく。
数秒後、響いたのはガツリ、という鈍い音。鍋が目標地点を外したおかげで、川島の命はまだ繋がっている。

彼は運がよかった。いや、地獄に仏、不幸中の幸い、その程度の話ではあったが。
土田の鍋が彼の頭蓋を粉砕しようとしたその瞬間、川島はほんのわずかにかがみ込んだのだ。
本当に、些細な出来事だった。その瞬間、足に巻いていたハンカチがずるりと落ちたのを気にしただけだ。
それが彼をわずかに永らえさせることになった。おかげで鍋の軌道が少しばかりそれて、肩に当たったのだから。

「土田、さん…?」

衝撃で彼はがくりと膝をつく。激しい痛みを左肩に感じて、そこを押さえながら川島はふりむいた。
そこには土田が黒い中華鍋を握りしめたまま仁王立ちしている。なぜ、なぜこの人が自分を傷つけたのだろう。
だが彼は咄嗟にその思いよりも自らの命を守ることを優先させた。足の痛みも肩の痛みも無視して、転げるように土田から離れる。
その間にも中華鍋は数回ふり下ろされた。まるでけちなゲームセンターのモグラ叩き。川島は哀れなモグラだった。
土田の攻撃には何のためらいもないように見える。怖い。あまりにも怖い。土田の表情はいつもと何ら変わりないのに。
自分にむかって鈍器をふり下ろす先輩の姿に川島はひどく怯えた。大柄な土田の影が彼の上に落ちている。
ただとにかく離れねば、体勢を整えねば、その思いだけで身体を動かす。彼と土田の間にほんのわずかな距離が生まれた。

492 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/22(日) 19:57:01

「土田さん、何で…!」

叫ぶ川島に、土田は小さく口角を持ち上げる。くくっ、と何か思い出したように、場に似合わぬ笑いがもれる。
一瞬ののち、あの耳慣れたセリフが凄まじい重みを持ってその唇からこぼれ落ちた。

「…死ねばいいのに」

背筋を酷く冷たいものが走る。もうこの人には何を言ってもきっと無駄だ。諦めの影が川島の心に差した。
スッと右腕を持ち上げる。もはや対話は叶わない。あの恐ろしい武器を土田にむけてみせた。
だがその銃口はふるえている。その様子を見てとった土田が間合いを詰めようと足を踏み込んだ。
瞬間、川島は引き金を引く。ガチリ。弾は出ない。川島は焦った。なぜ弾が出ないのだろう?

実際それは簡単なことだった。ただ単にセーフティレバーをかけたまま撃とうとしていた、それだけのこと。
慌てずにすぐレバーを外せばよかったのだ。そうすれば彼に勝機はあったかもしれない。
中華鍋とMP7の攻撃力は雲泥の差だ。弾が撃ち出せるようになりさえすれば、わずかな行動の遅れなど取り戻せただろう。
しかし、川島にはその場でセーフティーレバーの存在に気づけるだけの冷静さと胆力がなかった。
ガチリ、ガチ、ガチ、ガチガチガチガチ。無理矢理に引き金をひこうとする川島の姿を見た土田はまた笑みを浮かべる。

ズザ、と土田の足が動く。川島と土田の距離が縮まる。黒い鉄のかたまりが再びふり下ろされた。
ゴグン。不愉快な音だった。中身のつまった硬いものを叩きつぶす、そういう音。
その音が脳みその裏側で鳴ったような気がして、川島は目の前を真っ白にしながら呻いた。
痛い、というよりは頭が揺れた感じ。グワン、グワン、ガン。もう駄目だ。川島は死の訪れを感じた。
もう一度ふってきた中華鍋の色すらわからないあやふやな視界の中、なぜかはっきり見えたのは土田の2つの目玉。
そこにあったひどく荒んだ悲しみに気づいて、川島は呻く。


493 :名無し草:2006/10/22(日) 19:57:35
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

494 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/22(日) 19:58:36

「つち、だ、さ、」

ゴグン。ふたたびあの不愉快な音が鳴る。何が何だかわからない。ぐらり、頭が揺れている、揺れている。
目玉だけが深い深い悲しみで曇っている土田に何か伝えたかった。…でも、もう。



白い光が目の前にブワッと広がる。舞台で浴びるスポットライトの色だ。歓声とともに登場する一人の男。
それは自分であって自分でない人間。劇場いっぱいの観客に迎えられて、ゆっくりと中央へ。
誰もが待っているんだ、俺が最初の言葉を口にするのを。そら、始まりは眼鏡をかけた冴えない男の、あの台詞。

『生きるって何だろう、そんな漠然とした問いに、ほんの少し答えが見えてきそうな、そんな一日でした』

噛み締めるように発した言葉に皆が耳を傾けている。これから紡がれるのはおかしな男のおかしな話。
さあ、ステージのはじまりはじまり。みんな用意はいいかい。

『その日、ぼくは、いつも通り仕事を終え…』



なぎ倒された無数の草花のおり重なる暗い地面。そこが川島省吾の最期の舞台だった。
スポットライトは月の光。頭からおびただしい量の血液を流した川島の姿がぼんやりと浮かび上がる。
感情をこめて語りはじめる“劇団ひとり”の声を聞いた者は、誰もいない。



495 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/22(日) 20:00:28

【劇団ひとり(川島省吾) 死亡】
【土田晃之】
所持品:中華鍋
第一行動方針:川島殺害(遂行済)
基本行動方針:できるだけ殺して、できるだけ武器をかき集める
最終行動方針:優勝を狙う
現在位置:学校の欠けたブロック塀の周辺
【8/16 00:09】
【投下番号:128】



496 :名無し草:2006/10/22(日) 20:29:20
乙です
ひとり・・・(´Д⊂ヽ

497 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/22(日) 21:09:11
ラー片桐、エレキ今立篇行きます。


谷井が倒れているところが見えなくなったのを確認し、今立は安堵のため息を漏らす。
次第に強くなる日差しに顔をしかめ、今立はなるべく日陰を歩いた。
片桐と密着している背中が不快に湿って熱を帯びる。染み込んで来るものが血だと思い、今立は猛烈な吐き気を覚えた。
早くこの場を逃げ出そうにも、62kgの重りを背負っているものだから歩みはどうしても遅くなる。
じわじわと血が今立の背中にしみこむ。この血は片桐の命そのものだ。
「死ぬなよ…片桐…」
泣きそうになるのをこらえながら今立は語りかける。
だが、返ってきた声は
「無理無理、なんか助かる気しないもの」
と言う、あまりにも軽い諦めの声だった。
「そんなこと言うなよ、生きてくれよ」
「無理だって。内臓に穴開いてるんだから死ぬって」
「開いてないかもしれないじゃないか」
「いや、多分これは確実に穴が開いてるね」
死を確信した片桐が明るく笑う。何故、笑っていられる?
発狂―――今立はその言葉を喉の奥にしまいこんだ。
彼は狂ってはいない。だが、その冷静さは狂気よりも恐ろしい。
背中からずり落ちそうになる片桐を背負いなおすと、片桐は痛そうにうめいた。
生い茂る草を踏みしめ、重い足取りで歩いていく。草は青く強く臭った。
歩く度になぜか小沢の死体と井戸田の言葉が脳に響く。
『集めてどうすんの』
何をするつもりだったのだろう。仲間を集めたっていいことはないじゃないか。
ただ、自分が独りになることが嫌だっただけじゃないか。
結果背中の上で親友の命が消えようとしている。
もしもあの時片桐に会っていなければ、仲間にしていなければ、谷井に撃たれるなんて事はなかったのかもしれないのに。
(俺も谷井と同罪じゃないか!)
猛烈な後悔に今立の視界がゆがむ。自らの弱さがこの結果を招いたようにしか、彼には思えなかったのだ。

498 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/22(日) 21:09:42
「なあ、今立」
死ぬと言いながらも片桐の声はしっかりしている。
「俺が死んだら、海に流してよ」
「え…?」
思わず背中の片桐を振り返るが、かさのある髪の毛しか見ることが出来ない。
「だってさ、こんな所に埋められちゃったらもう誰にも会えないじゃん。嫁さんも太朗も墓参りに来られないじゃん。
 でも海ならいつでも会えるだろ?海に行くたびに俺の事思い出してくれるだろ?
 だから海がいいなぁ、って思ったの」
痛みのせいか、たまに息が荒くなる時もあったが、それでも平生の片桐と変わらない語り口だった。
本当に片桐は死ぬんだろうか。あの青く澄んだ海に彼の体が沈むことがあるんだろうか。
今立の想像の中の光景は、あまりにも幻想的でリアリティがなかった。
「わかったよ…お前が望むならそうしてやる」
彼がそう答えることが出来たのも、その非現実性からであったのだろう。
「ありがとね」
片桐が笑う。今にも今立が泣いてしまいそうなのを知らないように。
その時だった。
「…片桐さん?」
背後から不意に声をかけられ、今立と片桐は思わず振り向く。
そこにはモヤシのように細く、長い体の男が驚いた目で立っていた。
「お前は…えっと、『落下女』の時の…」
「山根です」
名前を思い出してもらえなかった山根が、苦笑いしながらやってくる。
敵なのか?味方なのか?
敵だとしたら、手負いの片桐がいる以上到底逃げることは出来ないし、戦うことも出来ない。
今立の心臓が早鐘のように打った。緊張で目の前が白くなる。
しかし、山根の行動は意外なものだった。
「片桐さん、怪我してますよね」
そういうと、山根はディパックからガーゼと包帯を取り出した。
救急セット―――これが彼に与えられた武器らしい。
山根は今立に片桐を降ろさせると、その「武器」で片桐の手当てを始めた。
もし刃物でも入っていたらと言う今立の心配をよそに、片桐の腹には綺麗に包帯が巻かれ、治療は終わった。

499 : ◆1ugJis83q2 :2006/10/22(日) 21:10:25
「これで、しばらくは大丈夫だと思いますよ。いままでどれだけ出血したかによりますけれど…」
「山根」
適切な処置を施された片桐を見、今立は問う。
「なんでここまでしてくれるんだ?特別仲が良かったわけでもないのに…」
「……」
山根はうつむいた。そして、今までのことを話しだした。


【ラーメンズ 片桐仁
所持品:マーライオン
第一行動方針:賢太郎を探す
基本行動方針:賢太郎の言う事を聞く
最終行動方針:海で死ぬ
現在位置:森】

【エレキコミック 今立進
所持品:スタンガン
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:仲間を集めて協力する
最終行動方針:ゲームの終了
現在位置:森】

【アンガールズ 山根良顕
所持品:救急セット
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明
現在位置:森】

【8/16 04:45頃】
【投下番号129】

500 :名無し草:2006/10/22(日) 21:19:31
プw

501 :名無し草:2006/10/22(日) 21:32:50
乙です!
ひとり(´д`)

502 :名無し草:2006/10/22(日) 21:36:02
>>491->>495
>>497->>499
乙!
土田コワー(((゚д゚;)))
片桐…(ノд`)


グロ苦手なら最初からこのスレ来るなよ…
人死ぬんだからそんくらいあるだろ

503 :名無し草:2006/10/22(日) 22:10:45
絡みは絡みスレでお願いしますよ

乙です。
なんか予想外な三人組にwktk

504 :名無し草:2006/10/22(日) 22:31:46
まぁ、本当に氏んだ奴もいるしな
嘘かもしれないけど

505 :名無し草:2006/10/23(月) 00:13:54
餅=兄

506 :名無し草:2006/10/23(月) 00:38:26
もう引っ張るなよww

507 :名無し草:2006/10/23(月) 01:19:08
もう終わったろその話題

508 :名無し草:2006/10/23(月) 02:31:44
乙!
ひとり…orz
手当てする山根がかっこいいと思ってしまったorz

509 :名無し草:2006/10/23(月) 06:40:36
結局、餅=兄だったんだから、あまり蒸し返すな

510 :名無し草:2006/10/23(月) 12:29:00
完全読み手なんですが気になるところがあったので言わせてください。
・井戸田の持ち物や状態などが全くかかれてないのはなぜ?
・127を見てるとレギュラー松本がなだぎに見捨てられた時の心境などの描写が全くないけれど、
 不自然に感じたのは自分だけ?


511 :名無し草:2006/10/23(月) 13:24:31
>>510
そりゃあ、松本はなだぎと会ってないし
西川の方だよ

512 :名無し草:2006/10/23(月) 16:37:08
したらば逝け

513 :名無し草:2006/10/23(月) 17:23:25
>>512
>>510はしたらばからのコピペ

514 :名無し草:2006/10/23(月) 17:26:06
だから何?

515 :名無し草:2006/10/23(月) 19:31:26
もういいよ一々報告しなくて

516 :名無し草:2006/10/23(月) 19:32:37
あれ…デジャヴが…

517 :名無し草:2006/10/23(月) 19:48:15
>>513
空気嫁

518 :名無し草:2006/10/23(月) 19:51:44
・投下時は書かれていたはず。ミソオデンさんが張り忘れたんだろ。
 持ち物は「結婚指輪とダーツの矢」、状態は「死にたい、けど自分では
 無理だから誰か殺して」だったはず。
・見捨てられたのは西川で殺されたのは松本だからお前さんの勘違い。

519 :名無し草:2006/10/25(水) 12:19:02
なんか突然過疎ったね
保守

520 :名無し草:2006/10/25(水) 12:38:36
だから何?

521 :名無し草:2006/10/25(水) 13:14:45
投下は週末に集中するから当たり前

522 :名無し草:2006/10/25(水) 17:30:48
で?

523 :名無し草:2006/10/26(木) 01:40:54
(´・ω・`)

524 :名無し草:2006/10/27(金) 20:51:12
保守

525 :名無し草:2006/10/27(金) 21:30:39
あ、ageちゃった

526 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/27(金) 23:29:00
ダブルブッキング編 >>280-283の続き

川元と黒田は、完全に闇に包まれた森をひたすら走り続けていた。
暗くなれば自ずと姿は隠れる。狙撃される可能性は低いだろう。
それに乗じ、先程の状況―磯山を撃ち殺した現場から、
出来る限り遠くを目指して2人は逃げた。
正確には、必死で逃げているのは川元の方で、
黒田はそれに引っ張られて付いて行っているだけなのだが。

しばらく走って、辿り着いたのは森の中を流れる川の辺。
海へと続いて流れているのだろう。ここではまだ細く浅い小川である。そこで川元はようやく足を止めた。
止まると、それまで感じる暇もなかった疲労が一気に全身を襲う。その場に崩れるように腰を下ろした。
黒田もぜえぜえと苦しそうに息をつきながら座り込み、地面に手を付いた。
そのまま呼吸が落ち着くまで、2人はしばらく黙って座っていた。


大分息が整ってきた川元は、横にいる黒田の様子を伺った。
黒田はぼんやりと、涼やかな音を立てて流れる川を眺めている。
「…磯山さん…」不意に、ぼそりと呟いた。
先程よりは精神的な安定も取り戻しているらしく、
目線は落ち着いていた。それでもやはり先刻のことは応えているようだ。
「何で…」

磯山を殺してしまったこと自体は、もう黒田は悔いてはいない。
彼の身体や持っていた武器に付着していた血痕から見て、
彼がゲームを受け入れ、他の人間の命を積極的に奪おうとする殺し屋と化していたことは瞭然だったからだ。
更に、自分の相方をもその手に掛けようとしていた。
―だからどうしても、仕方のないことだった。
ただ、優しかった筈の人間がそんな残酷な人格へと一変してしまったことが、
やはり黒田には未だ信じられず、そしてとても哀しかった。


527 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/27(金) 23:30:00
またしばらく静寂の時が流れた。
未だ沈んだ面持ちでいる黒田に、川元は思い切って声を掛ける。
「―あの、…ありがとう。…助けてくれたんですよね」
黒田はその声にようやく我に返ったようで、はっとした様子でまだ若干強張った顔をこちらへ向けた。
「あ…、そうっす。…いや、全然、気にしないで」
力無いが、照れたような声だった。
「…あそこまで、森の中を歩いて来てたんですか」
「あ、そう、ずっと会場から林通って森に抜けて、歩いて来たんす」
何とか普通に話せるくらいには調子が戻っているようだ。川元は少し安心する。
「意外。絶対森とか、避けて行くと思ったのに。
―…と言うか、誰かと一緒じゃなかったんですか?」
彼が目の前に現れた時から引っ掛かっていた疑問だった。
ともすれば、無駄に大勢の集団の中に紛れ込んでいそうな男なのに。
「ああ、それがですね、俺てんぱっちゃってて、誰とも連絡取って無かったし…
それに会場出る時まで、誰のことも見てなかったんすよ」
言いながら、苦笑を漏らした。
「ほんっと、抜けてるんだ……」
流石の川元もおかしくなってくる。

「ぶんちゃんこそ、やっぱり誰とも合流してなかったんすね」
やっぱりとは何だ、と突っ込みたくなったけれど、その通りなので反論せず黙って頷く。
「そうだと思った。絶対1人でいると思ってたっす。
…そうそう、それにね、絶対俺ぶんちゃん森の中にいるんだって思いましたよ。森とか山好きですもんね」
突然、さっきまでの沈んだ面持ちからは考えられないほどの、
元来の明るい声に戻ってうだうだと喋りだす黒田を、川元は不審げに眺めた。
その意図が全く読めずにいた。黒田は話し続ける。
「伊達に8年コンビやってないっすね。やっぱ俺ちゃんと分かってたんだ、すげえすげえ!
あのね、俺、ぶんちゃんのこと探してたの!今までずっと!」

528 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/27(金) 23:31:02
川元は目を見開く。
それは、再会した時に感じたそれを、遥に上回る驚きだった。
全く予想だにしなかった申告。
(俺を探していた……?)

このゲームに参加している人間誰も、自分のことなど考えていないと思っていた。
相方のことも信じていなかった。自分の身可愛さに動くだけだと思っていた。
それが、この4、5時間ずっと、自分のことを探すために費やしていたなんて。

「…そんな、嘘を」
しかし、真っ正直とは言えないまでも、裏表がなく上手い嘘などつけない黒田が
咄嗟に作り事を言ったとは到底思えなかった。

「嘘じゃないです」
黒田は笑っている。
ずっと辛くて、恐くて、寂しくて、押し潰されそうになっていた。
それが、こうして信頼できる人間と再会できた時、
どうしてか感情が振り切れて、嬉しさばかりが溢れ出して、
何故だか笑いが浮かんできてしまうのだった。
それが、この凄惨なゲームに相応しくないとしても。

529 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/27(金) 23:32:19
今まではさっぱり考えられなかった、これからの行動方針。
それが川元の中で徐々に固まっていった。それを、黒田に切り出してみる。
「―この際だから、出来る限り生き残る努力をしてみますか?」
「そうっすよ、折角さっき助かったんだから。何とかなりますよ、きっと」
「…本当に、適当なんだから…」
「大丈夫ですよ!お互い守り合ってれば…何だったら、そのまま優勝しちゃったりして!」
あまり笑えない冗談だった。優勝する以外には、もう死しか選択肢はない。
生きたかったら、嫌が応にも優勝を目指すしかないのだ。
(それに、万一俺らが生き残れたとして、優勝者はたった1人。
そうなったら、俺らで殺し合わなければいけないんですよ)
しかし川元は、その残酷な現実を、口に出すのは止めた。

声を潜めて、それでも楽しそうに笑っている黒田。
しまいには、川元もつられて、静かに笑い出した。
2つの笑い声は、流れて行っては、川の音にかき消されていく。
笑いの合間に黒田が小さく呟く。
「会えてよかった。本当よかった。うれしい」
その声が涙で掠れていることに、川元は気付かないふりをしていた。

530 : ◆hfikNix9Dk :2006/10/27(金) 23:33:04
【ダブルブッキング 黒田俊幸】
所持品:ワルサーPPK(6/7)・控え銃弾(21発)
第一行動方針:相方と身を守りあう
基本行動方針:とにかく生き残る
最終行動方針:未定

【ダブルブッキング 川元文太】
所持品:眼鏡(武器未確認)
第一行動方針:相方と身を守りあう
基本行動方針:できるだけ生き残る
最終行動方針:未定

【現在位置:森・川辺(F5)】
【8/15 21:00】
【投下番号130】

531 :名無し草:2006/10/27(金) 23:35:09
>>525
お前誰だ

532 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/27(金) 23:55:04
>>前スレ793

5人集まっての打ち合わせ。
混沌とした視界と現状を整理する為に様々な色彩をもったパズルを一つずつ当てはめていく作業にも似た困難さと苦痛を味わいながら、
一つずつ難題を潰すべく話し合いを進めていると、窓から差し込んだのはオレンジ色の光。
一刻一刻日が沈んでいくのを感じるのは何年ぶりだろう、と心の奥隅で個々が自らに問いかける中で、自然と話の流れは今夜の宿泊場所に向かっていった。
野宿なんか耐えられへん、と真っ先に零したのはやはり人一倍貧弱な体を持った久馬である。
全員がover30の集まりである為、危険とは分かっていながらもどこか屋内で、という久馬たっての希望に積極的に反対を打ち出そうとするものは居ない。
すぐに安全に宿泊する為の方策に話が移り変わると、口の端を上げながら僕に任せて下さい、と言ったのはそれまでも議論の舵をとっていた鈴木であった。
考えがあるんで毛布でも取ってきてください、あとシーツもお願いします、と笑顔で体力のありそうな3人に依頼すると、特に反対の声はない。

「持ってはった方が道中安全ですから」
3人ともデイパックを軽くしようと荷物整理をしていたときだった。鈴木は先程熊谷を撃った銃を灘儀の目の高さに差し出す。
「要らんわ」
灘儀は素気無く鈴木の申し出を断ろうとしたが、結局御守代わりになると浅越の説得もあり半分押し付けられる形で持っていくことになる。
当の浅越は久馬からスコープだけ外したライフルを受け取り、代わりに鈴木に吹き矢を渡していた。

視点の定まらない瞳で久馬と鈴木と浅越の3人を見る。
灘儀にとって信頼出来る人間なのかと、先程の話し合いの光景を目裏に浮かべて考える。
それと同時に、別れ際の西川の顔を思い出す。
彼らにまつわる出来事が渦巻いて、灘儀の心を揺さぶった。
「どうしはりました?」
心配そうに声をかける柳谷を、手だけで制す。今考えている内容を口に出せるわけがなかった。


533 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/27(金) 23:56:18
病院まで短い道のりを誰にも遭遇せずに移動する事に成功すると、
先程浅越が病院内を捜索した際に見つけた急病人用の搬入入口から忍び込む。
「待ってもらえます?」
売店前の非常階段から上にいこうとしていた2人を浅越が呼び止めた。
「多分、あると思うんですよね…やっぱり」
売店には食料品は既に持っていかれたのか元々置いていないのか残っていなかったが、
ふと閃いたのかレジ下に置いてあった下着類を目敏く見つけた浅越は、袋を2人に投げて寄越した。
ついでに引き出しにあったタオルと歯ブラシセットも拝借していく。
「これで長さんに怒られんで済むな」
「何日か磨かんくらいで虫歯にはならんでしょ」
灘儀の脳裏には歯磨いたかー!?と子供の頃に毎週見ていたテレビ番組のエンディングが蘇っているのかと柳谷は訝しがるが、
単に灘儀にとっては緊張甚だしい柳谷をリラックスさせるためにした発言だった。
実際、ツッコミにキレがない。灘儀は溜息をつくとデイパックにそれらを詰め込む。
階段から病棟まで真っ暗闇の中、柳谷の持っていたジッポの炎を頼りにしながら一段ずつ歩みを進めた。
空調の働かない病院内は、蒸すような暑さを3人に与えている。だが声を出すことは危険だと認識している彼らは一言も発さずに
処刑場へと通じ、果てしなく暗闇に続いていくような雰囲気を醸し出す階段を6階分上りきる。
浅越のワイシャツは既に汗でぐしょぐしょになっており、柳谷や灘儀のTシャツも同様だった。
浅越自身、シャワーで汗を流したい、と思いつつそれが叶わないであろう事も同時に悟っているが、
それ以前にえらく日常的な方向へ思考が飛んでいく自分に笑いが漏れる。


534 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/27(金) 23:57:27
病室に入るとすぐさま軽い枕を5個分、シーツで縛って灘儀が背中に抱える。
毛布は分担して5枚分を柳谷と浅越が背負った。
夜逃げをするのかもしくは泥棒であるかのような格好は、
普段ならばそれなりの笑いを提供する類なのだろうが、
今はそのような余裕は3人共に存在していなかった。
無事を確認するように目配せをすると、浅越が言い出しづらそうにしながらも、ある提案をする。
「銃創の治療用に鉗子持っていけないですかね…?」
2人は顔を見合わせると、溜息を吐いた。
「嫌でしたら一人で行きますから。入口で待ってて下さい」
「1人で行かせられんやろが。そやったら階段のとこに置いてちゃっちゃと行こか」
メンバーを、危険だからと簡単に見捨てられる訳がない。
灘儀が同意したのならと柳谷は口を挟まずに、
階段を下りると途中階の手術室の並ぶ階層に荷物を下ろして立ち寄る。
「手術室は電気通ってへんから扉開かんのとちゃうか?」
「でもナースステーションに道具類ならあると思いますよ」
薬剤が分かり易く残してあったことから考えると、
道具類も見つかり易いところにあるだろう、と
浅越の思惑としてはさっと見つけて立ち去るはずだった…のだが。

535 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/27(金) 23:58:23
最初にエレベーターが動いている事に気付いたのは柳谷だった。
そもそも病院は生命維持装置や手術中の電源など、電源を落としてはならない機械が多数あるために、
自主発電装置が必ず備え付けられているので、
エレベーター類も発電機が動いている限り使用できるということに
3人が3人とも気がつかなかったのは迂闊としか言いようがない。
柳谷に促され気付いた3人は、まさかこの階に来る事はないだろうと勘繰りつつも
それぞれの武器を手に持ったまま、カウンターの陰に隠れて、息を殺した。
1秒が10秒にも感じるような息苦しい時間が流れた後、
祈りが通じなかった事を告げるエレベーターの到着音が鳴り響く。

ナースステーションの鏡にエレベーターの内部の様子が映し出されるのを、
3人は息を飲みながら眺めていた。
操作盤の前に隠れていた1人が顔を出し、周囲の様子を窺っている。
3人ともその顔には見覚えがあった。後輩のbase芸人である。
ピンク色のシャツを着た彼は、動くモノの気配が感じられない事を知ると、
足で扉が閉まるのを止めながらエレベーターから足を踏み出した。
傍らに傷付いた相方を支えながら。

536 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/27(金) 23:59:38
兼光(プラスマイナス)の怪我の状態は決して良くなかった。
大腿部と脇腹の傷から流れている血は凝固する気配がない。
岩橋の持っていた銃で何とか撃退はしたものの、病院に来るまでで相当量の血を流してしまっており、
顔はすっかり青ざめている。
輸血の知識はないものの、せめて傷口の縫合をすればまだ助かるのではないかという微かな希望に賭けて、
2人はここまで歩いてきたのだ。
ほぼ戦闘力を失っている2人の様子に、
手助けをしようと立ち上がろうとした灘儀を浅越が肩を持って押し留める。
灘儀は岩橋の右手に握られている銃を気にしていないようだが、
浅越にとっては今の時点で姿を現すことは問題外であった。
今の2人は傷付いた雛鳥を守る親鳥のような格好だ。
少しでも触ろうとすれば手酷い反撃にあうであろうことは明白に思えたのだ。
灘儀は激しく抗議するような目を向けつつも、
浅越が抑えるようにジェスチャーするとそのままの体勢からとりあえず動こうとはしなかった。
岩橋は兼光をエレベーター横のソファに座らせると、その前に屈みこむ。
「俺の顔分かるな?もうちょっとの辛抱やで」
語りかけられた兼光は壁に凭れかかり、視線の定まらない瞳で岩橋を眺めていた。
浅越はまだ死にかけの人間というものを見たことはなかったが、これはダメだなと直感する。
柳谷は緩慢と死に近付く後輩を見て見ぬ振りをすることには耐え切れないのか、
俯いて視線だけ浅越に浴びせた。
その視線が灘儀にとって彼らを助ける動機の裏付けになる。


537 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/28(土) 00:00:59
浅越が気付いた時にはカウンターを挟んで、
正面を向いた灘儀と物音に気付いて銃を真っ直ぐ灘儀に向けている岩橋が対峙していた。
灘儀に向けられたのはS&WのM36。

灘儀の首に因縁の糸が巻きつけられていく音が木霊する。

プラスマイナス 岩橋 良昌
【所持品:S&W M36
第一行動方針:兼光の怪我治療
基本行動方針:相方は見捨てない
最終行動方針:不明】
プラスマイナス 兼光 貴史
【所持品:プラスチックバット
状態:大腿部、脇腹負傷(重傷)
第一行動方針:怪我治療
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明】


538 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/28(土) 00:01:48
ザ・プラン9 ヤナギブソン
【所持品:照明弾(4/5) ジッポライター 斧
第一行動方針:今夜の寝床確保
基本行動方針:生存最優先
最終行動方針:不明】
ザ・プラン9 なだぎ武
【所持品:MP5(15/15)  ダイナマイト1本 短刀(檜)
状態:脇腹に軽傷
第一行動方針:今夜の寝床確保
基本行動方針:人命救助(特に知り合い)
最終行動方針:不明】
ザ・プラン9 浅越ゴエ
【所持品: M24ライフル 5.56ライフル弾(30/30)  救急セット
第一行動方針:今夜の寝床確保
基本行動方針:メンバーの生存最優先
最終行動方針:不明】
【現在位置:病院(D5)】
【8/15 21:00】
【投下番号:131】


539 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/28(土) 00:04:24
【8:15 21:00】→【8:15 18:24】

540 :名無し草:2006/10/28(土) 00:47:48
>>531
俺はお前だよ

541 :名無し草:2006/10/28(土) 01:20:38
>>540
そうか、こんばんは

542 :名無し草:2006/10/28(土) 06:56:33
バロスw

543 :名無し草:2006/10/28(土) 09:11:35
>>540-541
ワロタwwww

544 :名無し草:2006/10/28(土) 12:19:47
>>526-530
乙。2人のやりとりが何か好きだ。
>>532-538
プラン編待ってたよ!プラスマイナスがどう絡んでくるかwktk

545 :名無し草:2006/10/28(土) 12:56:57
つまんねー話投下すんなよカスが

546 : ◆pwreCH/PO6 :2006/10/28(土) 13:40:49
岩橋の武器をM16→M19でお願いします。きちんとまとめ確認しなくてすみません。

547 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:39:32
>>460-469の続き、ソラシド・NONSTYLE石田編です。
---------------------------------------------------------

全員の泣き声と鼻水が治まった後、最初に口を開いたのは本坊だった。

「これからどうするん?」

夜も更けてきたし、寝床も探さなければいけない。
ここに留まってもいいのだが、水口には思う所があった。

「俺は・・・これから出来るだけ亡くなった人を弔っていきたい。」

「水口さん・・・」
「今、隅ちゃんにしたみたいに?」
「うん、ほんまは俺1人でやるつもりやったけど・・・」

水口は申し訳なさそうに2人を見る。だが、2人の表情は明るかった。

「僕はさっき言うた通りですよ。本坊さんは?」
「僕もみんなと一緒がええから一緒に行く。」
泣きはらした後の赤みの残る目が笑う。

「2人とも・・・ありがとう。」


548 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:40:55

「じゃあ、行く所は決まりやね。」
本坊は右肩のデイパックの埃を払った。
「え?」
水口と石田が思わず口を揃える。
「どこへ?」
「・・・・学校。あそこには少なくとも5人死んだはるはずや。」


    そこは、この無意味な殺し合いのはじまりの場所。


水口の脳裏に、入り口の4人の遺体がフラッシュバックした。
「5人て・・・最初に撃たれた山田さんだけやないんですか!?」
石田が信じられない、といったように詰め寄る。
「そっか・・・お前順番前の方やったし・・・」
「入り口で穴だらけの死体が4人あったんよ。多分出る時に撃たれたんやろね。」
「そんな事が・・・」
石田の表情が曇り、失望の色に染まっていく。

「・・・今は4人やなくて、3人になってるはずやわ。」
2人が揃って水口の方に顔を向ける。
「・・・どういうこと?」
「1人は俺が最初に埋めた人なんや・・・ほんまは全員連れて行きたかったけど・・・」

549 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:41:47

   ”全員連れて行く”

先程ひっかかった本坊の言葉を水口は発していた。
だが、当の水口はそれに気がつかず、横の本坊の表情も見ていなかった。

その表情は喜びと狂気に溢れていた。それは向にサーベルを突き付けられた時と
ものと似ていたが、段違いである。
しかし、その狂気を石田と水口はもちろん、本坊も気付いていない。

「やったら、尚更行かなあかんね。はよ連れて行ってあげへんと。」
本坊は水口に純粋な笑顔を向けた。
「・・・・・・・うん。」
「のんびり話してるのもやばいかもしれませんよね、行きましょう。」
3人は目的地に向けて歩き出した。

同じ場所へ、同じ気持ちで、3人一緒の--------筈だった。

この時本坊の狂気に気付いていたのなら、と水口は後で後悔する事となる。
だが、それはまだ先の話である。



550 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:42:33

「痛い・・・足取られる〜・・・」
「もう、石田は文句多いなぁ」
3人は岩場を通っていた。学校に行くなら中央の元町や森を突っ切った方が早いのだが、
水口が町や森は人が多いから危険だと考え回り道をしようと言い、2人もそれに賛同した。
だが、足場が悪いので元々限界寸前だった石田の足は悲鳴をあげている。
「僕先に行っとくよ〜?」
3人一緒なのが嬉しいのか本坊は楽しそうで、いっこうに疲れている素振りを見せない。
今にも鼻歌混じりでスキップでも始めそうだ。
「普段俺くらい体力ないくせに・・・」
疲労困憊の自分とは対照的な本坊に、石田がぼやいた。
「・・・石田、しんどかったら言うねんで?」
水口が心配そうに言う。
「いや、なんとか大丈夫っぽいです・・・」
「ほんまか?お前びっくりする位体弱いしなぁ・・・」
「ほ、ほっといてくださいよ!!」
「お前も相方に会うまでは死になや?・・・大阪∞、始まったばっかりやろ?」

ヨシモト∞、NONSTYLEは毎週日曜大阪からの司会を任された。
一昨日、第1回が始まったばかりなのだ。オリエンタルラジオ・ほっしゃんが
第1回のゲスト。緊張して上手く話せなかった。
次週はもっと頑張ろうと、相方の井上と言い合った。
たった2日前の事が、とてつもなく遠いように思えた。

551 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:43:14

「はい・・・まだ司会やりたいし、ネタもしたいです。」
「俺らもまたbaseでネタやりたいわ。だから生き残ろう。
 でも、無理しすぎたらかえって早死にするやろ?
 俺らは先輩なんやから、いつでも頼ってええんやで。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「石田?」
「・・・・やっぱり水口さんイキってんのイライラしますわ。」
「なっ!?俺は普通にええこと言うてるだけや!!何か心配して損した!」
水口はアホらし、と言って石田に背を向け乱暴に歩き出した。
「水口さん・・・ありがとうございます。」
石田はギリギリ自分に聞こえる位の声で呟いた。

軽快な本坊の足取りが、ぶつ切れたように止まった。
「・・・本坊?」
本坊が見ていたものはやはり---------------

「誰やろ?遠くて見えへん・・・」
3人はそれに歩み寄る。その足取りはしっかりとしたものだった。
「・・・・嫌な予感がする。」
ぼそっと本坊が呟いた。

それの前に立った時、3人は一同に絶句した。
その物体、いや遺体はbaseよしもと芸人、笑い飯 西田幸治。


552 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:44:19

「西田さん・・・・」
その遺体は、今まで見てきたどの遺体より安らかな顔だった。
体のあちこちに傷があるが、目を閉じ、両手を胸の上で組ませてあるそれは、
「・・・・綺麗、ですね」
「うん、こんな時に言うことやないんやろうけど・・・」
プログラム開始すぐならば、親しい芸人の死のショックにうちひしがれ
遺体を見るのも躊躇ったのだろうが、今は違った。
もちろん、冷静に見れるからといってショックを受けていない訳ではないが。
ただでさえ涙もろい本坊は、もう涙が滴り落ちていた。
「・・・ちゃんとお別れしよな?」
「・・・うん」「・・・はい」
水口の呼びかけに2人が答える。

隅田の時と同様に、3人は西田を埋葬した。
「・・・・baseトップ組欠けて、売上げガタ落ちですよ西田さん」
「M-1今年こそ取るって言うたはったやないですか、初詣今年もいかはったんでしょ?」
「この前言うてた店、僕まだ連れてってもらってないっすよ」
いつもいる楽屋での無駄話。その時と同じ口調で話し掛ける。
もう言葉は届く筈がないと知りながらそうせずにはいられなかった。


553 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:44:53

墓を立てた後、手を合わせると石田は思い出したように口にした。
「哲夫さんやったら、般若心経読まはったんかなぁ・・・」
「さぁ、どうなんやろな・・・」
感傷に浸る石田と水口に、本坊はまたぼそっと呟いた。
「西田さん殺したの、哲夫さんかもしれへん。」
2人の表情が、沈鬱から驚愕へと一変する。
「何てこと言うんですか!!そんな訳ないでしょ!!?」
本坊をたしなめようとした水口よりも早く、石田は本坊に喰ってかかった。
「ごめん、根拠はないけど、なんとなく・・・」
「なんとなく?なんとなくでそんな事言わんとって下さい!!
 そんな事ある訳ないでしょ!?」
石田は怒りに声を荒げて本坊に詰め寄る。
「石田、落ち着き!本坊も、そんなんわからんのに言うたらあかん。」
見かねた水口が間に入る。
「うん、ごめん・・・」
「わかってくれはったらええんです・・・」
そう言ってすぐ、石田はよろけて膝をついた。
「石田!!」
「すいません、俺、もう限界っすわ・・・」
「もう今日はここら辺で休もか・・・」
水口と本坊の体力も限界に近づいていた。
「出来ればここでいいですか・・・?西田さんの近くで。」
石田の希望に、2人は応じた。


554 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:45:56

3人は交代で見張りを決めて寝る事にした。
最初は水口が見張り役に決まり、石田は余程疲れたのかすぐに眠った。
対照的に本坊は中々寝付けず、寝返りを繰り返している。

「・・・・なぁ」
本坊が背中を向けたまま水口を呼んだ。
「何?」
「さっきの西田さんの事なんやけど・・・」
「・・・哲夫さんかもしれへん、ってやつか?」
「うん、やっぱり水口も石田と一緒なん?」
「俺は・・・・・・」
本坊の扱いに慣れた水口も流石に口ごもる。
しばらく考えた後、少しずつ出て来た言葉を紡いだ。
「少し・・・ほんの少しだけ思った。だからあんな顔やったんかもって。
 でも、多分ちゃうよ。哲夫さんそんなんする人やないよ・・・」
「よかった。」
本坊は安堵した声でそう言った。水口は(何が?)と聞こうとしたが、
本坊は話を続けた。
「わからへんよ、向かて全然違う人になってたもん」
口調は安堵したものとは別のものだった。聞き間違いだったか、と水口は思った。
本坊は起き上がり水口に視線を向けた。
「プログラムが進めば、多分みんなおかしなってくる。
 石田はないて言うたけど、相方同士や仲ええ人同士が殺しあう事もあるかもしれへん。
 だから、こんなこと、早よ終わらさなあかんねや。」
真剣な眼差しで、本坊は語る。水口はただ聞く事しか出来なかった。
「だから・・・・」

本坊の話に、場違いな明るい音楽が割って入った。
第2回の放送の合図だった。


555 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:46:39

【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:より多くの遺体を埋葬
最終行動方針:未定

【NONSTYLE 石田 明
所持品:オフェンスキープ
基本行動方針:とりあえず病気にならない
第一行動方針:骨とか折らない
最終行動方針:健康でいたい

【ソラシド 本坊 元児
所持品:コンビニコスメセット
基本行動方針:水口を守る
第一行動方針:水口の手伝い
最終行動方針:水口以外の参加者(自分含め)全員を1度に死亡させ、水口を優勝させる】



【現在位置:G-1】
【8/16 00:00】


556 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/10/28(土) 14:49:00
あ、忘れてました。
【投下番号:132】

557 :名無し草:2006/10/28(土) 19:37:17
>>540-541


558 :名無し草:2006/10/28(土) 21:18:45
本坊気になる!

559 :名無し草:2006/10/29(日) 07:35:04
>>557ちょw

560 :代理投下◇8eDEaGnM6s:2006/10/29(日) 16:04:16
本スレ>>422-426 の続き

それは、6時間余り前の出来事になる。
森の中で赤岡と別れてスタート地点に戻った今泉は、間もなく建物から追い出されて、外気の暑さと
途方もない絶望からか天を仰いでいた大滝を見つけて彼と合流する事が出来た。
今泉が予想した通り、大滝は自分達をバトルロワイアルに放り込んだ政府に対して怒りを覚えていて。
そして、同時に目の前で山田を殺された菊地の精神状態を心配していたようだった。

予定によれば13:08にスタートとなる菊地を待ち、早々に合流して。
彼の心をケアしながら何とか生き残る道を探そう…手短にそう決めて2人はそれまで草むらの中に潜む事を選択した。
その間に互いの武器を確認しあう。
大滝の武器は、どうやら工事用のヘルメットのようだった。バンドでライトがくくりつけられていて、
暗いところでも視界と頭を守る事が出来るらしい。
とはいえ、攻撃は最大の防御であるという言葉もある通り、何かがあった時にやり返す手段が
素手しかないというのは、なかなかきつい条件であろう。

「暑ぃ……。」
そのヘルメットも、さすがに真夏の昼下がりにを被る気にはなれないのか、バンドを延ばして背中に流す
休憩中の作業員のようなスタイルで身につけながら地面にあぐらをかいて、大滝はうめくように呟いた。
周囲の木々のお陰で直射日光こそ避けられているとはいえ、やはりそれでも暑いものは暑い。
同じ炎天下の野外に放り出されるのならば、草野球のためならまだ元気も湧いてこようという物だろうが。
草野球と言えば、今年の初めに野球の世界一を決めるべく行われたWBCにて大東亜共和国を世界一に導いた
一人である、某在京球団の若い内野手を大滝が監督を務めるナベの草野球チームの助っ人に
呼ぼうとしていた話もこれで破談という事になるのだろうか。
よその事務所の草野球チームも彼を助っ人に呼ぼうとしていたらしく、自分達を選んでくれるよう
熱心に説得していた大滝の様を、今泉はふとぼんやりと思い出す。
「……………。」
時刻を確認すれば、あと十数分で菊地が現れるはず、である。
規則的に建物から吐き出されていく芸人達の顔と動きを遠目で確認しながら、2人はその時を待つ。

561 :代理投下◇8eDEaGnM6s:2006/10/29(日) 16:04:56
けれど。
まだ大半の芸人が建物の中におり、危険度もまだ低い時間帯という事もあってあっさりと行くと
思われていた菊地との合流は、叶わなかった。
あまりに真剣になっていたから、彼らは気づかなかったのだ。
住みかを唐突に荒らされ、2人の背後から忍び寄る一匹の蛇の存在に。


「う…ぅわぁああああああ!!」
背中をはい上がり、視界の右端からぬっと顔を出してくる物体に…ちろちろと舌を出すそれが何であるかに
気づいた瞬間、今泉の口から迸る甲高い悲鳴は辺りに響き渡って。
間もなく誰かが近づいてくる下草のかき分けられるサラサラという音が聞こえてくれば、2人は菊地よりも
自分達の保身に専念せざるを得なくなる。
慌ててその場から逃げ出すなどという文字通りやぶ蛇な行動に出る訳にも行かず、息を殺し、気配を消して。
もちろん、そんな2人の事情や動揺など知らぬがごとくに振る舞う2m近い体長のオリーブ色の蛇が
実は無毒なアオダイショウであるなんて冷静に判断できる余裕もない以上は、もしかしたらこの蛇は
毒蛇かも知れないという恐怖に耐えながらも。
間近に迫っていた誰かの気配と足音が遠くへ去っていくまで、2人はその草むらの中で音を立てぬよう
じっとし続けていたのだった。

安全を確認して何とか草むらからはい出てきた頃には、とっくに菊地はどこかへと歩き去った後で。
慌てて見やった建物の入り口には黒のシャツとパンツ姿の小柄な男…あの格好は長州小力だろうか。
芸人達が集められた理由がネタ番組という事で、律儀にいつもの格好になっていたらしい…がウロウロしているばかりで。
「痛……っ」
お前のせいだ。そんな言葉の代わりに大滝の拳がゴツッと今泉の腕にめり込んだ。
けれど、今泉に反論は出来ない。もしも仮に蛇が大滝の背中をはい上がっていたらどうだったのだろう、と
そんな事を考えなくもないけれど、それでも自身の迂闊さと高い声を悔やむように唇を噛み、
ただ地面へと視線を落とす。

562 :代理投下◇8eDEaGnM6s:2006/10/29(日) 16:05:31
「でも…まだ遠くには行ってないはずだ。探そう、菊地君を。」
しかし、だからといっていつまでも悔やんでいる訳にもいかない。
このバトルロワイアルという状況下では、頭の切り替えの早さも生き残るために必要な要素の一つである。
ふぅと一つ深く息を吐いて、視線をもたげる今泉の表情はすでに落ち着いた真剣な色を帯びていて。
「…ったりめーだろ。」
今泉の腕をどついた時に変なぶつけ方をしたのか、右手をパタパタ振りながら大滝は小さく笑う。
「初回の失点はいただけねぇが、まだ挽回する時間はあるはずだ。」
軽く野球に喩えての大滝の言葉に今泉は力強く頷き、そして2人は歩き出していった。


その後さんざん学校周辺を歩き回った2人は、夕方前には南の集落の辺りも見て回った。
誰かがそこで殺し合ったのだろうか、血の跡が路上に残っていたり、遠くで銃声がしたりするたびに
菊地が巻き込まれてないか、あるいは菊地が巻き込んでいないかと不安になったりはしたけれど。
ニアミスこそあれ、特に誰と接触することなく2人はその歩を進めていった。
立ち寄った民家の物置にあった古びたスコップを当面の護身にと拝借して、肩に担いで歩く大滝と
その後ろをちょこちょことついて行く今泉はやがて南から反時計回りに進路を北に変え。
日が暮れてからは大滝のヘルメットの明かりを頼りになおも菊地を探し続けて。

そして先ほどの…道ばたで休憩を取っていた光景に至るのだけれども。
誰とも接触しないという事は、誰からも菊地の情報を得る事が出来なかったという訳で。
2人の捜索は完全に行き詰まりの兆しを見せていたのである。


「……………。」
ペットボトルの中の水で軽く口をゆすぎ、短い2人の夕食は終わる。
デイパックの中に入っていた食料を僅かにかじっただけなので、満腹にはほど遠い食事ではあったし
晩酌の酒もない何とも寂しい物ではあったが、それでもまだ食料が不味いと…こんな物が最後の晩餐と
なるのは厭だと感じるだけの余裕がある事はわかったし、少しは今後身体を動かしていくための栄養となるだろう。

563 :代理投下◇8eDEaGnM6s:2006/10/29(日) 16:06:01
「せっかくこんな所にいるんだったら。」
けれどもさぁ行こう、と立ち上がる気力が湧くまではもう少しかかるらしく、
ぼそりと大滝が誰に告げるでもなく言葉を紡ぐのが聞こえ、今泉は無言で大滝の方を向いた。
「みんなでベタにカレー作ったりなんざしてさ、輪になって喰って。でもって明日はこの自然の中で
 足腰鍛えるためにランニングしたりしてさ。強化合宿ってーの? そっちの方が絶対ずっと楽しいって。」
今泉の視線に気づいているのかいないのか、そのままぼそぼそと言葉を紡ぐ大滝の言う『みんな』が
草野球チームの面々を指す事に気づくまで今泉は数秒ほど時間を要したけれど。

「……その通りだと思うよ。」
僅かに表情を和らげて、小声でそう同意の意を示した。
草野球とはいえやはりチームである以上はそういったイベントを通じて団結力を育む必要もあるだろうし、
自分達が楽しむ事を知らなければ他者を…客を楽しませる事も出来ないだろう。
「……………。」
まさか単なる独り言に対し同意されるとは思わなかったのか、大滝はぴくりと肩を震わせて。
ゆっくりと今泉の方を向くと「だよなぁ」と小さく呟いた。
まだバトルロワイアルは始まったばかりであるけれど。それでも先ほどの放送でも明らかになったように
すでに笑えない…いや歪んだ笑いしか浮かばないような出来事は起こっている。
芸人の愚かしくも滑稽な行動による悲劇とも喜劇とも言えないそれらの出来事は、間違いなく
『楽しみ、楽しませる』事とは逆のベクトルにあるはずだろう。

それを芸人達に強いる政府が許せなかったし、バトルロワイアルに従わざるを得なかった…つまりは
その強制を甘んじて受け入れた自分がどうしても許せなくて。大滝は険しい表情を浮かべて深く息を吐いた。
だからこそ、菊地に会いたいのかも知れない。叶うなら、力になりたいのかも知れない。大滝はそう思う。
ビートたけしという代理人相手ではあるが、政府の決定に異議を申し立てようとして、殺された山田。
その彼の代わりに、せめて彼の相方である菊地を守りたい……我ながら随分と陳腐な発想ではあるけれど、
それでもこの混沌とした空間で己を保ち続けるための希望の光には、なる。

564 :代理投下◇8eDEaGnM6s:2006/10/29(日) 16:06:33
「…っと、そろそろ行くか。」
どこに、とは口にせず大滝はそう今泉に告げて、地面に突き刺しておいたスコップの柄に
手を伸ばそうとした。
「ん…わかった。」
大滝が動いた事でヘルメットから放たれる光が揺れる中、手早く荷物をデイパックに詰め込んで
今泉が立ち上がろうとした、その時。

ブブブブブブブブブブ

そんな羽音と共に今泉の視界を黒い物体が横切っていった。
「………っ!!」
全くの不意打ちに思わず大声を上げてしまいそうになる今泉だったが、さすがに昼間と同じ失敗を
繰り返す訳には行かず、今回は手で強引に口を押さえて声を殺す。


「…どうした?」
どさりとデイパックが地面に落ちる音がして、スコップを手に大滝が今泉の方を向き、問うた。
「何か…虫が目の前を通ってったみたい。」
心臓がバクバクと激しい音を立てるのを感じながら、今泉はおそるおそる口元から手を外し、大滝に答える。
「カブトかクワガタか…カナブンかゴキブリかはわからないけど。大きい奴だった。」
「…虫、か。」
あービックリした、と口元から外した手を胸にやって安堵の吐息を漏らす今泉を見やりながら、大滝は小さく呟いた。
カブトムシやクワガタとの単語に自然と山田の笑顔が連想され、先ほど自身が口にした草野球チームの
強化合宿のメニューに山田のレクチャーによる昆虫採集も加えても良いかもしれないな、と
大滝の思考は脇道へとそれる。
こんな自然が豊かな場所なら、そしてちょうど虫取りのシーズンである今なら、きっと彼も嬉々として
虫取りのコツや雑学を喋ってくれる事だろう。
……生きてさえいたならば。

565 :代理投下◇8eDEaGnM6s:2006/10/29(日) 16:07:09
「その虫、どっちに飛んでいったよ?」
「あ…向こうの方だけど。」
大滝に問われ、今泉は闇夜にそれでもそれとわかる威圧感を発している小高い丘の方を指さした。
「じゃ、向こうに行ってみるか。どうせアテなんてねぇんだし。」
いろいろ歩き回って駄目だったのだ。この際山田にちなんだ物に縋ってみるのも悪くないかも知れない。
そんな駄目元な大滝の思考が伝わったか、軽口めいた提案に今泉はこくりと頷いた。
足元に落ちたデイパックを拾い上げて肩から提げれば、もうここには用はない。
2人はそのまま丘の方へと歩き出していった。




――自由に飛ぶ鷲は人間たちの眼を開かせる、そうヘヴィメタルの名曲では謳われているけれど。
自由に舞う昆虫は人間たちをどう導くのだろうか。


丘の山頂近くの茂みの中に膝を抱えて座り込んでいる、茶髪で華奢な黒いスーツ姿の男が居る。
虚ろな目をして、震える身体を押さえ込むように身体を丸める彼…島田は、この後に待ち受ける出来事の予兆に、
出刃包丁を手にした彼以上に虚ろな目の青白い肌をした男の接近に、まだ何も気づかずにいる。

566 :代理投下◇8eDEaGnM6s:2006/10/29(日) 16:08:32
【18KIN 今泉 稔
所持品:ライター 煙草 三味線の糸
状態:万全
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:菊地を探して必要ならば保護する
最終行動方針:不明】

【18KIN 大滝 裕一
所持品:ライト付き工事用ヘルメット スコップ
状態:万全
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:菊地を探して必要ならば保護する
最終行動方針:不明】
【C9・道沿い】


【号泣 島田 秀平
所持品:犬笛  (以下、水色のリュック内) 缶詰3個 シャツ
状態:精神的に不安定
基本行動方針:生存優先・理由はどうあれ暴力イクナイ
第一行動方針:身を潜めて夜明けを待つ
最終行動方針:不明】
【C8・展望台に近い茂み】


【15日20:58ごろ】
【投下番号:133】

規制に巻き込まれた書き手の代理で投下

567 :名無し草:2006/10/29(日) 22:09:35
>>557ワロタ

568 :名無し草:2006/10/30(月) 00:35:47
本坊気になる!

569 :名無し草:2006/10/30(月) 01:23:22
18KIN・青白い人キター
書き手氏&代理の人乙です。続きもwktk

570 :名無し草:2006/10/30(月) 15:51:13
個人的にソラシド編が特に好きだー
麒麟編も好きだったのでどんな風になるのかwktk

ってか俺…皆の話がすきだぁぁぁぁあ

571 :名無し草:2006/10/30(月) 15:56:05
わかったからあげないでくれ

ガッ

572 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 17:51:15
時間が少し空きましたが、ロンブー&くりぃむ編の続きです。


住谷に後を付けられていることに気付かないまま、ロンドンブーツの2人は森の中を進んでいた。

急ぎ足で森の中を進みながら、淳は亮の様子を伺う。
亮はいつもと変わらないように見える。いや、実際普段通りなのだろう。
理解できないことが起こると、理解することを放棄してしまうのだ。
今回ばかりはそれに救われたな…と、淳はしみじみ思う。
校舎に出てすぐ見つけた死体に、亮が出てくるまで軽い恐慌状態に陥っていたからだ。
しかしそれは、亮の場違いな程に素っ頓狂な声が払拭してくれた。

「亮くん、これ持ってくれないかな。」
歩きながらデイパックの中身を確認していた淳が、地図と武器を取り出した袋を亮に差し出す。
当然の事のように袋を受け取った亮が、淳の武器を目にして驚く。

「淳、それ銃やんか。」
「亮くんは何が入ってた?」
亮の言葉には答えず、デイパックの中身を確認するよう促すと、慌ただしくデイパックの口を開いて
中身を確認し始めた。小脇に淳のデイパックを抱えているせいで、中身が上手く取り出せない様子だが
あきらかに邪魔なそれを淳に突っ返そうという気はないらしい。
四苦八苦しながら亮が取り出したのは、油性マジックの12色セットとスケッチブック3冊。

「………。」
亮らしいといえばそれまでだが、どう見ても武器になりそうにない。
思わず頭を抱えそうになった淳だが、自分が取り乱してはまずいと何とか平静を装う。
「こんなんも入ってるんやなぁ。」
なぜか感心している亮に、淳は仕舞ってと短く言う。
亮はペンとスケッチブックを淳に言われた通り袋の中に戻した。

573 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 17:52:23
歩きながら銃の説明書に目を通し、付属されていた実弾を装填する。
銃を触るのは初めてだったが、説明書を読んでしまえば、扱いはそう難しくはない。
安全装置を確認し、ベルトに挟みこむ。

「淳、それの使い方分かるんか?」
淳に荷物を預けられたままの亮が、不思議そうな顔で見ている。
「説明書読んだから使えると思うよ…出来れば、あんまり使いたくないけどね。」
「せやな。そんなん当たったら痛いしな。」
「痛いどころじゃ済まないって。」
校舎前に転がっていた芸人達の死体…あれはおそらく銃で撃たれたものだろう。
自分が今持っている武器は、人をあんな姿に出来る威力を持っている。
そう考えると、銃を持っているというだけでも軽い恐怖を覚える。
重くなった気分を紛らわせようと、淳は地図を広げた。
目印にした場所は、たまたま校舎から見えた場所だったが、他にも建設途中で
放棄されたホテルや遊園地、ゴルフ場など色々あるようだ。
くりぃむしちゅーと合流したら、まず、身を隠さなければいけない。
可能であれば他にも仲間を集めたかったが、あまり楽観視はできないだろう。
地図を見ながら、どこに隠れるのが一番いいかと考えている淳の耳に、亮の呟きが聞こえた。

「死ぬってどんな感じなんやろな。」
亮も銃を見て校舎前の風景を思い出したのかもしれない。
生返事を返しながら、淳はさりげない動作でベルトに挟んだ銃をジャケットで隠れるようにずらした。
「死んだことないから分かんないよ。」
「痛いんかな。俺、痛いのは嫌やわ。」
「亮くん。」
淳が少し窘めるような声を出す。
「悪いことばっかり考えないの。要は怪我しなきゃいいんだよ、そうすれば死ぬこともないし。」
「それもそうやな。」
淳の強引な話の纏め方を気にする素振りもなく、妙に納得した表情で亮は頷いた。

574 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 17:55:50
校舎を出てから数十分は経っただろうか。

ふかふかの腐葉土は藪の中を進むよりは楽だったが、歩くたびに足元が沈み込む上に
山らしい不規則な傾斜に何度か足元を掬われそうになる。
転びこそしなかったが、何度か足を取られかけた時に勝手に靴の中に潜り込んだ土が
歩くたびにじゃりじゃりと嫌な感触をさせている。
いっそ藪の中の方が進みやすいかもと、淳はすぐ横を走る藪を眺める。
しかしすぐに、藪を掻き分けて進むより腐葉土の上を歩いた方が楽だという事を思い出す。

2人分の荷物を担いでいる亮より、銃と地図しか持っていない淳の方が息が上がっているのは
日頃の鍛錬の差だろうか。亮は気遣わしげに大丈夫かと声を掛けられるが
答えるのも億劫な淳はわずかに首を縦に振ることで答える。休憩はしたかったが
座り込んだら2・3時間は動けなくなってしまいそうだ。

重い足を懸命に引きずりながら進んでいると、木々の隙間に白いポールが現われた。
あと少しで到着できるという安心感からか、2人の疲れきった顔に笑顔が浮かぶ。
もう一踏ん張りと、幾分軽くなった足取りでポールに向かって進んでいると
自分達が通ってきた方向…山の中ほどから風船を割ったような軽い音が聞こえ
その直後、けたたましい鳴き声と共に辺りの鳥達が一斉に飛び立った。
頭上を飛び越えていく鳥の群れに、淳と亮はとっさに身を屈めて手近な藪の中に隠れる。
座り込んだ足は限界を訴え、このまま地面に突っ伏して休んでしまいたいのを何とか堪える。
瞬きほどの間の喧騒が去った森には、異様な緊張感と静けさが漂っていた。

575 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 17:56:21
亮はそれを感じ取ったのか、様子を伺おうと腰を上げようとする。が、淳が肩を掴んでそれを止める。
淳が亮を止めたのには特に理由は無かった。ただ、嫌な感じがしただけだった。
亮は不思議そうに口を開きかけたが、淳は自分の口に指を当て、静かにと伝える。

するとその直後。
2人のすぐ横を、誰かがぶつぶつと何事かを呟きながら通り過ぎていく音を聞き、背筋が凍る。
土を踏む音は次第に遠くなっていったが、暫く2人は動けなかった。
あそこで隠れていなければ、自分達は襲われていたかもしれない。
この状況では当然とも言える憶測は、すぐに確信に変わる。

生い茂った藪の少し先から、有田の悲鳴と上田の叫び声が聞こえたからだ。

576 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 17:58:47
木の葉の天井の隙間から、待ち合わせの目印である白いポールが顔を覗かせた。

教室からではよく分からなかったが、先端にスピーカーが二つ取り付けられている。
無事に到着できそうだと、上田は地図を畳んで胸を撫で下ろした。
時計を見ると、16時を数分回ったところだった。

「おい有田、もうすぐ着くから頑張れよ。」
上田の数メートル後ろ、いかにも疲労困憊ですといった様子の有田に声を掛ける。
「おま…お前なぁ…。」
ぜいぜいと息をつきながら有田が不満げな声を上げる。
「この網、錘がついてっから、無駄に、重い、んだよ…。」
「んだよ。出るときは重いなんて言ってなかったじゃん。」
「ずっと持ってると、結構クるんだって…。」
もう限界とばかりに地面に腰を下ろした有田に、1分だけだぞ、と上田が呆れた声と視線を投げかける。
淳が指定したと思われる目印は、教室から容易に見える物だった。
見つけやすい目印だから、他の芸人も待ち合わせをしているかもしれない。
自分達と同じように、乗り気でない芸人が居るのならまっすぐ向かった方がいいが、逆に「乗る」気の芸人にとっても
都合のいい場所と言える。そのため、出来る限りの危険を避けるために、淳が到着するであろう時間の
少し前に着けるようにしたのだったが、山の中を進むということもあり、距離の割には時間が掛かってしまった気がする。
私服ならまだ良かったかもしれない。運悪く前番組の収録が押したため、衣装のスーツのまま楽屋入りしてしまったのだ。
正直、革靴は山道を歩くのには適さないしスーツは暑い。

「どうせ衣装なら、銭金のツナギの方が動きやすかったのにな。」
地図で顔を仰ぎながら上田が呟く。
「俺は保護色だからいいけどさ、お前は目立つぞ。」
「土田や東さんよりは目立たないけどな。」
自分達より派手な色のツナギを思い浮かべ、2人で小さく笑う。そういえばあの2人はどうしただろうか。
無事でいてくれればいいけど。
そう仲間の身を案じていると、木々のざわめきの中に微かな銃声が紛れた。

577 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 17:59:22
突如森に木霊した銃声と一斉に飛び立った鳥の群れに、一瞬住谷は気を取られた。
教室内で聞いた銃声と重なり、グラウンドの光景がフラッシュバックする。
地面に広がる血溜まり。
銃弾にえぐられて飛び散った肉片。
虚ろに開かれた死者の目。
死んでいるのにこちらを見る、目。
今も背後に感じる、視線。
住谷は、はっとして前を見る。
そこには、校舎から出てすぐの地獄から救ってくれた、ロンドンブーツの2人の姿は見当たらなかった。
誰もいない森。鳥たちも去った薄暗い森の中は、まるであの世の入り口のようだ。

「とにかく追いつかないと……。」
背後から不吉なものが迫ってきているような感覚に、住谷は足場の悪い地面を歩む。
柔らかな腐葉土の感触も、地面から伸びた何者かの手が足を掴んでいるとしか感じない。

「誰か…誰かと一緒にいないと……。」
グラウンドから自分に付いてきた不吉なもの。
それは極度の恐怖や不安から住谷自身が作り出した幻に過ぎないが、確実に住谷の心を恐怖に染め上げていた。

578 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 18:01:14
今まで近くに居たのだから、まだ追いつけるかもしれない。
そう考えて山の斜面を急いで進むと、藪の固まりの先に、追いかけていた2人とは違う
先輩芸人の姿が見えた。先ほどの発砲音を警戒しているのか、立ち上がって不安げに
辺りを見回している天然パーマの男と、だるそうに座り込んでいる髪を逆立てた男…
くりぃむしちゅーの上田と有田だ。

助かった。
なぜかそう思い、嬉々として2人の近くに進んだ住谷だったが、上田のベルトに
通されている武器に気が付き驚愕する。黒光りする大きな金属。
近まで来はしたが、まだそれなりの距離があるため何の武器までかは分からない。
分からないはずだが、住谷はそれが銃だと思った。

銃は人殺しの道具。
それを持っている人は、自分を殺しに来るかもしれない。
住谷は迷った。この機会を逃したら、他に誰かと出会えないかもしれない…
ましてや武器を持っていない人間と出会えて合流できる可能性はあるのだろうか?
でも、ここで考えなしに出て行って殺されては元も子もない。
決断できずに迷っていると、辺りを窺っていた上田が不意に振り返り、藪の中で
姿を隠しているはずの自分の姿を見て驚愕の声を上げる。
そして上田は腰に提げている銃を引き抜き―実際には手が鞘に当たっただけなのだが―住谷の方に向き直った。

殺される!
咄嗟にそう思った住谷は、勢い良く藪を飛び出した。
生物としての本能のなせる業だろうか。
死の恐怖に怯えていた住谷の頭には、目の前にいる武器を持った人間を殺すこと以外の考えは無かった。


579 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/10/30(月) 18:02:19
【くりぃむしちゅー 有田 哲平
 所持品: ロープ・投網
 第一行動方針:島からの脱出
基本行動方針:脱出の邪魔になるものは排除していく
 最終行動方針:生存 】
【くりぃむしちゅー 上田 晋也
 所持品:サバイバルナイフ
 第一行動方針:島からの脱出
 基本行動方針:淳と合流
 最終行動方針:ゲームの破壊 】

【ロンドンブーツ 田村 淳
 所持品: 拳銃(コルト45)・携帯電話
 第一行動方針:島からの脱出
 基本行動方針:上田と合流
 最終行動方針:生存 】
【ロンドンブーツ 田村 亮
 所持品: 油性ペン12色セット・スケッチブック
 第一行動方針:淳の言うことをきく
 基本行動方針:淳の言うことをきく
 最終行動方針:淳についていく 】

【レイザーラモン 住谷正樹】
所持品:未確認
第一行動方針:不明
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明

【現在位置:森の中・スピーカー付近】
【8/15 16:10】
【投下番号:134】

580 :名無し草:2006/10/30(月) 18:08:47
うお、リアルタイムに遭遇!
くりぃむどうなるんだ!?

581 :名無し草:2006/10/30(月) 18:24:18
。゚(゚^Д^゚)゚。プギャーーー

582 :名無し草:2006/10/30(月) 21:22:10
おお・・・

続き気になるー

583 :名無し草:2006/10/30(月) 22:10:59
おお・・・

続き気になるー

584 :名無し草:2006/10/30(月) 23:01:19
乙です!
住谷怖いよ。

585 :名無し草:2006/10/30(月) 23:04:06
そうか?何処が?

586 :名無し草:2006/10/31(火) 20:28:00
乙です。
勝手な予想でくりぃむは、後半まで生き延びると思ってたんだけど…
気になる〜

587 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/31(火) 23:34:25
さまぁ〜ず編の挿入で土田編行きます。




壊れた人形のようにぐたりと倒れた川島の襟首をぐ、とつかんで持ち上げる。ひしゃげた頭蓋骨が頼りない。
近くの木の幹にその身体を寄りかからせて、土田は川島の右手の武器をはぎ取った。
巻き付いた白と青の布がずるりと落ちる。中から現れた武器の黒光りに、土田は何とも言えぬ気分になった。

三人目だ。これで三人消えた。どこかの誰かが殺した十数人、それに足して三人分だけ、自分は優勝に近づいた。
まだ先は長い。騙して、殺して、武器を失敬して。それを続けていく覚悟などとうにできている。
それでもやはり、命を奪うその瞬間は心のどこかが乱れた。三度同じことをくり返してもそうだ。
川島の呻き声が耳の奥で鳴っている気がした。胸の当たりにもやもやとした感触が残る。
顔を見たまま殺したのは初めてだった。藤井も佐藤も後ろから殴り倒して殺したから。


…そう、あれは午後4時前だったろうか。
藤井は土田の言葉に従って学校を出てすぐにブロック塀の辺りまで来た。
デイパックも開けずに胸に抱えたままで、ひどく怯えている様子が手にとるようにわかる。
自分をさがしてキョロキョロしているところを後ろから、力一杯この鍋で殴った。
すぐさま藤井は前のめりに倒れる、低い呻き声を上げながら。助けを求めるように震えた指先がのびる。
だが、それに答えたのは地面から高くのびる雑草の青い葉のみだった。


588 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/31(火) 23:35:18

二度と起き上がることのないようにもう一度、力一杯ふり下ろした鍋の衝撃で、藤井の頭蓋が陥没する。
殺せる、と土田は思った。自分は殺せる。こうやって、人の命を奪うことができる。
それはとりもなおさず、彼が人を蹴落としてでも生きのびる資格を手にしたということだった。
最初から殺す側にまわるつもりでいたけれど、実際に自分に他人の命を奪うことができる確証はなかったのだ。
だが今や、彼はすでに捕食者としての自分自身を確信するに至っていた。
本当の意味での、殺人者・土田晃之の誕生はこのときだったのかもしれない。

土田は藤井のデイパックを開けて武器をとり出した。出てきたのはお世辞にも「使える」とは言いがたいもの。
布製の立派な箱に入った広辞苑。明らかに普及版のそれとは違う。おそらく豪華版なのだろう。
箱から出したそれは総革装だった。臙脂の革はすこぶる手触りがよく、天金まで施され、背の文字は金の箔押し。
これだけのものなら相当値がはるんだろうが、今の自分にとっては単なる役立たずの武器に過ぎない。
片手だと持ち上げるのも面倒な重さだ。攻撃力もたかが知れているし、これを持ち歩くのは馬鹿げている。
土田は広辞苑を藤井のデイパックに戻すと、食料と水だけを拝借し、その死体を草むらに隠した。

それから2時間。藤井を隠した草むらから少し離れて、土田は身を潜めて次の獲物を待っていた。
数分前に第1回の放送が鳴り響き、自分の殺した藤井の名もその中で呼ばれている。
おかしな感覚にとらわれて、土田は鳴きやむ気配のない蝉の声の中、少しばかり呆けていた。
“藤井宏和”は羅列された死者の名前のひとつに過ぎないのか。彼の死は頭蓋の砕ける生々しい手応えを自分に残したのに。
奇妙だった。死がひどく薄っぺらいもののように思えてくる。死とはこんなにさらりと流されていいものだったろうか。

589 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/31(火) 23:36:14

そんなふうに土田の思考がふわりふわりと浮き上がっていたそのとき、ブロック塀の前に人影が現れる。
佐藤祐造。土田が声をかけた二人目の後輩は、汗だくでそこら中を見回していた。
そういえば、すぎも死んだんだったな。土田はふと、先ほどの放送で呼ばれた名前を思い出す。
的外れなことではなかった。名前の順からいけば土田や藤井より早くここに着いていてもいい佐藤が、今頃あらわれた理由。
それはまさしく、杉山の死とその原因となった銃撃戦そのものだったのだ。

学校付近で聞こえた激しい銃声に怯えて闇雲に逃げた佐藤は、しばらくして恐る恐る学校付近まで戻ってきた。
しかし、校門の前に転がっていた死体の中に相方である杉山の姿を発見してひどく落ち込んでしまう。
混乱の中、あてもなくふらふらと学校の周りの林の中を歩いた。そのとき流れたのが1回目の放送。
その中で呼ばれた杉山の名前を耳にして、やっと佐藤はその死をはっきりと理解した。
幾分正気を取り戻した彼は土田との約束を思い出し、あまり遠くもない集合場所にむかったのだ。

土田はその顛末を知らないが、佐藤の顔の暗い影を見れば、杉山のことが彼にとって痛手だったろうことは想像がついた。
トリオとは言え一人が欠ける、その痛みが浅くなるわけでもない。失うものが小さくなるわけではないのだ。
ほんの一瞬、とうの昔に別れた相方のことを思った。あいつはこんな場所に来ないですんで良かったのかもしれない。

それからの土田の行動は速かった。それまで佐藤の心の痛みや昔の相方に思いをはせていた人物とは思えない非情さ。
ブロック塀の前に佇む佐藤が塀の方を向いてしゃがみ込んだ瞬間、土田は勢いをつけて飛び出し、背中を強く蹴った。
佐藤の身体は前に崩れ、塀に額をぶつけて倒れ込む。そこに間髪入れず中華鍋を二度三度とふり下ろし、頭を割った。
きっと佐藤には何が起こったのか、誰にやられたのかすらわからなかっただろう。
断末魔の呻き声すらない。ただ、そこにはぐったりとうつぶせに横たわる男の身体があるのみだった。


590 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/31(火) 23:36:54
その死体をずるりと引きずり、藤井を隠した草むらに運び込む。デイパックの中をあさってみれば、出てきたのは剃刀の刃。
これもまた大して使える武器ではなかったが、持ち歩くのに苦がない分いくらかマシだと、土田はポケットにそれをしまう。
またデイパックから食料と水を奪ったところで、背中から声をかけられた。

「土田さん」

…川島に殺意がなくてよかった、と心から思う。あのときやろうと思えばいくらでも背後から襲えただろうから。
多分自分がおこなった殺戮には微塵も気づいていないのだろう、安心した彼の笑顔に自然と笑みがもれた。
だが、その笑みは一瞬ののち消える。彼の右腕の布の塊に胸騒ぎがした。あれはきっと銃の類だ。うまく奪わなくては。
そうして土田は茶番劇の舞台に立つ。嘘をつき続け、仮面をかぶったまま。川島を騙し通して、武器を奪って、殺すために。

…その6時間後、土田の名演技は川島の死と、奪った武器によって讃えられることになる。

川島から引きはがしたMP7 A1は、土田の手にしっくりきた。デイパックにあった説明書で、安全装置も確認済みだ。
荷物の中身をよくよく調べてみれば、下の方に隠れた予備の弾丸が隠されている。川島は気づかなかったのかもしれない。
もはや重いだけの中華鍋は必要なかった。捕食者の道を選んだ彼にふさわしい武器が手に入ったのだから。
食料と水ももう二人分奪ったし、十分だろう。そう考えた土田は川島のデイパックの口を閉じると、立ち上がる。
むかったのはさっきまで川島と座り込んで話していた、あの場所。一晩すごすには悪くなさそうだった。

土田の足の下で、雑草が踏みしだかれる。倒れて黒く潰れた細い葉が、いくつも地面に擦りつけられていた。
一歩一歩、土田の進んでいく道を月が照らしている。決して明るくはない、獣の道を。

591 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/10/31(火) 23:38:03
【飛石連休 藤井宏和 死亡】
【インスタントジョンソン ゆうぞう(佐藤祐造) 死亡】
【土田晃之】
所持品:MP7 A1(40/40)、控え弾丸(40)、剃刀の刃×5、食料と水3人分
第一行動方針:元いた場所に戻る
基本行動方針:できるだけ殺して、できるだけ武器をかき集める
最終行動方針:優勝を狙う
現在位置:学校の欠けたブロック塀の周辺
【8/16 00:15】
【投下番号:135】

592 :名無し草:2006/11/01(水) 12:40:34
乙です
今後親しい芸人にあったとき、土田の心が揺らいだりするんだろうか
次も楽しみにしています

593 :名無し草:2006/11/01(水) 13:06:34
ゆうぞう……

594 :名無し草:2006/11/01(水) 18:23:47
何このスレw

595 :名無し草:2006/11/01(水) 20:48:49
上げんな

596 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/01(水) 21:31:34
麒麟編、僭越ながら続きを書かせて頂きました。
先日したらばの廃棄小説投下スレにて投下し、
1日経過してご意見を伺った上で改めてこちらに投下しようと思います。
精一杯頑張って書こうと思いますので、宜しくお願い致します。

597 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/01(水) 21:32:51
最初の全島放送は、ブツッという音と共に途切れた。

不吉なBGMが終わった後は、不快な静寂が訪れるだけだった。
その静寂を終わらせたのは、田村が床にレーダーを叩き付ける乱暴な音だった。

「ちくしょう!!!」

レーダーを叩き付けたと同時に田村は吐き捨てるように言った。
川島とノブはその音で現実に引き戻されたようだった。

「田村」「田村さん・・・」
2人は田村の名を呼ぶが、その後の言葉が続かない。
その田村は、レーダーを投げ捨てた左手で目頭を抑え、
右手は血管が浮き出る程の力で鉄パイプを握り締めている。

「なんでっ・・・なんでこんなに人が死ななあかんねん!
 みんな何したっていうんや!!家族や友達やファンがいるんやぞ!!
 それがなんでこんなん・・・」
更に強く鉄パイプを握り締めて、田村は叫ぶ。涙が滴り落ちていた。
正論であり、正義感の強い彼らしい意見だ。
その正義感が、このプログラムに意味を成すかどうかは定かではないが。

「田村・・・」
相方である川島ですら、名前をよぶ事しか出来ない。ノブは貰い泣きしてひくついていた。

「誰やねんこんなん考えた奴!
 何の権利があってこんな事すんねん!!
 許さへん、絶対許さへん!!こんな事した奴ら・・・・」


   「「  ・・・・・・殺してやる!!   」」


598 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/01(水) 21:33:51
「・・・・っ!!?」
その声は川島の頭の中に響いた。脳を揺さぶられた様な衝撃。
自分の声の様でもあり、相方の様な声でもあり、全然知らない声の様な気もする。
いや、1人の声か?何人かの声が重なっていた様な・・・?まあ、そんな事はどうだっていい。
今は相方の事を第一に考えなければならないのだから。
そう思って田村を見ると、彼は鉄パイプを持ったまま乱暴な足取りで入り口へ向かっていた。
慌ててノブが追いすがって止める。

「どこ行かはるんですか!?」
「放せや!これ(レーダー)持ってたら知り合いの場所がわかる!
 襲われとったらこれ(鉄パイプ)で助けるんや!!!」
涙目の男2人が揉めていた。
その光景を見て、川島の脳内にまた声が響いた。今度は笑い声だ。


「「 アホらし。何ヒーローぶってんねんこいつ。さっむいわぁ。 」」
----------友達も知り合いも死んだんや。助けようとして何が悪いねん!
「「 あれ、お前も感化されとんの?だっさいなぁ。いつものお前やったら、
   こいつのアホっぷり見てゲラゲラ笑うんとちがうの? 」」
----------それはあくまでネタ中の話や。今はちがう。
「「 ふーん、ああそうか!このまま黙って見とって、こいつがヒーローぶったまま
   アホみたいに死んだ方がおもろいもんな!!お前も余計な荷物が減って厄介払い出来るし、
   相方死んでマーダー化って事にしとけば思う存分殺したって理屈が通るやん?
   最初に殺すのノブでええやん。良かったね〜2人おって・・・・・・ 」」


「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!」

599 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/01(水) 21:35:15
ブゥゥウウン・・・と、部屋全体が震動した様な気がした。
田村とノブの手が止まり、視線は1つに集約された。
川島は2人の視線が自分に向けられている事、そしてただでさえ大きい自分の口を
目いっぱい広げた事で生じた喉の渇きで、今の叫びは脳内で木霊したものではなく、
自分が叫んだ声であるという事が認識できた。
「川島・・・・」
自分を現実に引き戻すのは、やはり相方の声だった。
その声で、川島は田村と冷静に向き合う事が出来た。

「気持ちはわかる。でも、今やみくもに動くんはやめた方がええ。」
「でも、こうしてる間に誰か死んでるかもしれへん言うのにじっと
 してるだけやなんて、俺は・・・・」
少し落ち着いたものの、田村は納得出来ない様子である。
「そう思って、今動く人が多いみたいや。見てみ、これ。」
川島は田村が投げ捨てたレーダーを拾い上げ言う。
生物である緑色の点滅は、巣を荒らされた蟻の様に不規則に蠢いている。
「それやったら尚更・・・・」
「これを機にマーダーの奴が狙ってるって事もあるやろうな。
 でも、お前が出てったかて100%助けられるんか?
 それに、芸人を殺そうとしてるのも芸人なんやで。お前はそれが止められんのか?
 どっち側かにつくんか?つくとしてその基準は何や?仲のええ方か?
 もし仲ええ方につくとして、相手はどうなんねや?お前と面識ない奴は死んでもええんか?」
川島は普通に話しているつもりだったのだが、つい責める様になってしまった。
「川島さん!言い過ぎやないですか・・・・?」
ノブが川島の肩に手を置いて言った。田村は今にも泣きそうな顔だった。

600 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/01(水) 21:36:30
「ごめん、田村・・・責めるつもりで言うたんちゃうんや。
 でも、みんな今のお前みたいに頭に血が上ってると思う。
 感情が先走ってる人には俺らの言葉なんて届かへんかもしれへん。
 今はここにいて体力を温存して、夜になったらそのレーダー見て仲間の所へ行こう。
 夜やったらみんな今より大分落ち着いてる思うし、大丈夫や。」
川島は優しい口調で話し掛ける事を意識して、そっと田村の肩に手を置いた。
田村は鼻水をすすりながら頷いた。ノブは気を利かせて家に元々あったティッシュを差し出した。
田村は勢いよく鼻をかんで、汚い音が部屋中に響いた。
「田村さん、汚いおっさんの屁ぇみたいな音出てましたよ。」
「うわ鼻垂らしててぬめったゴボウみたいになってる。」
「うるさいわ、なんて事言うねん!!」
鼻声で田村がつっこんだ。


「「 あ〜あ、せっかくおもろなりそうやったのに。何しとんの。 」」
------------黙れ。俺は、お前の思い通りにはならへん。
       俺は、絶対に相方を見捨てたりせぇへん。
「「 ふ〜ん、どこまで出来るかやってみぃな。ははははは・・・ 」」
その声はまた笑った。今まで聞いたどの笑い声より不快だ。
だが、川島はその不快な声も自分の都合のいい様に考える事にした。

------------あの声は、決してしてはいけない事をいっている。
       あの声に抗う事で、俺は冷静でいられる。
       ・・・俺は、最後まで抗う事が出来るだろうか?
 
 

       答えは、誰にもわかるはずがなかった。


601 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/01(水) 21:37:55
【麒麟 川島 明
所持品:ライター 煙草(開封済) 眼鏡 ベレッタM92F 予備マガジン×1
基本行動方針:首輪の外し方を探す。攻撃してくる相手には反撃する
第一行動方針:相方を守る
第二行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームの中止】
【麒麟 田村 裕
所持品:ライター 煙草 簡易レーダー 鉄パイプ 煙幕×5 爪切り
基本行動方針:首輪の外し方を探す。攻撃してくる相手には反撃する
第一行動方針:相方を守る
第二行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームの中止】
【千鳥 ノブ(左腕に切り傷(軽症))
所持品:不明
基本行動方針:不明
第一行動方針:
第二行動方針:
最終行動方針:不明】

【現在位置:元町の民家内】
【8/15 18:21】
【投下番号:136】




602 :名無し草:2006/11/01(水) 21:50:10
乙です!待ってました
続きもwktk頑張ってください!

603 :名無し草:2006/11/02(木) 00:37:07
妖刀無しにした意味ない気がす

604 :名無し草:2006/11/02(木) 07:01:15
ん?wikiがおかしい
俺だけか?

605 :名無し草:2006/11/02(木) 07:11:11
>>604
どうやらサーバーに不都合があるらしい

606 :名無し草:2006/11/02(木) 07:12:29
>>605
ああそうなのか。あせった…ありがとう

607 :名無し草:2006/11/02(木) 07:38:57
プ

608 :名無し草:2006/11/02(木) 11:38:48
いや、妖刀なしになって良かったよ

609 :名無し草:2006/11/02(木) 12:13:09
>>608
>>603が言ってるのは、折角妖刀無しにしたのに
似たようなのが出てきて無くした意味ナサスって事じゃね?

610 :名無し草:2006/11/02(木) 13:23:04
確かに
でもまぁ、
不特定多数がいきなり狂う確率は減ったから良くね?

611 :名無し草:2006/11/02(木) 17:24:31
良くね?

612 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/02(木) 23:16:34
ラー片桐、エレキだっつん、アンガ山根の続き。

教室から一歩出て、山根は目を見開いて硬直した。そこにあった死体には見覚えがあった。
「スズタクさん…」
何回も共演して、相方と仲の良かった鈴木がもの言わぬ死体になっている。
叫び出したい衝動を必死に押さえつつ、山根は走った。
(今の死体を田中も見たのだろうか)
彼の頭に絶望し、絶句する相方の顔が浮かぶ。
どうして、自分達と親しい人ばかり死んでしまうのか。

5時間前。
山根はすぐそばに座っていて、さっきまで様々な心配事を話し合っていた先輩が、突然床に崩れるのを見た。
人は、自分の脳では到底受け止めきれない状況に置かれたとき自然と無言になるらしい。
普段はやかましい芸人たちも、置物のように沈黙していた。蝉の声だけが教室中に染み入っていた。
嗅ぎなれない鉄分の匂いと、花火を思わせる火薬の匂いが彼のシナプスを一気に駆け巡る。
『…みたいに…、…。首に…、…死人…』
淡白なたけしの言葉が断片的に山根の耳に入る。彼の視線は、不安を掻き立てるような痙攣を続ける山田から離れなかった。
山根の目から今いる教室が遠ざかっていく。そして、彼の脳裏にこの先輩芸人の思い出がフラッシュバックする。
他の人が逃げ出したくなるような状況にも山田はひるまなかった。
普段は温和だが、理不尽なことは許さない。だが、人間が固いわけではなく、ちょっとしたことですぐに大笑いしてしまう。
『山田さんくらい人間が出来てなきゃ、菊地さんの相方は務まらないだろうね』
田中とこんな話をしたことも一度や二度ではない。
一緒に仕事をしたことも、呑みに行ったことも沢山あった。
クワガタの話になると止まらなかった。彼がクワガタで本を出したことには驚きつつもなぜか納得できた。
『自分は人の世話を焼くタイプじゃない』と言いながらも、後輩のことをいつも気にかけてくれていた。
暴走した菊地を止められるのは彼くらいのものだった。他の人は菊地が何を言っているのかさえわからなかった。
この間共演したとき、『5年で色々成長したよな』と話し合った。今度共演する時が楽しみだった。
そんな未来は必ず来るものだと思っていたのに。

613 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/02(木) 23:17:09
息を切らし、ふらつく足で草を踏んで歩く。夏の日を浴びて、青草はみずみずしく輝いている。
田中との合流はとうに諦めていた。2人の出発時刻は2時間もちがう。
山根が待ち合わせの場所に着く前に死ぬか、あるいは田中が待ち合わせ場所で殺されるかする可能性があまりにも高い。
そして、山根は気付いていた。これはあくまで個人プレーだと言うことに。
最終的に残れるのはたった1人だ。コンビでは決して残ることは決して出来ないのだ。
相方を目の前で殺された菊地の虚ろな瞳が彼の脳をかすめる。あんなに仲が良くても、死ぬ時は1人なのだ。
彼は叢のなかを忙しく歩き回る蟻を見た。自分が見ているのに、何故か蟻に見られているような気がした。
(とにかく方針を決めなければ)
腕を組み、その場でじっと考える。首筋を伝う汗に、周りの景色がさかさまに映った。
考えた末、山根は掛けに出ることにした。
もしデイバックの中身が当たり武器だったら、自らこの場で命を絶ってしまおう。
だがもし外れ武器だったら、それを最大限に活かして生きてみよう。
人を殺すと言う選択肢は彼の中にはなかった。もう、誰かの死を見るのは嫌だった。
人気のない木陰に腰を下ろし、恐る恐るデイバックの中に手を入れる。
食料、水、地図、それらを掻き分け、硬いものに手が触れた時、山根の心臓が跳ねた。
ここが死に場所になるかもしれない。一つ深呼吸をして手に触れたものを取り上げる。
「…これは」
それは、真っ白な地に赤い十字の入った箱だった。
中には包帯とガーゼと麺棒と膏薬と湿布、そして胃薬と風邪薬が少しだけ入っていた。
「救急箱…」
濃厚な光の中で、真っ白なそれらは輝いて見えた。
生きろ。そして他人を救え。どこからかそんな声が聞こえたような気がした。
彼は立ち上がった。太陽はまだまだ高い位置にあった。

614 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/02(木) 23:17:43
「…でも、現実はそんなに甘くなかったんです」
今立はうつむき加減に語る山根から目をそらすことが出来なかった。
「内臓を撒き散らし、目を見開いて死んでいる人。焼け焦げ、リンパ液を流しながら水を求めてくる人。
 目玉だけが落ちていたこともありました。本体はどこにもなかった」
彼の言葉には実感がこもっていた。山根もまた、「見て」きた人だったのだ。
カラスが騒ぐ声がする。今立はその先にあるものをあえて想像しなかった。
「この程度の救急セットじゃ、とても手に負えなかった」
「そこにたまたま怪我をした俺と、今立が来た。と」
「そういうことです」
なるほどね、とつぶやいて片桐は脂の浮いた頭を掻く。
「田中に会わなくていいの?」
今立の素朴な疑問に、山根はうなづく。
「待ち時間で充分話しました。今までありがとうとも言えましたし。それに…死に顔は見たくないです」
少しだけ悲しそうに笑う山根を、今立は信じてみようと思った。
心のどこかが微かに痛むのを感じながら。

615 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/02(木) 23:18:13

【ラーメンズ 片桐仁
所持品:マーライオン
第一行動方針:賢太郎を探す
基本行動方針:賢太郎の言う事を聞く
最終行動方針:海で死ぬ
現在位置:森】

【エレキコミック 今立進
所持品:スタンガン
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:仲間を集めて協力する
最終行動方針:ゲームの終了
現在位置:森】

【アンガールズ 山根良顕
所持品:救急セット
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:怪我をした人を助ける
最終行動方針:死は覚悟している
現在位置:森】

【8/16 05:00頃】
【投下番号136】

616 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/02(木) 23:22:08
投下番号は137でした。ごめんなさい。

617 :名無し草:2006/11/02(木) 23:30:56
プ

618 :名無し草:2006/11/02(木) 23:40:45
617 名前:名無し草[] 投稿日:2006/11/02(木) 23:30:56
プ

619 :名無し草:2006/11/02(木) 23:42:22
618:名無し草 :2006/11/02(木) 23:40:45 [sage]
617 名前:名無し草[] 投稿日:2006/11/02(木) 23:30:56
プ

620 :名無し草:2006/11/03(金) 00:02:13
プププ

621 :名無し草:2006/11/03(金) 00:51:26
乙!冷静な片桐がいいなー。

622 :名無し草:2006/11/03(金) 01:02:29
乙ですー
続き気になる

623 :名無し草:2006/11/03(金) 14:48:48
乙!
山根セツナス……

624 :名無し草:2006/11/03(金) 16:18:42
オエッ

625 :名無し草:2006/11/03(金) 16:27:39
624 名前:名無し草[] 投稿日:2006/11/03(金) 16:18:42
オエッ

626 :名無し草:2006/11/03(金) 16:51:09
625:名無し草 :2006/11/03(金) 16:27:39 [sage]
624 名前:名無し草[] 投稿日:2006/11/03(金) 16:18:42
オエッ

627 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/04(土) 23:02:38
さまぁ〜ず編いきます。




山の尾根をしばらく歩いて見つけた、斜面の小さな洞窟の中。大竹と三村、設楽はぐったりと腰をおろしていた。
体中にどろりとした疲労がまとわりついて離れない。もはや彼らの肉体は限界に達していた。
全員が指一本動かす気力もない、という風情で座り込んでいる。もうこのまま眠ってしまいたいといったところだ。
それでもとりあえずは食事くらいしておいた方がいいと、まず始めに思い直したのは大竹だった。

「…飯、食っとくか」

その声に三村と設楽は、デイパックに手を伸ばすという行為だけで返事をする。
洞窟内にごそごそと何かをさぐる音だけが響いた。

ぼんやりする頭の端に引っかかる空腹に押されるように、大竹が食料袋をデイパックからつまみ出す。
中から出てきたのは味気ない乾パン。それも大した量ではない。
食いつなぐのも結構大変そうだ、と大竹はビニール袋の中のこじんまりとした食物を見つめて溜息をついた。

「これって何日分なんだろうな」
「せいぜい二日分くらいじゃねぇの?」

ぽつりと呟いた言葉に三村が答えを返す。設楽も無言でうなずいた。まあ確かにそのくらいだろう。
食料がある間にこのゲームをどうにかして止めるか壊すかすることができるのだろうか。
それとも二日が過ぎてもこのゲームは続いていて、足りなくなった食料を入手する必要も出てくるのだろうか。


628 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/04(土) 23:03:37

…面倒な話だが、ほぼ間違いなく後者だろう。

二日で解決策など生まれるわけもない。今の時点で何をすべきか全く思いついていないのだから。
自分たちができるのはせいぜい、設楽の相方の日村を捜して無事を確認することくらいだ。
むしろ、それだけでも成功すれば相当な幸運だし、喜ばしいことだと言えるだろう。

食料はそこらの茸でも食べればいいのかもしれないが、それが食用か否かを判断できる知識は彼にない。
都会育ちの大竹にとって、山や森は慣れ親しんだ場所ではありえなかった。それは三村も同様だ。
現にここまで歩くのにも幾度となく下草や蔓に足をとられて転びそうになる始末。
唯一、設楽だけはこの深い緑の中で器用な足さばきを見せていたが、それもどこまで頼りになるか未知数だ。
どうもこの先に続く明るいイメージがまるで湧いてこない。困ったもんだ、と彼は数個目の乾パンをかじった。

習い性になっている悲観的な思考に引きずられつつ、大竹は乾パンの袋に封入された金平糖を一つ噛み砕く。
その懐かしいようなそうでもないような甘みが舌に広がり、疲れた身体をわずかながら癒していった。

「もう、アレだな、食ったし寝よう」
「おう」

ほとんど投げやりな大竹の台詞に三村が短く即答する。しかし設楽がすかさず口を挟んだ。


629 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/04(土) 23:04:33

「でも大竹さん、あれじゃないですか、交代で見張りとかした方が良くないですかね?」
「あー、そうか、面倒くせぇな」
「ホント面倒くせぇな」
「…や、それはそうなんすけどね」
「でもしょうがねぇか」
「しょうがねぇからアレか、決めるか」
「…はい」

先輩二人に面倒がられながらも、設楽の至極正しい提案は受け入れられ、三人は時計に目をやる。
午後8時52分。次の放送までの時間はだいたい3時間、その次まではだいたい9時間だ。
見張りの話を言い出した設楽が名簿の紙の裏に鉛筆で何やら書きはじめた。

「朝6時までここで寝るとして、3時間交代でどうですかね?」
「あー、じゃあ今から0時まで、0時から3時まで、3時から6時までか」
「で、放送きたら皆一応起きて色々確認ってことで」
「いいんじゃねぇか? なあ大竹」
「おう」

三村がその表をのぞき込みつつ、確認する。そのままじゃんけんで見張る時間を決めることになった。
結局まず三村が見張りをし、次に設楽、最後が大竹という順番に決まり、三村以外の二人はすぐさま身体を横たえる。
三村はがくりとうなだれて、尻のポケットからスリングショットをとり出しつつ洞窟の入口付近にむかったのだった。

630 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/04(土) 23:05:44

それから3時間、何事もなく時は過ぎ、二回目の放送がスピーカーから流れる直前、三村は二人を揺すり起こす。
大竹と設楽はのそりと起き上がり、目をこすりながら鉛筆と名簿、地図を用意した。
ザザザ、という雑音の後、前回と同じくたけしの声が流れ、死亡者と禁止エリアを読み上げていく。
三人は無言で鉛筆を動かす。苦い気持ちで死者の名前の横に印をつけ、また今回も日村の名がないことに安堵した。

ただ、全員の胸に少し引っかかったのは21時からの禁止エリアだ。
H1。それはまさに彼らが今日、むかおうとしていた島の西の端の辺り。
日村が学校を出て、設楽の告げた「西へ」という言葉に忠実に進むならば、最後はこの辺りに着くはずだったのだが。
そこに居られるのが21時までとなると、日村捜しに幾分かの影響を及ぼすのは確実だった。

「…また面倒くせぇことになったな」

呟いた大竹に三村は苦笑する。設楽は不安げな表情を浮かべたが、すぐにそれをポーカーフェイスの裏に隠した。
その微妙な顔色の変化を見てとっていた三村は、元気づけるように設楽に声をかける。

「気にすんな、多分どうにかなるって」
「はは、そうだといいんすけどね」



631 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/04(土) 23:06:41
その根拠のない台詞に、それでも少し勇気づけられた気がして設楽は小さく笑って言った。
彼は二人にむかってもう一度言葉を発する。それは年長の先輩に対する気遣いの言葉だった。

「あれだ、お二人とも寝た方が良いすよ、睡眠時間が短くなる」
「あ、じゃあお前コレ持っとけよ」

大竹は設楽に花火の筒を渡す。それを武器がわりに受けとり、ポケットからライターを出すと設楽は入口に移動した。
それを無言で見送り、二人は眠りにつく。特に、やっとのことで睡眠を得た三村が寝入るのは早かった。
大竹だけが3時間後、こちらも眠くて仕方ない設楽に身体を揺すられて、ぐずりつつも眼を覚ます。

彼は空に煌めく満天の星を何の感慨もなく見つめ、鉛筆で時折腿を刺しながら意識を保って見張りを続けた。
それからしばらくして、大竹は一人の男がふらつきながら斜面を歩いているのを目にすることになる。

…くりぃむしちゅー、上田晋也。

大竹一樹が半日前、コンタクトをとることを切に願っていた人物が、そこにはいた。




632 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/04(土) 23:08:00

【さまぁ〜ず 三村マサカズ】
所持品:スリングショット(190/190)、鍵とキーホルダー・開封済煙草・ライター(私物)
第一行動方針:ひたすら熟睡
第二行動方針:日村を捜す
基本行動方針:生存
最終行動方針:できるだけ大勢が生き残る方法を探す・大竹と一蓮托生
現在位置:山の尾根にある小さな洞窟(H4)
【さまぁ〜ず 大竹一樹】
所持品:特選花火セット大(&輪ゴム)、ライターと伊達眼鏡(私物)
第一行動方針:とにかく寝ない
第二行動方針:日村を捜す
基本行動方針:できるだけ生存
最終行動方針:プログラムの変更、離脱
現在位置:山の尾根にある小さな洞窟(H4)
【バナナマン 設楽統】
所持品:車の鍵(スズキ)・ガムテープ・スズランテープ・小麦粉、ライター(私物)
第一行動方針:ひたすら熟睡
基本行動方針:日村と合流したい・プログラムには乗らない
最終行動方針:日村と合流できたら考えるつもり
現在位置:山の尾根にある小さな洞窟(H4)
【8/16 03:09】
【投下番号:138】

633 :名無し草:2006/11/04(土) 23:43:47
キモ

634 :名無し草:2006/11/05(日) 03:29:28
乙です。面倒くさがりワロスw
いよいよ上田と接触??続きwktk

635 :名無し草:2006/11/05(日) 07:27:26
乙でした!!

636 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 11:57:56
>>547-555の続き。ソラシド編です。


『 179番  西田 幸治 』
あくびをしてかったるそうな言い回しで、たけしは言った。

本坊と水口は先程立てた西田の墓を見やった。
感傷に浸る2人を置き去りにして、放送は淡々と続けられる。
それが水口には腹ただしかった。

放送が終わり、静寂が戻った。
本坊は、放送の間からずっと難しい顔をしていた。
そういえば、話の途中だったと水口は思い出した。
哲夫さんが西田さんを殺したのかもしれなくて・・・・・あれ、どこまで話したんやっけ?

「・・・・水口、お前寝んでもいける?」
本坊は真剣な表情でそう言った。
慣れない森をさまよい歩いた事で体力はすり減って、
いつ殺されるかもしれない恐怖で精神も限界に来ている・・・筈なのだが、
眠気は殆ど無かった。汗がベトついて気持ち悪く、足も痛くない訳ではないのだが、
まだまだ歩けるような、そんな気がする。

637 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 11:59:20
「疲れてんねけど・・・まだいけそうな気ぃする。お前は?」
「しんどいよ。でも、これからの事考えたらじっとしてんの嫌やねん。」
「これからのことって・・・・?」
本坊の考えている事は相方である水口にも伝わらない事が多い。
だが、この極限状態においては出来るだけ意思の疎通を図る必要があると水口は思った。
「もう、これ以上の殺し合いは嫌なんよ。こんな事早く終わりにせなあかん。
 その為にも、早く学校に行かなあかんと思うから。石田が起きたらすぐ行こう。」
本坊は段々早口になり、言い終えると同時に水口の手を掴んだ。
水口としては、何故学校に行けばプログラム終了になると思うのかまで聞きたかったが、
今の感情を剥き出しにした本坊に聞いた所で成果は得られないと考え、それ以上は聞かない事にした。
「じゃあ、3時位になったら行こか。それ位やったら石田も回復してる思うし。」
「うん・・・・・・ありがとう。」
本坊は涙声で礼を言った。2人は3時まで黙ったまま過ごした。

石田を起こすと、3人はすぐに学校へ向けて歩き出した。
「2人とも寝なくて大丈夫なんですか!?」
石田が心配して2人に何度も問うたが、2人は平気だと返した。
水口は自信を持ってそうは言えなかったが、後輩の前で強がりたいのもあって、
気丈に振る舞う事を心がけた。対する本坊は・・・・・・・・
一言も話そうとせず、目を合わせようともしない。自分達の事は眼中にないといったような感じだ。
とは言っても、本坊が何かにのめり込むと他の事が目に入らなくなったり周りを無視したりするのは
相方の水口は勿論、後輩の石田も周知の事だったので、2人とも特に気にしてはいなかった。
ましてや発狂や自殺が当たり前のこの状況下だ。自分達はまだマシな方なのか。

638 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:00:27
深い森を抜けて、3人は無事目的地に辿り着いた。
大体の参加者は学校周辺から離れているのだろうか、幸運にも誰かに襲撃される事はなかった。
気がつけば、夜が明けて辺りはすっかり明るくなっていた。
そのおかげか、一層強い悪臭を放っている3体の遺体に集る虫も克明に見えた。
1度に酷く腐敗した遺体を見た石田は、早速えづいていた。
水口と本坊は2度目の対面となるが、そうそう慣れるものではない。
「早よぅ・・・・・早よせな。」
本坊が躊躇いを見せず遺体を運ぶ。さっきからこの男は何を急いているのか。
その言動に戸惑いつつも、水口は同意する。
「そうやな・・・・早よ弔わなな。」
元々2人を巻き込んだのは自分なのだ。それを自分が躊躇ってどうするのか、と水口は思った。
石田も戸惑いつつも手伝った。本坊は相変わらず目を合わせないままだった。

639 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:01:19
遺体の埋葬が終わった。--------”入り口の”遺体は。
「・・・・・ほな行こか。」
本坊が階段へ右足を掛けた時だった。
「あの!・・・・・本当に入らはるんですか?」
少し裏返った声で石田が問う。
「当たり前やんか。・・・・何?こわなったん?」
本坊の口調は刺々しい。背を向けたまま視線を合わせないので表情はわからない。
「石田、嫌やったらここで離れてもええよ。離れんのが嫌やったらここで待っててもええ。」
怯えた表情の石田に水口が優しく言った。
「でも・・・・・」
「昨日無理せんでええ言うたやろ?こんな事、誰にでもやらしてええ事と違うんやから。
 ほんまは1人でやろう思てた事や、無理して付き合わんでもええ。」
そう言って石田を追い越した後、水口は階段を上ってドアノブを掴んだ。
「待って下さい・・・・僕も行きますよ!!」
慌てて石田が追い掛けてきた。
「ええんか?・・・・中に入ったら兵士の奴等に殺られるかもしれへんねんで?」
石田は一瞬目を見開いた後、固唾を飲んで返答した。
「1人でいたって安全てわけちゃうでしょ?それに、僕も水口さんの手伝いしたいんですよ。」
そう石田が言うと、今まで真一文字に結んでいた本坊の口が少し笑った。

水口はドアノブを回して、扉を押し開いた。

640 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:02:00


     ド  ン  ッ  !!!!


「うわぁああっ!!?」
思わず石田が叫んだ。ライフルから飛び出した弾丸が、扉に穴を空けていた。
「何だお前等!?ここは立ち入り禁止だ!!!」
兵士の怒号が薄暗い廊下と扉の向こうの青空に響き渡った。
どうやら5,6人の兵士がライフルを向けて自分達を威嚇しているようだ。
「・・・・・中の山田さんの遺体を引き取りに来ただけです。引き取ったらすぐに離れます。」
額から出る汗を感じながら、水口は兵士に伝えた。
「あぁ?何言ってんだ貴様」
苛つきながら兵士が返した。
「わかってもわからんでもええんで通してくれません?」
先程の刺々しい口調そのままに、兵士を睨んで本坊が言う。
「貴様ぁ何様のつもりだぁああっ!!!」
兵士が激昂すると同時にライフルは一斉に構えられた。
石田は思わず荷物を胸の前で盾にし、水口は咄嗟に石田を庇う様に前に立った。


2人とも死を覚悟した。
ああ、自分達もさっきの遺体と同じ道を辿るのだと、そう思った。

641 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:02:39
「はいはい、撃つのやめー。」
抑揚のない声が、廊下の奥から聞こえた。
スピーカーから響く、あの声だ。
声の主はあの-----------------ビートたけし。

「しかし、こいつらは・・・・!!」
「こいつらだよ、監視カメラにちょいちょい映ってた死体埋めて回ってる変人の奴等。
 どうせ大した武器も持ってねぇんだろうし、入れてやるよ。細長いの2人とちまっこいのが1人。
 3人とも薄汚ねぇし傷だらけ。こんなんにお前らやられねぇよな?」
飄々とした感じで兵士にそう言った。
俺が機嫌いい時で良かったな、と唖然とする2人を尻目にたけしは言った。
本坊は彼らしからぬ鋭い視線でたけしを睨み付けていた。

兵士がライフルで背中を突いてくる。
3人は教室へ行く事を許可されたが、兵士がぴったり後ろに着いてきている。
連行されている政治犯のようだと水口は思った。
後ろにはたけしが警護する兵を連れて着いて来ていた。後ろを振り返る事は出来ないから
顔は見えないが、きっとへらへら笑っているのだろう。

ライフルの先で突付かれた背骨を痛めながらも、3人はスタート地点のあの教室に着いた。
中央には1番最初の犠牲者、いつもここから山田が仰向けで倒れている。
教室に入ろうとすると、先にたけしが横切り、兵士は3人の前にライフルを出して牽制した。
前に進めない3人を見てほくそ笑みながら、たけしはからかうように言った。

「実はな、ここにある死体はこいつだけじゃねえんだよ。」


642 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:03:20
どういう事なのか、と思った。
もういいぞ、とたけしが言うと兵士は渋々ライフルを下げた。
3人は教室の中に入って辺りを見回すと、教室の奥の壁際に誰かいる。もう意志をもたない誰かが。
水口、石田、本坊の順にその人物に向かう。彼等のよく知る人物だった。

「 和田さ、ん・・・・・?」
石田がその人物の名前を呼ぶ。和田さんですよね?と、確認する様に石田は2人の顔を見た。
本坊は当惑が混じったものの、思いつめた様な表情は変わらなかった。
問題は水口の方だ。今にも襲い掛かっていきそうな怒りに震えている。

その水口は、怒りを頭に置きながらも和田の遺体の状態に疑問を感じていた。
首輪が砕け散り、和田の首は半分千切れている。
これはどう考えても---------------首輪が爆発した後だ。
「これは、首輪の整備不良での爆発ですか?それとも・・・・・・・」
水口の疑問を代弁する様に、本坊がたけしに問い掛けた。
「それとも、あんたがやったんですか?」

そう言った瞬間、兵士が再びライフルを構えて周囲に緊張が走った。
だが、ライフルの先の本坊は動じずに上目遣いでたけしだけを見ていた。
「あぁ、そうだけど?いやぁ、手元狂っちまってなぁ。」
それがどうした、という風にたけしは言う。
それを聞いた水口は激昂した。

「   お前ぇええっ!!!   」


643 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:04:19
水口はある限りの感情を爆発させていた。
兵士のライフルが本坊から水口に変わった。兵士が揃って前に立ち、たけしが隠れる。
「水口!」
兵士に撃たれてでもたけしに向かっていきそうな水口を本坊が手を前に出して止めた。
いつもと逆パターンのソラシドだと、石田は思った。
「なんでそんな・・・・・・簡単に!!!まだスタートしてへんかったんちゃうんか!?」
昨夜とは逆に、怒りに震える水口を石田が冷静に見ている。
だが、水口がこうなるのには訳がある。ヘッドライト・アジアン・麒麟とソラシドは同期であり、
和田とも当然親しかった。また、和田は先日先輩であるプラン9の本公演に出演したばかりで
早く自分の出演したDVDを観たいと、それまでは死ねないと、少し前に水口と話したばかりだった。
「だって、手元狂ったんだからしょうがねぇだろ。」
過ぎた事はしょうがないからいいじゃねぇか、とたけしは続けた。

「わざとやったんと違うんか!!!?」
「水口!やめとき、・・・・・・言うても無駄や。」
「でも・・・・・・」
「今掴みかかったかて、どうにもならへんよ。・・・俺は水口に死んでほしくない。」
あくまでも本坊は冷静に対処する。
石田の知ってる本坊は、こんな冷静な人物ではない。
テンションが上がると意味不明な行動を連発して、空気の読めない言動を繰り返すのが本坊だ。
それをたしなめたり、必要以上に世話を焼くのが水口で(水口も天然だったりするのだが)、
石田としてはそれも含めて今の状況に戸惑っていた。

644 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:05:08
3人がまごまごしている内に、気付けばたけしは事務官らしきスーツの男性と何か話していた。
「あ〜もうそんな時間?めんどくせぇから機材こっちに持ってきてくれよ。」
「しかし・・・・・」
「時間通りにしなきゃいけねぇんだろ?俺あんまり寝てねぇし、動きたくないんだよなぁ。」
「・・・・わかりました。至急放送機材を持って来させます。」
そう言って事務官が退出した後、廊下にけたたましい軍靴の音が響きだした。
この教室に兵士が集まってきている様だった。
「なっ、何なんすか・・・・・?」
石田は怯える様に肩をすくめた。
たけしが腕時計をチラ見したのを見て、水口も自分の時計を見た。5時50分。
「まさか、放送・・・・?」
「その通りだ。ここで3回目の放送をやる。」
たけしはわざとらしい咳払いをして、喉の調子を整えていた。
続々と教室に兵士が詰めかけ、それでもまだ廊下がうるさい。3人は次第に教室の中央で囲まれていた。
「逃げられそうにない、か・・・・・」
石田が無意識に水口の肩に手を置く。手が震えていた。水口はその手を軽く握った。
本坊はまたたけしを睨みつけていた。たけしもそれに気付いたのか、時々本坊を見て口角を上げていた。

兵士2,3人で機材を運んできた。たけしはごくろうさん、と適当に礼を述べると、
また咳払いをしてマイクを手でとんとん叩いた。くぐもった音がスピーカーに響いた。
水口はもう1度時計を確認した。5時59分、まもなく6時だ。

あの場違いな明るい曲が始まった。
『芸人の諸君、頑張って殺しあってるかな?』
お決まりの台詞なのか、芝居めかしてたけしが言う。
放送を聞きながら、水口は思った。不思議なものだ、スピーカー越しにしか聞こえる筈がないと
思っていたこの声を、今目の前で聞いているなんて、と。
放送中、たけしは3人をチラチラ見ながら笑っていた。石田はその度に水口の手を、
存在を確かめる様に強く握った。その時のたけしの顔が不快で、水口は必死に怒りを抑えた。

645 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:06:40
『え〜、次は禁止エリア・・・・』
そう言って、たけしの言葉が途切れた。予定外の行動に兵士が動揺しているのがわかる。
しばらくして、たけしは3人に向かってこう言った。
『お前ら、何か言いたい事あったらここで言えよ。』
何か企んでいるような顔でマイクを差し出す。
水口と石田は自分達を無視して行われている筈の放送に、いきなり話題を振られた事に困惑した。
「じゃあ、僕がいきます。」
名乗り出たのが本坊だった。さっきから睨んでいた目は、何故か穏やかなものになっていた。
「本坊さん!?」「本坊・・・・!!」
2人は驚き、水口が本坊の腕を掴んだ。
「お前、何言うつもりなんや?」
しばらく考えて、本坊が答えた。
「・・・・・水口、夜に言うた事覚えてる?
 僕は早くこれを終わらしたいから、それをわかってもらう為に言う事があんねん。」

「お〜い、もういいか?早くしてくれねぇと困るんだよな。」
たけしが強引に間に入って急かした。
「はい、もういけます。」
水口の手を振り払って、本坊は答えた。
「よし、『はい、じゃあ参加者の皆さんへ嬉しいお知らせです。なんと今日は皆さんの
 お友達がわざわざ来てくれましたー。では、はりきってどうぞー。』」
再びマイクを取り、茶化してそう言った。
本坊にマイクが手渡され、本坊は深呼吸して喉仏を触った。

「え〜、参加者のみなさんお元気ですか?
 baseよしもと所属ソラシドの本坊元児と申します。
 この場を借りて、僕からみなさんに伝えたい事があります。」
律儀に自己紹介から入る。たけしはニヤニヤして聞いている。

646 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:07:19
「僕は、このプログラムを終わりにしたいのです。
 もう親しい先輩や後輩、もちろん知らない芸人の人達も。
 これ以上の殺し合いは嫌なのです。無意味だと思うんです。
 誰にも苦しい思いをしてほしくないのです。
 誰かのせいにして生きるのも、誰かの為に死ぬのも見たくありません。
 みんなで、このプログラムを終わらせましょう。」

兵士がピリピリしているのがわかった。トリガーに手をかけ、いつでも撃てる体勢だ。
たけしは、そんな兵士達を後ろに見ながら、敢えて本坊の好きにさせている様だった。

「1人も欠けて欲しくありません。
 みんなで終わらせたいんです。みんなと一緒がいいんです。
 だから、だから、みんな・・・・・・・・・」

その次の言葉を言った瞬間、たけしの表情が変わった。


「  だから、みなさん。みんなで一緒に、楽に死にましょう。  」


      ド  ン   ッ  !!!!


放送は銃声で途切れた。
銃声の後は、またあの馬鹿みたいに明るいクラシックが流れ、場を繋いだ。


647 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/05(日) 12:08:10
【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:より多くの遺体を埋葬
最終行動方針:未定


【NONSTYLE 石田 明
所持品:オフェンスキープ
基本行動方針:とりあえず病気にならない
第一行動方針:骨とか折らない
最終行動方針:健康でいたい


【ソラシド 本坊 元児
所持品:コンビニコスメセット
基本行動方針:水口を守る
第一行動方針:水口の手伝い
最終行動方針:水口以外の参加者(自分含め)全員を1度に死亡させ、水口を優勝させる】


【現在位置:H-6】
【8/16 06:00】
【投下番号:139】

648 :名無し草:2006/11/05(日) 12:50:33
プ

649 :名無し草:2006/11/05(日) 13:37:03
ちょっw
さまぁ〜ずもソラシドも切り方絶妙杉。
めっさ気になる!
書き手さん乙。

650 :名無し草:2006/11/05(日) 13:58:48
乙〜

651 :名無し草:2006/11/05(日) 14:13:04
本坊編気になる切り方だな

652 :名無し草:2006/11/05(日) 15:02:52
キモ

653 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:51:28
>>572-579の続きです。


発砲音が森に響いた時、上田にはそれが銃声だという確信は持てなかった。
慌しく頭上を飛び越えていく鳥達は2人に危険が迫っているぞと警告しているが、
上田には銃声よりもその直後、淳との待ち合わせ場所であるスピーカーの方向から
聞き覚えのある人間の叫び声があがった事の方が気になった。
やはり誰かが待ち伏せをしていたのだろうか。確かに聞こえた叫び声は淳や亮の物ではない
…と思うが、他の音に紛れてよく分からない。確実なのは、スピーカーの近くで誰かが襲われているという事実だけだ。
スピーカーの下まで行くべきか否か。意見を聞こうと、少し後ろの地面に座り込んでいる有田を振り返った上田は、
思いがけない人物の姿を目にして驚きの声を上げる。

有田の少し後ろ。藪の間から虚ろな目をした住谷の顔が覗いていた。


654 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:53:12
上田の驚愕の表情に、有田が即座に後ろを振り返る。
それが合図だったかのように、スピーカーの方向から激しい炸裂音が響き、藪の中から住谷が飛び出した。
咄嗟に立ち上がった有田だが、即座に住谷に突き飛ばされる。
長時間の山歩きで疲弊した足は何度かよろけ、そのまま山の急斜面に飲まれた。

「うわぁあぁぁっ!」
「有田!」
転がり落ちた有田の下に咄嗟に駆け寄ろうとした上田の喉に、強い衝撃と痛みが走った。

「がっ……!」
有田を突き飛ばした勢いを緩めることなく上田の首を捉えた住谷は、そのまますぐ後ろの木に叩き付ける。
背中と喉を強く打ちつけ、肺から空気が逃げ出そうとするのを住谷の手が阻む。
息を吸い込むことも吐き出すこともできない状態に、上田は苦し紛れに住谷の横腹を思い切り蹴り飛ばす。
足がぎりぎり地面に着く状態の上田には、その一撃が精一杯だった。
しかし、住谷は一瞬体勢を崩しそうになっただけで大したダメージは受けなかったらしく、
逆に首を絞める手に力を籠めてきた。気管と動脈を塞がれた上田の頭が徐々に熱を帯びてくる。
行き場を無くした血液が頭の中で暴れているのか、どくどくという鼓動が痛みを伴って耳に響く。
何とか逃れようとする上田の様子に、住谷はえもいわれぬ高揚感を味わっていた。

655 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:53:47
―自分は武器など持たなくても、人を容易く殺せてしまうほど強いんだ。
―死ぬのは怖い…だったら、殺す側に回ればいいじゃないか。
上田の爪が腕に食い込み、鈍い痛みを発している。その頼りない抵抗に、住谷は口の端に冷たい笑みを浮かべた。
―自分は何を怖がっていたのだろう?自分には力もあるし、馬鹿でもない。
十分に優勝を狙える位置にいるのに、恐怖に飲まれてそれを忘れてしまうとは愚かなことだ。

「怨まないでくださいね。あなたが僕より弱いから、死ぬんです。」
 上田のベルトに提げられているナイフに気付いた住谷は、冷たい笑みを顔に貼り付けたまま、静かに告げた。
首を締め上げている住谷の手を剥がそうと、必死にもがいていた上田の手から急速に力が抜けていく。
それまで視界に入っていた地面と住谷の腕がぐにゃりと回り、晴れ渡った夏の空が上田の目に飛び込んできた。
霞んでいく視界の中、振り上げられた住谷の手に、見覚えのあるサバイバルナイフが握られているのが見えた。

取られたか。
上田は頭の片隅でそう認識したが、それを理解する前に意識が途切れた。

656 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:54:44
意識を失った上田めがけてナイフが振り下ろされようとしたその時、転がり落ちた斜面を
駆け上がってきた有田が、渾身の力で住谷に体当たりした。
突き飛ばされた住谷の手から上田の体とナイフが滑り落ちる。
地面に突き刺さったナイフを素早く拾い上げ、牽制するように住谷に突きつける。
有田の背後では、地面に倒れた時の衝撃で意識を取り戻したらしい上田が激しく咳き込んでいた。

住谷と有田の距離は3メートルほど。
取っ組み合いになったら勝ち目は無いと、有田は妙に冴えた頭で考えていた。
勝ち目があるとするなら…と、サバイバルナイフを握る手に力を込める。
綺麗事をと笑われるかもしれないが、始めは仲間や友人を犠牲にしてまで生き残るという道は考えていなかった。
殺し合いはしたくない、しかし狭い島の中でいつまでも逃げ続けるのも難しい。当然、ただ殺されるのも嫌だ。
我ながら我侭な考えだと、有田は思う。
校舎の外で上田を待っている間、正直どうしていいのか分からなかった。
しかし合流した上田は、自身ありげにここから逃げようと言った。どうせ命の危険は同じなら、出来る限りの最善を尽くそうと。
だから、まだ何も行動を起こしていない状態で死ぬわけにはいかない。

覚悟を決めた有田は、サバイバルナイフをまっすぐ構えて住谷を睨み付けた。


657 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:55:55
突き飛ばされた住谷は、有田の手の中にあるナイフに気付き舌打ちする。
自分の武器はまだ確認していない…荷物を受け取った時に確認しておくべきだったが、
今はそれを悔やんでいる暇はない。
格闘技には自信がある。しかし相手がナイフを持っているこの状況で、相手を仕留められても無傷では済まないだろう。
しかも今の有田の形相を見る限り、返り討ちにあう可能性も否定できない。
普段の有田からは想像できない程に鋭い視線で睨まれ、僅かに腰が引けている自分を住谷は感じていた。
有田さえ殺すことができれば、今の上田は楽に殺せるだろう。
一気に2人減らす事ができればその分優勝の確率も高くなる。
しかし、僅かに動いただけでも飛び掛ってきそうな有田の様子に、住谷は動くことができないでいた。

有田もまた、住谷の動きを窺っていた。
住谷がこちらに向かってきた場合、躊躇わずに殺す覚悟は出来ていた。
だが、出来ればこのままどこかに行って欲しいという微かな期待も持っていた。

―自分の手を汚したくないだけなのかもしれないな。
自嘲気味にそう思った有田は、ナイフの柄を握る手に力を込めた。


658 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:57:17
膠着状態はせいぜい1分程度だろうか。
しかし対峙している2人にとって、1分はあまりにも長かった。
お互いのどんな小さな動きも見逃すまいと、神経を極限まで張り詰める。
少しの油断が命取りのこの状態に、思わぬところから横槍が入った。

有田のすぐ後ろの藪が大きく揺れたかと思うと、強烈な銃声が辺りに響いた。
それと同時に住谷の頭上の木の葉が鋭い音を立てて散る。
住谷は銃声を聞いた瞬間、身を翻して藪の中に飛び込んだ。

―あの音は銃だ。銃はよくない。
自分の強さに自信を持てたところで、校舎の前で見た光景への恐怖感が消えたわけでは無かった。
自分があれだけ手間取った末に失敗してしまったことを、銃を持った人間ならば指一本で簡単に行えてしまうのだ。
銃への恐怖はいっそう強く住谷の心に根付いていた。
一方、住谷が藪を掻き分けて逃げる様子を尻目に、有田は銃声がした方向を振り返る。
ほんの数メートルと離れていないだろう距離から放たれた銃弾は、明らかにこちらを狙ったものだろう…と有田は思う。
結果的には葉を散らした程度だったが、よくよく思い返してみれば的にするにはもってこいの状態だったのだ。

発砲したと思われる人間が、がさがさと藪の中をこちらに向かって進んでくる。
有田の武器はサバイバルナイフ一本。しかも上田はまた苦しげに咳き込んでいて、走って逃げられるとは到底思えない。
―こうなったら一か八か、藪から出てくる瞬間にこちらから仕掛けるしかない。
有田が意を決しサバイバルナイフを構え直した瞬間、藪の間から金色に染められた頭がひょっこりと飛び出した。
何となく出鼻を挫かれた感じがして、有田は藪をこちらに進む金色の頭を眺める。
藪は有田の視線の高さ程度だから、普通に立って歩けば顔が見えるはずだ。
しかし頭頂部位しか見えていないのと、相方の姿が見えないことを考えると…隠れているつもりなのだろう。

「そういえば、ロンブーと合流するんだっけ…。」
長時間の山歩きと住谷との格闘ですっかり忘れてしまっていたが、上田と沢で話した事を思い出し
有田は気が抜けたように呟く。

やがて藪が左右に開かれ、見知った人物が姿を現した。


659 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:58:40
「大丈夫ですか?」
そう言って藪の中から現れたのは、ロンドンブーツの淳と亮だった。
淳の手には拳銃が握られている。

「今のはおまえが?」
淳が持っている拳銃に警戒しつつも、有田は当面の危機が去った事に安堵した。
「下手に出て行っても危険かなと思ったんで、ちょっと威嚇射撃をね。」
思いのほか反動が大きかったですけど、と苦笑いしながら器用に拳銃をベルトに挟みこんだ。
よく見ると淳の服は土で少し汚れている。

「なんだよ、転んだのか?…ま、とにかく助かったよ。サンキュ。」
「転んだって言うより吹っ飛んだって感じでしたよ。」
後ろに立った亮が、淳の服に付いた土を払いながら心配そうに口を挟む。
亮の心配そうな声に、淳は居心地悪そうに身じろいだ。
「しょうがないよ、銃なんて初めて触ったんだから。」
「せやけど、」
「いいんだよ、元々これ使う気ないしさ。」
尚も食い下がろうとする亮の言葉を遮って、ベルトに挟みこんだ銃を軽く叩く。
使う気がないと言われてしまっては返す言葉が無いのか、腑に落ちない表情の亮が唇を尖らせる。
そんな2人のやり取りを眺めていた有田の足元で、上田がよろよろと起き上がった。

660 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 15:59:33
「大丈夫か?」
「ああ。」
有田の問いに短く答えた上田は淳の方に目を向け、助かったよ、と礼を言う。

「どういたしまして。…それより、歩けますか?随分派手な音をさせちゃったし、ここに長く居るのは危険です。」
スピーカー付近から響いていた炸裂音は今のところ止んでいる。しかしあれが撃ち合いだった場合
生き残った誰かが自分達を見つけて襲い掛かってくる可能性は否定できない。

「俺は大丈夫だよ。…そういえば有田、お前さっき崖から落ちてなかったか?」
まだ少しふらつくのか、軽く頭を振った上田が隣に立つ有田を見上げて訊ねる。
「あれは崖って程じゃなかったよ。目は回ったけどな。」
有田は笑って答え、上田の腕を取り立たせる。上田は無言で相方の広い額をぺしりと叩き、淳の方に向き直る。
「移動って、行き先は考えてあるのか?」
「いくつか候補はありますけど…民家のある所がいいですね。集落は学校と近すぎるから…元町とか。」
折り畳んだ地図の元町部分を指しながら、3人の様子を伺う。
「いいんじゃないか?落ち着いて話しもしたいし。」
「何よりちゃんとした床の上に座りたいね、俺は。ついでにクーラーも効いてれば最高。」
地図を覗き込んで真面目に答える上田の横で、有田が茶々を入れる。
案の定、間髪入れずに上田が有田の額をひっぱたいた。普段通りの相方の様子に、有田は悪戯っぽい笑みを浮かべる。
そんなくりぃむしちゅーのやり取りを見て、亮が楽しげに笑っている。

「じゃ、元町に向かって隠れられる家を探しましょう。あれを伝っていけば元町近くまで出られるみたいですから。」
淳はそう言いながら地図をポケットにしまい、山間に見える送電線を指差した。
見上げてみれば、山の木々の合間から一定の距離を持って並ぶ鉄塔が西日を受けて頼もしげに輝いていた。
これを目印にすれば、まず道に迷うことはないだろう。

4人は頷いて、火薬の臭いが漂う森を後にした。

661 : ◆U2ox0Ko.Yw :2006/11/05(日) 16:00:52
【くりぃむしちゅー(有田哲平・上田晋也)・ロンドンブーツ(田村淳・田村亮)合流】
【くりぃむしちゅー 有田 哲平
 所持品: ロープ・投網
 第一行動方針:本町に向かう
基本行動方針:脱出の邪魔になるものは排除していく
 最終行動方針:生存 】
【くりぃむしちゅー 上田 晋也
 状態:首に絞められた痣
 所持品:サバイバルナイフ
 第一行動方針:本町に向かう
 基本行動方針:首輪を外す方法を考える
 最終行動方針:島からの脱出 】
【ロンドンブーツ 田村 淳
 所持品: 拳銃(コルト45)・携帯電話
 第一行動方針:身を隠す家を探す
 基本行動方針:首輪を外す方法を考える
 最終行動方針:生存 】
【ロンドンブーツ 田村 亮
 所持品: 油性ペン12色セット・スケッチブック
 第一行動方針:淳の言うことをきく
 基本行動方針:淳の言うことをきく
 最終行動方針:淳についていく 】

【レイザーラモン 住谷正樹】
所持品:未確認
第一行動方針: 身を隠す
基本行動方針:殺せそうな芸人から殺していく
最終行動方針:優勝

【現在位置:森の中】
【8/15 16:20】
【投下番号:140】

662 :名無し草:2006/11/05(日) 16:20:46
いい加減にしろ

663 :名無し草:2006/11/05(日) 16:28:02
乙です。
有田が意外とかっこいい……
>>631の上田の状態にどう繋がるのか、すごい気になる!

664 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:24:04
>>532-537続き

あヽおとうとよ 君を泣く
君死にたもうことなかれ
末に生まれし君なれば
親の情けは勝りしも
親は刃を握らせて
人を殺せと教えしや
人を殺して生きよとて
十四までを育てしや

「それ改変されてんのやって」
大学の教室内。3限は成績評定が緩いと評判の授業で、浅越は席を取っておこうと昼休みの間に教室に来ていたのだが、
早過ぎたらしくちらほらとしか生徒はまだ座っていない。
久しぶりに予習でもしようかと教材を開いて眺めていた時である。
分厚いハードカバーを横から覗き込んだ同級生は自慢げに自分の知識を披露した。
「そうなん」
あまり気乗りしない返事を返す。政府が昔の文学作品を自分の良いように改変しているなんてよくあることだ。
「うん。これバトロワに行く弟を心配した詩ってことになっとるやん?
でも実際はもっと昔に戦争に行く弟を心配して作った詩やねんて。
ホンマは弟24やし、人を殺して死ねって親は言っとるけど、そんなこと気にせんでとにかく生きろって詩なんやってさ」

665 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:25:05
「へえ」
だったら、改変されたように人を殺しても生きろと親が教えていたら、この作者はどう思ったのだろうと考える。
「ええ詩なんやからそんな変えんでもええねんなあ?ホンマ政府っておかしいわ。って…お前行政法専攻やったっけ。
てことは政府関係志望とか?」
同級生の問いに、浅越は小さく頷いた。
この国では政府に勤めている人間が一番特権を享受している。
実際その特権を得ている親を間近で見ている浅越が、自分も同じ道を進むことはある意味必然ともいえた。
「やったら今のはオフレコやで?な?」
「ああ」
気乗りしない返事。それよりもさっきの疑問がずっと頭から離れない。
死を覚悟しながら死地に赴く人間に、人を殺してでも生きろと言う資格が他人にあるのかどうか。

翌日その疑問をぶつけようとその同級生を探したものの、それからその姿を大学で見かけることはなかった。
一部の有名大学には、政府が到るところに盗聴器や監視カメラを取り付けているという噂は本当だったのだなと
浅越はただ納得するだけで特に感傷は覚えなかった。
が、その後浅越が政府関係に進む事はなく、お笑い芸人を志したことに関係が本当になかったのかは定かではない。

666 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:25:37
灘儀が生命の危機に瀕しているこの状況で、自らの大学時代の光景がふと頭を過ぎったことに
浅越は余計な事を、と自分の思考回路に苛立ちを覚えた。
今は灘儀を助ける事が最優先で、だからこそ下手に岩橋に刺激を与えられない。
カウンターの陰に残されたままのマシンガンをふと見つめる。
もどかしい思いを感じつつも、息を殺しながら鏡を凝視していた。

正面を向いて対峙している岩橋の目は迷いのない目をしていると、向かい合った瞬間灘儀は感じ取る。
だが本来ならこの一秒でさえ惜しいほど兼光の傷は深いだろうと思うと、頑なそうな岩橋に歯ぎしりするような思いを覚えた。
「傷つけるつもりはあらへん。バッグの中に包帯とか一通りあるんや。手当てさせてくれんか?」
「僕がやりますんで、エエですから」
普段からは想像もつかないような声色で、灘儀に取り付く島を与えない。
「ホンマ、エエですから」
灘儀の申し出を断る哀しみよりも、明らかに何故この場にという怒りを感じさせるような雰囲気に、灘儀は歯噛みする。
「意地張っとる場合やないやろ!はよ手当てせな!」

667 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:26:19

そう言って一歩を踏み出した時、灘儀は肩に重い衝撃を感じた。
じわじわと熱くなって、撃たれたことを自覚する。足で自分の体を支えきれなくなり、視界が壁から天井に変わっていく。
助けたいという気持ちは同じなのに何故なのだろうかと、痛みが感覚をどんどん支配していく中ふと考えた。

「灘儀さん!」
思わず浅越が叫んだ瞬間、先程のくぐもった銃声とは違った乾いた音が、病院内に響いた。
浅越はライフルから持ち替えていたマシンガンを躊躇いなく岩橋の身体に撃ちこんでいく。
岩橋に声も発させずに浅越が魂を奪っていくのを、灘儀は大声を出して止めようとするが声がうまく出せなかった。
ただ岩橋が床に崩れ落ちる衝撃が、灘儀の体を揺さぶる。

「灘儀さん、大丈夫ですか」
内臓と胸に銃弾を撃ちこまれ、ただの肉の塊となった岩橋を浅越は見向きもせず、倒れている灘儀に駆け寄った。
柳谷も目の前の惨状に追いつけなくなりながらも、カウンターから出ると同じように駆け寄る。
「痛いです。ごめんなさい」
浅越は重体の兼光に視線をくれることもなく、灘儀を床に寝かすと左肩の裂けた部分をもう少し破り、
アルコールで手早く消毒し、手早く包帯を巻きつけていく。
治療中、灘儀は荒い息を吐きながらも喚くことはしない。

668 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:26:50
手持ち無沙汰の柳谷は、ずっとソファに座って宙を見ている兼光に近付いた。
「助…けたれ…」
柳谷に声をかけながら弱弱しく起き上がろうとする灘儀を浅越はあっさりと押し留める。
灘儀が傷つけられた原因である兼光に対する浅越の無言の怒りを沸々と感じつつも、
柳谷は言われた通り兼光の横に立つと、デイパックを開いて手当てを始めようとした。
腰を屈めた時に、兼光が何かを呟いているのが耳に入る。
「殺しはった?なんで岩橋くん殺しはったんですか…?」
涙を静かに流しながら、視線を動かす事も出来ずにただ兼光はぽつりぽつりと呟いている。
「…岩橋くんまだ生きれたのになんで…」
柳谷は二の句をつげることが出来なかった。視線の先では灘儀が大きく咳き込んで目を瞑り、顔を背けている。
「僕置いてかれたん…?行っちゃ嫌や…連れてってや岩橋くん…」
兼光は血に濡れた手を前に伸ばそうとしたが、力が入らずすぐその腕は力なく腿に当たって落ちる。
体外に流れ出た血が多すぎて、輸血も出来ない現状では助かる見込みはほとんどないと言えた。
やけど、と兼光を見ようとして、柳谷は身体が硬直するのを感じる。
じっと。真っ直ぐに柳谷に向けられた視線は何を伝えたいのかそれとも行動を見逃すまいとしているのか。
柳谷は息苦しくなって目を瞑った。頭の奥で、血が飛び散り銃声が何度も鳴り響く。
何人もの異なる声が彼を突き動かすように、止めるように喧喧諤諤と喋り続けているのを感じた。

「やめっ…………!」
目は閉じたまま、気づいた時には斧の柄を探り当て、力任せに刃を兼光の胸にめり込ませていた。
灘儀の制止する声が、耳に入ることはなく。

殺すのは優しさとは思っていなかった。だが頼りにしていた相方を殺した人間の、メンバーとして。
意識が薄れるまで一人、孤独と哀しみを味合わせるのなら殺してやるのが最低限の人としての情けだと、
ふとそんな感覚を覚えたのだ。
だが、情けとは言っても人を殺すことには変わりなく。
目を開いて。虚ろな瞳を宙に漂わせながら死んでいった兼光の死に顔を見る。
鈴木に連れられて奢られに行くのだと笑っていたのは、そう遠い過去ではなく、
むしろその温度まで思い出せるほど近い日のことで。

669 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:27:24
「灘儀さん、薬飲んで下さい」
そんな柳谷を振り返る事なく、浅越はデイパックから抗生物質と解熱鎮痛剤を取り出して口に含ませ、
ペットボトルを持たせると灘儀を助け起こした。
浅越も、柳谷の顔も視界に入れたくないかのように顔を背ける。
さっさと水を飲むと、助けを拒否するかのようにペットボトルを床に置くとすぐに浅越の体を、
力を振り絞って肘で押し退けようとした。
浅越も特に抵抗せずに離れると、膝を払って立ち上がる。
「道具揃えてくるわ」
そう言うとさっさと手近な手術室の扉を開けて姿を消してしまった。

灘儀はきっと兼光に止めをさし、いや殺した柳谷を許していないだろう。
2人だけで残されても、と思いつつ血の臭いも相まって重苦しい雰囲気を打破しようと灘儀に話し掛けた。
「傷、大丈夫ですか」
その問いに答える声はなく、荒い呼吸音だけが響く。
こういう雰囲気は苦手だ、と自覚する。もちろん得意という人間もなかなかいないだろうが。
柳谷は溜息を吐くと、腰ポケットを探る。探って、本番だからと煙草は既に持ってきたバッグに戻していたのを思い出した。
この空気を一番感じずにいられるのは喫煙中だと分かっているからこそ、舌打ちするのを止められない。
ホテルに戻ったら、もしかしたら鈴木から1本だけもらえるかもと思って我慢をし、また大きく溜息を吐いた。

その鬱屈感は柳谷を支配して、灘儀が緩慢に行っていた行動を全く気付かせようとさせず。
ふと気づいた時にはカチリ、と撃鉄を起こす音が病院のロビーに響いた。
「灘儀さん!」
柳谷が駆け寄る一瞬にも灘儀が表情を変えることはなく、ただ静かに引き金を引く。

670 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:28:20
「ゴエちゃんとやっとるかな…?」
有り合わせの材料で器用に鳴子を作っていた鈴木は、ふと手を止めて視線を上げた。
ぽつりと呟いた言葉に窓際に座って月の明りで執筆を続けていた久馬も顔を上げる。
「灘儀さんね、厄介やと思うんですよ。ゴエにとって」
久馬は小さく首を傾げると執筆に戻った。だが聞き耳を立てていることは鈴木も分かっているので、気にせずに続ける。
「灘儀さん、良い人過ぎて、頑固やないですか」
意固地とは違うが、一度決めたことは密やかに守り続けるといったところがあることは2人とも熟知していた。
「出来るだけ多く誰か守りたいんやって言うてたって聞いたんですわ。
まあホンマんこと言うと、結局一人しか生き残れられへん中で、そんなんやってなんの意味があるんかとか思いますけど」
久馬にしても、灘儀の願いは大それているというか非現実的なものだとは思ったので、
鈴木のコメントに特に怒りを覚える事はなく。
「例えば誰か危険人物と会うた時、灘儀さん逃げんと説得せえへんとってなるやないですか。
その場合助けたいと思うんやったら、多少狂っとるフリして、殺したいから殺した、灘儀さんなんか関係あらへんって。
死んだんは灘儀さんのせいやないって風にして、心配掛けさせんように殺さんとあかんのです」
やろうな、と久馬は小さな声で同意した。恐らく鈴木の判断は正しいのだろうと推測する。
やけどギブソンまで恐がっとったで、と軽く注意すると鈴木もあとでフォローしときます、と溜息を吐いた。
「ただゴエにそれが出来るんかって…。ええかっこしいやから。
もしゴエが正面切って守ってもうたら、灘儀さんは自分のせいやって責めてまう。
ホンマに悩み出したら下手すると…」

"自殺"

その言葉は同時に2人の脳裏に浮かんだようだった。しかもその手段は灘儀の手中にあるのだ。
しかしそれを口に出すことはなく。

「それより鈴木の役は大量殺人鬼でええ?」
「またやないですか。ええですけど」
おもむろな久馬の言葉に互いに笑顔を浮かべると、また個々の作業に没頭し始めた。

671 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:28:56
柳谷は今度こそ身近な人の死を目の前で見るのかと恐怖しながら目を瞑った。が、何の音もせず。
恐る恐る目を開けると灘儀は目の前で銃を床に叩きつけていた。
「弾入ってへんやないか…!」
搾り出すように言われた言葉には、無念さが滲み出る。
「浩志が殺す理由、どこにあったっちゅーねん…!」
銃を目の前の壁に叩きつけると、大きな衝撃音がして、跳ね返ることなくそのまま床に落ちた。
灘儀の悔しさが柳谷に理解出来ない訳ではない。結局は自分の手を汚す必要はなかったのだと思うと自分も悔しい。
だが、あの状況では2発目を予想した浅越の判断もあながち早計だったとは思えなかったのも事実だった。
掛ける言葉が思い浮かばずに助け起こすと、今度は灘儀も大人しくそれに従う。
すぐに柳谷はすることはなくなり、仕方なく自分の思考の世界に没頭した。
何故、自殺なんてしようとしたのだろうと考えながら。

「揃いました。戻りましょう」
暫くすると手に色々な器具を持って浅越が戻ってきた。真空パックに入ったそれらの器具をデイパックに詰めると、
灘儀の分も背負いつつ、肩を貸そうとした。だが黙ってそれを灘儀は拒否する。
「一人で歩けるんやないですかね」
この数年、いや見たこともない程重苦しい雰囲気に柳谷は口を挟むのを止められなかった。
しかし、空気が緩む事はなく。
灘儀は一呼吸置くと、悲痛な叫びを紡ぎ始めた。
「何で殺したんや…俺なんか助ける必要なんかなかったんや。弾は入っとらんかった!それを…」

柳谷の頭の中で何かが崩れる音がした。
灘儀のさっきまでの浅越に対する態度の理由の解釈は間違っていたのだと気付いたから。
殺した浅越を責めているのではなかった。ただ殺させてしまった、その原因を作ってしまった自分を責めていて。
そして殺されてしまった2人にも罪悪感を覚えていて。
だからこそ浅越に向ける顔がなかったのだと、思いついてしまった。

672 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:29:25
「殺されるまで待ってることは出来ませんでした。だから僕の意志で殺したんですよ。灘儀さんのせいではなくて。
でも助けたいという気持ちがあるなら、助けてあげたいと思う気持ちも無視しないで下さい」
死地に居て、死を覚悟している人間に生きて欲しいと思うのなら、自らの手も汚さないといけない。
本当に死んで欲しくないのなら、どんな手段を使ってでも側に居ないといけない。
嘆くだけなら誰にも出来ますよ、と過去の女性詩人に向かって浅越は語りかけた。
灘儀が自殺しようとしたことも、生きている事は偶然の産物だということも気付いていないからこそ
言えることだというのにまだ気付いていないのだが。

全然気にしてませんから戻りましょう。立てますか?と浅越はいつもの穏やかな口調で灘儀に語りかけると、
灘儀は薬が効いてきたのか自分の力で立ち上がった。
浅越はそれを確認すると、2人のデイパックを開き食料と水を自分のデイパックに移す。
岩橋のデイパックの中にも予備弾丸は入っていなかったので、
床に落ちていた銃は口径を確認して他の手持ちの弾薬も使えないことを察するとそのまま床に戻しておいた。

「ゴメンやで」
2人の死体に謝罪の言葉を述べると、浅越に促されて灘儀は扉の奥へと消える。
動こうとしないのを訝しがる浅越の視線を手だけで制すると、柳谷はその場にしゃがみ込んだ。

灘儀の考えが自分の思った通りなら、自分を許しはしないだろうと何故か確信が出来た。
動けない、害意もない相手を、ただの恐怖感と自己満足で殺した自分を、許せるはずがないと。
思い込み始めたらキリがなく、ドツボに嵌まっていくのを感じながらも止められない。

噛みあわない思考と運命の歯車。
叫びたくなるような衝動と溶けそうな体温だけを、柳谷は感じながら絶望の淵に佇んでいた。

673 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/05(日) 17:31:03
【プラスマイナス 岩橋 良昌 死亡】
【プラスマイナス 兼光 貴史 死亡】

ザ・プラン9 ヤナギブソン
【所持品:照明弾(4/5) ジッポライター 斧
第一行動方針:ホテルに戻る
基本行動方針:不明
最終行動方針:不明】
ザ・プラン9 なだぎ武
【所持品:MP5(11/15)  ダイナマイト1本 短刀(檜)
状態:脇腹に軽傷/肩に銃創
第一行動方針:ホテルに戻る
基本行動方針:人命救助
最終行動方針:不明】
ザ・プラン9 浅越ゴエ
【所持品: M24ライフル 5.56ライフル弾(30/30)  救急セット
第一行動方針:ホテルに戻る
基本行動方針:メンバーの生存最優先
最終行動方針:不明】
【現在位置:病院(D5)】
【8/15 19:15】
【投下番号:141】

674 :名無し草:2006/11/05(日) 18:22:02
プラン編乙です!
個々のキャラが確立されてて複雑に絡んでいるのがすごい面白い!!
みんなちゃんとした理由があって行動してるのがいい。

675 :名無し草:2006/11/05(日) 19:07:07
キモ

676 :名無し草:2006/11/05(日) 19:25:51
プラン編ktkr
プラマイ死亡か……
臨場感あって良かった!

677 :名無し草:2006/11/05(日) 22:01:52
ドカーンを使って 短文を作りなさい

678 :名無し草:2006/11/05(日) 22:34:05
初めて来たけど、このスレの話って、ちゃんと完結するの?誰が優勝とか。

679 :名無し草:2006/11/05(日) 23:58:21
>>678
書き手次第

680 :名無し草:2006/11/06(月) 12:26:19
お笑いロワイアル2006ってスレだし、今年中には完結するんじゃない?

681 :名無し草:2006/11/06(月) 16:43:59
>>680
前作ですら二年かかってるんですけど

682 :名無し草:2006/11/06(月) 17:26:17
知らんがな

683 :名無し草:2006/11/06(月) 19:41:16
>>677
サッカーのことよく知らないけど
カーンは好き

684 :名無し草:2006/11/06(月) 20:16:56
完結しないなら読む意味無いな。時間の無駄

685 :名無し草:2006/11/06(月) 23:12:42
帰れ帰れ

686 :名無し草:2006/11/06(月) 23:18:18
そうだよ。嫌なら読まなきゃいぃじゃん

687 :名無し草:2006/11/07(火) 12:23:34
>>686巣に帰れ

688 :名無し草:2006/11/08(水) 17:45:15


689 :名無し草:2006/11/08(水) 23:42:54
続きマダ-?

690 :名無し草:2006/11/09(木) 09:36:00
週末の投下ラッシュに期待age

691 :名無し草:2006/11/09(木) 20:51:07
くだらないスレだな

692 :名無し草:2006/11/10(金) 21:02:31
乙です!
プラン9続き楽しみにしてます!

693 :名無し草:2006/11/10(金) 21:52:42
は?

694 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/10(金) 23:38:54
>>612-615の続き。奇妙な3人組。

いつまでもこの場所に居るわけにはいかない。今立は片桐を背負い、山根は三人分のデイパックを手に歩き出す。
荷物を預けてよいものか今立は一瞬躊躇ったが、どさくさにまぎれて谷井から奪った武器を思い出して安心する。
(もしも、何か妙な行動をとるようだったら……)
冷たい重さが今立を落ち着かせる。
だが、次の瞬間そんな思考に行き着いてしまう自分に背筋が寒くなる。
この状況は人間を狂わせるには充分過ぎるようだ。
「さっきから思ってたんですけど」
山根はにじむ汗を拭いながらたずねる。
「片桐さんは、誰に撃たれたんですか?」
湿った空気が彼らを包み込む。今立の足は、地面に縫いとめられたように止まっている。
片桐も汗を浮かべ、気まずそうに黙り込んでしまっている。
今立の見つめる草は、谷井が倒れている所と同じ色をしていた。
「……谷井だよ」
低い声でつぶやく今立には、これ以上の追求を拒む凄みがある。
山根は何も居えずに黙ってしまった。しかし、頭の中には様々な疑問が渦巻いている。
相方を、親友を襲うなんてことがありうるのか。なぜ知っている人間を殺せるのか。
谷井はどうなったのか。彼はまだ近くに居るのか。
そして、自分の相方も同様に狂い得るのか…
「あ、あとね、始めに菊地も、襲ってきた!」
暗い空気を吹き飛ばすように明るく言う片桐だが、内容が全く笑えない。
今立は呆れ、山根はただショックを受けている。
流石に一瞬で微妙な空気を察した片桐は、落胆したようなため息を一つつき、
「…ごめんなさい」
と情けなく謝った。片桐は素のトークでの失言が多く、そのことでいつも妻に叱られていたものだった。
「菊地さんはどうでした?」
山根はゆっくりと歩きながら言う。
その声には単純な興味ではなく、親しい先輩に対する心配の気持ちが多く滲み出ていた。
高く茂った草に足をとられて転びそうになる。3人の背中は不規則にぐらついた。

695 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/10(金) 23:40:00
「…なんかねぇ、虚ろだったよ。完璧に狂ってるって言うか、そんな感じだった。
 でも、体当たりしたら簡単に倒れて、だから逃げて…そのあとは会ってない」
賢太郎ともはぐれちゃった、と片桐はつぶやく。
「それにしても、体当たりで倒れるって…大の男でありえるか?」
「だって、本当に倒れちゃったんだもの。俺だって驚いたよ」
今立の疑惑を片桐は必死で払拭しようとする。
「まぁ、彼ならありうるでしょうね」
山根も片桐の証言を後押しする。
「あんだけ細くて白けりゃ、体力もないでしょう。以前日焼けで入院もしたらしいですし」
誰かに絡まれるといつも相方に頼っていた、言葉ばかり強気な先輩を思い出して山根は少し笑う。
あまりに情けない話に今立も笑い、
「いや、菊地もお前にだけは細いと言われたくないはずだぞ」
と、突っ込み、更に一同の笑いを取った。
思えば、このゲームが始まってから彼らはほとんど笑っていない。当たり前と言えば当たり前なのだが。
突然木々の間から太陽がのぞく。だが、湿気は相変わらず彼らの周りに沈殿している。
笑い声をあげると腹の傷が痛むのを片桐は感じる。ある程度は自然なことだ、と彼は思った。
厚く巻かれた包帯に、しみこむ血液に気づくものは居ない。
弾丸は確実に片桐の内臓の機能を奪っている。

【ラーメンズ 片桐仁
所持品:マーライオン
第一行動方針:賢太郎を探す
基本行動方針:賢太郎の言う事を聞く
最終行動方針:海で死ぬ
現在位置:森】

696 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/10(金) 23:40:37
【エレキコミック 今立進
所持品:スタンガン
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:仲間を集めて協力する
最終行動方針:ゲームの終了
現在位置:森】

【アンガールズ 山根良顕
所持品:救急セット
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:怪我をした人を助ける
最終行動方針:死は覚悟している
現在位置:森】

【8/16 05:15頃】
【投下番号142】

697 :名無し草:2006/11/10(金) 23:43:12
リアルタイム遭遇!
乙でした!

698 :名無し草:2006/11/10(金) 23:52:03
おおーリアルタイム。乙です
奇妙な3人組を想像してワロタwたしかに奇妙だw

699 :名無し草:2006/11/11(土) 01:12:50
きめぇw

700 :名無し草:2006/11/11(土) 12:14:22
ごめんなさいワロスw

701 :名無し草:2006/11/11(土) 12:46:23
乙です!
片桐バカスw

702 :名無し草:2006/11/11(土) 12:58:05
プ

703 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:40:15
>>368-381 続き

 騒がしい音を立てて森を進む。題材になりそうな出来事を観察している最中だったの
に、急に立たされた上に腕を掴まれてしまって、燃えた博物館を背にするしか方法が無
かった。後ろ髪を引かれ過ぎていたせいで首の後ろが疼く。
 まったく知らない人なら怒号を贈ってさよならするつもりだったが、簡単に捨てられ
る相手では無い。立ち上る炎に誘われる芸人が多いことは予想出来るにしても、都合よ
く相方が含まれているだなんて予想していなかった。
「止まれ、止まって、ストップ」
 腕相撲より強い力で握られた手は振りほどけない。先程から希望を述べているが聞き
入れて貰えない。眉を寄せて困り果てていた新妻は、流されるままに何度も同じ意味の
言葉を発し続けている。
 数秒して急に動きが止まった。慣性の法則で新妻のバランスが崩れる。右足を前に出
して踏ん張り顔を上げれば、だらしなく口を開けて呼吸する相方、和賀の姿があった。
大きな深呼吸をして、開口一番。
「大丈夫か?」
 新妻には理解し難い質問だ。しかし和賀にとっては真に迫った内容のようだった。温
度差はすぐに伝わったらしく、苛々した素振りの和賀が続ける。
「脅されたとか、そういうのじゃないの?」
 新妻は更に理解し難くなった質問に首を傾げた。ずり落ちていたデイパックを肩に掛
け直し、時間を埋めるために頭を掻く。キューティクルが自慢の黒髪も、ここ数時間の
せいで嫌な手触りに変化していた。

704 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:40:47
 あまりに普段通りの反応は和賀にとっては不自然以外の何物でもないようだ。縋るよ
うな素振りでデイパックに手を伸ばしてから、すぐに引っ込める。何も持たないままで
尋ねてきた。
「じゃあ何で一緒にいるの?」
 ようやく合点がいく。頷いた新妻は中田の顔を思い浮かべた。しかし答えをいうより
早く和賀が、自らを納得させるかのように呟く。
「逆に守らせてるとか?」
 虎の威を借る狐とでも言いたいのだろうが、新妻にそんな意志は無い。とりあえず首
を振るだけで答えて結論を整理する。
 もちろん納得しない和賀は暗闇でも分かる位に眉を寄せた。ついで口を尖らせたが発
言はしない。新妻の答えを待てるくらいには落ち着いたようだ。数秒の間を取った新妻
ははっきりした口調で呟いた。
「コントを書かなきゃいけないんだ」
「は?」
 平仮名一文字だけに疑念が混ざっている。怯まない新妻は一部始終を説明するために
思考を巡らせるが、酷く面倒で煩わしくなって止めた。早く燃え上がる建物の元へ戻ら
なければならないからだ。
「あっちゃんをモデルにしたコントを、神様、小林さんもそうしてるから、会ったとき
に恥ずかしくないように」
 新妻からしてみれば要点だけをかいつまんだ単純簡素な説明であり、和賀からしてみ
れば混乱だけを原料にした支離滅裂な発言だった。お互いの温度差は更に大きくなり、
穏やかなはずの和賀は更に眉を寄せる。

705 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:41:21
「ふざけてんの?」
 呟きに苛々が籠もっていた。聞いていた新妻も、自らの目的を否定されて腹を立てる。
「ラーメンズの小林さんに会う、俺にとっての神様」
「好きなのは知ってるよ、尊敬してるのも。でもあいつは違うだろ」
「モデルにするんだ」
「いかれてるやつを? わざわざ?」
「コントを書かなきゃ」
「だから何のために」
 荒い声だった。新妻は更に腹を立て、話が通じない相方を睨んだ。和賀も似た顔をし
ていて、はたから見れば仲間割れ位にしか映らない。奇妙な会話は双方を混乱させるに
は十分過ぎる。
 新妻はまた簡単な、しかし難しい答えを述べた。
「お笑い芸人だから」
 当然、和賀の顔は曇る。例え殺し合いの原因だろうと、二人に取って芸人は夢を叶え
た先の職業である。目標にはまだ遠く及ばない、しがない若手芸人だったが。
「今はそれどころじゃないだろ」
 捨てるように吐いた和賀の一言は一般的な意見だった。実際、現状況で新妻のように
コントを書いている芸人はごく一部だろう。一点だけに集中すればむしろ純粋な人間で
あり、案の定怯まずに反論した。
「じゃあ何すればいい?」
「それは」
「助かるのは一人だけなのに」
 無意識で真理をこぼした新妻は目を見開いた。どれだけコントを作っても評判を聞け
るかどうかは生死によって違ってくる。生き残っても、コントを評価してくれる芸人は
いない。

706 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:41:56
 酷い絶望が混じった条件ばかりだった。最優先事項は誰を選択するかである。中田は
若いし頭もいいから革命を起こせるかもしれない。コント番組で共演した仲間も捨てた
くはない。もちろん昔から一緒にいる和賀が死ぬ姿は想像したくないし、神様と讃えて
いる小林は死んではいけない人だ。取捨選択は難しすぎる、中には新妻自身も混ざって
いるのに。
 大きく頭を振った。現実逃避のためだった。軽い目眩で頭を抑え、大きく呼吸をすれ
ば目的の再認識が完了している。コントを書かなければならないのだ。
「手伝って、俺だけじゃ完成出来ない、小林さんとは違うんだ。俺が書いたコント、い
つもみたいに直してよ、そうしなきゃ」
「勝手なこと言うな!」
 途中で一喝された新妻は息を飲み、目を見開き、大きな口はへの字に結ぶ。地味な顔
つきなはずの和賀は、今までに無い位に怒りを含んだ表情で新妻を睨み付ける。整った
顔では無い、それが逆に現実味を実らせていた。
 風が流れ去る程度の間が静寂を作り出す。空に浮かんでいる星は全ての答えを知って
いるのだろう。地上で光る炎は細く弱くなり、人間以外の野次馬は寝床に帰っていく。
 和賀は小さくため息をつき、追って数回大きな息をした。
「冷静になれよ」
 響きは酷く場に整合する。夜はお静かに、そんな風に台詞を置き換えてもいいくらい
の弱さだ。

707 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:42:28
 小さく頭を振った新妻は嫌に冷静な相方を前に我に返る。しかし紙と筆記用具を捨て
る気にはなれず、それらを握りしめた手の力を弱める気にもなれない。
「なったよ」
 短く答えた新妻の目つきは未だ揺らいでいる。表面だけの言葉に和賀が納得している
かどうかは分かりはしないが反論してこなかった。話題が戻る。
「あいつはいかれたんだ」
「まだ決まったわけじゃない」
「じゃなきゃあんなことしねえよ、それに」
 吐き捨てた和賀の目が濁った。面倒が起こる前の軽いものでは無い、根からの恐怖で
瞳の光が奪われ、考えたく無さそうに目を閉じた。眺めていた新妻は、強調された和賀
の涙袋を戯れ半分に観察する。新妻にも同じような涙袋があるからだ。
「勝っちゃんを殺したのは多分、あいつだ」
 くだらない思考に浸っていたのは、第六感で先にある和賀の言葉を避けていたからだ
ろうか。無意識の努力は虚しく、提示された仮定は新妻の頭を揺さぶっていく。トップ
リードとはコンビ同士で仲が良いマチコの一人、勝又。一回目の放送で名前が呼ばれた
ときに胸を潰される思いがして忘れていた友人。
 新妻はただ無意識に胸を押さえつける。頭か心かは分からないが、感情をつかさどる
どこかが螺旋に巻き込まれて、数秒間思考が停止する。重力に潰されるような真っ黒な
視界が錯覚であることにはしばらく気づけなかった。

708 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:43:04
 深呼吸もままならない。髪を揺らす生温い風だけが唯一の感覚。絶えず右脳が作り続
けるイメージはプログラムに巻き込まれる前の楽しかった時間である。勝又と新妻が出
演して評判が良かったコント、地味な二組だとネタにされた楽屋。
 鋭い頭痛が走った。頭を抱えた新妻はおぼつかない足どりで木に凭れる。前髪のせい
で周囲から遮断されて、真っ黒な世界だけが広がる。何も無くなったか、おぼろげに考
えた新妻の視界は遠く広がった。視点は空、つまりは神の目線。
 中央で頭をつきあわせて何かを囲む三人の男がいた。よく観察すればいつか遊んだボ
ードゲームだと分かった。一人は新妻自身、もう一人は勝又、そして。
 頭を急に上げた。目を見開いた新妻は縋るように和賀を見つめ、掠れた声で呟く。
「嘘だ」
 忘れていた根本的な矛盾を思いだした。
「まさか、二人は親友で」
 ゲームを囲んだもう一人の仲間は中田である。そして新妻は勝又と和賀が奇妙な親友
関係にあることを知っていた。少し考えが捻くれている同士気があったらしく、先輩後
輩にも関わらずお互いを好いていた。例えどれだけ仲良くなっても二人の間には入れな
いと諦めていたのは新妻だ。
 一部始終を静観していた和賀はただ目線を逸らして俯いた。動作だけなら冷静に見え
るが、怯えた目の更に奥は怒りで歪んでいる。嫌な迫力から悟る限り復讐を決めてしまっ
たのだろうか。

709 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:43:39
「あいつ、青いペンキで汚れてただろ」
 決して名前では呼ばない見放したような二人称も、全てを押し込んだ低い声も和賀ら
しくない。必死で自我を保っているのが分かる。デイパックを握りしめる手には血管が
浮き出て、薄暗い雰囲気に合わさって異様さが募る。
「勝っちゃんの体にも描かれてたんだ、顔が無い青い人、化け物。あいつが絵を描くの
知ってんだろ? あの暗い絵、すぐ分かった」
 中田は確かに適わない青で汚れていた。同時に付着していた赤と相まって、どちらが
血液か迷った記憶もある。手は真っ赤だった、鼻が詰まっていた新妻には分からなかっ
たが、ひょっとして生臭い臭いを放っていたかもしれない、良く知った友人の臭いで。
 咄嗟に手の甲を噛んだ。行動の意味は新妻にも分からなかったが、痛みのおかげで現
実から逃れられそうな気がした。噛み付いたまま呼吸をして目線を落とし、ゆっくり口
を離せば痛々しく歯形が浮かぶ。摩ってから両腕共に力なく落とした。風が通り抜ける。
「あいつはいかれたんだ」
 和賀がいつかと同じ言葉を繰り返した。辛辣は悲哀に代わり空間を満たす。考えるた
めの時間が与えられて、双方違う感情を持った二人は目線を逸らした。空から木の実が
落ちるくらいの間が空いて、遠い空の星は小さくきらめいた。合図にするかのごとく同
時に顔を上げる。
「逃げなきゃ」
「助けなきゃ」
 決定的な意志の違いが露見する。

710 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:44:11
 否定的な意見は和賀、肯定的な意見は新妻だった。互いに見合わせて、見知らぬ者同
士のように目つきを荒くした。他人行儀は数秒、先手を打ったのは怒りを隠しきれなく
なった和賀である。
「あいつは勝っちゃんを殺したんだぞ」
「まだ分からない」
「見てないから言えるんだ。変な落書きされて、捨てられて」
 言葉を止めた和賀の目の表面をなぞるようにして恐怖が広がっていった。はっきり眉
を寄せ、今までで一番の臆病さを垂れ流して新妻を捉える。
「お前も?」
 短すぎて真意を捉えるまでに時間が掛った。ようやく新妻は、自身が壊れているか尋
ねられていることを知る。もちろん考えていない議題だったし、中田と会ってからは暇
がなかった。こうやって機会を与えられて考えても答えは無く。
 黙り込んでいた新妻の腕が前と同じように引っ張られた。どうやら強制連行をしよう
としているらしい。抵抗する新妻は右足を強く踏ん張って動かないよう固定する。
「いいかげんにしろ!」
 一番の怒号が鳴り響いた。あまりに普段から掛け離れていたせいで、和賀の声だと認
識するのに時間が要したほどに荒かった。体を奮わせた新妻はどこか可笑しい表情で固
まり、普段通りではない相方を凝視する。肩で息をする和賀ははっきり眉を寄せている。

711 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:44:53
「お前はおかしくなってんだ、直さなきゃ」
「なってない、早く、戻らなきゃ」
「戻る? 何のために?」
「助ける」
「今のお前が?」
 うなずきもしない新妻は目の前の相方を説得するための手段を探した。見つかりそう
になく、優先事項だけが頭の中で鳴り響いている。新妻にも分からなくなっていた、中
田のために中田を助けるのか、自分のために中田を助けるのか。後者はつまり、コント
の展開のためにという意味。
 この状況で選択肢にコントが出てくる時点で正解は決まっている。簡単な問題だが混
乱に投げ出された新妻にとっては酷く難しい。答えに縋れば救われる、保証は無いのに
信じて必死になる。取捨選択で残ったのは案の定。
「コントを書くために」
 掴まれていた腕を振って拘束から逃れ、炎が上がっていた方へ歩く。照らされた道が
無くても方向さえ分かれば進むことが出来る。未だ存在している自らの足に感謝する。
 空気が震えた。大人しくしていた森が一気に殺気立った。足を止めた新妻が震えた原
因を確かめるために振り返れば、不釣り合いな銃を右手に持つ相方がいる。震えたのは
鼓膜だったようだ。
 銃口は地面に向けられていた。新妻には分からないが、おそらく火薬の臭いが漂って
いるはずだ。日常に適わない姿は現状況に優しく包まれている。
「ついて来ないなら撃つ」

712 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:45:26
 和賀の脅迫は震えていた。よく見れば、銃を持った手も同じである。新妻は両手を上
げるでも無く、半分だけ振り向いた体勢で停止する。和賀の行動が意図する意味が分か
らなかったのだ。
 数秒間だけ頭を真っ白にして現状況を判断した。撃たれる対象になっているが殺され
たくは無い。新妻には使命があり義務があるが、どちらに向いても果たせない可能性が
出てきた。苦し紛れに目線を落とす。
 月明かりに照らされてはっきり映し出された。落ちた木の枝の先が博物館側を向いて
いた。周囲から見れば些細だが新妻に取っては先を示すコンパスである。パントマイム
よりぎこちない動きで相方に背中を向けた。ためらわず踏み出す。
 新妻の無意識は知っていた。和賀には撃てない。小学生から一緒にいる存在を撃てる
ほど覚悟が上手い人間では無いのだ。案の定、新妻が数歩進んでも新たな銃声は作られ
ず、草が踏まれる音だけが響く。
 足音が重なり近づいた。肩を掴まれた新妻はゆっくり振り返り、肩で息をする和賀を
眺めれば、何とも言い難い色を目に浮かべている。
「すぐ逃げれるようになってんだろうな」
「え?」
「殺されそうになったときに」
「いや」
「ふざけんなよ、支給品は?」
 新妻は肩に掛けたままだったデイパックから、完璧に揃ったルービックキューブを取
り出した。和賀は何度目か分からないため息をついた後、手にしていた銃を新妻に差し
出す。
「持ってけ」

713 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:46:00
 あまりに優しすぎて無謀な行動である。持っている当たりの武器をわざわざ託すほど
に心配されているのだ。現状況の新妻でもさすがに胸が痛み、小さく首を振って答えた。
「いらない。そっちが危なくなる」
「俺は色々調達してあんの。だから持ってけ」
 和賀はどうやら冷静に行動していたらしい。中田に会うまで何もせずふらふらしてい
た新妻とは大違いである。性質は対して変わらない二人がここまで違う理由は分からな
い。分かるのは、意見が正反対である可能性が高いことだけだ。
 だからまた、新妻は否定する。
「いや、いらない」
「どれだけ譲れば気が済むんだよ」
「違う。俺がやるのは殺すんじゃなくて……」
「コントを書く、だろ。もう分かったよ、あんだけ言っても駄目だったんだ」
 ため息をついた和賀は呆れきった顔をしている。プログラムが始まってから始めてみ
る人間らしい表情だったが、すぐに元の真剣な顔に戻る。
「殺されたら元も子もないだろ。持ってかないなら一緒に来い」
 恐らく和賀に取っては最大限の譲歩だろう。新妻の意見はある程度受け入れられたわ
けだ。
 手を伸ばしかけた新妻は、それでも途中で拳を作った。右手に持つのは筆記用具だけ
で十分だったし、和賀に死んで欲しくなかった。新妻が死んでも和賀が生き残れば先に
繋がる、残酷な思いつきが頭をかすめる。

714 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:46:36
 穏やかな和賀の顔がだんだん険しくなっていく。まさか、と言いたげな表情になって
いる。新妻は和賀と目が合ったのを確認して、はっきりした声色で告げた。
「俺はどっちも選ばない」
 銃を持っていかず、和賀に付いていかない。呆然としている相方に背を向けて走り出
した。休んでいないせいか足どりは重かったが、目的の分だけ加速出来た。揺れる草が
新妻を讃えるようにざわつく。枝が折れる音がする。
「勝手にしろ!」
 背中側から飛んできた怒号を弾き飛ばしてスピードを上げた。道には迷わない、頭に
迷いが無いからだ。手には紙と筆記用具を握りしめ、髪が乱れても気にせずにいるべき
場所に向かう。
 長い森を抜けて迎えてくれたのは燻ぶった博物館と、燃えた誰かの死体。立てかけら
れたそれはいなくなった人形達の代理を努めるかのごとく外を監視している。
 異形な景色だった。コントの資料にするには十分すぎる素材のはずだった。しかし新
妻の目に映るのは違うものだ。普通の人では見られないような景色ですら霞む存在感を
持つ一人。
 博物館だった残骸を眺める背中は小さく見えた。猫背であるせいか、違う理由がある
のか、神を自称するには不十分な背中だった。決定的なものを失った子どもに似ている。
 中田がゆっくり振り返る。表情は憂いを帯びた道化だ。確認した新妻は口を閉じたま
ま、眉を上げて笑う。興味深いものを見たような表情で先への期待が込められている。
 新妻は決めかねていたのだ。コントの主役の職業を何にするか、どのように暮らして
いた人物にするか。今決定された、主役は神を自称するクラウン、それされ決まればも
う、コントはすぐに完成する。
 筆記用具と紙を取り出した。

715 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/11(土) 15:48:18
【トップリード 新妻悠太】
所持品:ルービックキューブ2個
状態:良好
第一行動方針:中田をモデルにしたコントを書き上げる
基本行動方針:出来るだけコント作成に集中する
最終行動方針:ラーメンズ小林との接触
【トップリード 和賀勇介】
所持品:スタームルガー・レッドホーク(5/6)
状態:良好
第一行動方針:新妻このやろう(苛ついて考えられない)
基本行動方針:?
最終行動方針:?
【オリエンタルラジオ 中田敦彦】
所持品:ウォーハンマー、ラドムVIS-wz1935(10/11)(自動拳銃)、ルービックキューブ、朴刀
状態:良好
第一行動方針:サディズムについて結論付ける
第二行動方針:新妻に無知の知を教える(ラーメンズ小林との接触)
基本行動方針:相手により変化、必要ならば裁く
最終行動方針:世界を手に入れる
【現在位置:F3・森→遊園地内のマリオネット博物館前】
【8/16 00:40】
【投下番号:143】

以上です、前回感想くださった方、ありがとうございました

716 :名無し草:2006/11/11(土) 15:52:30
キタ―!!!
乙!!!

717 :名無し草:2006/11/11(土) 17:12:54
キモ

718 :名無し草:2006/11/11(土) 17:50:40
こんな話作って恥ずかしくないの?つか本人が読んだら、どーすんだよ

719 :名無し草:2006/11/11(土) 18:09:52
乙です!毎度ながら情景描写が凄い。
小林との接触が楽しみで仕方がない。

720 :名無し草:2006/11/11(土) 18:16:32
マジきもい

721 :名無し草:2006/11/11(土) 18:40:15
>新妻このやろう
和賀…w

722 :名無し草:2006/11/11(土) 19:01:28
新妻このやろうワロスww

723 :名無し草:2006/11/11(土) 19:07:55
ほんとにやめてほしい
ここ各事務所にスレもろともおくっといたから

724 :名無し草:2006/11/11(土) 19:15:23
>723

はいはいワロスワロス

725 :名無し草:2006/11/11(土) 19:17:44
どうなるかしらんけど頑張ってね

726 :名無し草:2006/11/11(土) 19:24:01
>>694-696
>>703-715

乙です〜
今回も面白かった。続き待ってます!

727 :名無し草:2006/11/11(土) 20:34:04
書き手さんが違うから、藤森と中田が接触することはないんだろうか
残念だ

728 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/11(土) 22:09:52
さまぁ〜ず編行きます。



暗がりの中、上田晋也は重い身体をひきずるようにして歩いていた。
午前3時すぎ。いくら夏といえども、この時間にまだ太陽は昇らない。
平地なら少しは違うかもしれないが、森よりも木が少ないとはいえこの山の中はひどく暗かった。
街灯もなければ白々しいコンビニの明かりもない、生まれたままの深い闇は、彼を静かに蝕んでいく。
上田の精神は恐慌を起こしかけていた。自分の身に起こった出来事を未だに整理しかねているのだ。

彼は確かに賢い男ではあったが、予想外の出来事に臨機応変に対処する能力にはそれほど秀でていない。
それはむしろ彼の相方にこそ備わった力で、不幸にも彼はその相方と離ればなれになってしまったのだった。
歩き疲れた足は鈍痛を訴えているし、絞められた喉もまだ時折チリリと痛む。彼はそれでも歩みを止めない。
止まれば否応なく自分の犯した罪を思わずにはいられないから、止まれなかったのかもしれないが。

混乱したままの脳味噌で歩き続けながら、上田の思考は重い現実から逃避する。
衣装のスーツは汗を吸って少し重い。まったく、こんな格好で山を歩くなんて馬鹿げている。
土にまみれた革靴の爪先に目をやりながら、高校の頃、有田がスーツに革靴で遠足に来たことを思い出した。
白いスーツで山を登った相方は無事なのか。無事であってくれなければ困る。無事だ。無事なはずだ。
ならば淳は? 亮はどうだ? いや、無事だ、きっと無事に決まっている。


729 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/11(土) 22:10:30

川の水流に巻き込まれた有田が無事であるかどうかなど、本当はわかるはずもない。
淳や亮にしてもそうだ、目の前にいる人間以外、無事なのだと確認できる人間はいないのだから。
それでも無事だと信じ込んでいなければ、どうにかなってしまいそうだった。
禁忌を犯した今では、自分自身すらもはや確かではない。罪の重さに上田の心は耐えかねていた。
今、有田まで、仲間だった淳や亮まで失ったら。そのときにはもう、正気を保てる自信はなかった。
上田の精神は傾いでいる。酷く波立ち、荒れ狂う海にたゆたう小舟のように心もとない正気の糸。
彼はそれを切らないように必死で紡いでいく。ここで正気を手放せば、全てはおしまいなのだ。

そのとき、彼は突き出た石に足をとられてつまずいた。しこたま膝を打ってふらふらと立ち上がる。
左手に持っていたガンケースが地面に叩き付けられ、土埃が上がった。
彼はおぼつかない足どりでそれを拾いに行き、また歩き出そうとして、まだ残る膝の痛みに立ちどまる。

「畜生…!」



730 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/11(土) 22:11:01

思うにまかせない道行きに、上田は吐き捨てるように呟いた。まだまだ先は長い。
疲れた身体をおして歩いてきた山の尾根。彼が目指すのはこの送電線の行き着く先、いや、始まる場所だ。
亮ともはぐれてしまったからには、あそこまで行く以外に方法などない。
4人での再合流を望むなら、このまま進む以外、他に手だてなどないのだった。

「おーい、上田ぁ」

それでもいい加減、上田の疲労が限界に近づいた頃、聞こえてきたのは小さく彼の名を呼ぶ声。
敵か味方か、好意か罠か。彼は咄嗟に、腰のナイフに手をやりながら声の方に慌ててむき直る。
突然ぽつりと現れた火花を散らす橙色の小さな光が、眼鏡のレンズらしきものにぼんやりと反射していた。
その小さな光が、幼いころの記憶にあるものと重なる。身構えていた彼はすっかり気をそがれた。
よくよく目を細めて見れば、それは確かに知った人物だ。いつもと違い、度入りの眼鏡をかけてはいるが。

「上田、俺だって」

声を潜めて彼を呼んだのは、線香花火を手にして岩陰から顔を出している先輩芸人、大竹一樹だった。





731 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/11(土) 22:12:37

【さまぁ〜ず 大竹一樹】
所持品:特選花火セット大(&輪ゴム)、ライターと伊達眼鏡(私物)
第一行動方針:とにかく寝ない
第二行動方針:日村を捜す
基本行動方針:できるだけ生存
最終行動方針:プログラムの変更、離脱
現在位置:山の尾根にある小さな洞窟(H4)
【くりぃむしちゅー 上田晋也】
所持品:サバイバルナイフ、ガンケース
第一行動方針:島からの脱出
基本行動方針:配電所にむかう
最終行動方針:ゲームの破壊
現在位置:山の尾根(H4)
【8/16 03:11】
【投下番号:144】

次回大竹と上田が接触予定です。

732 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:02:42
>>560-566 の続き

視界は暗闇で覆われていたけれど、足の感触で道なりに進む道路が少しずつ上り坂になっているのがわかる。
もっとも、数十分前にハイキングコースと記された小さな看板を見たばかりだ。特に驚く事ではない。
「こんな夜に山登りって…何のロケだよ、これは。」
傍らでぼやく野村の声が聞こえ、赤岡は歩くペースを落とさぬまま野村の方に顔を向けた。
「古い話になるけど…電波少年とか?」
「あー、じゃあ川元とかはもう気持ちとか上手く切り替えられてるかも知れねーな。」
「……………。」
ぼそりと野村に答える赤岡の反応に、野村はどこか棒読みにも近い冗談めかした調子で言葉を続ける。
今回バトルロワイアルのメンツには選ばれなかったが、ビームや魚でFといった後輩も
かつてキツいロケで知られるドキュメントバラエティー番組の洗礼を受けた連中で。
こういった非常事態にも何とか対応する事も出来るかも知れない。寧ろ、そうあって欲しい。
そんな思考が、無意識のうちにつづられる。
「急に黙るなよ。何か心細くなる。」
「……済まない。」
しかし、気持ちを切り替えた結果、磯山のように周りを殺す側に立たれてもそれはそれで困る話ではある訳で。
思わず口を閉ざした赤岡の耳に、野村の小さな声がまた聞こえてくる。

喋る声を誰かが聞きつけてしまうかも知れないという不安感はあった。
しかし、黙々と夜道を進む事に対する恐怖感もそうそうぬぐえる物ではない。
その意味では率直な野村の言葉に、赤岡はこちらも小さな声で答えて、はぁと息を吐いた。
磯山といえば、目の前の野村に自分の左腕の傷が彼の相方によってつけられた物である事、
そして彼が他の誰かを殺してでも自分が生き残る道を選んだ事を伝えそびれている。
もっとも、あの出来事から時間は随分と流れているために、磯山が他の芸人と出会って考えが変わった
可能性も捨てきれない…というよりも、その可能性を信じたくて。
そう考えると、迂闊に伝えて良い物か、赤岡としてもどうしても悩んでしまうのだ。

「…ほら、また黙る。」
「……済まない。」
夏の夜らしく、虫の鳴く声や耳元で蚊がウロウロする鬱陶しい羽音が聞こえてくる中。
再び野村に指摘され、赤岡は小さく答えた。

733 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:03:59
「じゃあハイキングらしく歌でも歌おうか?」
「どうせ高音域出せないクセにヘビメタ歌うんだろ。遠慮しとく。」
珍しくみんなとカラオケに行けば、一人だけ妙な曲を歌って場を変な空気にさせている赤岡の姿を思い出したか、
せっかくの提案にも野村はふるふると首を横に振る。
「だったら仮面ライ
「そっちも遠慮する。」
重ねての赤岡の言葉を途中で遮り、野村はファッション性を重視して髪をいろいろ弄りまくったためか、
最近後退ぶりが気になる額を手のひらで押さえた。
そういえば、江戸むらさきと号泣は同期で確かに仲も良い。けれど、野村個人とすれば島田と遊ぶ事は
よくあっても、赤岡とプライベートで一緒になる事は少なくて。
どうしても沈黙による不安を誤魔化すための共通の話題にも欠いてしまう。
結局2人して口を閉ざしてしまい、舞台衣装のために山歩きにはとうてい向かない革靴と洒落たシューズが
小石の目立つ道を踏みしめるザクザクという音がやたら耳に付く結果となって、しばし。

「…そーいやさ、何でお前らバラバラになったりしたんだよ。」
ふと、野村が赤岡に問いかけた。
「こんな目に遭ってもさ、せっかくまた会えたってのに。」
「……………。」
どこか野村の言葉に憧れめいた響きが混じるのは、スタート地点の学校を追い出されてから
赤岡と出会うまで、生きた芸人の誰とも接触できなかった…ひたすら怯える事しかできなかったからだろうか。
恐怖に震えながら一人ぼっちのまま死ぬのは、寂しいし悲しいに違いないけれど。
「あいつ、俺がバトルロワイアルに乗ったと…殺して回る側に立ったと勘違いしてるんだ。」
肩から提げたデイパックの位置を直し、赤岡は野村の方を見ずに小さく呟いた。
「本当は乗ってないんだろ?」
「当然だ。でも…」
野村の問いにキッパリと言い切ろうとして、赤岡は小さく首を振る。
「積極的に誰かを殺すつもりは勿論ない。でも自分の身を守るためなら多少の事はやむを得ないと思ってる。
 それを戦う事を…殺し合いを推奨するこのバトルロワイアルに乗ったというのなら、俺はあいつの言う通り
 バトルロワイアルに乗ったと言われてもしょうがないかも知れない。」
「でもさ、正当防衛じゃん。それって。」
「…あいつにとっては、それも駄目らしいからさ。」

734 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:04:59

『お前なんか…お前なんて…知らない奴に背中から切られて、苦しんだ末に死んじゃえばいい!』

去り際に滑舌の悪い大声で言い放った島田の言葉を思い出して、赤岡はその口元に苦笑いを浮かべた。
いや、そのどこか自嘲の色も含んだ笑みは、島田のみならず赤岡自身にも向けられている。
身を守る行為すら危険だと拒絶しようとする島田の考えは、このバトルロワイアルの場においては
自殺行為以外の何物でもないといえよう。
しかし、そんな彼を捜して再び合流しようとする赤岡の行動もまた、自殺行為であるのだから。

「あいつの考えがおかしいと思った時に…後々遺恨を残してでも強引に納得させれば良かったんだ。
 でもあいつならわかってくれている筈だと、下手に口論になってギクシャクするのも面倒だったし
 何も言えなかった。いや…何も言わなかった。」
足場の悪い道ながらも歩みを進めながらぼそぼそと言葉を紡ぐ赤岡を遮るような事はせず、
野村は黙ってその声に耳を傾けていた。
江戸むらさきも号泣同様に幼なじみ上がりのコンビであるが、コンビとして仕事をやっていく上で
ただの友人だった頃よりも相方に対して踏み込んではならない領域が増えたように野村は思う。
どんなに人間関係がこじれても、舞台の上で最高のパフォーマンスが出来るのならばそれでも構わないだろう。
しかしそれほど器用ではない自分達は、コンビとしての関係を維持するためにある程度は妥協し
気になる事があっても見て見ぬふりをするしかなく。

例えば先輩芸人に誘われて赤岡も冗談半分に始めた出会い系サイト遊びを止める機会を逸し、誘った張本人が
逆にサクラのバイトすら経験したりする中で未だに赤岡だけだらだらと続けている事に対して
野村も島田から愚痴られた事があったが、島田に無理矢理止めさせるという行動がとれなかったのは
その辺りの事もあるのだろう。
特に号泣は赤岡がネタを書いているため、その赤岡がへそを曲げたら島田としても困るはずで。
まぁ、それはもう携帯に触れる事も出来ないこの場面では意味のない事になってしまったのでさておいて。

735 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:05:45
「結局俺は逃げたんだ。だから、悔いを残さないためにも島田を捜さなきゃいけない。
 あいつを今度こそ納得させて…これから一体何をするべきか、一緒に考えるんだ。」
今後のコンビ活動についてなんて考える事すらナンセンスなこの後に及んでも、いつもの癖で一歩引いてしまった。
その事に対しての後悔と今後への決意が滲む赤岡の言葉に、野村は一緒にか…と小さく呟く。

磯山は今頃どうしているだろうか。
与えられた食料を、すでに全部食べ尽くしていないだろうか。
さっさと寝るのは勝手だが、寝首をかこうとしてる奴に見つからぬよう、ちゃんと身を隠しているだろうか。
…あ、蚊に刺されるから腹出して寝てたりするんじゃないぞ。
そんな子供を想う母親のような思考が野村の脳裏をよぎり、彼の表情は僅かにほころんだ。
どちらかといえばより天然なのは磯山よりは野村の方であるけども、赤岡と一緒にいる事と特に怪我をしていない事。
そんな精神的な余裕が磯山を心配するだけの余裕へと繋がるらしい。

「…だったら早い所、見つけないとな。島秀の事。」
「……あぁ。」
発される野村の言葉に赤岡は微かに頷いて、目の前の暗闇を見据える。
島田の性格上、目の前に存在する道から外れて道なき道を進む事はないだろう。
故にこの道を辿っていけば、どこかで島田を見つけられるはず。
己に言い聞かせるかのように思考を組み立てながら、赤岡は歩く速度を僅かに上げた。
道は山をぐるりと巡りながら、山頂へと続いている。








736 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:06:45
木々の枝の隙間から星が瞬いているのが見えるけれど、視線を空から地上へ降ろせば
相変わらず周囲は濃い闇に包まれている。
聞こえるのは虫の音と風が通り抜けていく際の草木の揺れる音、そして己の呼吸と鼓動ぐらいだろうか。
……何で、こんな事になってしまったのだろう。
身体を丸めるようにして木の根元に座り込んだまま、島田は考える。

暴力は…誰かを傷つける事は、決してやってはならない事の筈だ。
互いの主張がこじれても、暴力で解決しないで話し合いで解決するように。そう教わった筈だ。
でも、赤岡は島田のその主張を決して聞き入れようとしてくれなかった。
状況を考えろ、と赤岡は言う。そんな戯言を言っている場合じゃないんだ、と。
それでも、状況を考えたならばなおさら暴力による解決は好ましくない物だと、島田はそう思えてならない。
暴力を…いや、殺人までをも許可し推奨するバトルロワイアルの中で、たとえ赤岡の言う通り
純粋に身を守るためであったとしても、己の武器を振り上げるのはバトルロワイアルを認めたという事だ。
バトルロワイアルのルールに従い、殺し合うと宣言したような物だ。

……ならば、赤岡はきっといずれ僕を殺す。
紡ぐ思考の中でそう行き着いた結論通りにならぬよう、島田が赤岡から離れたのが数時間前。
そしてここで一人、彼は膝を抱えている。
島田の考え得る限り正しい選択をしたはずなのだけれど、一人ぼっちになる寂しさと暗闇の恐怖は
否応なしに彼の心を浸食しているようで。
思わずため息をつきながら俯く拍子に、島田の胸の前で弛めた縞模様のネクタイと金属製の小さな犬笛が揺れた。

視界の端で軽やかに揺れるその笛に指を伸ばして触れてみると、笛は熱帯夜間違いないだろう8月の夜の気温か
島田自身の体温でかはわからないけれども生温くなっている。
「……………。」
これを吹いて、野良犬なり何なりが集まってくれば少しは寂しさも紛れるかも知れない。
しかし、その動物たちが必ずしも友好的とは限らないし、万が一軍用犬が武器に与えられた芸人が居たら
懐かせる以前にかみ殺されておしまいであろう。

737 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:07:19
馬鹿馬鹿しい。そう自嘲気味に口元を歪めながら、島田は犬笛に触れていた指先を離した。
余り聞く気は起こらないけれど、次の全島放送まであと2時間を切っている。
そこまで何とか我慢して、放送を聞き終えたら眠る事にしよう。そう己の行動を決めると
島田はそれが何度目になるかはわからないけれども一つ息を吐いた。

明らかに幸せが逃げていくタイプと思われる深い吐息は、島田の周辺の空気をかき混ぜて。
それが呼び水になったのではないだろうが、彼の耳に風が起こすのとは異なる草木が揺れる音が届く。
「………っ?」
何か…いや、誰かが近くにいる。そう理解すると同時に、無意識のうちに膝を抱える島田の指先に力がこめられた。

一体誰だろうか。知っている芸人、知らない芸人、戦う気満々の芸人、戦う気のない芸人。
無事にやり過ごせればそれにこした事はないけれど、どれが現れても良いように島田は頭の中で
シミュレーションしようとするけれど、思考はこんな時に限って動きを鈍らせ、まともな考えが浮かばない。
何とも厭な汗が体中から滲んでくる中、真正面を見据えた島田の視界に、木々と茂みの陰から淡い白が姿を見せた。

ぼんやりとしたその白に、島田は見覚えがあった。それが誰の横顔であるかも、瞬時に思い出せた。
このまま黙ってそれが遠ざかるのを待っていれば、島田の運命は間違いなく大きく変わったに違いない。
けれど、反射的に島田は動いてしまっていた。
学校で起こった出来事から、彼もまた自分と同じ一人ぼっちだと、そんな不必要な推測が働いたのも
彼を動かす衝動の一つとなっていたかもしれないけども。
「……菊地さん!」
腰を浮かせ、右手を挙げて相手の名を呼べば、当然のようにそれは…いつもここからの菊地 秀規は
その場に立ち止まり、声の上がった方を向くだろう。
そして虚ろに見開かれた視界に安堵に満ちた親しげな笑みを浮かべ、こっちこっちと手招きをする
骨張った華奢な人影が映り込めば、つられるように能面めいた菊地の表情にも微笑めいた物が浮かぶだろうか。

738 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:08:08

ラーメンズの2人は菊地を見て逃げ出していった。
その後出会った他の芸人達も、だいたい似たような反応だった。
でも、目の前の骸骨にも似た男は菊地にも怯える事なく、むしろ笑顔すら浮かべている。
それは彼にとって初めてのリアクションであっただろう。
「…島田くんを、信じても良いと思う?」
早口でまくし立てるような彼の普段のしゃべり方からすると、何とも違和感を覚えるゆっくりとした口調で
菊地は彼の右側に軽く顔を向け、問いかけた。
数秒後、何か返答があったのか菊地は小さく頷くと島田の方へ向き直り、淡い笑顔を浮かべたまま
目の前の茂みをかき分けて島田の方へと進んでいく。

それは端から見れば親しい芸人同士の再会の光景、に見えるかも知れない。
ただ、先ほど菊地が視線を向けた先には誰の姿もなく、ただ蜘蛛が巣を張っているばかりであった事を、
とりあえずは付記しておく事にする。








739 : ◆8eDEaGnM6s :2006/11/11(土) 23:10:07
【号泣 赤岡 典明
所持品:MP3プレイヤー マイクスタンド 缶詰2個 薬箱
状態:左腕に裂傷・右頬に軽い火傷・ややバテ気味
基本行動方針:生存優先・襲われたなら反撃もやむなし
第一行動方針:島田を探し、誤解を解く
最終行動方針:悔いのないように行く】
【江戸むらさき 野村 浩二
所持品:浦安の夢の国の土産物詰め合わせ
状態:ややバテ気味
基本行動方針:生存優先
第一行動方針:赤岡と一緒に島田を探す
第二行動方針:磯山と合流したい
最終行動方針:不明】
【C7・ハイキングコース】

【号泣 島田 秀平
所持品:犬笛  (以下、水色のリュック内) 缶詰3個 シャツ
状態:精神的に不安定
基本行動方針:生存優先・理由はどうあれ暴力イクナイ
第一行動方針:全島放送を聞いてから寝る
最終行動方針:不明】
【いつもここから 菊地 秀規】
所持品:出刃包丁
状態:体調は万全?
基本行動方針:周りがどうなっても構わない
第一行動方針:不明
最終行動方針:不明
【C8・展望台に近い茂み】

【15日 22:24】
【投下番号:145】

740 :名無し草:2006/11/11(土) 23:13:42
某芸人に教えといたよ、このスレ

741 :名無し草:2006/11/11(土) 23:22:21
投下ラッシュキタ!
さまぁ〜ず編も号泣編も続きwktk



742 :名無し草:2006/11/11(土) 23:24:00
週末の投下ラッシュに嬉しい悲鳴

743 :名無し草:2006/11/11(土) 23:59:52
きもい事するな、やめろ

744 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/12(日) 01:38:04
>>636-647続き、ソラシド・NONSTYLE石田編です。


怖かった。
自分以外の人間が、自分を殺そうとしている。
でも、それを完全に信じる事は出来なかった。
信じてしまえば、きっと自分が保てなくなる事を知っていたから。
他人を犠牲にしてまで生き残ろうとも思わなかったし、
かといって自殺する程の潔さも無かった。
そんな自分が信じたのは親が教えてくれたあの言葉。

  「みんなにやさしくしている人の言葉なら、きっとみんな信じてくれる。」

恐怖は、純粋な善意でなら振り払えるのだと、そう思いたかった。
自分が善い行いをしていれば、きっとわかってもらえる。
殺し合いなど、誰も望んでいないということが。
きっと、わかりあえる。




745 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/12(日) 01:38:46

銃弾は、本坊の耳のそばを掠めて壁にヒビを作った。
石田が銃声のした方を見ると、たけしが右手を上げていた。
これが「撃て」という合図だったのだろうか。

「本坊!!本坊ぉおお!!!」
水口は本坊の方に向かって走り出すが、すぐに兵士に取り押さえられてしまった。
小柄な体はすぐに屈強な兵士達に埋もれてしまうが、それでも水口は
そこから出ようと力任せに何本もの腕を振り払う。

石田は恐怖で声が出なかった。
すぐに石田も兵士に捕らえられ、四肢の身動きが取れなくなった。
10人近い人数で、兵士は2人を教室から出そうとしているようだった。
石田は放心状態でされるがままだったが、水口は必死にもがき、本坊の名を呼び続けていた。

「本坊!おいこらぁ!!!起きろや、本坊ぉおおーー!!!」
叫び続ける水口の腹部に、兵士の拳がめり込んだ。
「ぃっ、あ・・・」
一瞬宙に浮いた水口の体を、兵士の1人が後ろから頭を掴んで叩きつけた。
狭い教室に衝撃音が響いて床が震えた。
たけしはその水口を見て見下した笑みを浮かべた。
鼻血が溢れ出し、喉の奥から血の味が染み込んでくる。
だが、それでも水口は相方、本坊の名を叫び続けた。
本坊は傷ついてはいないものの、銃弾が耳を掠めたショックで意識を失っていた。
だから呼び続けた。きっと目を覚ますはずだと信じて。


746 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/12(日) 01:39:48

「みっともねぇなぁ・・・お前。」
失笑にも似た表情でたけしは言った。
「本坊を・・・・・本坊を返して下さい!!」
黙れ、と言って水口を足で踏み付け押さえている兵士の1人が水口の後頭部に
ライフルを付けた。金属の感触に恐怖を感じたが、水口は訴えた。
「あいつが変な事言うたのが気に入らんのやったらあやまります!
 俺がちゃんと説得しますから!!あいつがわかるまでちゃんと説明しますから!
 だから返してください!相方なんです!!」
この教室にいる山田と和田の死因はたけしの気まぐれによるものである。
そんな相手に、こんな青臭い理屈が通る筈がないのは明らかであった。
「み・・・っず、ぐ・・・ちさ・・・!!」
石田は既に教室の外に追いやられ、水口の視界から消えようとしていた。
水口同様、石田も必死に叫んでいるのだろうが呼吸器官がそれを阻んでいる。

「あいつの相方お前かぁ・・・残念だな。あいつ殺すわ。」
たけしは半目で小馬鹿にしたように笑った。
その顔に怒りをぶつけようとした瞬間、水口の頭に鈍い音が響いた。
ライフルの柄を振り下ろされたようだった。
「ほ・・・ん・・・・・・・ぼ・・・・・・」
朦朧とする意識の中で、本坊はたけしに引き摺られていた。
たけしは水口の方を振り返ってまたあの小馬鹿にした笑みを見せた。


  「 1番、残酷な殺し方をしてやるよ。 」



747 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/12(日) 01:40:31

そう言って笑った後、たけしは本坊と共に教室を出た。
水口は何か言おうとしたが、脳は痛みが邪魔して言葉を出してくれなかった。

水口は脳内が痛みと怒りで支配されたまま、学校の外へ放り出された。
扉は乱暴な音を立てて閉ざされた。
「水口さんっ・・・!!」
呼吸困難が少しだけ治まった石田が駆け寄る。
水口は大丈夫と言おうとしたが、まだ言葉が上手く出て来ない。
島中のスピーカーが発するこのけたたましいクラシックが、余計に思考を鈍らせる。
そのクラシックが、突然遮断された。

『 はい、放送中断すいませんでしたー。禁止エリア発表でーす。
  なんか余計なのが入ったけど無視ってことで。
  今から3時間後・・・いや、午前9時にJ-5が禁止エリアになる。
  あと、今回はおまけにもう1つ禁止エリアがついてきまーす。
  そこはスタート地点の学校でーす。みんな気をつけろ〜 
  ふざけて学校に入ったら撃ち殺しまーす。 』

ふざけた口調でたけしが喋った。無気力な感じが余計に苛々した。

『 あと、死亡者の方も1人、おまけでーす。 』



748 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/12(日) 01:41:12

ダン   
   ダ ン   
         ダ ン  ッ  
                  ダ   ン   ッ  !!!!


不規則な銃声が、スピーカーいっぱいに響いた。


『     216番    本坊 元児。     』


相方のその名を聞いた瞬間、水口の脳内の殆どを侵していた痛みは、一瞬で消えた。
だが、その痛みを乗り越え出て来た言葉は、人のものとは思えぬ咆哮だった。


【ソラシド 水口 靖一郎
所持品:スコップ、ガム
基本行動方針:遺体を発見時、埋葬し弔う。
第一行動方針:より多くの遺体を埋葬
最終行動方針:未定

【NONSTYLE 石田 明
所持品:オフェンスキープ
基本行動方針:とりあえず病気にならない
第一行動方針:骨とか折らない
最終行動方針:健康でいたい

【現在位置:H-6】
【8/16 06:30】


749 :名無し草:2006/11/12(日) 01:42:16
いい加減にしろって

750 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/12(日) 01:44:55
  「みんなにやさしくしている人の言葉なら、きっとみんな信じてくれる。」

恐怖は、純粋な善意でなら振り払えるのだと、そう思いたかった。
自分が善い行いをしていれば、きっとわかってもらえる。
殺し合いなど、誰も望んでいないということが。
きっと、わかりあえる。

そう、きっと。


「・・・・困ります、勝手な事をされては。」
スーツの事務官が、眼鏡を上げて疎ましそうに言った。
「わかってるって、もうやんねぇよ。」
この男は、事務官に反して上機嫌に見えた。それがまた事務官には気に入らない。
頼みます、と念を押した後事務官は退室した。
扉を閉めた直後、たけしは無表情になり、反対方向を向いた。
そこには、ここにいる筈のない者がいる。

きっと、わかりあえる。

そう、きっと。



「   起きろよ・・・・・・・本坊 元児。  」



                  わかりあえる、・・・・・・・・・・・・生きてさえいれば。


751 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/12(日) 01:46:45
【ソラシド 本坊 元児
所持品:コンビニコスメセット
基本行動方針:水口を守る
第一行動方針:水口の手伝い
最終行動方針:水口以外の参加者(自分含め)全員を1度に死亡させ、水口を優勝させる】

【現在位置:H-6(校舎内】
【8/16 06:30】
【投下番号:146】

次回は麒麟編をお届け致します。

752 :名無し草:2006/11/12(日) 01:49:53
乙です!
おお、凄い展開だw
麒麟編も楽しみです

753 :名無し草:2006/11/12(日) 02:15:03
いい加減にしろ

754 :名無し草:2006/11/12(日) 02:40:17
皆様お疲れさまです、どの話も気になる展開です!
今後の展開を楽しみにしています


755 :名無し草:2006/11/12(日) 02:46:07
おもしろくなってきたなww

756 :名無し草:2006/11/12(日) 03:08:33
やめてくれ俺はそんなキャラじゃない

757 :名無し草:2006/11/12(日) 03:32:00
冗談抜きに、このスレ、本人の目に触れたらヤバいと思うんだけど。

758 :名無し草:2006/11/12(日) 09:43:42
前例あるよね

759 :名無し草:2006/11/12(日) 12:14:02
乙です!
意外な展開ktkr
本坊どうなるんだ本坊

760 :名無し草:2006/11/12(日) 14:56:27
やめろマジでキモい

761 :名無し草:2006/11/12(日) 15:43:27
何かレベルの低い粘着がいるなあ… 鬱陶しさを通り越して可愛い

762 :名無し草:2006/11/12(日) 16:31:44
お笑いバトルロワイアルUin エンタの神様3
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1158750527/l50

763 :名無し草:2006/11/12(日) 17:12:14
確かにwwww

764 :名無し草:2006/11/12(日) 19:02:31
今のスレ終わったら独立に一票ノシ

765 :名無し草:2006/11/12(日) 19:57:28
独立って??

766 :名無し草:2006/11/12(日) 20:11:58
コピペ厨相手にするなよ

767 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:19:15
>>703-715 続き

 銃の所持を拒否したにも関わらず、新妻の手には武器が握られていた。誰にも使われ
ずに打ち捨てられていたせいでもあるし、中田に持っていろと命令されたせいでもある。
長い柄の先に刃がついた朴刀は、中田のウォーハンマーと同じく常に片手の自由を奪っ
た。つまりは、歩きながらのコント作成が不可能な状況。
 中田が休憩する気まぐれを待ち続けていた。コントはもう、オチをつければ完成であ
る。数十分足を止めれば完成する自信があるが、待てば待つほど望む場所は訪れない。
 手にした武器で攻撃するつもりにはなれなかった。中田は銃を持っているし、例え脅
しても勝又の死の真相は突き止められない気がしていた。一緒に行動していれば答えは
出てくるだろうか、わからない。そんな自問自答を繰り返しながら歩き続ける。
 新妻にも理解出来ていなかった。中田は確かに、和賀の言う通りにいかれてしまって
いるのかもしれない。しかし新妻は、完全に中田を恨むことが出来ないのだ。新妻もお
かしくなってしまっているからか、それとも。
 中田の動きが止まった。待ちに待った休憩の時間かもしれない。新妻は期待を込めた
薄い笑みを浮かべると、ポケットに入っている紙と筆記用具の存在を意識した。手を伸
ばしかける。
「サディズムの先にあるのは救いか、あるいは完全な無か」
 単なる独り言のようだった。動きを止めた新妻は、中田の足もとで固定されていた目
線をゆっくり上げていく。青で汚れた服の上に乗っかった頭の方から声が続く。
「無が救いなのか、だとすれば」
 言葉が止まった。考え事をまとめるための間が空く。
「救われたのか」

768 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:19:49
 最後の一言は新妻の頭に引っかかる。誰かのことを言っているのは明らかだった。誰
か、を追求するために口を開ける。神様を自称するあやふやな背中を凝視する。
 新妻の背中の方から小動物がいるような音がした。草と草がこすれた小さな効果音で
ある。先に振り返ったのは中田で、音がした方を眺めて心底嬉しそうな表情に変わる。
新妻を挟んだ後ろ側の存在に対して、反乱するかのような雰囲気を持ち合わせていた。
 嫌な予感を持った新妻もやっと振り返る。一番会いたくなかったが、一番会わなけれ
ばいけなかった人がいる。
「小林さん」
 こんな残酷な偶然があっていいのだろうか。無意識で呟いた新妻が、何よりも早く浮
かべた愚痴だった。高い身長に伸びた背筋、暗い森に紛れて立つ姿は紛れもなくラーメ
ンズの小林である。まだコントは完成していないのに。
 呆然としていた新妻は一つ疑問を持つ。小林は筆記用具も紙も持っていない。真っ赤
に汚れた手にあるのは、同じく赤い剣だけだった。
 保っていた希望にひびが入る。小林ですら壊れてしまったのだろうか。うつろな目、
何も信じていないような素振り、それらは普段通りなのかもしれないが冷静にも見えな
い。
 新妻は頭を振る。違う、コントを書くために必要だったから何かをしたのだ。信じた
くて頭を抱えようとも、蜘蛛の素に囲まれたような疑念は増え続ける。振り払うために
話しかけようにも言葉が浮かばない。
「あれがお前にとっての神か」
 中田の声がした。二人に挟まれていた新妻は、ゆっくり振り返って中田と目を合わせ、
自分自身を納得させる意味も込めて頷いた。中田は離反者に似た笑みを浮かべる。

769 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:20:30
「あれが今までの神か」
 捕らわれたような目つきで呟いた。聞いた新妻は目を見開いて固まった。場に浮かぶ
のは、決定的な誤解と疑問。
 小林の目には何も入っていないようだった。全く動かない理由は分からない。下手に
動けば殺されることを分かっているなら、逃げる機会を伺っているのかもしれない。し
かし、だとしても黙り込んでいる理由は分からなかった。
 新妻は眉を寄せる。尊敬する人が気力を無くしている姿など見たくなかった。このま
まだったら間違いなく殺されてしまう、危惧した新妻は小林の意志を取り戻すために試
行錯誤する。
 ポケットに入ったオチがないコントの存在を思いだした。他人のコントを見るかは分
からないが、オチをつけろと言われて反応しない芸人はいないはずだ。確信めいた感情
に一人頷いて、最後になるかもしれないコントの完成を託すことにする。コントを書い
た紙を手にして振り返った。
「神とは?」
 渡す前に中田による質問が始まってしまう。固まった新妻は小林の顔を見る。小林は
訳が分からないといった表情を浮かべていた。一応、状況は見えているらしい。
「お前にとっての神とは?」
 追記するように中田が尋ねた。ようやく質問を理解したらしい小林は、一瞬思い詰め
た表情になってから、すぐに自嘲するように笑った。演技染みた表情は相変わらず深い。
「僕にとっての神は、コントそのものだった」

770 :名無し草:2006/11/12(日) 20:20:33
独立したら、ますます人減るキガス
つか住人、何人くらいいるんだろ

771 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:21:14
 ゆっくり、確かめるように呟いていた。それこそ新妻が望んでいた答えだったが、過
去形になってしまっている。誰もが心臓を押しつぶされるような声色の原因は酷く失望
しているからか。聞きたくなかった新妻は耳を塞ごうとしたが叶わない。すぐに言葉が
続いたからだ。
「でも、コントは神なんかじゃない、悪魔だ」
 新妻の中身を壊すには十分な台詞だった。両手で頭を抱えた新妻は、崩壊していく自
らの人格を繋ぎとめるために大きく息を吸う。
「僕は悪魔に魂を取られたんだ。悪魔にそそのかされて自分が神になれると思い込んだ。
僕は神なんかじゃなくて、虫けらと同じようなもの。さっき、はっきり悟ったんだ。僕
の神はもう死んでしまった」
 無感情に紡いだ小林の言葉は嫌でも新妻の耳に入る。低くて重い音には強い罪悪が混
じっている。信念のためなら良心を捨てられる人間ではないのか。
「だから、神なんて存在しない」
 小林の結論は想像したよりも残酷だった。少なくとも新妻は小林を神だと讃えていた
のに、本人が無神論者を自称してしまうなら何を信じればいいか分からない。結局のと
ころ、現実から逃避してしまった新妻の結論はこうだった。これは中田を騙すための嘘だ。
 背中側から一つ、笑い声が届いた。振り返れば唇の片方だけを吊り上げる中田の姿が
あった。口の中が見えるくらいに大きい笑顔で、両手を開いて言う。
「神が死んだ?」
 馬鹿にする響きが混ざっていた。含み笑いが挟まれている間に、新妻が数歩下がる。
首を少し動かすだけで二人の表情が見えるようになった。中田が右手で顔を抑えて続け
る。

772 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:21:48
「存在しない? 笑わせる、こんな世界を作っておいて」
 目を見開いて笑った、今度ははっきり音になっていた。見下す響きが混ざった声が静
かだった森に響き渡る。便乗した森がざわつく。
 燻ぶっていた疑問が繋がった。中田は考えを飛躍させすぎている。新妻の勝手な発言
のせいで、全ての元凶が小林だと思い込んでいるのだ。若者らしい一直線な勘違い。
「神は殺せると思うか?」
 中田は新妻と目を合わせて尋ねた。誰が傷つこうとも構わない、そんな憂いが瞳に浮
かんでいる。ゆっくり、けれど確実に小林と距離を詰めていく。
「知りたいだろう? 俺が確かめてやる」
 考える時間は数秒である。ウォーハンマーを引きずるようにして歩く中田が小林に近
づくまでだ。小林が逃げてくれればいいのだが、そんな気力ですら無くなっているらし
く動いてくれない。状況を変えられる人間は新妻だけになってしまった、中途半端に浮
かんだ存在が先を決めるだなんて。
 朴刀を握る力を強めた新妻は結論を急ぐ。壊れかけた自身を取り戻すために顔を上げ
る。縋る先は結局コントである、そう思ってしまえば楽だが出来そうもなかった。答え
が出ない。
 中田が新妻の前を通過しようとした。朴刀が、中田を邪魔するように地面に突き刺さっ
た。歩みを止めた中田が無表情で新妻を見やる。新妻は邪魔な前髪から見える朴刀を動
かしたのが無意識だったことに気づく。理由も無く動いた自身を信じる。
 顔を上げて強気の演技に入った。最初だけしか見られないだろうが、今度は観客がい
る。朴刀を今度は意識的に握りしめて、企むような笑みを浮かべて呟く。

773 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:22:20
「大抵の神様って守られてるよね」
 不機嫌になるはずだった中田の反応はむしろ逆で、心底楽しそうに目を大きくした。
表情を確認した新妻は再度中田と小林を繋ぐライン上に立って朴刀を構える。左手には
コントを書いた紙を持ち、数歩引いて小林を背にした。
 新妻は確信している。中田はまだ銃を使わない。弾数が限られているから本当に必要
な時でなければウォーハンマーで終わらせるはずだ。だからこちらに近づいてくるまで
は時間がある。
 コントを持った方を後ろ手にして、小林の手が届くようにした。近い二人にしか届か
ない位の小さな声を出す。
「小林さんは、少なくても俺にとっての神様でした」
 もちろん小林の反応は分からなかった。相変わらずの無表情でいるかもしれないし、
訳が分からないといった顔で固まっているのかもしれない。想像した新妻は少し笑った。
何かに対して固執している自信をあざける意味もあった。
「返事はしなくていいです。ただ、お願いがあります」
 少なくとも小林は逃げない。新妻の話を聞いてくれている。プログラム前だったらお
願いなんて出来なかっただろう、不幸中の幸いに感謝する。
「この紙には俺が作ったコントが書いてあります。あっちゃんをモデルにした話です。
オチはまだ書いてないんで、小林さんが完成させてください」
 新妻が全ての力を込めて作った話を託すこと。
「今の状況を見て、好きなように書いていいですから」

774 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:22:53
 酷く贅沢な願いだった。肩に背負っていた荷物が一つ無くなったかのような解放感。
一段落して生き残っていればまた、目的を失って空虚に捕らわれたかもしれない。けれ
ど新妻はその心配が杞憂であることを本能で悟っていた。
「懴悔は終わったか?」
 足を止めていた中田がウォーハンマーを抱える。確かに、神様に対する懴悔にも似て
いた。新妻はもう少し待ってくれるよう首を振ったが、聞き入れては貰えないようだ。
中田が近づいてくる。
 後ろの存在に対して言葉を紡いだ。
「オーケーなら受け取ってください。三秒数えます、答えがどちらだとしても逃げて」
 新妻は息を飲む。紙を受け取って貰えるかどうかで意識が変わってくる。
「一」
 紙はまだ無くならなかった。小林に言葉が届いていなかったのではないか、新しい疑
問が頭をかすめる。
「二」
 中田がウォーハンマーを数える。紙の感触はまだ新妻の手の中にある。
「三!」
 左手が小さく引っ張られた気がした。確かめる暇はない、振り下ろされたウォーハン
マーの柄と朴刀の柄が十字架を描く。中国武術が趣味で朴刀を触ったことがあるからか、
それとも単なる火事場の馬鹿力か、とにかく防衛本能が間一髪で働いた。感謝する前に
中田の腹を蹴り飛ばす。
 少し距離が離れてやっと逃げる音を捉えた。左手から紙が無くなっていることに気づ
く。救われた感情を持つが一瞬だけしか浸れなかった。相手がバランスを立て直してい
るうちに距離を詰める。

775 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:23:27
 銃を取り出される前に終わらせる、遠心力を利用させた朴刀が弧を描く。刃が相手に
向かう。逆に体を倒して体勢を低くした中田の上で空を切る。
 遠心力がマイナスになった。右から左へ弧を描ききったせいで視界が左にずれる。右
足で踏ん張った新妻が逆方向に刃を流しても後の祭りで中田の姿は無い。
 目で探すより早く感触が気づいた。背中に何かを押しつけられている、銃であること
は確実だ。倒れたときの反動を利用して前に出ることで新妻の背後に回ったのか、そう
いうことなのだろうが正解だとしても意味は無い。
「俺が地を這うとはな」
 また一つ、小さな笑い声がした。すぐには殺されないようだ、今までもそうだったの
かもしれない。死への覚悟を作る時間を与えられたのだろうが、宙ぶらりんな新妻には
もう必要ないものだった。コントを受け取ってもらえたことがせめてもの救いだ、目を
瞑って時を待つ。
「決死の離反を評して選択肢をやろう」
 背中に銃を当てられたまま、命を握られた状態で続けられるのは残酷な仕打ち。
「今の神を殺すか、ここで死ぬか」
 小林と新妻の命を天秤にかけろということか。息を飲んだ新妻は憚らずに頭を振る。
残念だが、コントの分だけ向こうが重い。
 死を予定されたせいか恐怖は無かった。逆に、どうせ死ぬのだからという開き直りで
力が増す。ここ数分でいくつもの疑問が生まれたのだ、命が無くなるまで尋ねつづけて
やる。半ば自棄になって堂々とする。
「ねえあっちゃん」
 あえていつも通りの呼び方に戻した。中田は特に動揺せず無反応である。

776 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:24:06
「どうして神様になりたいの?」
 続けたら、背中に金属が食い込んだ。さすがに息を飲んだ新妻は硬く目を瞑って、い
つ来るか分からない衝撃に耐える準備をした。だが数秒しても起こらない。
「今を作り出したのが神なら、新しい神になって違う世界を作ればいい」
 返事には辛辣を込めた嘆きが混ざっている気がした。
「人でも分かる理屈だろう」
 ここまで答えを貰っただけでも十分過ぎる。新妻はそれでもより多くの答えを求める。
どこまで聞いていいか分からなかったが、どうしても聞かなければならないことがあった。
「じゃあ、勝っちゃんはそれに逆らったの?」
 時間が止まった。後ろで笑いを堪えているのが分かった。やがてそれは確かな笑い声
になり、いつかと同じように森を満たしていく。デジャヴが無いのは笑い声がおかしい
からだった。逆の感情が含まれている。
「それこそ最初の被害者だ」
 笑い声が憎しみに変わる。
「今がどれだけ腐っているか知った」
 中田が今のようになった理由があったのだ。それに勝又が関わっていてもなんら不思
議では無い。考えた新妻は残り数分の命を信じて息を吸った。頭に浮かぶ結論があった。
だから冷静な素振りで挑発する。
「それを教えてくれたほうが選びやすいんだけど」
 先程の選択肢を絡めて発言する。そうすれば、後ろからまた笑い声がする。そう、ま
ず、このように会話出来ている時点で違和感があるのだ。さっさと殺さない理由は中田
が新妻を気に入っているのか、それとも。
「単純なことだ」
 過去の話が始まる。




777 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/12(日) 20:24:48
【ラーメンズ小林が新妻のコント(未完成)を手にしました】
【トップリード 新妻悠太】
所持品:朴刀・ルービックキューブ2個
状態:良好
第一行動方針:話を聞く
基本行動方針:―
最終行動方針:―
【オリエンタルラジオ 中田敦彦】
所持品:ウォーハンマー、ラドムVIS-wz1935(10/11)(自動拳銃)、ルービックキューブ
状態:良好
第一行動方針:新妻を裁いた後に現在の神(=ラーメンズ小林)を殺す
基本行動方針:相手により変化。必要ならば裁く
最終行動方針:世界を手に入れて作り直す
【現在位置:F5・森】
【8/16 4:38】
【投下番号:147】

以上です、前回感想くださった方、有り難うございました

778 :名無し草:2006/11/12(日) 20:27:49
住人減ってもいいから独立したいノシ

779 :名無し草:2006/11/12(日) 20:39:00
減るのは嫌だ

780 :名無し草:2006/11/12(日) 20:49:57
乙です!
過去の話がすごく気になります。

781 :名無し草:2006/11/12(日) 20:52:51
独立反対

782 :名無し草:2006/11/12(日) 20:55:30
乙!
中田編ktkr!

783 :名無し草:2006/11/12(日) 20:58:16
乙、独立反対

784 :名無し草:2006/11/12(日) 21:03:34
新妻編は毎回wktk

785 :名無し草:2006/11/12(日) 21:11:48
新妻編は毎回wktk、独立は反対

786 :名無し草:2006/11/12(日) 21:39:00
つか独立なんてしないでしょ

787 :名無し草:2006/11/12(日) 23:31:17
独立って何の話?

788 :名無し草:2006/11/13(月) 00:28:19
中田編乙です!
頑張れ新妻…!
小林がこの後どうするのかも気になる。

789 :名無し草:2006/11/13(月) 00:34:01
独立話kwsk

790 :名無し草:2006/11/13(月) 01:32:19
独立なんかしないでしょ

791 :名無し草:2006/11/13(月) 06:46:57
独立とかイラネ

792 :名無し草:2006/11/13(月) 08:25:12
独立って何の話?

793 :名無し草:2006/11/13(月) 09:58:02
中田編乙ですー
続き楽しみだ。

794 :名無し草:2006/11/13(月) 10:10:37
何で独立するの?

795 :名無し草:2006/11/13(月) 11:26:04
シラネ

796 :名無し草:2006/11/13(月) 12:57:19
村田渚。・゚・(ノД`)・゚・。

797 :名無し草:2006/11/13(月) 13:09:21
マジかよ_| ̄|○

798 :名無し草:2006/11/13(月) 13:35:22
どーしたの?

799 :名無し草:2006/11/13(月) 14:44:51
村田の事ここで見て、調べて今知った。

ショックだ…

スレチですまん

800 :名無し草:2006/11/13(月) 16:07:17
書き手さん乙。
なんていうか…すごい。ふるえる。

村田のこと、自分もここみて調べたorz
まじかよ…

801 :名無し草:2006/11/13(月) 16:38:33
ご冥福をお祈りしよう…

802 :名無し草:2006/11/13(月) 21:49:22
信じられない…

803 :名無し草:2006/11/14(火) 06:45:25
ちょ、村田…くも膜下出血かよ…

804 :名無し草:2006/11/14(火) 12:08:04
もうこのスレも終わりだな

805 :名無し草:2006/11/14(火) 14:45:44
>>804
はいはいワロスワロス

806 :名無し草:2006/11/14(火) 15:06:07
人が死んだのに、まだこのスレ続けるなんて頭おかしいよ。

807 :名無し草:2006/11/14(火) 16:33:54
人が死んだのに、まだこのスレ続けるなんて頭おかしいよ。
人が死んだのに、まだこのスレ続けるなんて頭おかしいよ。
人が死んだのに、まだこのスレ続けるなんて頭おかしいよ。
人が死んだのに、まだこのスレ続けるなんて頭おかしいよ。
人が死んだのに、まだこのスレ続けるなんて頭おかしいよ。

808 :名無し草:2006/11/14(火) 16:37:39
このスレのせいで人が死んだわけじゃない
現実と想像の区別もつかないやつは巣に帰った方がいい

809 :名無し草:2006/11/14(火) 16:43:01
そうですね。もうこんな異常なスレには来ません。さようなら。

810 :名無し草:2006/11/14(火) 17:23:01
自分も某書き手だけど去りますノシ

811 :名無し草:2006/11/14(火) 17:58:18
>>810
去るのは自由だが、したらばに投下権放棄の報告してからにしろよ

812 :名無し草:2006/11/14(火) 18:08:39
うるせー

813 :名無し草:2006/11/14(火) 18:24:21
マジでまだ続ける気?
いくら架空の話でも、実際に存在してる人の殺し合いの話は、やっぱりマズいと思うんだけど

814 :名無し草:2006/11/14(火) 18:27:11
一人粘着

815 :名無し草:2006/11/14(火) 18:29:26
餅=兄でFA?

816 :名無し草:2006/11/14(火) 18:30:28
>>813
何を今更

817 :名無し草:2006/11/14(火) 18:52:56
813 名前:名無し草 メェル:sage 投稿日:2006/11/14(火) 18:24:21
マジでまだ続ける気?
いくら架空の話でも、実際に存在してる人の殺し合いの話は、やっぱりマズいと思うんだけど


818 :名無し草:2006/11/14(火) 18:57:33
何とも残酷なスレですね^^

819 :名無し草:2006/11/14(火) 19:00:15
>>817って何から見てるの?携帯?

820 :名無し草:2006/11/14(火) 20:51:41
村田渚、何かしたの?

821 :名無し草:2006/11/14(火) 21:50:24
ググれ

822 :名無し草:2006/11/14(火) 21:51:10
亡くなったよ

823 :名無し草:2006/11/14(火) 22:08:52
マジ?ガセじゃなくて?

824 :名無し草:2006/11/14(火) 22:13:36
他でやれ

825 :名無し草:2006/11/14(火) 22:28:59
え?マジなの?

826 :名無し草:2006/11/15(水) 00:23:21
したらばでやれや

ネタスレなんだから別に続けて良いと思うが

827 :名無し草:2006/11/15(水) 00:45:30
村田が亡くなったのは大変悲しいことだが、
そのこととこのスレの存続云々は関係ないだろ。
何かあるとすぐ騒ぎ立てる嵐に踊らされないように。

今まで通りいこうや。

828 :名無し草:2006/11/15(水) 08:09:48
自分も去ります、さよなら

829 :名無し草:2006/11/15(水) 11:28:40
去りたい奴は勝手に去ればいぃじゃん
いちいち報告すんな

830 :名無し草:2006/11/15(水) 11:46:04
去る云々言ってる奴は新手の嵐みたいなもんだろ。
スルーしとけ。

831 :名無し草:2006/11/15(水) 12:08:37
いや、自分は嵐とかじゃなくてマジで去るよ。
このスレ、某芸人も見てるみたいだし。

832 :名無し草:2006/11/15(水) 12:54:17
はいはい

833 :名無し草:2006/11/15(水) 13:20:21
また構って厨がわいた

834 :名無し草:2006/11/15(水) 14:23:47
はいはい

835 :名無し草:2006/11/15(水) 15:05:14
暇人、乙

836 :名無し草:2006/11/15(水) 16:22:37
某芸人が、このスレ見てるってのはガチだよ

837 :名無し草:2006/11/15(水) 16:50:43
本当だったとしたらそれこそ暇人乙

838 :名無し草:2006/11/15(水) 17:58:10
意味ワカンネ

839 :名無し草:2006/11/15(水) 18:15:38
毎日保守とはありがたいことだ

840 :名無し草:2006/11/15(水) 18:27:33
お前もな

841 :名無し草:2006/11/15(水) 19:12:54
ちょw 陣内w

842 :名無し草:2006/11/15(水) 20:27:33
陣内が、どーした?kwsk

843 :名無し草:2006/11/15(水) 20:33:41
ググれば一発

844 :名無し草:2006/11/15(水) 20:53:53
ちょwwwwwww何で陣内wwwwwwwwww

845 :名無し草:2006/11/15(水) 23:55:29
何が?

846 :名無し草:2006/11/16(木) 02:08:51
あげておく

847 :名無し草:2006/11/16(木) 11:03:02
陣内ワロスw
おめでとうww


そう言えばまとめwikiどこいった?

848 :名無し草:2006/11/16(木) 12:22:23
陣内氏ねwwwwww

849 :名無し草:2006/11/16(木) 12:36:25
>>847
>>1から行けるけど?

850 :名無し草:2006/11/16(木) 14:30:15
>>849
今確認したらいけた。一時落ちてただけかな?
ありがとう。

851 :名無し草:2006/11/17(金) 13:14:41
このスレ見てる某芸人ってだれ?
ヲタ芸人か?

852 :名無し草:2006/11/17(金) 16:23:43
そんなん居ても居なくても関係ないだろ。

853 :名無し草:2006/11/17(金) 16:33:06
>>851
吉本の芸人だよ

854 :名無し草:2006/11/17(金) 19:05:01
はいはいワロスワロス

855 :名無し草:2006/11/17(金) 19:51:45
誰!?気になる!!

856 :名無し草:2006/11/17(金) 21:29:53
誰かは教えられない

857 :名無し草:2006/11/17(金) 21:42:00
2002Verだって麒麟が見てるって公言したんだから
騒ぐようなことじゃない

858 :名無し草:2006/11/17(金) 22:48:52
つか芸人がスレ見てるって言っても、まだ話書き続ける奴って何?w

859 :名無し草:2006/11/17(金) 23:08:04
割り切ってる人。

860 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/17(金) 23:20:38
>>767-777 続き

 まだ空に月が出ていない時間。差し込んだ細い日光が直線を作る頃。
 彼の目線は嫌に低く固定されていた。仮にその角度から写真撮影を行ったら、軽い若
者が喜ぶような際どいショットしか撮れない位置である。写真家の卵だった彼にとって
は不愉快以外の何物でもないはずだ。けれど、全ての人を見上げなければならない体勢
にも関わらず、動けないということだけで対応が出来なかった。
 部屋でたった一人でいるため様々な音が聞こえてくる。彼自身はもう音を立てること
ですら不可能だった。遠くで作られたちょっとした銃声ですら部屋で反響する。
 彼の名前は勝又伸悟。お笑いコンビ、マチコの一人。男にしては柔らかい髪と、細い
目とひょろ長い体のせいでひ弱な印象が強い。既に命を落としているせいか、もともと
不健康そうな顔は更に青く変色していた。
 ドアの向こう側から音が届く。規則的ではっきりしたリズムから判断すれば、階段を
上がってくる足音であろう。音は少しずつ部屋に近づいていく。
 勝又が生きていたならば真っ先に隠れる場所を探していただろう。何を血迷ったか結
果としてはプログラムに乗ってしまったが、普段は臆病な程に冷静な性格をしていたの
だ。誰か見えない存在に操られていたのかもしれない。絶対に取らない行動をした勝又
の考えはもう分からない。
 ドアが数回叩かれた。このような状況でもノックする程度に律義な来客。もちろん返
事が出来る存在はおらず、黙りこくった空間を答えにした来客は勝手にドアを開く。

861 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/17(金) 23:21:10
 恐る恐るといった形容がよく似合う緩やかさだった。中途半端に開いたドアの向こう
側から覗いているのはオリエンタルラジオの中田である。普段の自信ありげな表情は隠
れているが、直線的な対抗心が目で光っている。
 目の高さから確認しているようだった。だから勝又の死体に気づくまで数秒かかる。
小さなため息をついた中田は、後頭部を撫でる仕草と共に首を傾ける。ようやく勝又と
目が合う。
 眼鏡を外した勝又でも認識出来るぐらいに大きく目を開いていた。ふらついた中田が
ぶつかったせいでドアが閉まり、部屋は密室になる。久しぶりに二人で顔を会わせたわ
けだ。
 先輩後輩の違いはあるが親友同士だった。垣根を越えて仲が良いなら相当だ。勝又は
中田の頭の良さを知っていたし、中田も勝又の冷静さを評価してくれていた。認めてい
た同士が同時に行動出来たら何か違っていたのか。だとすれば生前に会えなかったこと
は悲劇か。逆に、こうやって会えていることですら奇跡なのか。
 勝又はただ、固定された体を横たえる。
「嘘だろ」
 話せる存在が一人しかいない以上、誰の声かは明らかだった。掠れた声色を吐き出し
た中田は数秒だけ固まった後、嫌に冷静な素振りで手にしていたペンキを置く。遅く座
り込んで、勝又の肩を両手で掴んだ。

862 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/17(金) 23:21:42
「勝又さん」
 一回だけ勝又の肩が揺れる。据わっていない首が零れる。
「勝又さん、勝さん」
 間髪入れずに、今度は複数回揺らされた。けれど勝又は返事が出来ず、支えられない
首は後ろに仰け反ってしまった。せめて前に倒れていれば肯定に見えたかもしれないのに。
 急に肩から手が離された。重力に従って、地面に後頭部が叩きつけられてしまった。
硬い床と硬い頭がぶつかって鈍い音を立てる。少し頭蓋骨が歪んだかもしれない。
 呆然とした中田が見下ろしていた。二本の手は力なくぶら下がり、つい先程まで目に
浮かべていた反抗心は消えかかっていた。感情の枯渇が始まりかけているようだ。
 冷静になるために与えられる時間は無い。廊下側から違う足音がしたからだ。響かな
いほどに微弱な音だが中田の耳には届いたようで、小さく体を奮わせてドアの方を向く。
勝又の角度から見えるのは、テレビでの姿からは想像出来ない程に怯えた背中。
 それは責められない行動だった。音が近づくたびに辺りを見渡す中田は、隠れられそ
うな場所を必死に探して、物の影に同化するように膝を抱えた。ウォーハンマーを命の
ように抱えている。
 親友を殺された怒りが危険に対する恐怖心に負けた。一瞬で理解できるほど簡単で、
それだけのことだった。見捨てられた勝又に恨む理由はない。勝又はすでに死んでいた
し、逆の立場だったらまったく同じ行動を取っていたはずだ。

863 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/17(金) 23:22:19
 実在していたか分からない微弱な足音が遠くなる。しかし中田は動こうとしない。音
が聞こえなくなってから数秒間、膝に顔をうずめるようにして隠れ続けていた。やがて
中田の肩が小刻みに揺れる。くぐもった声が零れる。
 笑い声だった。若者らしさが消えた、何かを馬鹿にするような音だ。最初は小さく、
クレシェンドの果てに部屋中を満たす。最大音量に到達した時点で止む。
 ゆっくり顔を上げた中田は無表情だった。先程まで声を上げていた人だとは思えない
くらいに無感情になっていた。瞳を鈍く光らせて、口端だけ吊り上げる。
「仇だったかもしれないのに」
 勝又以外に届かない、微かな独り言。
「本能で、隠れた」
 中田の顔から力が滑り落ちる。それこそ一つも神経が通っていないような無気力な表
情が作られる。うつろになった目を瞑った、短めの睫毛が上下重なる。
 たった数秒だった。目を開いたときには既に、決断した何かしか見えていないような
表情に変わっていた。無感情には程遠い、境界線を越えた笑みを浮かべていた。眉を吊
り上げて、口を開けて、手を左右に開く。
「くだらないよなあ」
 体の奥底から言葉を吐き出して首を振った。返事が出来ない勝又はただ、横たわるし
かなかった。しかし中田はすでに返事を必要としていないかのごとく振る舞って、勝又
の目を覗き込むようにして見下ろしてくる。次いで、青いペンキを手に取る。
 勝又の体が青で彩られていく。青いペンキは夏の陽気で温められていて、冷たくなっ
た勝又の体に少しだけ熱を戻してくれた。何を描いているかは分からない。

864 :名無し草:2006/11/17(金) 23:22:29
プ

865 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/17(金) 23:22:59
「間違ってるよなあ」
 勝又以外に届かない、大きな独り言。
「俺に隠れさせた世界は。おかしいだろう、こんな状況。違う、違うんだ、圧倒的に違う」
 青い絵が完成する。中田の顔から理性が消えていく。歯を見せて企むように笑い、左
手に持っていたウォーハンマーを強く握りしめる。頭を小さく抱えて、誓うように告げる。
「勝さん、新しい世界を作りましょうよ」
 繰り返すが勝又に返事は出来ない。けれど、ただ聞いて欲しいがために話を切らない
中田の特徴を、勝又は良く知っている。だから黙っていても問題は無いのだ。
「まずは今の世界を作った神を殺すんです。そしたら俺はこっち、勝さんはそっちの神
になればいい。分かりやすいように絵も描いときました。俺の分はこっちで、神になっ
たら描きますから」
 中田は誰よりも優しい笑みを浮かべる。
「そしたら、また飲みましょう」
 瞬きをした後、表情に異様な決意が混ざり、笑顔が歪む。
「新しい世界で」
 蟻の巣を壊す子どものような声が揺れる。
 ウォーハンマーを抱えた背中は恐怖を裏返した決意を引きずっていた。そのまま、始
まりとは逆の態度で部屋から消えていく。残された勝又は一方的に交わされた約束を知
ることもなく横たわる。

866 : ◆xCi5vGY7XY :2006/11/17(金) 23:24:06
 部屋に残されたのは勝又と仮定だけだった。勝又に会う前の中田は脱出方法を探して
いたのかもしれない。足音が無ければ、やり場のない感情を持つことも無かったかもし
れない。隠れさえしなければ、前向きな感情を強めるだけで終わっていたかもしれない。
様々な偶然が起こした状況は何を意味するのか。
 少なくとも勝又が動けたならば、壊れゆく中田を止めていただろう。不可能だった。
仮に奇跡が起こって、約束が伝わっていても、今度は守ることが出来ないのだ。
 代わりに願わくば、唯一残った未来への仮定が上手く作用することを。中田の頭にあ
るであろう二つのスイッチの一つは押されてしまった。奇しくも下の名前が同じである、
もう一つのスイッチが決意を止めるスイッチであることを。
 これは死んだ男から見た仮定の話。



【オリエンタルラジオ 中田敦彦】
所持品:ウォーハンマー
状態:良好
第一行動方針:神になる方法を見つける
基本行動方針:相手により変化。必要ならば裁く
最終行動方針:世界を手に入れて作り直す
【現在位置:C4・ホテル(オーシャンビュー)内】
【8/15 16:30頃】
【投下番号:148】

以上です、連投してごめんなさい
前回感想くれた方ありがとうございました

867 :名無し草:2006/11/17(金) 23:25:36
芸人が嫌な思いしてるのに、こんな変な話書き続けてる奴って、一体何がしたいの?

868 :名無し草:2006/11/17(金) 23:27:39
>以上です、連投してごめんなさい
>前回感想くれた方ありがとうございました

この文章が非常にウザい

869 :名無し草:2006/11/17(金) 23:31:16
乙!

870 :名無し草:2006/11/17(金) 23:33:51
乙です!
相変わらず素晴らしい文章をお書きになる

871 :名無し草:2006/11/17(金) 23:45:23
嫌なら見なきゃいぃじゃん

872 :名無し草:2006/11/18(土) 00:01:39
乙です!続きが気になる

873 :名無し草:2006/11/18(土) 00:05:35
乙です!続きが気になる

874 :名無し草:2006/11/18(土) 00:23:57
乙!!!!!!

875 :名無し草:2006/11/18(土) 01:34:20
中田編意外な展開

876 :名無し草:2006/11/18(土) 01:39:57
乙!
勝又を絡めてくれて嬉しい

877 :名無し草:2006/11/18(土) 13:39:28
凄い、やっぱり文章巧いな。壊れた中田の行く末に期待!

878 :名無し草:2006/11/18(土) 16:06:56
中田編乙です!
ゾクゾクするよ〜

879 :名無し草:2006/11/18(土) 17:46:41
乙乙うるせぇな

880 :名無し草:2006/11/18(土) 18:10:01
チャプチャプうるせえな

881 :名無し草:2006/11/18(土) 20:54:28
乙乙うるせぇな

882 :名無し草:2006/11/18(土) 20:55:06
乙!
いずれ藤森と会うことになるんだろうか…

883 :名無し草:2006/11/18(土) 21:31:53
何故?

884 :名無し草:2006/11/18(土) 22:17:58
スマソ。言い方が悪かった。藤森と会ったりしないのかな、って言いたかったんだorz

885 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:22:31
さまぁ〜ず編いきます。


知人を見つけて少しばかり落ち着いた上田は、大竹のいる小さな洞窟の入口に近づいていく。
先ほど腰のナイフにやった手は、すでに引っ込めている。もとより、これを使うことは戸惑われた。
とっさのことで思わず手を柄にかけたものの、とてもそれを引き抜く気にはなれなかったのだ。
とはいえ、上田の警戒心が完全に緩んだわけではなかった。彼の足はひどく慎重に動いている。
本当は大竹に、攻撃を仕掛ける気などあるはずもない。疑心暗鬼になっている上田は気づかないが。
襲うつもりなら線香花火など持つ必要も、声をかける必要もない。ただ、闇にまぎれて討てばいい。
普段の上田ならすぐにその程度の判断はできたろうが、今の彼にとってそれは容易でなかった。

「…別に何もしねぇよ」

苦笑を浮かべて大竹はぼそっと呟く。警戒しすぎている上田の姿に少し呆れていたのかもしれない。
上田は大竹のその台詞に幾らか安堵した。踏み込んだ一歩で、彼と大竹との距離が1m前後に縮む。
そのとき、暗闇の中でヂヂ、と音を発していた線香花火の名残の火球が、ぽとりと落ちた。
静かに光を失っていくその橙の小さな丸い粒に、上田はほんのわずかな時間、眼を奪われる。
そして再び顔を上げたとき、世界は一瞬以前よりも深い闇に沈んでしまったように思えた。
だが、少しすると大竹の顔を夜目に確認できるようになり、上田はゆっくりと口を開く。

「…こんなとこで何してるんです、大竹さん」
「まあ、アレだ、寝ずの番的なね」

いつも通りの大竹の口調に、上田は幾らか警戒を解いて息をついた。
この距離まで来て何もしてこないなら、この人に攻撃の意志はないだろう。そう考えてさらに距離を詰める。
大竹のすぐ前で立ち止まり、自分のライターに火をつけると、やっと彼は突っ込むべきところに突っ込んだ。

886 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:24:32

「…アンタ何で線香花火なんか持ってんだ」
「コレ武器だから」
「線香花火が?!」
「んー、花火セットみてぇな感じ?」
「…どう考えても武器にならないですね」
「なんねえよ、武器とかどーでもいいけどね」

大竹の物言いに今度は自分が苦笑しつつ、上田は洞窟の入口の大きな岩の陰に並んで腰かける。
後ろをふりむけば、二人の男が眠っていた。片方は三村で、おそらくもう片方はバナナマンの設楽だ。
多分この二人はゲームに乗らない。完全に勘に頼った判断ではあったが、上田はそう感じた。
ゲームに乗る気満々の人間がこんな平和な寝顔を晒して丸くなれるとはとても思えない。
上田はこの状況で熟睡できる三村と設楽に尊敬の念すら抱いていた。ある意味、彼らは神経が太い。
そしてこんな二人と行動する大竹も、きっとゲームに乗る気などないだろう。
この眼鏡の男は、その気になれば殺せる二人に手を出さず、当然のように一緒にいるのだから。
上田が洞窟の中の三人のことをそんなふうにぼんやりと考えていたとき、大竹が彼の名前を呼んだ。

「上田」
「はい?」
「…お前、乗らないだろ」
「…乗らないですよ」
「そうか」
「大竹さんたちもでしょう」
「当然」

思った通り、この3人はこのゲームに乗らない。少しでも近しい道を歩む人間がいることに安堵する。
逆巻く感情の波の中にあった上田の精神は、わずかながら安定を取り戻しはじめていた。

887 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:26:29

「三村さんと合流できたんですね」
「おう、んであいつが設楽つれてきた」
「ああ、それで」

大竹たちと設楽は同じ事務所で、仲も悪くない。互いに敵意がなければともに行動するのも頷ける。
洞窟内のメンバー構成をそんな風にとらえた上田の耳に、大竹の思いもよらぬ台詞が飛び込んできた。

「お前は淳たちと合流したと思ってた」
「なんでそれを…?!」
「教室でメモ貰ったの見たからな、スピーカーのとこで待ち合わせてただろ」
「…はい」

時間にすればほんの数十秒のことだったあの一連の動きに、目の前のこの男は感づいていたのか。
あんな酷い状況の教室で、自分たちをそこまでしっかり見ていた人物がいたことに驚く。
実際にはそれは些細な偶然の産物にすぎない。だがその偶然こそが、今二人を引き合わせている。

「俺も三村とあそこで待ち合わせてた、お前とも連絡とりたかったし」
「え」
「学校出たあと結構急いで…お前に追いついたつもりだったんだけど、どっかに隠れてたか?」
「ああ、淳たちが来そうな時間まではちょっと」
「じゃあ来たの四時すぎくらいじゃねえ?」
「大体そのくらいです」
「あー、やっぱりそうか」

そう言って大竹はぐしゃりと前髪をかきあげた。上田はふと思い至る。あの森での炸裂音はもしや。

888 :名無し草:2006/11/18(土) 22:28:49
うわ、つまんね

889 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:32:41

「…大竹さん、もしかしてそのくらいの時間に誰かと揉めました?」
「揉めてはねぇけど、川島…劇団ひとりな、あいつが森三中の大島に追っかけられてたんで助けた」
「そのとき、何かが破裂するとか、銃みたいに結構バンバン音のするもの使いませんでしたか?」
「破裂する音? ああ、ひょっとしてアレか、爆竹か?」
「爆竹! そうか、あれ爆竹の音だったのか…」
「何だ、音聞こえてたのか」
「森の方からの誰かの叫び声と炸裂音は聞いたんですよ、こっちもとりこんでたんで確認できなかったけど」
「あ、じゃあもしかしてアレお前らか? 途中で銃声聞いたぞ俺」
「そうです、ちょっと一悶着あったもんで」
「けどアレだな、今一人ってことは結局会えなかったのか? 淳は亮と番号近いし、有田とお前も近いのに」
「…三人とも会いましたよ、ただ…、はぐれたんです」

口にすれば、また重苦しい痛みが彼の胸を襲う。唇を噛み俯く上田に、大竹はそれ以上何も聞かなかった。
上田のスーツに散った赤黒い染みの理由も、首元に残る赤い手の痕の理由も。
本当は上田の腰にあるナイフにも気づいていたが、それについても大竹は問わない。
武器とおぼしきケースを手にしながら、ナイフも持っている、その事実を問いつめようとはしない。
こうして隣に座った以上、そのうち聞かれても仕方ないと上田が思っていた全ての問いを、大竹は避けた。
それは優しさだったのかもしれないし、もしかすると知ることが恐ろしかったのかもしれない。
何かよからぬ出来事が彼の身に起こったと察し、すぐに話題を変えた大竹の聡さに、上田は感謝した。

890 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:34:15

「…お前、これからどうすんの」
「南西の、海岸の方に行くつもりです」
「そうか」
「大竹さんは?」
「こいつらと日村捜すわ」
「そっか、設楽がいるから」
「ん」
「日村見つけたら、その後は?」
「決めてねぇ、けど、俺はこのゲームがっつーか、ゲームのオチが嫌だ」
「…そう、ですか」

言いながら、上田はデイパックの中の地図をとり出して、裏に鉛筆で文字を書く。
 『もう少しあたりさわりない会話しながら、俺がここに書くことを読んで下さい。』
その文面を読んだ大竹は、上田の顔をまじまじと見る。大竹と目をあわせたまま、上田は小さく頷いた。

大竹の指先が、燃え尽きた線香花火の色鮮やかな紙縒りの柄に伸ばされる。
それをつまみあげてねじりながら紡ぐしばしの沈黙。そして逡巡。
上田の指示通り、大竹は懸命に“あたりさわりのない話題”を探す。
何が“あたりさわりのある話題”なのかも不明な状況で、大竹はまず目につくものを会話の糸口にした。

「そういやお前、そのケースなんなの?」
「…銃ですよ」
 『この首輪には盗聴器がついてます。』

891 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:36:13

大竹の問いに答えながら、上田は思う。この中に入っている武器を持っていたあの男のことを。
それはそのまま彼の犯した罪と重なり、彼の胸を酷くしめつける。
だが、上田は大竹に、自分がこのケースとその中身を手に入れた経緯を語ろうとは思わない。
告解には神が必要だ。自らの懺悔のために大竹をそんな、名ばかりが尊いものにする気は毛頭ない。
上田が口を噤んだおかげで大竹は神とやらになり損ねたのだが、本人は知る由もなかった。
神でもなければ聖徳太子でもない眼鏡の男は、目と耳から同時に与えられる情報を咀嚼するのに必死だ。

「…何だ、お前のはちゃんと武器じゃねぇか」
「そりゃ、花火に比べりゃ何だってそうでしょ」
 『発信器もついてて、軍の連中には俺たちの位置がわかります。』
「まぁ、そりゃそうだけど、な」
「大体さっきだって、何でわざわざ線香花火なんですか、明かりならそのライターでいいのに」
 『相談とかするときは気をつけて下さい、あと建物の中にはカメラもたまにあるみたいです。』

少し言葉に詰まった大竹をフォローするように、今度は上田が質問をする。
大竹はどうにか平静を装って、たわいのない会話を続けた。

「…そりゃアレだ…、ライター切れたらめんどくせぇだろ」
「線香花火は切れてもいいんですか」
 『首輪を壊そうとすると起爆装置が働いてお陀仏です、山田みたいに。』
「どうせ使えねぇから」
「まあ、そりゃそうですけどね」
 『このゲームを壊すつもりなら、知っておいて損はないはずです。俺らもそのつもりですけどね』
「線香花火なんて、花火以外の使い方思いつかねぇよ」
「確かに」
 『俺は南西の海岸近くの配電所を目指します。はぐれた仲間も多分そこを目指すはずです。』

892 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:37:22
どうにか筆談と口頭の会話を同時にこなした大竹は、上田が書いた文面をじっと見つめる。
それから下に、上田から受けとった鉛筆で『ありがとな』と一言だけ書き記した。
その感謝の言葉に少し笑い、上田は再び立ち上がる。配電所はまだまだ遠いのだ。

「もう行くのか」
「はい」
「やっぱりアレか、無理か、一緒にってのは」
「残念ですけどね、行く場所があるんで」
「そうか、お前も苦労すんな」
「大竹さんも、でしょう」

このゲームのオチが気に入らないという大竹は、きっとゲームに乗る人間よりも苦労する。
狂気に身を任せるよりも、怯えて逃げ回るよりも、多分一番苦労することになるだろう。
面倒ごとが嫌いなはずの大竹が選ぶ道はおそらく、一番面倒な道だ。
本人もそれをわかっているのだろう、苦笑いを浮かべながら右手を差し出した。

「ま、餞別だ…コレやるよ」
「はは…、貰っときます」

大竹から貰った線香花火をスーツのポケットに突っ込もうとしてふと気づき、彼はまた口を開く。

「大竹さん、数悪いじゃないですか、四本て」
「アレだ、有田と淳たちとでやれば丁度いいだろ」
「ああ…、ありがとう、ございます」

さりげないその台詞に、上田はがらにもなく目頭が熱くなる。もう一度、皆に会えるだろうか。
いや、きっと会えるはずだ。そう、きっと。上田は再び、頭の中でそうくり返す。
今度は縋るようにそれを信じるのではなく、前に進むための希望として。
ポケットの中で線香花火を握りしめて、彼は歩き出す。暗く静まった地面を、しっかりと踏みしめながら。

893 :114 ◆4kk7S4ZGb. :2006/11/18(土) 22:39:12
【さまぁ〜ず 大竹一樹】
所持品:特選花火セット大(&輪ゴム)、ライターと伊達眼鏡(私物)
第一行動方針:とにかく寝ない
第二行動方針:日村を捜す
基本行動方針:できるだけ生存
最終行動方針:プログラムの変更、離脱
現在位置:山の尾根にある小さな洞窟(H4)
【くりぃむしちゅー 上田晋也】
所持品:サバイバルナイフ・ソ連製AKM(07/30)・予備弾丸30×2、線香花火(4)、ライター(私物)
第一行動方針:島からの脱出
基本行動方針:配電所にむかう
最終行動方針:ゲームの破壊
現在位置:山の尾根(H4)
【8/16 03:19】
【投下番号:149】

894 :名無し草:2006/11/18(土) 22:43:56
乙です。
今後も楽しみにしています。

895 :名無し草:2006/11/18(土) 22:47:14
乙です。二組のこれからも期待してます。
どちらにも脱出してほしいと思うけど…切ないな。

896 :名無し草:2006/11/18(土) 22:52:38
てか早く完結してほしい
いい加減飽きた

897 :名無し草:2006/11/19(日) 00:22:02
乙!筆談の緊張感がいいなあ。

898 :名無し草:2006/11/19(日) 04:39:07
水平チョップ!水平チョップ!

899 :名無し草:2006/11/19(日) 11:45:29
チョップチョップうるせえな

900 :名無し草:2006/11/19(日) 15:20:24
乙です。
盗聴器の事を知った大竹が、これからどういう行動に出るのか楽しみです。

901 :名無し草:2006/11/19(日) 18:15:38
は?

902 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:01:17
>>597-601の続き。麒麟編です。

聞こえるのは、電子音と寝息だけだった。
夜9時を回れば、夏場といっても流石に暗い。
月明かりが差し込んではいるが、簡易レーダー画面の光の方が幾分明るい。

田村は寝貯めしとくから!と言って、もう2時間近く寝ている。
「田村さん、よう寝れますね・・・」
ノブは少し呆れた様に言いつつ、この家の子供の持ち物であったろう玩具を弄っていた。
「いつもの事やけど、この状況ではな。」
手入れの行き届いたホテルですら中々寝れない川島にとっては、田村の性分は羨ましくもあった。
まあ、2人とも寝こけてるようなコンビは生存率が低そうだなとも思うが。

「みんな大丈夫ですかねぇ・・・?」
玩具の関節部を弄りながら、ノブが尋ねた。
「・・・・・・・・・見たら?」
川島はレーダーをノブの方へ差し出すが、ノブは首を横に振った。
「相方でも、先輩でも後輩でも、いや誰でも・・・・・」


「  死んだっていわれたら、僕どうなるかわかりませんから。 」


903 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:02:02
そう、と言ってレーダーは下げられ川島は再びレーダーを見た。
本当は川島もノブと同意見であり、出来れば見たくはなかったのだが、
仲間を探す為には、これがどうしても必要なのだ。
レーダーを見ながら、どういう人間なら仲間にできるのかをずっと考えていた。
仲間にしやすそうな人間の条件は幾つか出て来た。
なるべく少人数。出来れば1人。
知り合いの芸人であれば尚良し。
夜とはいえまだ9時台。うろうろしていれば不味い。
近くにいる人間なら都合がいい。
思考を張り巡らせている間、レーダーの画面は目まぐるしく変わる。
現在川島達のいる場所がズームされ、周辺地図がスライドされる。
画面が突然止まった。

「・・・・・・・町田?」
この家の2軒北に、その芸人はいるのだと表示されている。

「町田さんいてはるんですか!?」
ノブは川島の声をしっかり聞き取っていた。
「うん・・・・多分この2軒先。」
画面をもう一度確認する。間違いはない。
ノブは喜びに一瞬顔が綻ぶが、すぐに表情が曇った。
「行かはる、んですよね・・・・?」
昼間の向との事を思い出したのだろう、同じbaseの人間だからとて信用出来ない事を
自分は身をもって知っているのだから。
その時のノブの表情は、迷子の子供のような酷く頼りないものだった。
その顔を見た時、川島はまたあの不快な笑い声が聞こえたような気がした。

「「 くすくす 」」「「 くすくす  」」「「 くすくす  」」


904 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:02:42
その声を遮る様に、川島はノブを諭した。
「怖いんやったらお前は1番後ろにいたらええ。って、言わんでも田村は先頭に立ちよるやろけどな。
 ・・・・・町田もそんなんせえへんよ。大丈夫や。」
「川島さん、すいません・・・・。」
謝りながら、ノブは泣きそうな顔になった。
今度は笑い声がはっきりと聞こえた。その後の言葉も。

「「 今、西田さん死んだって言うたら、こいつどんな顔すんのやろ? 」」

川島の目が見開き驚愕の表情を作ったが、ノブは気付かなかった。
川島は、西田の死を知っていた。殺した人間が相方の哲夫である事も。
この事は川島しか知らない。田村とノブに知らせる気もなかった。
知ってしまえば、きっと何かが壊れる。


田村を起こし、事情を説明した。
「町田が・・・・・・」
「この近くに、1人でおるみたい。」
「ホンマに?じゃあ、はよ行こうや!」
「でも、和田さんの事もあるし・・・・」
ノブがそう言うと、田村の表情が曇った。
夜6時の放送で和田は死亡したと告げられている。
このプログラム中で心の拠り所を無くした人間は、何をしてもおかしくないという事位は
楽天家の田村でも考えられる。だが、
「相方がおらんからこそ、俺等が行ってやらなあかんやろ!」
そうキッパリ言って、田村はさっきまで枕にしていたデイパックを担いだ。
自分の不安を一蹴した田村を見て、ノブは少し安堵した。
そして川島はノブ以上に安堵感に包まれていた。
こいつなら信じても大丈夫、裏切ったりなんてしない。そう思った。
「・・・・・・川島、なにずっとこっち見とんの?きっしょ。」
「・・・・・・・・・・・・・」


905 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:03:21
レーダーが示す場所は、簡素な一軒家だった。
ドアもベニヤ板より少し丈夫な位のもので、雨が染み込んだのか端が腐ってきている。
「ここに町田さんが?」
「うん、これが間違ってなければいる筈や。」
「田村、慎重に・・・・・」
慎重に行動しろと言おうとしたが、田村はもう家のチャイムを押していた。
「田村さん!」
ツッコミの性か、即座にノブが叫んだ。
びーーーーーーーっという旧式チャイムの音が響き渡る。
「町田ぁ、いるか?田村やけど。」
家の中から返事はない。構わず続ける。
「川島とノブも一緒におる。仲間になって欲しいんやわ。」
返事はない。
「・・・・・・和田の事は放送で聞いた。辛いと思うけど、だからこそ一緒にいてほしい。」
返事は・・・・・・・ない。

レーダーを見る。自分と田村とノブの番号があり、その隣に町田の番号がある。
正常に作動していれば、間違いなく町田はここにいる筈だ。
だが、町田がいる筈のこの家からは何の音もしない。
沈黙に耐えかねた田村は川島を見て言った。
「川島、銃貸して。」
「はぁ!?」
相方の川島も予想外の行動である。
「いいから!」
川島の返事を待たず、田村は川島の銃を剥ぎ取る。
田村は間髪いれず、剥ぎ取った銃を窓ガラスに投げつけた。
勢い良く窓ガラスが割れ、銃は遠くの床に転がったようだ。
「田村さん何するんすか!!?」
ノブはそう言ったが、田村は動じなかった。
川島はただ絶句している。


906 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:04:12
「町田!それが俺等の唯一の武器や。今何言うたかて、信じられへんのはわかる。
 ドア開けたら、蜂の巣にされるかもしれへんとか思てるかもしれへん。
 今武器投げたんは、それ使うつもりがないからそうした。
 俺アホやから、もうこれしか思いつかへんかってん。
 お前殺すつもりないいうこと、どうしても信じてほしい。」
返事は・・・・・しばらくすると、割れた窓ガラスの中から銃が投げ返ってきた。
「うわ!?」
思わずノブが叫ぶ。
川島が拾い上げたが、銃弾が抜かれた様子はない。
不思議に思っていると、ドアは軋むような音を立てて開いた。

「家の前で叫ぶわ、窓ガラスは割るわ・・・迷惑集団やな。」
ヘッドライト町田は、そう言いつつも口元が緩んでいた。
手に武器は確認出来ない。

「町田・・・・・・・・・」
「唯一持ってる武器投げつけてくるやなんて、お前やっぱアホやな。川島も大変や。」
呆けた顔の田村を、町田は小馬鹿にした。
「まあいつもの事やしな。」
川島は驚くほど自然に同調した。
「お前まで馬鹿にすんなや・・・・」
田村が思わずぼやく。ノブは慰めるように肩を叩いた。
「・・・・・でも、ありがとう。
 俺はお前らを信じるよ。危険冒してまでしてくれたんやもんな。
 疑って悪かった。」
町田は照れくさそうにそう言った。


907 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:05:46
3人は町田のいる家の和室で、輪になって座った。
そして、お互いの所持品を見せ合った。
「田村がレーダーで、さっきの銃が川島のか。お前らコンビで当たりひいたなぁ。」
「最初の方で、煙幕とか鉄パイプも拾ってきた。」
「で、ノブの支給品が・・・・・」
「あ、ハエ。」

   プシュウゥーー。

ハエは微かな羽音を立てて畳に落ちた。
「殺虫剤、と。」
「・・・・やっぱり、1番はずれ引いたん俺ちゃう?」
町田は3人の支給品と自分の右手にある物を比べて溜め息をついた。
「これやもんな・・・・」
「これですもんねぇ。」


 ” サザエさんの1,7,24,38,45巻。 ”

全員が口を揃えた。
「何でサザエさんやねん・・・・」
「しかも飛び飛びやし。別にバラバラに読んでええ漫画やけどさ。」
「まぁ時間潰しにはなるんちゃいます?」
ノブがフォローするが、町田はガックリと肩を落としたままである。
その後、4人は当座の事を相談しあった。
とりあえず朝まで、2人が見張り、2人が寝る交代制をとる事にした。


908 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:06:23
最初は田村とノブが見張りで、川島と町田は休みだった。
レーダーは川島の右手に握られたままである。
「レーダー、いらないんですか?」
ノブが田村に尋ねた。
「んー、あと30分位したら見るわ。・・・ノブは見んでええの?」
「僕は・・・・いいです。あんまり見たくないんで。」
そう言ってノブは視線を落とした。
「こわいか?」
今度は田村がノブに尋ねた。
「・・・・ええ、1人になったらおかしなるかもしれないですね。」
「大丈夫・・・・1人になんてさせへんよ。」
「・・・・・・田村さん、ありがとうござ・・・・」

スピーカーからけたたましいクラシックが鳴る。
時計を見たら、ちょうど0時だった。
たけしはお決まりの台詞を言った後、死亡者の発表に移ろうとしていた。
「田村さん、僕耳塞いどってもいいですか?」
「俺はかまへんけど、お前はそれでええの?」
「はい、お願いします。・・・・・聞きたくないんです。」
背中しか見えないが、肩が震えているのがわかった。
「・・・・・・・・・・・わかった。」
田村はノブから視線を外して、紙とペンをバッグから取り出した。


町田はその2人のやり取りを、寝たふりをして聞いていた。



909 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/20(月) 00:07:02
【麒麟・千鳥ノブ、ヘッドライト町田  合流 】
【麒麟 川島 明
所持品:ライター 煙草(開封済) 眼鏡 ベレッタM92F 予備マガジン×1
基本行動方針:首輪の外し方を探す。攻撃してくる相手には反撃する
第一行動方針:相方を守る
第二行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームの中止】
【麒麟 田村 裕
所持品:ライター 煙草 簡易レーダー 鉄パイプ 煙幕×5 爪切り
基本行動方針:首輪の外し方を探す。攻撃してくる相手には反撃する
第一行動方針:相方を守る
第二行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームの中止】
【千鳥 ノブ(左腕に切り傷<軽症>)
所持品:殺虫剤
基本行動方針:不明
第一行動方針:
第二行動方針:
最終行動方針:不明】
【ヘッドライト 町田
所持品:サザエさん 1,7,24,38,45巻
基本行動方針:不明
第一行動方針:
第二行動方針:
最終行動方針:不明】


【現在位置:E-6 元町の民家内】
【8/16 00:01】
【投下番号:150】


910 :名無し草:2006/11/20(月) 01:14:33

やはり川島の描写が格段に良くなったように感じます。
続きも楽しみにしています。

911 :名無し草:2006/11/20(月) 08:11:37
サザエさんワロスwww

912 :名無し草:2006/11/20(月) 12:31:19
きめぇwwwwwwwwwwwww

913 :名無し草:2006/11/20(月) 19:45:10
待ってました麒麟編!
田村がらしくていいなぁ。
続き楽しみにしてます!


914 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:14:59
麒麟編連投。詰め込みすぎて長くなってしまいました・・・・


交代時間の3時。川島と町田が起こされ、田村とノブが休む番。
事前に3時間以上寝ていた筈の田村はすぐに鼾をかいた。
ノブも最初の15分はもぞもぞしていたが、田村の寝顔と向き合っている
安心感か、しばらくすると眠ったようだった。

「ソラシド、合流したんやな。」
町田はある同期の芸人の名前を呟いた。
「うん・・・・、石田も一緒みたいや。」
「そっか、3人いるんやったら安心かな。
 特に本坊は何するかわからへんし・・・・」
川島はその芸人の名を聞いて、目をしばたたいた。
人見知りの激しい彼が、この世界で親友と呼んでいる数少ない人間なのである。
「本坊は・・・・水口がいるから平気やろ。石田も意外としっかりしてるし。」
そう言いながら、川島は親友との思い出を追っていた。
勝手に合鍵を作られて怒った事、ラジオで手紙を送った事、
まだ売れない時、2人で頭を下げてコンビニに賞味期限切れの弁当を貰いに行った事、
思う事は、懐かしさ、楽しさ、切なさ・・・・・・・・恐怖。
・・・・・・恐怖?・・・・・・・何故?

「会いたいんちゃうの?仲良かったもんな。」
町田のその質問は、”思い出を追っている”川島には届いていなかった、だが。

『  会いたくない 。 』

舞台にいる時のような明瞭な発音だった。

915 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:16:48
予想外の川島の答えに町田は戸惑った。
「え?会いたないって・・・・何で?」
『  怖いから 。 』
川島の顔を見る。無表情で人形のようだ。
「怖いて・・・・そりゃあいつ何考えてんのかわからんけど、基本ええ奴やん?」
『  そんなんと違う !!  』
川島は突然感情を突出させた。
両手で力いっぱい耳を塞いで、唇をワナワナと震わせている。
町田はその急激な感情の変化をただ黙って見ている事しか出来なかった。


『  あいつはいっつも人の中に土足で入って来よる
   そのくせ何考えてんのか全っ然わからへん
   常識が全然通用せえへん!
   そうやっていつもいつも人の頭ん中土足で踏み荒らしよる!!
   だから俺は怒ってんのにあいつ俺の言うてる事わかりよらへん!
   何も通じひん、得体の知れへんのが自分の中に入ってくるのなんか
   怖いに決まってるやん!?普通やったらそれでもええよ?
   でもこの状況わかってるやろ!!?今俺ん中ぐちゃぐちゃにされたら
   俺どないしたらええの!?
   壊されるの嫌や、だから会いたくない会いたくない会いたくない!!!!! 』


言いながら顔は立てた膝と長い前髪に埋もれて見えなくなった。
お互いに沈黙する。川島がこれだけ大声を張り上げたのに、田村とノブは熟睡してしまっている。
町田は自分のデイパックの中にある”武器”を確認した。

916 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:17:33
そして、川島の顔がゆっくりと上がった。
「あ・・・・ごめん町田。あんまり聞いてへんかった。」
「・・・・・は?」
あまりの落差に町田は拍子抜けした。表情も先程とは違い、確かに人間のものだ。
「お前、覚えてへんの?」
「いや、本坊が踵落とししたんて、俺ん家かあいつん家どっちやったっけって、ずっと考えてた。」
ごめんごめんと、頭を掻きながら謝る仕草には狂気の欠片も無い。
しかしそのギャップは、町田の猜疑心を煽るには十分な材料だった。
もう1度、町田はデイパックを触って、自分の支給武器、デザートイーグルを確認した。

そう、町田が支給されたのはサザエさん5冊ではない。
これはこの家の押入れに忘れられた物に過ぎないのである。
町田は万が一に備えて、川島達を欺いたのだ。
彼はマーダー化はしないものの、自分に降りかかる火の粉は払い除ける覚悟だった。
最初は仲間のふりをしていて、後でドン!というのも有り得る話である。
田村とノブの話を狸寝入りして聞いていた時は、流石に罪悪感に胸が痛んだが、
今の川島の暴走を見て、自分の行いは間違いでは無い事を確信した。
やはり自分の身は自分で守らねばならないのだ。
自分の他に守るべきであった相方は、もういないのだから・・・・・

「町田!ちょっと、町田て!!」
川島が少しいらつきながら自分の名を呼んでいた。
「あっ・・・・何?」
「もう〜今度はお前かいな。サザエさんの7巻貸して。もっかい読むし。」
「う、うん・・・・・」


夜が明け、朝日で部屋全体が見渡せるようになった。
もう6時、3回目の放送である。川島と町田は名簿とペンをスタンバイさせていた。

『芸人の諸君、頑張って殺しあってるかな?』

917 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:18:02
早朝だからテンションが低いかと思いきや、意外に楽しげだ。
流石ベテラン芸人といったところだろうか。
楽しげなまま、死亡者が次々と読み上げられていく。

『え〜、次は禁止エリア・・・・』
そう言って、たけしの言葉が途切れた。スピーカーの向こうがざわついている。
「なんや、機材のトラブルか・・・・?」
たけしの声が続いているのだが、マイクを通していないせいでぼそぼそとしか聞こえない。
そのざわつきは5分近く続いた。
『はい、じゃあ参加者の皆さんへ嬉しいお知らせです。なんと今日は皆さんの
お友達がわざわざ来てくれましたー。では、はりきってどうぞー。』
中断などなかったかのように、明るくそう言った。

  お友達・・・・?どういう事や??

彼等は、その声に驚愕する。
”え〜、参加者のみなさんお元気ですか?
baseよしもと所属ソラシドの本坊元児と申します。
この場を借りて、僕からみなさんに伝えたい事があります。”

「え、本坊・・・・・・?」
川島がレーダーを見る。本坊、水口、石田がいる場所、そこは------スタート地点の学校と表示されていた。
「お前ら何しとんねん・・・・・」
レーダーの画面に、川島は吐き捨てるように言う。レーダーの存在をしばらく忘れていたのだ。
「おい、田村!ノブ!!起きろて!」
町田が2人を揺さぶって起こした。
「なんやねん、まだ6時やんけ・・・・」
「しっ!放送聞け!!」
放送と聞いて、ノブは咄嗟に耳を塞ごうとしたが、声を聞いて両手を下ろした。
「本坊さん・・・?なんで・・・・?」
「俺らかて、わからへんよ・・・・」

918 :名無し草:2006/11/21(火) 01:35:10
規制?

919 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:35:10
”・・・・・・・・・・誰にも苦しい思いをしてほしくないのです。
誰かのせいにして生きるのも、誰かの為に死ぬのも見たくありません。
みんなで、このプログラムを終わらせましょう。”

全員が息を潜めて聞いていた。
心臓の音が体内で響き渡り、鬱陶しかった。


”1人も欠けて欲しくありません。
みんなで終わらせたいんです。みんなと一緒がいいんです。
だから、だから、みんな・・・・・・・・・”

『・・・・・・・・やめろ!!』
田村が向を撃とうとした時と同じく、川島が叫んだ。
全員の視線が川島に集まったが、すぐに掻き消された。


”  だから、みなさん。みんなで一緒に、楽に死にましょう。  ”


     ド  ン   ッ  !!!!


放送は銃声で途切れた。 ブツッという音の後、大音量のクラシックが流れた。
4人はいっせいに絶望感に襲われた。

「撃た、れ、た・・・・・?」
「・・・・・・嘘、でしょ?」
絶望の淵でも言葉が出て来たが、誰と話す訳でもない独り言である。
川島は胸を掻き毟りたい衝動に駆られ、苛立つだけだった。

920 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:36:45
どれほど時間が経ったのだろう。
その中断時間はものの15分程度のものだったのだが、参加者には地獄のように長い。
『 はい、放送中断すいませんでしたー。禁止エリア発表でーす。
 なんか余計なのが入ったけど無視ってことで。
 今から3時間後・・・いや、午前9時にJ-5が禁止エリアになる。
 あと、今回はおまけにもう1つ禁止エリアがついてきまーす。
 そこはスタート地点の学校でーす。みんな気をつけろ〜 
 ふざけて学校に入ったら撃ち殺しまーす。 』

禁止エリアなんてどうだっていい。
さっきの銃声は・・・・・・・・本坊はどうなっているのか。

レーダーには、本坊、水口、石田の番号が表示されている。
だが、本坊と水口・石田、1対2で離れていってしまっている。
『 あと、死亡者の方も1人、おまけでーす。 』




ダン   
  ダ ン   
        ダ ン  ッ  
                 ダ   ン   ッ  !!!!


『     216番    本坊 元児。     』


921 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:38:54
田村が崩れ落ち、嗚咽を漏らした。
ノブは信じられないという表情で目を泳がせている。
町田は自分のデイパックを睨み付けていた。
そして、川島の脳内は戦場のように混乱していた。

「「 なんで助けにいかんかったん?お前は居場所を知ってた筈やのに。 」」

・・・・・・・・・・・無闇に動く訳にはいかへんかった。

「「 1番自分が可愛いのは、お前やったんか。 」」

・・・・・・・・・・・見殺しにしようなんて思ってへんかった!

「「 可哀想な本坊。きっと痛かったんやろうなぁ。
   怖がりなあいつは、死の恐怖に怯えたまま・・・・ 」」
成す術なく銃弾に貫かれる本坊の姿が、川島の脳裏に映った。

・・・・・・・・・・・うるさいうるさい!!

「「 ・・・・・本坊死なして、このままにしとくつもり? 」」

・・・・・・・・・・・え?

「「 元々、こんなんなったんあいつらのせいやん。でも、政府のトップ殺るとか無理やろ?
   じゃあせめて、本坊の仇だけでも討とうや。 」」

・・・・・・・・・・・・・・・・。

「「 あいつが死んだ所で、だーれも困らへん。
   かえってみんな喜ばはるよ!だからあいつを、ビートたけしを、 」」

922 :名無し草:2006/11/21(火) 01:45:21
ん?

923 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:48:55
” 相方でも、先輩でも後輩でも、いや誰でも・・・・・
  死んだっていわれたら、僕どうなるかわかりませんから。 ”
昨夜のノブのその言葉がふとよぎった後、川島はすぐ別の言葉に飲み込まれた。


「「   殺してやる・・・・・・・・  !!  」」

ちょうど12時間前にあれほど嫌悪した言葉は、今の川島にとっては
自分の感情を最も代弁する言葉だった。
レーダーを放り投げて、拳銃入りのデイパックを右肩に担いで川島は走った。
「川島・・・・っ!?」
自分を現実に引き戻してくれた相方の言葉も、今は届かない。
ドアを蹴破って、川島は駆ける。
「川島ぁーーーーーっ!!」
自分のバッグも忘れて、田村は川島を追いかける。
町田も自分と田村のバッグを担いで、レーダーを拾い上げ、後に続く。
放心状態だったノブも、置いていかれまいとした。
だが、町田にはある直感が走った。
その直感のままに町田は、田村のバッグの煙幕をノブに投げつけた。
「!?・・・・・・っか、はっ・・・・・・・・・!!!」
町田は先程見た川島の狂気を思い出し、危険を感じていた。
ノブは相方大悟に会うまで、危険に晒してはならないと、そう直感した。
「ごめんな、・・・・・お前は相方に会うんやで!」
ノブの視界は粉で真っ白だった。町田のその声だけが聞こえた。
嫌です、連れて行ってくださいと言おうとしたが粉が口に入って咳込むだけだった。
視界が晴れた後は、当然誰もいなかった。
「・・・・・・・・・・・大悟。」
閉ざされたドアを見て、ノブはここにはいない相方の名を呼んだ。


924 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:50:16
「田村!!」
元町を抜けた所で、町田は田村を見つけた。川島は見失ったままのようだ。
「町田・・・・・ノブは?」
「置いて来た」
「え!?」
「川島追いかけんの危険や思たから、連れて行きたくなかった。」
「そんな・・・・・」
「で、煙幕も1個使ってしもてん。・・・・勝手な事ばっかしてごめん。」
「でも俺、ノブ1人にせぇへんて約束したから・・・・・」
「・・・・・後で迎えに行ったらええよ。はい、レーダー。」
「あれ、俺カバン・・・・・!?お前持ってきてくれたん?」
「そうや、手ぶらでいきよるから。重かってんで?」
「ごめん・・・・・・ありがとう。」



925 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 01:51:06
【麒麟 川島、ヘッドライト町田・麒麟 田村、千鳥ノブ  離散 】
【麒麟 川島 明
所持品:ライター 煙草(開封済) 眼鏡 ベレッタM92F 予備マガジン×1
基本行動方針:ビートたけしの殺害
第一行動方針:学校へ向かう
第二行動方針:考えられない
最終行動方針:考えられない】
【麒麟 田村 裕
所持品:ライター 煙草 簡易レーダー 鉄パイプ 煙幕×5 爪切り
基本行動方針:首輪の外し方を探す。攻撃してくる相手には反撃する
第一行動方針:相方捜索
第二行動方針:仲間を探す
最終行動方針:ゲームの中止】
【千鳥 ノブ(左腕に切り傷<軽症>)
所持品:殺虫剤
基本行動方針:不明
第一行動方針:相方捜索
第二行動方針:仲間を探す
最終行動方針:不明】
【ヘッドライト 町田
所持品:デザートイーグル、サザエさん 1,7,24,38,45巻
基本行動方針:自分の身は自分で守る
第一行動方針:川島捜索
第二行動方針:
最終行動方針:不明】

【現在位置:F-6 】
【8/16 06:40】
【投下番号:151】

926 :731 ◆p8HfIT7pnU :2006/11/21(火) 02:28:15
規制に引っかかったのか、再起動しながらの投下になってしまったので
時間がかかってしまいました。ご迷惑おかけしました。
ついでに訂正。
>>925
煙幕×5→煙幕×4

927 :名無し草:2006/11/21(火) 07:36:10
お前、馬鹿だな

928 :名無し草:2006/11/21(火) 10:49:37
書き手さん乙!イイネイイネ〜



…しかし川島が壊れていくほど超wktkしてしまう麒麟ヲタな自分キメェorz

929 :名無し草:2006/11/21(火) 12:19:42
麒麟ヲタwwwwマジでキモいぞwwwwwww

930 :名無し草:2006/11/21(火) 21:47:16
やべーおもしれー!
続き超wktk

大丈夫俺もキメェww

931 :名無し草:2006/11/22(水) 16:10:16
うわーっヤバイソラシド編に麒麟編…



めっちゃ好きだ。

932 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/23(木) 04:02:25
>>664-672続き

月が手の届かない遥か高みに向かって天空の階段を上り始める頃、
それぞれに可視不可視の傷を負った3人組は、ただ歩みを進めていた。
戻るべき場所へと向かって。

「おかえり」

出迎えた鈴木は一先ず無事に3人が帰ってきたことを大袈裟な程喜び。
そして灘儀の脇腹の傷はまだ癒えていないことをすぐに思い出すと、
持っていた荷物を受け取ろうとして、先程と異なった部分に気付いた。
「怪我増えとるやないですか!?どうしはったんですの」
目敏く包帯を見つけられてしまった灘儀は鈴木の視線を避けるように顔を背けると、
呟くように答える。
「大丈夫やって。心配すな」
心配せえへんでもエエようには全く見えてませんけど、と食い下がる鈴木に
浅越が疲れてますから、とその追及を止めさせようとした。
しかし不満げながらも諦めようとした鈴木に柳谷が爆弾を落とす。
「自殺しようとしてはりましたけどね」
「言うなや…」
柳谷の暴露にすぐさま灘儀は反応すると、低い声で嗜めた。
元々冗談めかした喋り方でもしなければ、叱責に聞こえかねない灘儀の言葉。
実際柳谷も小さく唇を噛むと、
驚愕の眼差しで2人を見つめる浅越と鈴木の視線を振り払うかのように、
立ち止まっていた3人を追い抜いてホテルの中に入っていった。

933 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/23(木) 04:03:43
「今の、ホンマですよね。何でです?」
受けた衝撃が大きすぎたのか、
蒼白になりながら目を泳がせる浅越を放置して、鈴木は灘儀に問い掛ける。
苦虫を噛み潰したような顔をすると、ぽつりと言の葉が零れ落ちた。
「俺が居らん方が、エエかと思たんや。死ぬ人間も少ななるし…」
大切なモノが他人と同じという事は有り得ず。
自分が原因で引き起こされる目の前の惨禍で命の炎を消えていく様を見るのも、
消していく様を見るのも嫌なのだと、
心中は察し過ぎるほど察することが出来たとしても、それを許せるかどうかはまた別問題であって。
「でも灘儀さんの代わりは居ないんですよ」
命が本当に平等なんて、有りえるはずもなかった。
例えば知らない少女が虐めで自殺するのと、知人が脇見運転の単独事故で死んでしまうのと、
どちらが辛いのかと言ったら偽善者でもない限り答えは決まっているもので。
ただ、その他人の痛みを感じる事が出来てしまう思考回路を焼ききってしまう事が出来たらと、
それが灘儀の一部を破損してしまうことになったとしても、浅越は願わずにはいられなかった。

934 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/23(木) 04:04:22
-カランコロンカラン-
1人でホテルの階段を上っていると、足に軽い違和感を感じたのと同時に大きな金属音が鳴り響く。
慌てて飛び退いて膝を屈めてその部分を凝視すると、
細い糸が段差部分に張られていることが分かった。
「鳴子…鈴木さんホンマ手先器用やねんな…」
他人に対しては躊躇いもなく残虐になれるのに、身内に対しては盾になるのも構わない、
そんな落差を垣間見したような感覚に陥る。
でも、その中には当然優先順位がある訳で。
「下から何番目になんねやろ…そもそも入れとるんかな…」
きっちりと整頓され並べられた鈴木の部屋の中の宝物を思い浮かべて苦笑する。
優柔不断なリーダーに鍛えられて取捨選択は途方も無く上手くなってしまった上に、
このような非常事態を乗り切るためには
更にその判断力は研ぎ澄まされていると考えるのが自然だった。
「でも、引導は渡してくれんのやけど…」
完全に切ってしまえないのは、優しさではなく単に苦痛を長引かせるだけだなんて、
目の前の現実に必死すぎて気付いてもらるなんて思えはしないだろうと結論付けた。

935 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/23(木) 04:05:07
あと2階分ほどで最上階、という時に突然鈴木は立ち止まった。
訝しげに眉を寄せる浅越を意に介そうとせずに、鈴木はさっと差してあったハンマーと釘を取り出す。
「シーツ貸して…あー、あと肩車してくれへん?」
「…分かりましたよ」
「灘儀さんは上で休んでてくれはってエエですよ?」
鈴木の意図が気になりつつも、疲れているのは事実であり休もうと思って
階段に足を踏み出した瞬間、金属音が響いた。
「あっ!」
「え?」
「あーすんません注意すんの遅かったですね」
即座に納得した浅越と多少ラグのあった灘儀と。
早よ注意してや、とだけ返すと灘儀は階段を上っていった。
それを見送るとすぐに鈴木は浅越に肩車をされてシーツを目隠しにと釘で固定し始める。
「灘儀さん、気ぃつけんとあかんで」
「分かってます。思い知りました」
カンカンカンと規則的な音が響く中、溜息だけが漏れる。
「本合わせして、一回通すまで全員死なせんつもりなんやろ?ちゃんとせえや。俺も気ぃつけるし」
「はい…」
細くなっていく声。それでも一番堪えているのは浅越自身なのだろうと察すると、鈴木は話題を変えた。
「2階にあった死体にな、ペンキ塗られててん」

936 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/23(木) 04:05:55
「木部ちゃん…死んでもうたんですか…!?」
最上階で執筆を続けていた久馬は、戻ってきた柳谷に労いの言葉をかけると傍らにあった名簿を手渡す。
既に死亡者には線が引かれていて、
そういえばバトルロワイヤルには放送制度があったということに柳谷は気付いた。
上から順に名前を見ていくと、すぐに木部の名前に目がいく。
「下に死体あるで」
即座に久馬に返されて面食らいながらも、身体が自然に逸る。
「見てきます」
「せやな。…今の時期腐るのも早いやろうし」
遠くを見つめるように呟いた久馬に柳谷は目を見開きながら振り返ると、
すぐに思い出したかのように駆け出した。
武器を所持していないことに気付いて久馬が引き止める間もなく、階段を駆け下りていく音がする。
すれ違った灘儀も驚いたように柳谷を見送った。

「あれどしたんよ?」
部屋に入った灘儀は柳谷の置いていった毛布の上に腰を下ろすと、
柳谷の切羽詰ったような様子にやはり面食らったのか久馬に訊ねた。
「木部死んだって言うたら…」
短い言葉だが、灘儀は納得した。そして落ちていた名簿を拾うと、
眉を顰めながら線の引かれた名前を読んでいく。受け入れざるを得ない、死者の名の群れ。
「和田、死んでもうたんや…」
「校舎出てから数時間も経ってへんのですけどね」
一昨日まで同じ舞台を踏んでいた後輩の死に驚愕したのは鈴木や久馬も同じで。
特に鈴木と違って前後の人間が死んでいない事を考えると待ち伏せにあったとも考えにくかった。
誰が殺したのか、何が起こったのかが全く分からないことが疑心暗鬼を起こさせる。
誰が死を招き続けているのか。
「禁止エリア、きちんと確認しはって下さいね」
だが結局口をついて出たのは関係の無い言葉だったが。


937 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/23(木) 04:06:32
駆け下りる柳谷は当然の如く、塞ぎ込む浅越と鈴木の横を通って。
「今、手ぶら…やったよな?」
「そう見えましたけど」
2人共事情が飲み込めないが、とにかく今柳谷が周りが見えてないのは確かだった。
「しゃーないな」
鈴木は釘とハンマーを笑顔で渡すと、自分はライフルを持って下り階段に手を掛ける。
「後は頼むな」
先輩の命令に逆らえる訳もなく、浅越は肩を落とすともう一方の階段へと向かった。

呆然と立ち尽くす柳谷の顔を見ないようにしながら、
鈴木は周囲を窺ってとりあえず人の気配がないことを確認する。
黙って側で銃を構えていると、柳谷が膝から力が抜けたように座り込んだ。
膝に血と混ざって変色した土が付着する。
糸の切れた傀儡のように項垂れると、小さな嗚咽が柳谷の口から漏れ出して。
鈴木は慰める言葉が思いつかずに、四方を眺めながら時間が過ぎるのを待った。
「誰やねん…」
「…2階に死体あったの知っとる?ゴエがそいつやって言うてたんやて」
知っている名前であればその人間に感情の矛先をぶつけることも出来たのだろう。
しかし名前の分からない誰か、では怒りのやり場が見つからなかった。
柳谷は顔を凝視することが出来ず、
不自然な形で倒れこんでいるのをきちんと仰向けにさせると、一息吐いて。
堪え切れなかった涙の粒が次から次へと頬を伝っていく。
と、上を向かせた事で、首の傷が思ったよりも深かったことに気付いた。
鋭利なだけでなく、重さもある刃物でないとつかないような抉れ。
疑惑の種は一度蒔かれると芽吹かぬことはなかった。
もちろんそれなりに浅越と木部は仲が良かったけれども、
先程岩橋を殺すのに全く躊躇を感じさせなかったことを考えると、
完全なる濡れ衣と否定しきれない暴走した思考回路が稼動を始めて。
鈴木がもし異変に気付いて声を掛けなければ逃れきれない奥底まで落ちて、いた。

自然の闇に囲まれて視覚が意味をなくし、
自らへの問い掛けだけが五感を支配するまであと少し。

938 : ◆pwreCH/PO6 :2006/11/23(木) 04:07:52
ザ・プラン9 お〜い!久馬
【所持品:ネタ帳
第一行動方針:脚本執筆
基本行動方針:各自の行動は我関せず
最終行動方針:バトルロワイヤルを題材にした脚本を書きあげる】
ザ・プラン9 鈴木つかさ
【所持品:アーミーナイフ ハンマー 他不明
第一行動方針:ホテル最上階の安全確保
基本行動方針:メンバー生存最優先、積極的に邪魔者排除
最終行動方針:5人で出来上がった脚本を上演】
ザ・プラン9 浅越ゴエ
【所持品:救急セット
第一行動方針:ホテル最上階の安全確保
基本行動方針:メンバーの生存最優先
最終行動方針:5人で出来上がった脚本を上演】
ザ・プラン9 なだぎ武
【所持品: ダイナマイト1本 短刀(檜)
状態:脇腹に軽傷/肩に銃創
第一行動方針:待機
基本行動方針:人命救助】
ザ・プラン9 ヤナギブソン
【所持品:照明弾(4/5) ジッポライター
第一行動方針:混乱中】
所持武器:M24ライフル 5.56ライフル弾(30/30) MP5 9mmパラベラム(281/300)
      吹き矢(9/10) 斧
【現在位置:建設途中のホテル(C4)】
【8/15 20:24】

939 :名無し草:2006/11/23(木) 04:11:12
【投下番号:152】

940 :名無し草:2006/11/23(木) 09:45:00
やっぱり麒麟編いいな。好きだ

941 :名無し草:2006/11/23(木) 11:13:05
プラン編続きwktk

942 :名無し草:2006/11/23(木) 18:04:04
>>940
おまいもか。俺も麒麟編好きだ。

943 :名無し草:2006/11/23(木) 19:03:28
ノシ
自分も麒麟編好きだ

944 :名無し草:2006/11/23(木) 23:10:51
麒麟編の書き手さん、上手いよね!期待してます!

945 :名無し草:2006/11/24(金) 17:30:31
うんうん、麒麟の話いいよね。1番好きかも

946 :名無し草:2006/11/24(金) 18:42:57
性質の悪い自演だな

947 :名無し草:2006/11/24(金) 20:29:54
腐女子乙。

948 :名無し草:2006/11/24(金) 22:41:22
麒麟編、面白いと思うけど。何が気に入らないの?

949 :名無し草:2006/11/24(金) 23:15:14
家城、氏ぬのか_| ̄|○

950 :名無し草:2006/11/24(金) 23:21:59
ネタバレすんなよ

951 :名無し草:2006/11/24(金) 23:49:17
何がネタバレ?

952 :名無し草:2006/11/25(土) 00:37:36
書き手相談と芸人予約は見ないようにしてる椰子だっているんだぜ

953 :名無し草:2006/11/25(土) 00:38:46
椰子って何?

954 :名無し草:2006/11/25(土) 00:56:14
今時、椰子って

955 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/25(土) 02:07:06
容量平気かな…
>>694-696の続き。共通点は「コンビ名がカタカナ」ってだけの3人組。

葉裏の間から覗く空の一点が、おかしいくらいに輝いている。
今立も山根も空を見上げていないからわからないが、1人視線を上げていた片桐にはそれがわかった。
(なんであそこだけ、あんな水晶のように光っているのだろう)
そう思った瞬間、片桐の視界は途切れた。
背中に衝撃と、冷たい草の感触。
「片桐!?」
「片桐さん!」
霞む視界の中、今立と山根の叫び声を片桐は聞く。
突然体に力が入らなくなった。先ほどまで普通に話も出来ていたのに、彼の心臓は急に弱ってしまった。
彼の耳の奥に内臓が腐るような音が聞こえだす。体中が断末魔の悲鳴を上げている。
「ごめん…俺、もうだめそう」
焦点の合わない目は少しずつ濁っていく。
「馬鹿野郎!そんなこと言うな!!」
今立の、鼻のつまった叫びが響く。彼は泣いているのだろうか。今の片桐の目ではわからない。
脂汗が片桐の額ににじむ。段々息が浅く、早くなっていく。
「なあ…約束は守ってよ。俺が死んだら…海に…海に投げ込んでくれよ…」
視界はぼやけたり、一瞬鮮明になったりと、吐き気を催すくらいにゆれる。
2人の約束を知らない山根の、ひそめられた眉にも片桐は気づかない。
「わかったよ…わかってるよ…」
今立は強く拳を握る。そうしないと、涙で声が出なくなってしまうような気がしていた。
苦しみを吐き出すように、片桐は細い息を吐き出す。
「なあ、どうしよう…」
にじむ空を見つめて、片桐はつぶやく。
「俺…太朗に会いたい」
片桐の言葉に、今立も山根も声を失った。
「太朗に会いたいよ…もっとご飯食べさせたいよ…入園式に行って
 …運動会はビデオ持って応援…授業参観もしたかった…」
片桐の胸が跳ね、少量の血が口から吐き出される。

956 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/25(土) 02:07:56
「片桐さんもう喋らない方が…」
「いじめられたら、なにがあっても味方になってやる!」
山根の言葉をさえぎり、どす黒い血を口元につけたまま片桐は続ける。
「彼女が出来たら大いに邪魔をしてやる、結婚式では泣いちゃうかもしれない
 …初孫は女の子が良いな…俺、絶対溺愛する」
来るはずもない未来を見て、片桐は父親の顔で微笑む。あまりの辛さに今立は思わず目を背ける。が、
(ここで目を伏せたら、俺は片桐から逃げることになる!)
今立はしっかりと目を開いた。涙をいっぱいにためた目は赤く、情けなかった。
が、今立は気づかなかったし気にも留めなかった。
「ああ、嫁さんどうしてるかな…泣いてるかな、家出るときまで喧嘩してたんだよ…最低だ、俺
 …わかってたら、ガンダムも諦めるって嫁さんに言えたのに…諦めないけど」
「どっちだよ」
矛盾に満ちた片桐の言葉に、今立は笑う。笑うと水っ洟が彼の顔を汚した。
「せめて最後に、ありがとうって、好きだよって、愛してるよって言えればよかった…」
片桐の視界がゆがむ。それは体の衰弱によるものなのか、彼の目をぬらす涙によるものなのか、判断はつかない。
ほとんど残っていない生命を燃やし、語る片桐の姿は壮絶であった。
ろうそくが燃え尽きる寸前の一瞬の炎のような、片桐に、山根は圧倒されていた。
(これが死か、これが生きると言うことか)
今、片桐の脳内で、妻との思い出が短い映画のようによみがえっている。
一目で恋に落ちた衝撃、初デートの緊張、2人で手をつないで歩いた銀杏並木、
祝福に包まれた結婚式、そして生まれた最愛の息子、太朗。
芸人として、俳優として、生きる彼を厳しく優しく支えてくれた愛しい妻。
3人で暮らした幸せな日々を思い出すと、片桐は涙が止まらない。
「やだよ…俺、まだまだ皆で暮らしたいよ…銀婚式も金婚式も上げてないのに…」
嗚咽で片桐の胸が痙攣する。その痙攣は弱った臓器に響き、彼は激しい痛みにうめき声をもらす。
どうしてあんなに幸せな日常を、だらだらと生きてしまったのか。
何気ない日々が、今の片桐にはまるで宝石のように光り輝くものに思えた。
彼は今、全てを失おうとしている。家族を、そして親友を。

957 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/25(土) 02:08:27
「賢太郎…」
10年以上もの月日を共に過ごした相方の名が片桐の口をつく。
「俺…賢太郎のおかげで役者になれた…」
お笑いの道に片桐を誘ったのは、紛れもなく小林だった。
『モテるよ』という言葉に誘われて軽い気持ちで始めたことが、今は天職になっている。
彫刻も続けることが出来、本まで出すことが出来た。
もしあの時小林が片桐に声をかけていなかったなら、今の片桐はない。
片桐にとってのヒーローは小林なのだ。
草に横たわっている片桐の頬を、一筋の涙が走る。彼の声は細く、震えていた。
「ずっと、感謝してたけど…あんまり言えてなかった…どうしよう…」
「通じてますよ!」
また涙をこぼす片桐に、山根は必死に呼びかける。
「絶対伝わってますって!だって、付き合いの浅い俺でも片桐さんが考えてることなんとなくわかりますから!
 小林さんがわからないわけないじゃないですか!」
「そうだよ!お前は感情を表に出しすぎだから、賢太郎にばれないわけないって!!」
褒めてるのか貶しているのかよくわからない励ましを、片桐は複雑な気持ちで受け取った。
「要するに…単純って…ことじゃん…」
肺の機能が段々弱まり、浅い息を何度も何度も繰り返しながら、彼は自分の最期がいよいよ近づいたことを悟る。
もはや彼の目はほとんど何も見えていなかった。
それでも彼は言葉を発することをやめようとしない。
「西田さん『泥棒役者』出れなくてごめんなさい、『Love30』も出れなくてごめんなさい、
『あ、うん』でれなくてごめんなさい、UDONの試写会行けなくてごめんなさい!」
言い残したことを全て吐き出すように、片桐はもつれる舌を懸命に動かす。
言い足りなく死んでいくことだけは避けようとするかのように。
また涙が片桐の目から流れ、草に落ちる。
「もっと賢太郎の舞台に…立ちたかった…ごめんね…もう、出れない…今まで…ありが…と」
森林で深呼吸をするかのように、片桐は大きく息を吸い込む。

958 : ◆1ugJis83q2 :2006/11/25(土) 02:10:16
そして、嗚咽を漏らさないように必死にこらえる2人に向かい、
「ほ…んとに、ありがと…」
と言って、笑った。
風船の空気が抜けるように、片桐は息を吐き出す。
そして、もう二度と呼吸することはなかった。
「………っ」
今立は草の中に顔をうずめて泣いた。
山根は全く動くことが出来なかった。壊れた蛇口のように、涙だけは止まらなかった。

【ラーメンズ 片桐仁 死亡】

【エレキコミック 今立進
所持品:スタンガン
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:仲間を集めて協力する
最終行動方針:ゲームの終了
現在位置:森】

【アンガールズ 山根良顕
所持品:救急セット
第一行動方針:片桐の治療
基本行動方針:怪我をした人を助ける
最終行動方針:死は覚悟している
現在位置:森】

【8/16 05:30頃】
【投下番号:153】

959 :名無し草:2006/11/25(土) 02:15:08
中田と麒麟の話書いてる人、文章書くの上手いね

960 :名無し草:2006/11/25(土) 02:30:21
次スレどうする?まだ早い?

961 :名無し草:2006/11/25(土) 02:36:24
980位で平気じゃない?

962 :名無し草:2006/11/25(土) 02:50:47
容量はどうなの?

963 :名無し草:2006/11/25(土) 02:54:48
自分、携帯からワカンネ

964 :名無し草:2006/11/25(土) 03:07:13
つか次もここに立てんの?

965 :名無し草:2006/11/25(土) 03:54:33
独立する話どーなったの?

966 :名無し草:2006/11/25(土) 08:16:03
>>955-958
乙!ぎゃー片桐死んだ!!
相変わらず三人の特徴をよくとらえていて面白いよーでも死んだー

967 :名無し草:2006/11/25(土) 08:27:30
>>955-958
乙!死んだー!小林どうなるのか

968 :名無し草:2006/11/25(土) 09:54:54
>>955ー958
乙です!
朝から泣いてしまった…


969 :名無し草:2006/11/25(土) 12:01:14
片桐ー!。・.゚(ノд`)゚.・。

970 :名無し草:2006/11/25(土) 12:10:36
泣いたとか言ってる奴、正気?

971 :名無し草:2006/11/25(土) 12:41:23
もう次スレ立てる?立てるなら行ってくるけど

972 :名無し草:2006/11/25(土) 14:07:38
まだいいんじゃね?

973 :名無し草:2006/11/25(土) 16:28:24
容量が残り少ないから立てた方が良くないか?
ヨロ

974 :名無し草:2006/11/25(土) 16:31:51
容量どのくらいあるの?

975 :名無し草:2006/11/25(土) 18:03:14
また、この板に立てるの?

976 :名無し草:2006/11/25(土) 21:43:53
>955-958
めちゃくちゃ泣けたorz


この板でいいんじゃないか?

977 :名無し草:2006/11/25(土) 21:50:26
ごめん、立てたけど数字間違えたor2

お笑いロワイアル2006 vol.3
http://aa5.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1164458692/l50

978 :名無し草:2006/11/25(土) 22:08:59
>>977氏ね

979 :名無し草:2006/11/25(土) 22:15:35
お笑いロワイアル2006 vol.4
http://aa5.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1164460385/

980 :名無し草:2006/11/25(土) 22:48:21
どっちつかうの?
先に立ってるが間違いがあるほうと、立った時間は遅いけど正確なほう。
どっちでもいいけど

981 :名無し草:2006/11/25(土) 22:53:26
正確な方がいい。sage進行が抜けてるけど

982 :名無し草:2006/11/25(土) 23:40:03
>>979でいいよ

983 :名無し草:2006/11/26(日) 00:17:38
禿同

984 :名無し草:2006/11/26(日) 07:46:11
>>979が本スレでFA?
自分も正確なほうがいい

985 :名無し草:2006/11/26(日) 09:46:21
うん

986 :名無し草:2006/11/26(日) 20:48:56
じゃあ、こっちはとりあえず埋めますか

987 :名無し草:2006/11/26(日) 21:24:13
梅田花月

988 :名無し草:2006/11/26(日) 21:30:40
次も期待埋め

989 :名無し草:2006/11/27(月) 05:11:33
次スレも期待梅

990 :名無し草:2006/11/27(月) 17:23:41
うめ

991 :名無し草:2006/11/27(月) 20:24:26
書き手さん達みんな乙梅!

992 :名無し草:2006/11/27(月) 22:42:50
ちょっとスランプ気味に梅。

993 :名無し草:2006/11/27(月) 23:12:24
梅…

994 :名無し草:2006/11/28(火) 00:05:47
竹…

995 :名無し草:2006/11/28(火) 00:09:27
松…

996 :名無し草:2006/11/28(火) 00:10:09
996なら大竹優勝

997 :名無し草:2006/11/28(火) 00:54:30
松本人志のすべらない話

998 :名無し草:2006/11/28(火) 00:55:09
松竹B1角座

999 :名無し草:2006/11/28(火) 00:56:07
書き手頑張れ〜!梅

1000 :名無し草:2006/11/28(火) 00:56:08
梅田花月

1001 :1001:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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